第13話 つりの名所 新たなライバル  大樹・留美・英人の三人はヒワダタウンを目指して旅をしていた。  今の所は順調な三人であったが、そんな彼らに運命的な危機が訪れようとしていた。  ここは「つりの名所」の近くにある森、そこに一人の少年と数人のロケット団員がいた。 「その三人がヒワダを目指すならこっちにも来るはずだね。」 「申し訳ございありません、あんなトレーナーに・・・」  男の中に、マダツボミの塔にいたデストがいた。 「かまわないよ・・・・それより、それほどの腕なら暇つぶしくらいにはなるね・・・・」 「ハイ、わかりました・・・望様・・・・」  そう言い残すとデストは何処かに消えていった。  そして望むは身につけていたペンダントにある写真を見つめながら呟いた。 「父さん・・・・・・」 翌日・・・・・・・・  次の日、大樹達はヒワダタウンを目指し、つりの名所に来ていた。  近くにはポケモンセンターもあり、海辺や桟橋では多くの人達が釣りを楽しんでいた。 「海ポケモンが多く釣れる『釣りの名所』か〜」 「どうする?私はポケモンセンターに行くけど。」 「俺もだ、最近戦ってばかりだからな。」 「そうだな、まずはポケモンセンターに行くとするか!」  三人は一路、ポケモンセンターに向かって行った。  だがその時、彼らを空から見ている影があることには誰にもわからなかった。 ポケモンセンター・・・・ 「ハイ、お預かりしたポケモン達は元気になりましたよ。」 「ありがとうございます!」 「あ、そうだわ!あなた達、海でポケモンを釣ってみない?ここでは釣り竿を売ったりレンタルしたりしているのよ。」  ジョーイはここら辺の地図を見せながら言った。  ここには釣具やトレーナー用品の店が多くたっていた。 「そうだ、せっかく来たんだから海のポケモンの捕獲競争しねえ?」 「捕獲競争?」 「そ、夕方までに多くゲットした方が勝ちで、負けた方は夕飯おごるってので!」 「あ、それ面白そう〜♪」 「そうか?」  英人は不満そうだったが、ほとんど大樹のおしで競争が始まったのだった。  三人は外の店で釣り道具などを買うと、夕方にポケモンセンターに集合と言う事で勝負をはじめた。 「待ってろよ、俺なんかギャラドスでも釣ってやるぜ!」 「私だって大物を釣ってやるわよ!」 「ふん・・・・・」  不満そうな表情はしているものの、本心はやる気満万の英人であった。  そして大樹は桟橋の方に向かうと、大きく竿を振って釣り始めたのだった。  なお、もしもの為に海にはアリゲイツを出していた。 「よ〜し、あいつらに絶対に勝ってやる!」  もとの世界でも釣りをよくやっていた大樹はやる気満万であった。  すると、1分くらいでいきなり引き始めたのである。 「来た〜!」  強く竿を振り上げると、きんぎょポケモンのトサキントが釣れた。 「アリゲイツ、トサキントに冷凍パンチ!!」 「ゲイ!」  いきなり好調な滑り出しであった。  一方、その頃の留美は・・・・・・ 「釣れないわね・・・・」 「ベイ・・・・・・」  ベイリーフと隣り合わせで岩場に座っていた。  どうやらまだ釣れない様子である。  と、その時 「き、来たわ!」 「ベイベイ!」  留美の竿も引き始めたのである。  そして強く引き上げると・・・・ 「フェガッ!」 「ヒトデマンよ!ベイリーフ、はっぱカッター!」 「ベイ!」  留美も波に乗り始めてきた。  そしてその後も留美の快進撃は続くのであった。  そして英人はというと・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・」 「チョンチ〜♪」  チョンチーが楽しそうに泳ぐ中、未だに一回も釣れていないのであった。  周りでは沢山のトレーナーが釣れている中、なぜか釣れないのである。 「・・・・・ま、一回で釣れるわけはないか・・・・」  そして一端、リールを巻いていくが、何だか重かった。  そして次の瞬間に見たものは・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・ヤ・・・・・・・・・ドン・・・・・・」 「・・・・・・・それで引かなかったのか・・・・・・」  ルアーにはまぬけポケモンのヤドンがかかっていた。  どうりで引かないわけであり。 「まあいい、チョンチー、スパーク!」 「チョンチ〜!」  一応の事ながら、こっちも波に乗り始めた・・・・・・のであった。 1時間後・・・・・・ 「よっしゃ〜、今度はタッツーだ!」  大樹は絶好調であった。  経験がモノを言ったのか、どんどん面白いように釣れていったのである。 「ゲイッ!」(かみつく) 「今だ、モンスターボール!」  そして今回もゲットしたのである。  すると、ご機嫌の大樹の所に誰かが近づいてきた。  外見からして大樹と同い年くらいのようである。 「釣れてるみたいだね?」 「ん、ああ!さっきから沢山釣れてるぜ!お前もトレーナーなのか?」 「うん、僕は望、君が大樹君だね?」 「え、何で知ってるんだ?」       ボン!  すると、いきなり煙玉が投げこまれると辺りは煙に包まれた。  そして、またしてもあいつらが出てくるのである。 「え、何で知ってるんだ?と聞かれたら!」 「答えてあげるが世の情け!」 「ロ、ロケット団!」  以下は同文なのでカットするが、望の後方にミサキとソウシが現われた。 「久しぶりだな、いつも負けてはいるが今回は我らの勝ちだ!」 「何だと!?」 「ここにいるお方は若くして我らの最高幹部、望様である!」 「な!!」 「そう言う事だよ!そして僕はロケット団の首領、サカキの一人息子でもあるんだ。」 「「「え!?」」」  これにはミサキとソウシも驚いた。  何とこの少年はサカキの息子なのであった。 「じゃ、少しは楽しませてよ。行け、カメックス!」 「な、カメックスだと!」  いきなり出してきたのはこうらポケモンのカメックスであった。 「負けたらお前のポケモン全部渡してもらうぞ!」 「くっ、ならメリープだ!」  相性で勝つため、メリープを出した。 「10万ボルト!」 「高速スピン!」  大技を出すが、甲羅にこもって高速スピンをしたカメックスはそれをはねのけてメリープに激突した。  大型であった事もあり、ダメージは大であった。 「メ〜!」 「戻れメリープ!」 「レベルの差は圧倒的だね。」  やはり最終形態のポケモンは手強かった。 「く、ニドリーノ!」 「なら、ゴルバット!」  今度はニドリーノとゴルバットである。 「角でつくんだ!」 「かまいたち!」  ゴルバットの方が素早く、ニドリーノはもろに受けたのだった。  早くも2匹が倒れてしまった。 「いい腕はしているけど、僕の敵じゃないね♪」 「くっそ〜!」 「「大樹!!」」 「!?」  すると、後方から留美と英人がやってきた。 「どうしてここに?」 「チョンチーが知らせてくれたんだ、それよりあいつは誰だ?」 「あいつはロケット団のボスの息子で最高幹部!めちゃくちゃ強いんだ!」 「君達も相手をしてくれるの?」 「ふざけやがって!」  そして英人と留美もボールに手をつけて戦闘態勢にはいった。 「行け、キマワリ!」 「ベイリーフ!」  二人が加勢するが、望は表情を変えなかった。  そして・・・・・・・ 「ガーディ、火炎車だ!」 「カラカラ、骨こん棒!」  カメックス、ゴルバット、ガーディ・・・・  そして・・・・ 「アリゲイツ、水鉄砲!」 「チョンチーも水鉄砲だ!」 「ドンファン、転がる!」  そしてドンファンを出してきた。  どれも圧倒的にレベルが高く、次々と倒れていったのだった。 「そんな・・・・・」 「少しは楽しかったよ、だけど僕の勝ちだよ♪」 「く、くそ〜〜〜!」  3人のポケモンはほとんど倒れており、残っているのはホーホーだけであった。 「カメックス、とどめのメガトンパンチ!」 「ホ、ホーホー!」  もうダメか・・・そう思われたその時だった。  空より一体のポケモンが急降下してきた。 「爆裂パンチ!!」 「えっ!?」  人を乗せたそのポケモンはカメックスに攻撃すると、カメックスはふっとんで一撃でダウンした。 「うそ〜、望様のポケモンが一撃で〜!?」 「そんな、僕のポケモンが・・・・・」 「今のは・・・・って、あれってカイリュウじゃねえか!?」  一同の目の前にはドラゴンポケモンのカイリュウがトレーナーを乗せて宙に止まっていた。  ただでさえ手強かったカメックスを一撃で倒すこのカイリュウ、レベルはさらに圧倒的に上である。 「おのれ〜、ケンタロス、奴を倒せ!」 「キュウコン、炎の渦!」 「コ〜ン!」 「何!?」  今度は横からきつねポケモンのキュウコンが現われ、炎の渦でミサキとソウシを倒した。  そして炎と共に二人は空の彼方に消えていった。 「「やな感じ〜〜〜!!」」  そして、キュウコンの横には一人の少女が立っていた。  二人とも、外見からして大樹達より年上のようである。 「こんな所で悪ふざけをするのはよしたらどうだ?」 「誰だあんたら?」 「本名は言えないが、『11』(イレブン)と呼んでもらおう。」 「同じく私はヴィーナスって呼んでね。」  この二人、ふざけているのかはわからないが、実力はこの中でも圧倒的に上である。 「何だか邪魔が入ったみたいだから僕はこの辺で♪」 「あ、待て!」 「次に会う日までにはもっと強くなっていてね〜♪」  そう言い残すと、望はドンファンに乗って去って行ったのだった。 「それじゃあ、俺達もここで・・・・」 「また会いましょうね♪」  そして11とヴィーナスもカイリュウに乗って去って行ったのである。 「何もなんだあいつらは?」 「さあ、あ、それよりも早くポケモンセンターに!」 「そうだった!」  三人はポケモンをボールに戻すと、ポケモンセンターに戻っていったのだった。  だが、この時誰も気づきはしなかった。 「・・・・・・・歯車は揃いつつあるわね・・・・」  建物の影から綾奈が静かに見ていた事に、誰も気づきはしなかった。  そして、彼女の言うとおり、運命の歯車はまらひとつ揃い始めていたのだった。 次回予告 「大樹と英人と一緒につながりの洞窟に来た私、洞窟の中には不気味な音が響いていて何だか怖い!  だけど、そこで出会ったヒワダジムのリーダーのツクシと  ボール職人のガンテツさんの案内で来て見ると傷ついたラプラスがいたの。  そこにあのロケット団、任せて、ラプラスは私達が守ってあげるわ!  次回 ツクシとガンテツ 地底の戦い 」