第25話　焼けた塔の伝説　時空を超えた２人

「なぜお前がここにいる！？」
「ふっ、冥土の土産に教えてやる！お前の息子は組織の復活の基盤作りの道具にすぎないのだ！」
「何だと！！」

　とんでもない奴が現われた。
　ロケット団のライキは望を道具と言い、さらには捨て駒と言うのであった。

「なんやその男！とんでもない奴やな！」
「ふん、目的の為には何でもやるのが俺のやり方だからな！」
「だったら、ここで潰してやる！」

　一同はモンスターボールを掴み始めた。
　だが、それよりもライキのほうが早かった。

「スリーパー、テレポート！！」

　そして、一同はラジオ塔から消えていったのであった。


エンジュシティ・・・焼けた塔・・・・・
　ここは、かつてのスズの塔であり、エンテイ達がいたといわれる焼けた塔・・・・・・・

「ここは焼けた塔じゃないか！」（マツバ）
「ふっ、場所をあらためただけだ、さて、邪魔者はここで片付けるとしようか？」
「それはどうかな？」
「ん？」

　余裕のライキの前に、イレブンが立ちはだかった。
　隣にはヴィーナスもいる。

「お前が強いのは見れば分かるぜ。けど、それでも俺の方が圧倒的に上だ！」
「だから、怪我をしたくないなら御家に帰った方が見の為よ♪」
「だったら戦ってみるか？まあ、数では俺の方が悪いが、質なら・・・・・」
「出てこい、ファイヤー！！」
「「なっ！？」」（英人以外全員）

　いきなりファイヤーを出してきた。

「うそ、僕も本でしか見た事がないのに・・・・」
「スッゲェ〜、本物かよ！？」
「ある場所でゲットしたファイヤー、果たしてお前に倒せるかな？」
「面白い、だったらスリーパー、爆裂パンチ！！」
「火炎・・・・・・・」

　と、その時であった。
　イレブンとライキが攻撃に入ろうとした瞬間！

「テ〜イ〜〜〜！！」
「ク〜〜〜〜〜〜ン！！」
「コ〜〜〜〜〜〜〜〜！！」

　焼けた塔全体が震えるかのような雄叫びが響き出した。
　そして、いつの間にかその主に一同は囲まれていたのだった。

「あ、あいつらはまさか！？」
「あ、お前らは！！」

　そいつらには見覚えがあった。
　最初はヨシノシティ、次はウバメの森、そしてスズの塔・・・・・

「伝説のポケモン、エンテイ！スイクン！ライコウ！」
「スバラシイ、こいつらを捕獲すれば組織はさらに強大になる！！」
「な、させるか！」
「待って！」
「あ、話せよ望！」
「僕達のポケモンはみんなバトルで・・・・」
「・・・そうだった・・・・」

　だとしても見ている訳にはいかなかった。
　だが、そうそうあいつらは捕まる訳がなかった。
　それどころか、とんでもない事が起き始めたのだった。

　　　　　　　　　　　　ピカッ！！×３

「な、何だ！？」
「これはフラッシュじゃない！」

　いきなり３匹の額が輝き出し、辺りを飲みこんでいったのだった。
　そして、その光に飲みこまれてライキはスリーパー共々消えていったのだった。

「わ〜〜〜〜！！」
「これはテレポート！？」
「って言うかまぶしい・・・大丈夫か望？」
「あ、うん・・・・・」

　だが、それだけでは済まなかった。
　ライキが消えると、今度は大樹と望の足元に異変が起きたのだった。
　簡単に言うと、いきなり巨大な穴が足元にできたのである。

「いわぁ〜〜〜〜〜、落ちる〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！！！」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」
「大樹！！」（留美）
「望！！」(サカキ）

　声を掛けるまもなく、2人は穴の奥底に消えていったのだった。
　そして、その後を・・・・いや、これは黙っておこう。

「大樹〜〜〜〜〜〜〜！！」


そして・・・・・・・・大樹と望・・・・・・・

「ん・・・・・・・・・・・」

　どれくらい時間が経ったのかは分からない。
　肌の感触からして草むらの上にいるようである。

「イテテ・・・・・・・・・」

　傷はないが、何かのショックで体が痛かった。
　腕に力を入れて起きあがってみると、隣には望が倒れていた。

「おい、大丈夫か望！？」

　だが、望は気を失ったままであった。
　今までの疲労のせいか、余ほど疲れていたのだろう。

「それにしてもここは・・・・・あれ？」

　何だか見覚えのある景色であった。
　近くには舗装された道路もあり、周囲には家屋も沢山あった。
　そして、どれもかしこも大樹には見覚えのある物ばかりであった。

「まさか・・・・元の世界に戻ってきたのか？」

　そう、大樹が今いる所はポケモンの世界ではなく、大樹が生まれ育った世界なのであった。
　エンテイらが開いた穴に落ち、大樹は元の世界に帰ってきたのである。

「やった、やっと帰って来れたんだ！！」

　大樹は涙を出しながら叫び、喜びあがった。
　だが、今は喜んでいる場合ではなかった。

「って、まず望を・・・・・・これはばれたらやばいよな。ちょっと預かってるぜ！」

　流石にこの世界でポケモンはヤバイので、大樹は望のモンスターボールを自分のリュックに入れた。
　そして、自分のも一緒にしまい、そのまま望を背負い、歩き始めた。

「とにかく、家に帰るとするかな？」

　同い年とは言え、人をかつぐのはかなりきつかった。
　だが、今はそんな事も言っておられず、とにかく家に向かって行った。

「も、もうすぐ・・・・・・・・」

　だんだん家に近くなって来たその時であった。
　目先に一人の男性が大樹を見て驚いていた。

「た、大樹じゃないか！！」
「あ、おっちゃん！久しぶり！！」
「久しぶりじゃない、ホントに大樹なのか！？」
「本物だって！」

　その男はどうやら大樹の近所のおじさんらしく、大樹をみると、すぐさま寄ってきた。

「ん、その子は？」
「あ、そうだ！こいつ気絶しているから病院に・・・・」
「よし、とにかく任せな！お前はすぐ家に帰るんだ！」
「ハイハイ！」

　そして、近くに止めてあった男の車に望と一緒に乗ると、車は一直線に大樹の家に向かって行った。
　家までは一分も経たないうちに着き、そのまま玄関を抜けていくと・・・・・

「大樹！！！」
「母さん！！」

　そこには大樹の母親が立っていた。
　大樹の母はすぐさま大樹にの所に行き、ギュッと抱きしめた。

「どこに行ってたの！？どれだけ心配し・・・・」
「母さん・・・・・・・・・」

　それからが大変であった。
　大樹が戻ってきた事に、世間は大騒ぎになった。
　マスコミは来るは、警察も沢山集まってくるわで大変であった。
　もちろん、大樹はポケモンの事は少しも言わなかった。

「この馬鹿息子が！！」(叩く)
「つっ、父さん・・・・・・」
「二ヶ月もどこに行ってたの！？」
「え、いや・・・・覚えてない・・・・・・」(汗)
「覚えてないって、こんなに荷物を背負って・・・・・・」

　その後、何人もの人に質問されながらも、何とか隠しとおした。
　モンスターボールや図鑑はばれないように隠した。
　そして、親や警察の話を聞くうちに、驚くべき真実も知るのだった。
　それは、世界中で行方不明になっている子供がいるというのである。

「そ、それって本当！？」
「ああ、とにかく良かった・・・・・」

　両親は喜びながら大樹を抱きしめた。
　そして、マスコミの波を超えながら、大樹は望の様子を見に行っていた。


病院・・・・・・

「あ、気がついたのか？」
「大樹、一体どうなってるの？ここって一体、あ、僕の・・・・」
「し〜〜〜！！外に聞かれたらまずいんだよ、それにお前のは・・・・」

　大樹は小声で喋りながらポケットから望のモンスターボールを渡した。
　外には警察やマスコミが殺到しており、大樹はすぐにカーテンを閉めた。

「いいか、とにかく小声で話すんだ！」
「え、あ、うん・・・・」

　そして、大樹は小声で事のあらましを説明した。
　ここは自分が産まれた世界で、望の住んでいる世界とは別の世界であること・・・・

「そんな事って・・・・・」
「俺だって信じられねえよ、けど見ただろ、エンテイ達が俺達をここに連れてきたんだよ！」
「じゃあ、向こうの世界には・・・・・・」
「だ、大丈夫だって！絶対帰れるって！」
「根拠はあるの？」
「俺が根拠だ！！」

　どこが根拠なのだろうか・・・・・・・
　だが、それを聞くと、望はくすっと笑い出したのだった。

「とにかく、今日は休んでろ！明日になったら一緒に戻る方法を考えようぜ！」
「そだね！」

　そして話が終わり、いろいろと忠告を繰り返すと、大樹は病院を後にしていった。


次回予告「普通の生活に戻った俺、元のように学校にも行き、元の生活に浸る俺だった。けど、そこに現われたのはロケット団のあの2人、な、何でお前らがここにいるんだ！？大勢の人が見る中、俺はあの2人と戦う事になる。そして、そんな俺を何者かが見ていた。一体、これから何が起きるって言うんだ！？　　次回　俺の世界の戦い　」