第27話 対決エンテイ 水と炎の大激突 「で、伝説のポケモン、エンテイ!!」  大樹達の前に伝説のポケモン、エンテイが現われた。  この周りを囲む炎はエンテイの仕業なのだった。 「何でエンテイ・・・・・まさか、俺達をこっちに連れてきたのはお前らなのか?」 「・・・・・」  エンテイは静かにうなずいた。 「す、スゲェ・・・・・・・・・」 「エンテイもいるなんて・・・・・・・」  大樹達が気がつかない中、近くの建物の影には隆史と利奈がいた。  どうやら、偶然巻きこまれてしまったらしい。  そして、エンテイの出現には日本中、いや、世界中が驚いたのだった。 「ポケモンだポケモン!」 「な、何なんだ〜〜〜〜!!」 「夢?幻!?」  子供から大人まで騒ぎはじめていた。  そんな事も知らず、大樹は未だにエンテイとにらみ合っていた。 「もしかして・・・・俺と勝負したいのか?」 「・・・・・・」  エンテイは静かにうなずいた。 「よっしゃ〜、だったらここでお前をゲットしてやるぜ!」 「えぇ!?」 「大丈夫だって、絶対に勝ってやるから!」  そう言うと、大樹はバクフーンから下りた。  大樹がおりると、バクフーンはすぐに戦闘体制にはいった。 「いっくぜ〜、バクフーン、火炎放射だ!!」 「フ〜ン!!」 「テ〜イ!!」  同時にエンテイも炎を放った。  かくして、大樹とエンテイの壮絶なバトルが世界ネットで始まったのであった。 「火炎車!!」  どんどん攻めていくが、エンテイはそれを次々と交わしていく。  そして隙が出きればすかさずバクフーンに襲いかかっていった。 「よけろ!」          ズコッ!!」 「何てパワーなんだ・・・・」  エンテイの「踏み付け」は、舗装された道路も豆腐のように砕くのだった。  もはや同じタイプでは決着はつきそうにないと、大樹は確信した。 「戻れバクフーン!次はアリゲイツ、水鉄砲!!」 「ゲイッ!!」  元気のいいアリゲイツはどんどん水鉄砲を放っていく。  だが、エンテイはそれを簡単に交わしていく。 「ダメだ、『みきり』で交わされてるよ!」 「くそ〜、しかも『日本晴れ』も使ってるみたいだし・・・・・・・」  あたりは異常なほど暑く、大樹も汗びっしょりであった。  そしてさらには・・・ 「テイッ!」 「ゲゲッ、炎の渦!?」  エンテイの炎の渦は周囲の建物の屋根よりも高かった。  その大きさのあまり、周りにいたヘリも離れ始めていた。 「交わすんだ!」 「ア、アリッ!!」 「アリゲイツ!!」  水タイプであったのでダメージは最小にする事はできたものの、それでもかなり消耗してしまった。  エンテイは未だにつかれている様子もなく目の前に立っていた。 「・・・・・そうだ!アリゲイツ、怖い顔!!」 「ゲイッ!!」  とっさに出した技は効果があった。 「今だ、エンテイの素早さが下がった!アリゲイツ、水鉄砲!!」  今度は見事命中した。  素早さの下がったエンテイは水鉄砲を浴び、予想以上のダメージを受けた。  もともとパワータイプだった為、アリゲイツの水鉄砲の威力は高かったのである。 「よっしゃ〜、どんどんいけ!」 「いけるかも!!」  エンテイは炎を放ちながら交わすものの、素早さが下がったのでほとんどつらかった。  だが、エンテイとてそう簡単に負けるものではなかった。 「テ〜イ!!」 「あ、あれは!?」 「炎タイプ最強の技、大文字!!」 「ゲイ〜〜〜!!」  余裕は一気に消えていった。  強大な大文字をくらい、アリゲイツは倒れてしまった。  体力はあったものの、限界に近かった。 「そんな、お前まで・・・・」 「ゲ・・・・・イ・・・・・・」  ニドランの次にゲットしたアリゲイツまでもが倒れてしまった。  大樹はショックで仕方がなかった・・・  そして・・・・・ 「アリゲイツ!!」  大声で大樹は叫んだ。  顔には大粒の涙ができていた。 「ゲ、ゲイッ!!」  と、その時であった。  大樹の叫び声を聞き、アリゲイツは再び立ちあがった。  すると・・・・              ピカッ!!  アリゲイツの新かが始まった。 「アリゲイツが・・・・・」 「オーダイルに進化した!!」  ついに、アリゲイツは最終形態のオーダイルに進化を果たした。  これにはエンテイも含め、多くの者たちが驚いた。 「ダイッ!!」 「オーダイル・・・そうだよな、まだ負けちゃいねえ!」 「・・・・・・」 「オーダイル、水鉄砲だ!!」  反撃が始まった。  もちろん、エンテイも「炎の渦」で攻めて来るが、オーダイルの水鉄砲はそれを貫いた。 「!?」 「今だ、頭突きだ!!」 「ダイッ!!」  水鉄砲で一瞬怯んだ隙をつき、オーダイルはエンテイに頭突きを当ててやった。  頭もでかいぶん、威力は高かった。 「噛付くんだ!!」  接触したと同時にエンテイの胴体を噛付いた。  だが、エンテイも黙ってはいなかった。 「テ〜イ!!」 「しまった、大文字!!」  間近だった為、オーダイルは大文字に押されていった。  大文字は大地をも削りながらオーダイルを押していく。 「負けるなオーダイル!」 「!!」  大樹の声を聞くと、オーダイルは気合を上げて大文字を空に放り上げた。  だが、そこにエンテイが襲ってきた。 「させるか、爆裂パンチ!!」  エンテイの「踏み付け」と、オーダイルの「爆裂パンチ」が激突した。  両者ともに押されつつも、オーダイルの気合がエンテイを上回った。  エンテイはそのまま吹っ飛ばされて地面に激突した。 「今だ、地震だ!!」 「ダイッ!」  炎タイプのエンテイには効果は抜群だった。  そして、足場を奪われたエンテイの隙を逃さなかった。 「今だ、水鉄砲!」 「テイ!!」  負けじと炎で攻撃してくる。  だが・・・・ 「今だ、フルパワーで水鉄砲!!」 「ダ〜〜〜〜イ!!」  これがとどめとなった。  今度は完全に圧倒し、エンテイに激突してしまった。  そして、その時がチャンスであった。 「よっしゃ、イッケ〜〜〜、ヘビーボール!!」  ガンテツからもらったヘビーボールを投げた。  巨体のエンテイはそのままボールに吸いこまれたが、しぶとく抵抗しつづけていた。 「イケ、イケ!」  そして、しばらくすると・・・・ 「あ・・・止まった・・・・・」 「!!、やった〜〜〜〜、エンテイ、ゲットだぜ!!!」 「ダ〜〜〜イ!!」  大樹はオーダイルと共に跳ねながら喜びあがった。  それと同時に周囲からも歓声があがった。(ほとんど子供) その後・・・・・・・・ 「確かここら辺のはずなんだけど・・・・・」  あれから何とか民衆を抜け出し、最初にこっちに戻ってきた場所に来た。  だが、どこにも見当たらなかった。 「そうだ、出て来いエンテイ!」  大樹はボールからエンテイを出した。 「エンテイ、向こうの世界に行くためには・・・・」 「スッゲ〜〜〜〜〜!!」 「誰!?」 「ゲッ、隆史、それに利奈まで・・・・・」 「ハハハ・・・・・」 「ごめんなさい・・・・」  何と、この2人は大樹の後をついてきたのだった。  すると、エンテイはどこかに進んでいった。 「あ、エンテイ!」  大樹は急いでついていった。  何となく隆史達もついてきた。 「あ、あれは!!」  そこには光の渦のようなものが存在していた。  まさしく、向こうの世界に近づくゲートである。  と、その時! 「君達!」 「あ、やば、警察だ!」 「まずい、行くぞエンテイ!」 「テイッ!」  マズイと思い、大樹はエンテイとともに渦の中に飛び込んでいった。 「僕も!」  望も続いて飛びこんでいった。  そして隆史と利奈は残されてしまった。 「君達、そこをうごか・・・・」 「にげよっ・・・・うわっ!」 「キャッ!」  つい隆史が躓いてしまい、ドミノ式に利奈も一緒に渦の中に落ちてしまった。 「うわ〜〜〜〜!!」 「きゃ〜〜〜〜〜〜!!」 焼けた塔・・・・・・  一方の焼けた塔では・・・・            ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・ 「な、何なの!?」 「留美、危ないから離れ・・・・」  英人が留美を引っ張って下がろうとするとそれらは出てきた。 「うわ〜!!」 「「大樹!!」」  大樹はエンテイと共に出てきた。  そしてエンテイの受けとめられて二人の前に立った。 「よっ、ただいま・・・・」 「大樹!」 「うわっ、どうしたんだよ留美!?」  留美は勢いで抱きついてきた。  急に抱きつかれ、大樹は顔を赤くした。 「大樹君!」 「お、帰ってきたんか!?」 「大樹!」  今度はジムリーダー達もやってきた。  だが、その中にはイレブンとヴィーナスの姿はなかった。  そして集まってきた一同は大樹の隣にいるエンテイを見て・・・・ 「な、エンテイやないか!?」 「どうして!?」 「ヘヘッ、俺がゲットしたんだぜ!!」 「「「ええぇぇぇぇぇ!!!」」」  みんな驚きを隠せなかった。  それもそのはず、伝説のポケモンをゲットしたのだから・・・・・・ 「スッゲェだろ!」 「う〜、うちがゲットしたかったのに〜〜〜!」 「無理だな・・・・」  英人は小声で呟いた。  と、その時、渦の方から何かが落ちてきた。 「きゃ〜〜〜〜〜〜〜!!」 「な、何だ!?」  何と、利奈が渦の中から落ちてきたのだった。  そしてそのまま一同の上に不時着した。 「り、利奈!なんで・・・・!?」 「ここ・・・どこ?」 次回予告「ささいなことから利奈がこっちの世界に来てしまった。それと同時にタマゴ もかえり、そこからポケモンが産まれた。そして俺達は利奈と一緒にアサギシティにく るが、そこに現われたのは星・覇王神であった。あまりの強い相手に、留美は大苦戦し てしまう。果たして留美は星・覇王神に勝つ事ができるのであろうか!?  次回 ア サギジム 星・覇王神の襲来 」