第28話 アサギジム 星・覇王神の襲来 「ここ・・・・・どこ?」 「な、何で利奈がここにいるんだ〜〜〜〜!?」  大樹は混乱してしまっている。  運ワル・・・いや、大樹の幼馴染の少女、利奈もこっちの世界に来てしまったのである。 「大樹はんの知り合いか!?」 「え、え?何なの!?」 「ちょ、ちょっと来い利奈!望、後は頼む!」 「ええ!?」  そう言うと、大樹はエンテイを戻すと、利奈を引っ張って外に出ていった。  とてもじゃないが、このメンバーの前で話せる訳がなかった。 「ちょ、何なの大樹!?」 「いいか、俺が話すことに何があっても驚くなよ!」 「え?}  大樹は利奈に今までの事を簡潔に説明した。  周りに聞こえないように小声で話し、驚きを隠せない利奈を必死に納得させた。  まあ、相手は幼馴染なだけもあり、そう時間はかからなかった。 「じゃあ、ここにいたから行方不明に・・・・・」 「そう言う事、けど、留美達は知らないから秘密にしとけよ!」 「わかったわ、でも・・・・・」 「大樹〜〜〜〜、早くこいよ!」 「あ、今行く!」  そして最大の注意をはってみんなの所に戻っていった。  利奈もポケモンが好きなので、目の前にいるメンツを前にして驚きと感激を隠すのがつらかった。 「じゃあ、あの穴はエンテイ達が開いたのか?」 「ああ、それで・・・俺の住んでいる町につながって、さらに利奈も来てしまったんだ・・・」 「伝説のポケモンにそんな力が・・・・」 「俺はてっきりセレビィの仕業かなと・・・」 「セレビィ!どこでそのポケモンの名を!?」 「え・・・・・・・・・」  マツバは大声で迫ってきた。  どうやらこの世界ではあまり知られていないようである。 「とにかく、みんな無事だったんだからいいじゃない!」 「そうだな、これでまた旅が続けられるし!」 「旅・・・じゃあ、私の住んでいるアサギシティに来ませんか?」 「アサギ、そう言えばスチールバッチがまだだったっけ?」 「ええ、それにアサギにも伝説がいくつかありますから・・・・」 「よっしゃ、じゃあ今度はアサギシティに行くぜ!」 「ちょ、ちょっと・・・私は・・・・・」  ばれるのを恐れ、大樹はどんどん話しを進めていった。  とその時、大樹のリュックの中で何かが動いていた。 「ん?あ、タマゴが!!」 「それ、育て屋さんからもらったタマゴ!」 「スバラシイ、ポケモンが産まれる瞬間が見れるなんて!」 「産まれるぞ!」  きざに喋っているミナキをほっとき、一同はタマゴを囲んだ。  そして、少しずつタマゴにヒビが入り、中からポケモンが生まれてきた。 「すげぇ、フシギダネだぜ!」 「「「「「カワイイ〜〜〜〜!」」」」」  産まれてきたのはたねポケモンのフシギダネであった。  産まれたばかりのフシギダネを見ると、女の子達は騒ぎながら抱きしめた。 「お、おい、フシギダネは俺の・・・・」 「育て屋さんは私達にくれたのよ、あなただけのじゃないわ!」 「う・・・・・・・・・・」 「そや、どうや?このフシギダネは利奈はんのポケモンにするのは?」 「私の?」 「そうね、戻るにしても今度はどこに行くか分からないし、どうせだから一緒に旅をしたら?」 「うむ、これはいい機会じゃ、世界を見て己を磨くといい!!」  カスミやシジマにも押され、強引ながら利奈もポケモントレーナーになった。  そして、次の目的地であるアサギシティに向けて出発するのだった。 「って、僕も・・・!?」 「当たり前だろ、さっさと行くぞ!」 「うわっ!」 「本当に元気がいいわね。」 「昔からだけどね。」  あ〜だこ〜だ言いながら、5人はアサギシティに向かって行ったのだった。  だが、ここである事を利奈は忘れていた。  自分の後に穴に落ちてしまった少年隆史、彼がなぜか一緒に焼けた塔に出て来なかったのかと言う事に・・・・  彼らが隆史と再開する時、その時にはとんでもない事になる事を今は誰も知る由はないのであった。 数日後・・・・・・ 「や、やっとついた〜〜〜〜〜〜」  あれから数日後、本当にいろいろあったが、何とかアサギシティに到着したのであった。  まあ、時間がないのでその間の事はカットしよう!  なお、この時点でも彼らの手持ちは・・・・ 大樹:バクフーン・オーダイル・ニドリーノ・フーディン・デンリュウ・エンテイ 留美:ベイリーフ・ピジョン・エーフィ・ウリムー・ガラガラ・ラプラス 英人:リザード・オニドリル・チョンチー・キマワリ・ゴローニャ(ラジオ塔で進化した)・アリアドス 望:カメックス・サンダース・ゴルバット・デリバード・ドンファン・ウインディ 利奈:フシギダネ・ディグダ・カモネギ・ポニータ  こんな感じである。  とにかく、アサギシティに到着した一同は町の中に入っていった。 「ん〜〜、いい匂い♪」 「さすが港町ね!」  街中には気持ちいい潮の香りが漂っていた。  街の奥には「バトルタワー」と言う建物が立っていた。  街の人の話だとまだ建設中だしいが、もうすぐ完成するようである。 「さっそくアサギジムに行くぜ!」 「ちょっと待ってよ、もう昼だし、先に食事にしない?僕もうペコペコ・・」 「私も・・・・・・・」 「しょうがねえな〜」       ぐう〜〜〜〜 「そう言うお前も!」 「ハハハ・・・・・・」  そして取り合えず、ポケモンセンターで食事をすることにした。  ポケモン達も預け、とにかく共に体力回復となった。 その頃のアサギジム・・・・・ 「あ、あなたは・・・・・・・!?」 「バッチを全部渡してもらおうか?」 「だ、誰なんですかあなたは!?」 「俺達の名は星・覇王神!」  アサギジムの中では謎の少年がミカンを攻めていた。  出入り口は完全に封鎖され、ミカンは逃げる事ができなかった。 「渡さないなら力づくだ!行け、カイリキー!!」 「好きなようにさせないわ、レアコイル!!」  大樹達の知らない中、アサギジムでは大変な事になっていたのだった。  だがこの少年、大樹達とは面識はないが、実はちょっとした縁があるのである。 「クロスチョップ!!」 「ソニックブーム!!」 大樹達・・・・・・・ 「わっ、どうしたんだよフーディン!?」  同じ頃、大樹の方もちょっと大変であった。  大樹のフーディンがいきなりボールから現われ、何かを訴え始めたのだった。 「どうしのかしら?」 「・・・・フーディンはエスパータイプ、超能力で何かを感じたんじゃないのか?」 「そうなのか?」 「フ〜ディン!」  すると、フーディンは「テレポート」を使い、5人を一緒に移動させた。  そして着いたのは・・・・・・・ 「ここはどこ?」 「見て、あそこにミカンが!!」 「おい、あいつ誰だよ!?」  5人が着いたのはアサギジムであった。  そしてジムの中では大変な事になっていたのであった。  何と、ミカンが謎の少年にやられていたのである。 「何だお前は!?」 「ちっ、テレポートで侵入されたか!」 「き、気をつけてください!その子はバッチを盗む為に来てるんです!せ、星・覇王神という・・・・・」 「星・覇王神だと!?」 「ウバメの森にいた!」 「へえ、俺たちの事を知っているのか?」 「星・覇王神、聞いた事がある、ある目的の為に影でやましい事をやっている巨大組織・・・・・」  星・覇王神だと知ると、大樹はいても立ってもいられなかった。  なんせ、大樹達はウバメの森で圧倒的な力の前に敗れているからである。 「そう言う君は元ロケット団首領の息子の望じゃないか?」 「何でそれを・・・・・」 「望君って、サカキも息子だったの!?」 「利奈、今はそんな事を考えている場合じゃないぜ!」 「どけ、さもないと痛い目に遭うぞ!」 「へ、そのままお返しするぜ!」 「馬鹿が、俺達が世界最強だと言うのを教えてやる!カイリキー!!」 「リキ〜〜!!」  大樹達にカイリキーが襲いかかってきた。  すぐにフーディンで戦おうとするが・・・・ 「ベイリーフ、ツルの鞭!」 「留美!」 「ここは私に任せて!」 「女に何ができるんだよ、カイリキー、空手チョップ!」  少年は留美を馬鹿にすると、すぐにカイリキーに命令した。  留美も負けるまいと勝負に入った。 「はっぱカッター!」 「フン、捨て身タックル!」 「ベイリーフ!!」  相手の攻撃など無視し、無謀ながらもカイリキーはベイリーフに突っ込んできた。  傷つきながらも、カイリキーはベイリーフに多大なダメージを与えた。 「何て無謀な・・・・・・」 「何言ってる?勝負は勝てばいいんだ、いちいちポケモンなんかの都合なんて気にしてらんねえよ。」 「酷い、そんな戦い方をするあんたなんかに負けないわ!」 「綺麗ごとだな、俺はそんな奴を見るとむかつくんだよ!カイリキー、地獄車!!」 「リキ〜!!」  カイリキーはベイリーフを捕まえると、そのまま地獄車を与えた。  これはカイリキーもすくなからずともダメージを受けるが、少年にとってはそんなのは関係がなかった。 「ベイリーフは私の大切な友達!私は友達を信じて戦う!」 「うるせえ!カイリキー、さっさと倒せ!!」 「負けないでベイリーフ!!」  その時、ベイリーフに変化が起きた。  ベイリーフはみるみる内に姿を変え、メガニウムに進化したのだった。 「な、何で進化できるんだ!?」 「気持ちの違いよ!メガニウム、はっぱカッター!!」 「ちぃ!クロスチョ・・・・・・何!?」  進化したとは言え、カイリキーはメガニウムに押されていった。  いや、単にレベルの違いだけではなく、カイリキーに迷いが生じたのである。  自分の主人と大樹達の違い、それがこの勝負を決める事になったのである。 「のしかかりよ!!」 「捕まえて地球投げだ!!」  だが、メガニウムの方が一歩早くかった。  カイリキーは姿勢を崩し、そのまま倒れてしまった。 「この・・・!!」 「やめろ、そんな事をしてもお前は俺達を超える事はできない!」  カイリキーを蹴飛ばそうとした少年を英人が止めた。  少年は舌打ちをすると、カイリキーを戻してジムを出ていった。 「覚えていろ!」 「何だったんだあいつは?」 「ありがとう、お陰でバッチを守ることができました。」 「そんな、私達は当然の事を・・・・」 「いいえ、あなた達はこの短い間に本当に強くなりました。これは私の気持ちです。」  ミカンは留美に一つのバッチを渡した。 「スチールバッチ!?」 「あなたには十分持つ資格があります。」 「やったな、6つ目のバッチゲットだぜ!」 「うん!」  かくして、留美は六つ目のバッチをゲットしたのであった。  だが、この時彼らは重要な事を見落としていた。  星・覇王神がジムバッチを欲していたと言う事が、これから起きる事の前兆であると言う事に・・・ 次回予告「星・覇王神が襲ってきて倒した翌日、僕達は再びジムに来た。そこにニビと ハナダのリーダーも来ていて大樹と英人は闘志を燃やしながらジム戦を受けていた。そ して僕は利奈にポケモンバトルの練習相手をしていたけど・・・・何だろう子の気持 ち、そして別の場所にいた留美の前に伝説のポケモン、スイクンが現われた。留美はス イクンに勝つ事が出きるのか!?  次回 それぞれの戦い 」