第30話 雷のライコウ スリバチ山の決闘  ついに留美も伝説のスイクンをゲットした。  エンテイ、スイクン、そしてライコウ・・・・・・・  この三匹は焼けた塔から目覚め、ジョートを駆け走る伝説のポケモンである。  その内に二匹は大樹と留美がゲットし、残りはライコウだけである。 スリバチ山付近・・・・・・・  ここはエンジュシティとチョウジタウンに挟まれたスリバチ山・・・・・  この山の頂上から、伝説のポケモン・ライコウはジッと麓を見下ろしていた。  既に自分と同じ使命を持ったエンテイとスイクンが主人を持ち、自分にもその時が近いことを察知しているのである。 「コォ〜〜〜〜〜!!」  ライコウは空に向かって叫ぶと、そのまま山頂を去って行った。  己の主人となる候補者が近くまで来ているからである。 スリバチ山・山中・・・・・ 「きっつぅ〜〜〜〜〜!」 「まさかこんなに険しいなんて〜〜〜」  大樹達は険しい山道を歩いていた。  だが、スリバチ山の山道は今まで以上にきつく、彼らにとっては体力的にも苦しかった。  けど、それはまだいい方であった。 「きゃ〜〜!何かがこっちに転がってくる〜〜!!」 「ゲッ、イシツブテにゴローン!?」 「逃げろ〜〜!」  上の方から野生のポケモン達がどんどん転がってきた。 「チッ、だったらゴローニャ!あいつらを投げ飛ばすんだ!」  英人はメガトンポケモンのゴローニャを出すと、ゴローニャはそのままゴローン達に向かって行った。  そして「岩砕き」や「怪力」を使ってどんどん投げ飛ばしたりして行った。 「お〜、流石だな!」 「フッ!」 「カッコつけてるわ・・・・」 「ホントに気障な奴・・・・・」  別にカッコつけている訳ではないが、癖でやってしまうようである。  まあ、マダツボミの塔で心を開いてくれたからいいのだが・・・・・ 「それにしても、今どれくらい来てるんだ望?」 「ん〜〜、まだ五分の一くらいかな?」 「ゲ、まだそれしか来てないのかよ!?」 「さすがジョート名物のスリバチ山・・・・・」  ジョート地方でも一二を争うほどの山だけあり、大樹達はぐったりとしていた。  と、その時、急に大樹達の頭上が雲に覆われて暗くなって来た。 「ん、雨雲?」 「違う、みんな気をつけて!」 「え?」  その時だった。  雨雲から一閃の雷が落ちてきたのである。           ドゴーーーン!! 「きゃぁ!!」 「あ、危ない!」  反射的に一同は散り、望は利奈を押し倒してかばった。 「あ、ありがとう・・・」 「だいじょう・・・・!!」  気付くと、望は利奈の顔の間近に接近していた。  ほとんどやばいたいせいである。 「望、お前ドサクサに・・・!?」 「ち、違う!!」  望は顔を赤くしながらすぐに利奈から離れた。  利奈も顔を隠しながら顔を真っ赤にしていた。 「それにしても、なんで急に雷が・・・・・」 「あ、みんなあれ見て!!」  留美が大声で叫んだ。  大樹達は留美の指差す方を向いてみると、そこにはさっきまで山頂にいたライコウがいた。 「で、伝説のライコウ!!」 「ついにライコウも登場かよ!?」  やはりライコウも彼らの所に現われたのだった。  だが、誰に勝負を挑んでいるのかは不明である。 「コォ〜〜〜!!」 「あ、背中の雲から電気が!」 「さっきの雲はライコウだったのか!」  ライコウが背負っている雲はバチバチと電気を帯びていた。  どうやら、あの雲から雷を出したようである。 「来るぞ!」 「ゴローニャ、ライコウに体当たり!」 「ゴロ〜〜!」  が、やはりライコウは「電光石火」で簡単に交わしていった。 「クソ、だったら地震だ!」  今度は「地震」で挑むが、ライコウはスグにジャンプして交わしてしまった。  そしてそのままゴローニャに・・・・・ 「マズイ、『噛み砕く』だ!」  電気を通じないが、この技は効果があった。  そして今度は尻尾でゴローニャを叩きつけた。 「ア、アイアンテイル!!」  岩タイプに効果抜群の技をくらい、ゴローニャは倒れてしまった。 「戻れ、今度は・・・リザード!」  二番手はリザードだった。 「火炎放射!」 「リザ〜〜!」  リザードが炎を放つと、ライコウも電撃で襲ってきた。  2つの攻撃はぶつかりあってしばらく押したりおされたりしていた。  そして、そのまま相殺した。 「炎のパンチ!」 「あ、マズイ!」  望が叫んだ時にはもう遅かった。  リザードがライコウに接近して殴ろうとした瞬間・・・・ 「!?」  ライコウの口から強力なエネルギー弾が放たれたのだった。 「電磁砲・・・・・・・・・・」 「リザード!!」  英人はリザードの方に走っていった。  ライコウは自分の実力を誇るかのように天に向かって雄叫びをはなった。 「くっそ〜〜〜〜!!」  その時の口調は明らかに今までの英人とは違っていた。  大樹は離れた所から、それが英人の本当の自分だったのだと確信していた。 「リ・・ザ・・・・」 「ゴメン・・俺が弱いからこんな目に・・・・・」 「・・・・・・・」  英人は大粒の涙を流しながらリザードに話しかけていた。  その姿を、ライコウもジッと見ていた。  と、その時! 「リザ〜〜〜!!」  リザードは大声で叫んだ。           ピカッ!! 「な、リザード!?」  リザードは光に包まれながら姿を変えて行った。  背中には大きな翼がはえ、尻尾の炎もさらに大きくなっていった・  そして、最終形態、リザードンに進化した。 「進化した・・・・・・」 「リザ〜〜〜〜!!」  リザードンはライコウに向かって大声で叫んだ。  今まで動揺する事のなかったライコウは、その時初めて怯んだのだった。  そして、その隙をついてリザードンは大きな火炎弾みたいなのを放った。 「あれは・・・・・!?」 「りゅ、竜の怒り!!」  リザードンの放った『竜の怒り』はそのままライコウに激突した。  隙をつかれ、ライコウはそのまま地面に叩きつかれてしまった。 「今だ、炎の渦!!」 「!!」  だが、ライコウも黙ってはいなかった。  リザードンが「炎の渦」を出すと、ライコウも「10万ボルト」を放った。 「行け〜〜〜〜〜!!」  英人の叫びが通じたのか、リザードンの炎は力を増して行き、そのままライコウに激突した。  炎の渦に飲みこまれたライコウはそのまま空に飛ばされてしまった。 「とどめだ、爆裂パンチ!!」 「リザ〜〜〜〜!!」  拳は見事に命中し、その結果、ライコウは全身を痺れてしまった。  そしてそのチャンスを英人は逃さなかった。 「ヘビーボール!!」  ガンテツ特製のヘビーボールにライコウは抵抗する事も無く吸いこまれていった。  しばらく抵抗はしたが、麻痺していたのでそれも長くは続かなかった。 「や、やった・・・・・・・・」 「やったじゃん、英人!」 「これで伝説の3匹が揃ったわね!」  大樹達は英人の所に向かって行った。  と、その時・・・・ 「ホントにご苦労様!」 「俺達の代わりに捕まえてくれるとはな!」 「だ、誰だ!?」  すると、空から見覚えのある気球が下りてきた。 「誰だ!?と聞かれたら!」 「答えてあげるが余の情け!」(以下同文)  出てきたのはロケット弾のミサキとソウシであった。  どうやらこいつらもこっちに戻ってきたようである。 「あ、あの時の・・・・」 「そのライコウ、我らロケット団が・・・・」  ロケット団が決めゼリフを行っている隙に、既に大樹はポケモンを出していた。 「フーディン、サイケ光線!!」 「ゲッ!?」  そして気球は吹っ飛んでいった。 「「やな感じ〜〜〜〜〜!!」」 「何だったんだ・・・・・あいつら・・・・」  呆れながら英人は呟いた。  すると、英人は何だか妙な違和感に気付いた。 「ん?利奈、どうしたんだそいつ?」 「あ、カワイ〜〜〜!これってマリルじゃない!」  いつの間にか、利奈の手にはねずみポケモンのマリルがいた。 「あ、さっきあそこの岩場にいたのをゲットしたの。」 「い、何時の間に・・・・?」 「油断も隙も無い・・・・・」  そして、利奈の行動の素早さに驚きながらも、一同はチョウジタウンを目指していった。 次回予告「チョウジタウンに到着してすぐにジムに向かった俺達、そこで待っていたの はジムリーダーのヤナギとなんと、元四天王のカンナであった。とにかくジム戦に挑戦するが、強力な氷攻撃に苦戦してしまう。こうなったら頼むぜ、バクフーン、エンテ イ!だが、そんな中で別の場所では星・覇王神の魔の手が動き始めていた。  次回  ヤナギとカンナ 2人の氷使い 」