第31話 ヤナギとカンナ 2人の氷使い  スリバチ山でついに伝説のポケモン、雷の化身ライコウを英人がゲットした。  これでジョートの伝説のポケモン、エンテイ、スイクン、ライコウが全て揃ったのだった。 チョウジタウン・・・・・・ 「ふう、ここがチョウジタウンか〜。」 「何だか涼しい。」  長い旅路の中、大樹達はチョウジタウンに到着した。  英人はイレブンと以前来た事があったが、あの時とはほとんど変わってはいなかった。 「そう言えば、あれからイレブンの奴に会わないな?」 「どこに行ったんだろうな?」  焼けた塔での一件からと言うもの、あの2人はぱたりと姿を見せなかったのだった。  大樹にしてはあの2人がお互いを「Mr.11」や「Mis.ビーナス」と呼び合っていたのが気になっていた。 (あれって・・・・・まさかパクリ?)  元ネタらしきものはスグに分かっていたので別に悩みはしなかったが、それでも気になった。  だが、今はそんな事よりもジム戦である。 「とにかくジムに行くか?」 「その前にポケモンセンター!」 「そう言えば、傷薬もなくなってきたんだった!」  そう言う事で、先にポケモンセンターに向かって行った。  そして留美と利奈は女同士でショッピングに向かって行ったのだった。 「ホントに女は買い物が好きだよな〜。」 「何でだろう?」 「何でだ?」 「なぜ俺に聞く?」 「ん〜、何となく!」  何となくでは納得がいかなかった。  まあ、それはさておきポケモン達の回復が終わった。 「さ、早く行こう〜ぜ!」 「おいおい、慌てなくてもジムは消えたりしないぜ?」  大樹には無意味な発言であった。  そして場所はチョウジジムに移る・・・・・・・ チョウジジム入り口・・・・・・・ 「そういや、英人はジムリーダーのヤナギに会った事があるんだったな?」 「ああ、確実に今までのジムリーダーとは別格の強さだった。」 「氷使い・・・じゃあ、炎タイプや格闘タイプが有効ね。」  だが、留美の手持ちにはどちらのタイプのポケモンはいない。  それに比べ、大樹はバクフーンやエンテイのように有利なタイプが多かった。 「じゃあ、入ろうぜ!」 「どっちが先に挑戦する?」 「そんなの入ってからにしたら?」  そして一同は中に入っていった。  ジムの中は外よりも冷えており、ジムの中自体も氷が張り巡らされていた。  すると、その奥にヒトカゲらしきものが2つあった。 「すみませ〜ん、ジム戦受けに来ました〜〜〜!」 「ん、あそこにいるのがジムリーダー?」 「ああ、あの人がヤナギだ。」  すると、人影は動き出し、大樹達の前にリーダーのヤナギが現われた。 「ほぉ、誰かと思えば何時ぞやの少年か?」 「あら、今日は沢山来たわね。」 「あ、あなたは?」  ヤナギに隣には若い女性が立っていた。  どうやら来客中だったようだが、その女性には大樹は見覚えがあった。 「あ、あなたはもしかして、元四天王のカンナ!?」 「ええ、いかにも私はカンナよ。」 「「えええぇぇぇぇぇぇ!!!」」  しばらくお待ち下さい。 「彼女はわしと同じ氷使いのはしっとるの、だからたまにこのジムに来たりしているんじゃ。」 「そうだったのか・・・・・」 「でも、元でも四天王の人に会えるなんて感激!」 「フフフ、何だか面白い子達ね。」  カンナはクスクスと笑い出した。 「では、ジム戦を始めるとするかの?最初の挑戦者は・・・・」 「ハイハイ、俺が最初だ!」 「待ちなさいって、今日は私が最初よ!」 「実力的には俺が先だな!」 「「何で!?」」  そして、ジム戦の前に順番決めの戦いが始まった。  最も、子供らしくじゃんけんで決まった。 「へっへ〜、やっぱり俺が先〜〜〜!」 「も〜〜!」 「・・・・・・・・・・」(落ちこんでいる) 「では、勝負は3対3じゃ。まずはジュゴン!」 「だったら、こっちの1番手はデンリュウ!」  ヤナギがジュゴンを出してきたのに対し、大樹はデンリュウで勝負に入った。  ジュゴンは水タイプでもあるので有利かと思われるが・・・・ 「10万ボルトだ!」 「なんの、吹雪きじゃ!」 「くっ!」  流石に氷使いなだけに、物凄い威力の吹雪であった。  ジュゴンの吹雪きは10万ボルトを押して行き、とうとうデンリュウに激突した。 「今じゃ、頭突き!」 「デンリュウ、雷パンチ!」 「リュッ!?」 「な、滑っただと?」 「判断不足じゃ。」  床が氷だったため、デンリュウは滑ってジュゴンの方に行ってしまった。  そしてそのままジュゴンの頭突きを受けてしまった。 「やば、戻れデンリュウ!」 「相性だけではなく、バトルフィールドも作戦に考えてこそ真のトレーナーじゃ。」 「勢いだけでは勝敗は決まらないのよ。」 「ん・・・・・、だったら、バクフーン!」 「炎タイプか、じゃが、ジュゴンは水タイプも持っておる。ジュゴン、バブル光線!」  バクフーンを出した途端、いきなり水タイプの大技を出された。  だが、それも分からないで攻める大樹ではなかった。 「火炎車で交わせ!」  火炎車を使って交わしたが、そのせいで床の氷がだんだんと溶け始めてしまった。  このままではバクフーンに不利である。 「じゅごん、突進じゃ!」 「スピードスター!!」 「あら、相手の行動パターンを利用するなんてやるじゃない。」  一直線に向かってくる相手にはもろに当たっていった。 「煙幕だ!」 「ジュゴン、凍てつく風で吹き飛ばすんじゃ!」 「何!?」  煙幕を吹き飛ばした瞬間、ジュゴンの前に火炎車を使ったバクフーンが向かってきた。  「凍てつく風」ではバクフーンには効果は薄く、そのまま攻撃を受けてダウンしてしまった。 「まずは一匹!」 「ほお、相手の使うわ技を限定させるとはの。」 「さあ、次はなんだ?」 「次は、行け、パルシェン!とげキャノン!」 「もう一度、火炎車で交わせ!」 「オーロラビーム!」 「・・・・・・・・」  とげの次はオーロラビームを受け、徐々にダメージを受けていった。  大樹も多少はヤバイと思うが、それもスグになくなった。  何と、バクフーンの炎が以前よりも増して激しくなっていったのである。 「む、これは『怒り』!」 「今だ、火炎車!」 「いかん、水鉄砲じゃ!」  だが、その前にバクフーンがパルシェンに激突した。 「今だ、とどめの火炎放射!」 「ぬ!」  炎に包まれ、パルシェンはダウンした。  だが、炎で溶けかけていた氷のフィールドにいたバクフーンも、体力を消耗していた。 「なかなか骨がある、じゃが、行けイノムー!」 「こっちも・・・・」  ヤナギはイノムーを出すと、大樹は取っておきを出した。 「最後はお前だ、エンテイ!!」 「な、あれはまさか!?」 「伝説のポケモンエンテイだわ!」  初めて見るエンテイに、流石の2人もビックリであった。  まあ、最初で驚かない方もどうかしているが・・・・・ 「ぬ、あれは厄介じゃ、イノムー、吹雪き・・・・」 「エンテイ、炎の渦、そして・・・・」  エンテイは炎の渦を放つと、そのまま渦はイノムーを飲みこんでいった。 「イノムー、こらえるのじゃ、そして眠るんじゃ!」 「そこだ、エンテイ、とどめの踏み付け!」 「何と!!」  炎の渦はこらえたものの、パワー抜群のエンテイの踏み付けには耐えられなくなった。  イノムーはそのまま気絶すると、ヤナギはボールに戻した。 「やったぜエンテイ!」  大樹はエンテイに抱き着いていった。  エンテイも「やれやれ」と思っているような表情をしていた。 「大した少年じゃ、何やら世界中に新しい風が吹き込んでいるようじゃの?」 「あ、でも俺もまだまだかもしれねえ。」 「ん?」 「結局はデンリュウがやられたし、エンテイがいなければ負けてたかもしれねえ・・・・」 「ふむ、生きている内にはあらゆる強豪と会うことになるじゃろう。だが、それを乗り越えてこそお前さん達は強くなれるんじゃ・・・・」 「強く・・・・・・」  ヤナギの言葉は大樹達に何かを教えるかのように響いていた。 「では、アイスバッチ、受けとってくれるの?」 「ああ、アイスバッチゲットだぜ!」  飛び跳ねながら喜んでいた。  だが・・・・・・ チョウジタウン西部・氷の洞窟・・・・・・・  同じ頃、チョウジタウンの西に位置する氷の洞窟では何かが起きていた。  中には沢山の子供のトレーナが、洞窟のポケモン達を捕まえていた。 「ルージュラ、これで6匹目・・・・・」 「それにしても、お前が庶民のトレーナーに負けるなんてな。」 「くっ、それよせ克(マサル)!」 「・・・けど、まさかこんな面白い事が出きるなんてな?」 「ああ、あんな生活はもうゴメンだ、星・覇王神に入ってせいかいだった。」  そう、彼らは大樹達をウバメの森で苦しめ、アサギジムも襲った星・覇王神であった。  洞窟の中では沢山のポケモン達が乱獲されていった。 チョウジジム・・・・  だが、その事はスグにこちらにも気付かれた。 「なんじゃと、氷の洞窟のポケモン達が乱獲されとるじゃと!?」  ヤナギは突然入った電話を聞き、大声で叫んだ。  もちろん、それは大樹達やカンナにも聞こえた。 「乱獲って、一体だれが・・・・」 「・・・・奴らは星・覇王神と名のっとるらしい・・・」 「せ、星・覇王神!?」 「あいつら、アサギジムの次は乱獲かよ!」  大樹達も星・覇王神のことに驚いていた。 「じゃが、ここから氷の洞窟までは長い、行った所で裳抜けのから・・・」 「あ、だったらエンテイに乗っていけばいいって!」 「何?」 「僕もウインディがいるから大丈夫だよ!」  そして、大樹達はそのまま外に出ていった。  ヤナギとカンナも彼らにかけるしかないと、一緒に外に出た。 「俺も、出て来いライコウ!」 「頼むわよスイクン!」 「これは、他にも伝説のポケモンが!」 「ヤナギさん、私とスイクンに乗ってください!」 「う、うむ!」  そして、ヤナギは留美と一緒にスイクンに乗り、カンナは英人と一緒にライコウに乗った。  利奈は望と一緒にウインディに乗った。  そして、一同は星・覇王神のいる氷の洞窟にへと向かって行った。 次回予告「到着した氷の洞窟では星・覇王神が沢山のポケモン達を道具のように扱っていた。何とかあいつら抑える俺達だったが、留美の前に克と言うトレーナーが現われ、留美は苦しめられていく。強力なゴルダックに襲われるの中、留美のウリムーはイノムーに進化し、反撃に入ろうとする。果たして、俺達は勝つ事ができるのか!? 次回 イノムーVSゴルダック 零下の決闘 」