第32話 イノムーVSゴルダック 零下の決闘  氷の洞窟で星・覇王神が現れた事を知り、大樹達はヤナギとカンナと共に洞窟に向かって行った。 「速い、これなら誰も見付ける事ができないわけだわ!」  カンナはライコウの上に乗りながら呟いた。  伝説の3匹の足の速さはウインディにも劣っておらず、凄い勢いで走っていった。 「もうすぐじゃ、あの崖を超えた先に洞窟はある!」 「よっしゃ、エンテイ、もう少しだ、頑張れ!」  エンテイはさらにスピードを上げていった。  そしてあっという間に氷の洞窟が見えてきた。  辺りはチョウジよりも冷えており、どうやら洞窟からの冷気がのせいのようである。 「寒い・・・・・・・・・」 「あそこが氷の洞窟か・・・」 「うむ、昔はわしもよく行ったものじゃが、最近はたまにしかいけんのじゃが・・・・」 「しっ、中から何か聞こえるぞ!」  入り口の所に行くと、何だか中から騒がしい音が聞こえてきた。  ポケモンの叫び声もあれば、人声のような音も聞こえてくる。 「何て叫び声、ポケモン達が怯えているわ。」 「星・覇王神の奴、またとんでもない事を!」  我慢ができず、大樹はすぐに中に入っていった。  その後をエンテイもついて行った。 「あの馬鹿!」 「俺達も行くぞ!」  そして英人達も中に入って行ったのだった。  もちろん、ライコウやスイクンも一緒に・・・・あとウインディも・・ 洞窟の中・・・・・・・ 「さみ〜〜。」  洞窟の中は左右上下ともに凍っており、薄着の大樹にはつらかった。  すると、後ろにいたエンテイは小さい炎を出し、大樹を覆わせた。 「ん、あったけえ、ありがとなエンテイ!」  そしてどんどん先に進んでいった。  すると、その先には・・・ 「イワーク、岩落とし!」 「イワ〜〜!」  トレーナーらしき少年とイワークが野生のゴルバットを襲っていた。  少年の格好からして、間違い無く星・覇王神である。 「いた、てめえ、星・覇王神だな!何でこんな酷い事を!?」 「誰だお前、ここで何をしようと俺達の勝手だろ!」 「んな訳ねえだろ!!」 「うるせえ、イワークあいつに体当たり!」  命令を受け、イワークは大樹に襲いかかった。  すると、その前にエンテイが立ちはだかった。 「エンテイ、イワークにアイアンテイル!」 「テ〜イ!!」 「な、あれは伝説のエンテイ!?何で・・・・・」  と言っている隙に、エンテイの「アイアンテイル」をくらってイワークはダウンした。  やはりエンテイの強さは伊達じゃなかった。  そして、エンテイは少年をジロッと睨みつけた。 「う、うわぁぁ〜〜〜〜〜!!」 「あ、逃げやがった!」  気合負けしたのか、少年は去って行った。  それにしても、アサギシティの時といい、何で星・覇王神は子供が多いのだろうか? 「お〜い!」 「あ、英人!」 「あ、英人じゃないだろ!勝手に行きやがって!」 「わりい、それよりあっちに星・覇王神の奴らが逃げていったぞ!」 「ホントか!?」  この時気付きはしなかったが、英人の服の数カ所が濡れていた。  どうやら途中で転んでいたようである。 「この先にいるんじゃな?」 「あ、ヤナギのじいちゃん、滑らなかったのか?」 「なあに、わしは氷使いじゃ、氷の上には馴れとる。」 「私もね。」  そして一同は洞窟の奥に進んでいった。  他のメンバーも、エンテイの力で寒くなくて済んでいた。 「ひでえ、あっちこっち崩れていやがる。」 「ホントに酷いわね星・覇王神って!」 「私は1度しか会ってないけど、やっぱり許せないわ!」 「なんか怖い・・・・・」 「フフフ、女性を怒らせたら怖いわよ。」  今のカンナも十分怖かった。  そして奥に進んでいくと、何だか騒がしくなっていた。 「あ、あいつらだ!」 「って、みんな俺達と同じくらいの子供じゃないか!」 「ホント、ウバメの森にいた奴はいないわ!」  確かに、あの時の男の姿は全くなく、かわりにたくさんの子供がうようよしていた。  すると、何処からともなく声が聞こえてきた。(正確には岩壁の上) 「へえ、まさかこんな所で伝説のポケモンに会えるなんてな!」 「しかもジョートの三匹全部!」 「あ、てめえはアサギジムにいた!」 「げっ、お前らは!」  そこには見知らぬ少年と一緒に、アサギジムにいた奴もいた。 「へえ、秀治(シュウジ)、あいつらがお前を倒したのか?」 「くっ・・・・」 「だったら、こいつらを倒して伝説のポケモンを奪えたら俺達のランクは上がるな!」  すると、少年は岩壁から飛び降りてきた。 「お前ら、こいつらのポケモンを全部奪うぞ!」 「「お〜〜〜!」」  大勢いた少年少女達は一気に集まってきた。  すると、そこにヤナギとカンナが立ちはだかった。 「困った奴らじゃ、お前さん達の相手は、チョウジジムリーダーのわしがしてやろう。」 「フフ、氷のエキスパートとしては、あなた達にお仕置きをしなくてはね・・・」 「ヤナギのじいちゃん、それにカンナ・・・・」 「な、ヤナギに・・・・元四天王のカンナだと!?」  流石に相手も二人の事を知っていたらしく、ちょっとびびっていた。  すると、少年の前に留美が立ちはだかった。 「あなたの相手は私よ、行きなさいウリムー!」 「なめやがって、行けゴルダック!」  留美はウリムーを出すと、少年はゴルダックを出してきた。 「気をつけろ、あの女、見かけ以上に強いぞ克!」 「ふん、俺とお前じゃ実力が違う!ゴルダック、乱れ引っ掻き!」 「ウリムー、粉雪よ!」  克と留美の壮絶なバトルが始まった。  一方、こっちでは大樹達がヤナギとカンナと一緒に雑魚の相手をしていた。 「ライコウ、電磁砲!」 「あ〜、スピアー!!」 「エンテイ、火炎放射!!」 「わ〜〜〜!」  流石にどんどん勝ち進んでいった。  もちろん、こちらの二人も・・・・ 「ルージュラ、サイコキネシス!」 「ジュゴン、凍てつく風じゃ!」 「つ、強すぎる〜〜〜!!!」  特にカンナは明らかに大樹達より強かった。  元とは言え、氷のエキスパートに違いはなかった。 「ゴルダック、金縛り!」 「しまったわ!」 「今だ、念力!」  留美は苦戦していた。  相手のゴルダックは予想以上に強かった。 「頑張ってウリムー!」 「は?頑張ってだと?何言ってるんだ、そんな事言ったって勝てやしねえよ。」 「そんな事を言うのは弱い人が言う事よ、ウリムーの強さは・・・・・・え?」 「何!?」  その時、念力を受けているウリムーに変化が起きた。  そう、進化である。 「ウリムーが進化した!」 「くそっ、イノムーになりやがった!」 「だから強いって言ったんだよ!」 「うるせえ、ゴルダック、破壊・・・・・」 「イノムー、吹雪よ!!」 「な、うわぁぁ!!」  イノムーに進化した途端、いきなり氷系最強の技を出してきた。  まあ、細かい事は気にせず、ゴルダックは一気に氷漬けにされてしまった。 「やった〜、私の勝ちよ♪」 「く、くそ〜〜〜〜!!」  そして同じ頃の利奈はと言うと・・・・ 「フシギダネ、毒の粉!」 「ダネ〜!」 「効くか、パラセクト、切り裂いてやれ!」  利奈も苦戦していた。  まだ初心者とは言え、このままではきつかった。 「なんだ、こっちは素人かよ?」 「あっ、フシギダネ、ツルの鞭!」 「無駄だ、ヘドロ爆弾をくらえ!」 「フシギダネ〜〜〜!!」          ピカッ!! 「何だ、まさか進化!?」 「じゃあ、フシギソウに・・・・・」  まあ、利奈も望と一緒に特訓をしていたのでそろそろ進化するとは思ってはいたが・・・  とにかく、フシギダネはフシギソウに進化した。 「チャンス、フシギソウ、甘い香り!」 「な、そんなの・・・・あ、何だか言い香り〜〜!」  トレーナーも「甘い香り」をかいでしまっていた。  もはや隙だらけである。 「今よ、はっぱカッター!」 「あ、しまった!!」  勝負は逆転し、利奈が勝った。  そして一方の望と大樹は・・・・・ 「デリバード、スピードスター!」 「デンリュウ、10万ボルト!!」 「わ〜〜〜!」 「やったな望!」 「うん!」  こっちは言わなくても勝っていた。  この二人は最強のタッグである。 「この野郎〜、このままで済むと思うな!」 「あ、てめえ、何する気だ!?」  克はきれた目つきで大樹達を睨んでいた。 「マルマイン、大爆発だ!」 「な、こんな所で・・・・・」 「ハ〜ハッハ、みんな消えちまえ!」  もはや自棄になったらしい。  こんな所で「大爆発」が起きたらみんな洞窟の中に閉じこまれてしまう。  と、その時・・・・・ 「キングドラ、竜の息吹き!」  何処からともなくキングドラが現われ、マルマインに攻撃を当てた。  その圧倒的なパワーでマルマインは爆発する前に倒れてしまった。 「だ、誰だお前は!?」 「私はフスベジムのリーダー、イブキ!」 「ふ、フスベのリーダーだと!?」  コガネシティ以来の登場であった。  キングドラのトレーナーはイブキであった。 「く、くそ〜〜〜〜!!」 「逃げるぞ!!」 「あ、待て!!」  止める間もなく星・覇王神の奴らは逃げていった。  全く、子供なだけに逃げ足は速かった。 「おお、イブキではないか?」 「あら、久しぶりじゃない?」 「お久しぶりです、何だか騒がしいと思ったので来たのですが正解のようですね。」  イブキはカンナと同じくらいの美人であった。 「スゲエ、美人が二人も♪」 「ムッ!」  すると、留美は思いっきり大樹の足を踏んだ。  それもたっぷり力を込めて・・・・・ 「!!!!!!!!」  その後、洞窟には凄まじい叫び声が響いたそうだ。 次回予告「フスベシティに来た俺達、するとエンテイ達が飛び出し、俺達を竜の穴に導いた。そして、不思議な力でカントーとジョートのジムリーダー全員が竜の穴に集まった。すると、竜の穴の中にはロケット団と星・覇王神がドラゴンポケモンを奪い合っていた。こうなったら俺達であいつらを追い払ってやる!だが、そこにあの時の女が謎の男と現われ、世界はとんでもない事になる!  次回 強豪集結 竜の穴の戦い 」