第35話 バッチをかけて VSイブキ  一時はどうなるかと思っていたが、アヤナと平和的仲介でなんとかおさまった。 首相官邸・・・・・・ 「大体の事は理解できたかしら?」 「ハァ・・・・・」  中ではアヤナが総理大臣に大体の事情を説明した。  政府のメンバーの顔には赤い手形が残っていた。 「大体、政治政治って言っておいて大した事やっていないからこう言う時には無力なのよ!」 「それは聞き捨てに・・・・」 「じゃあ、アンタ達全員国民の信頼に答えているの?大体、あんた達の給料高すぎるから国債が増える一方なのよ、1万円でも言いから国債に回したらどうなの?」 「・・・・・・・・・」  流石の政治家達もアヤナの勢いには無力であった。 「そんなのじゃ、ずっと国民に『生きた化石』って言われるわよ!」 「い、生きた・・・・」 「嫌だったら、少しは周りをちゃんと見なさい!アンタ達のような人は世間体ばかり気にして、子供にもそう言った教育ばかりををさせて個性を認めていない下品な事をしているからいざとなったらただの庶民と同じなのよ!」 「せ、世間体!?」 「どうせ、口先だけで実際は家族にも大した事やってない人任せな男でしょ!」 「・・・・・」 「そう言えば、さっきポケットからこんなマッチ箱と請求書が落ちていたわ?」 「そ、それは・・・!」 「カメラさん、これをアップで写して、後、これは残りの人達の分よ!」  何処で手に入れたのか、アヤナは凄いものをカメラに見せていた。  もはや、政府はまさに「生きた化石」状態になっていた。  世間ではアヤナに拍手を送るものも少なくはなかった。 その頃の大樹達・・・・・   その頃、大樹達はバトルを繰り広げていた。 「フーディン、金縛り!」 「エーフィ、スピードスターよ!」  大樹達はこっちの世界に来て混乱しているポケモン達の相手をしていた。  ポケモンにはポケモンでないと対処できないので、今は彼らが頼みの綱であった。 「は〜、何とか収まった・・・・・・・」 「バッチを手に入れるつもりだったのにね。」 「そうだ・・・あ、すっかり忘れてた!今日はイブキとジム戦をする予定だったんだ!」 「でもこの様子だと・・・・」  周囲には野次馬が腐るほどいた。  とてもジム戦のできる環境ではなかった。  けど・・・・ 「ようよ、久しぶりだな♪」 「ん、何処?」 「上だ!」 「上・・・あ、てめえはイレブン!」 「今日はプテラで登場♪」  彼らの前に、久しぶりにイレブンがプテラに乗って登場した。  世間はさらに騒がしくなっていった。 「お前、ジム戦がしたいんだろ?」 「あ、ああ・・・・」 「だったら、いい場所があるからどうだ?大勢の観衆の前でのジム戦も乙だぜ?」 「はぁ〜〜〜?」 「いいから来いって!」  大樹はイレブンに引っ張られながら先に進んでいった。 横浜港近く・・・・・・・ 「こ、ここは・・・・・」 「どうだ、俺達の組織力を結集して造った海上コロシアムの感想は?」  何と、横浜沖の海上に、巨大なポケモンバトルのコロシアムができていた。  何時の間に用意したのだろうか? 「って、組織ってどういう意味だ?」 「それはジム戦の後で説明するって!お、ジムリーダー達も到着したぜ!」  反対方向にはヴィーナスに無理矢理連れて来られたジムリーダー達がいた。 「何時の間にこのような物が・・・・?」 「気にするなって、今は大樹とジム戦をやってくれればいいんだからよ!」 「こいつは・・・まあ、それは別としてバトルを始めようぜ!」 「フッ、ならば使用ポケモンは三体でどうだ?」 「もちろんだ!」  そして二人はコロシアムに入った。  コロシアムの周りには多くの観光船(ほとんどイレブンの物)があった。  船の上には英人達もおり、何だかイレブンにしてやられた感じのようである。  すると、船の上に設置してあったスピーカーからイレブンの声が聞こえてきた。 『さあ、本日のメインイベント!フスベジムリーダー・イブキVS挑戦者大樹のバッチをかけたジム戦の開始だ〜!』 「あいつ・・・・最初からそのつもりで・・・・」 『使用ポケモンは三体、挑戦者は交代自由だがリーダーは交代はできない、では、試合開始!」  何処からともなく「カ〜ン」と言う音が聞こえてきた。 「最初は行け、ハクリュウ!」 「だったらオーダイル!」 「ハクリュウ、竜巻!」 「水鉄砲で押し返してやれ!」  ハクリュウの「竜巻」とオーダイルの「水鉄砲」が激突した。  竜巻が押すと思われていたが、今回は水鉄砲が勝った。 「光の壁!」 「だったら、頭突き!」 「ハクリュウ、竜の怒り!」 「しまった!」  近づいた所を「竜の怒り」をくらってしまった。  だが、そう簡単にやられるオーダイルではない。 「ハクリュウ、電磁波!」 「交わせ、そして凍てつく風!」 「何、氷タイプの技も・・・・」  電磁波を交わしたオーダイルは、口から「凍てつく風」を放った。  相手側のリング全体に放たれ、ハクリュウは一気に弱り、素早さも下がった。 「今だ、冷凍パンチ!」 「あ!」  最初のバトルはオーダイルが勝った。 「やるじゃん大樹!」 「やっぱり大樹は強いね!」  観客も大歓声を上げていた。 「では、二番手はキングドラ!」 「だったら、今度はデンリュウ!」  次はキングドラとデンリュウの対決になった。  キングドラの方は凄い迫力をしており、デンリュウも可愛いかった。 「竜の息吹き!」 「10万ボルト!!」 「甘い、高速移動!」 『お〜と、凄まじいバトルになって来た!デンリュウの10万ボルトをキングドラは簡単に交わしていった!』  本当にイレブンは楽しそうである。 「バブル光線!」 「電磁波!」 「フッ、キングドラ、リング全体に破壊光線!!」 「あ、しまっ・・・・!」  ついに大技が放たれた。  キングドラの破壊光線は凄まじく、物凄い爆発が起きた。 「いい腕だったが、私の前では・・・・・・何!?」 「ふぅ、何とか持ちこたえたぜ!」 『何と〜、デンリュウが持ちこたえた!キングドラは大技で身動きができない!』 「しまった!」 「デンリュウ、雷だ!!」 「リュ〜〜〜〜!!」  一発逆転の勝利であった。  キングドラは完全に痺れてしまい、そのまま気絶してしまった。 「まさかキングドラまでもが・・・・ならば、ギャラドス!」 「最後は、行っけ〜、ニドキング!!」  何と、何時の間にかニドリーノはニドキングに進化していた。  だが、相性ではあきらかに不利である。 「水タイプに地面とは、ならば一気に勝負をつける、ギャラドス、ハイドロポンプ!」 「・・・・・・・」  だが、ハイドロポンプはニドキングをすりぬけていった。 「これは影分身!」 「今だ、冷凍ビーム!!」 「しまった!」  最後まで集中していた大樹の勝ちであった。  背後から「冷凍ビーム」をくらい、ギャラドスはほとんど氷漬けになってしまった。 「くっ、竜の怒り!」 「破壊光線!!」  どうやら影で特訓をしていたらしく、ニドキングはあっという間に勝った。 『勝負あった〜〜〜、この勝負、挑戦者大樹の勝ち〜!!』 「やったぜ!」 「参ったわ、これ、ライジングバッチよ。」 「ありがとな、ライジングバッチゲッとだぜ!」 「ニド〜!!」  つ、ついに大樹は8個目のバッチをゲットしたのだった。 「あ〜あ、大樹に先を越されちゃったね?」 「急がば回れだ、最後は俺が勝つから問題ない!」 「え〜、それって私の間違いでしょ?」  観客席ではちょっとした口喧嘩が始まった。  だが、そんな平凡も長くは続かなかった。             ドッカ〜〜〜〜ン!! 「な、何だいきなり!?」 「雷?」  いきなり空から雷が落ちてきた。  人には落ちなかったものの、こんな晴れ間に雷とは不自然である。  すると、さっきまで実況中継をしていたイレブンの表情が変わった。 『来たか・・・伝説のポケモン、サンダー・・・・・』 「何!?」 「サ、サンダー!?」  うっかりマイクに入っていた為、周囲は大騒ぎになって来た。  すると、空から何かがバチバチと電気を帯びながら降下してきた。  言うまでもなく・・・・ 「見て、本当にサンダーよ!」 「すげ、こりゃゲットするしか・・・・・」 「悪いが今回は俺がゲットする、行け、カイリュウ!」  先にイレブンのカイリュウがサンダーに飛びかかっていった。  だが・・・・・ 「フリーザー、冷凍ビーム!」 「何!?」  声がしたかと思うと、何処からともなく伝説のフリーザーが人を乗せてやって来た。  乗っているのは明らかに大樹やイレブンよりも年上の男であった。 「あ、お前はMr.4!!」 「こいつは俺達の獲物だ!」 「だからあなた達は下がっていなさい!」 「Mis.スティンガーまで・・・・・」  謎の男女(ちなみに日本人ではない)はサンダーに向かっていった。  サンダーはさっきの冷凍ビームを交わし、そのままフリーザーに向かっていった。 「あなたの相手は私、行きなさいソーナンス!」 「ソ〜ナンス!」  出したのは我慢ポケモンのソーナンスであった。  それに対し、サンダーは一気に「10万ボルト」を放った。 「ミラーコート!」 「ソ〜!」  そして、ソーナンスは簡単に10万ボルトを倍返しした。  これには誰もが驚き、サンダーは倍返しの技を受けてしまった。 「戻って、最後はブースター、炎の渦!」  ソーナンスを戻し、今度はブースターを放った。  ブースターの炎に成す術もなく飲みこまれ、サンダーはそのまま落ちていった。 「今だわ、ハイパーボール!!」  スティンガーの投げたボールにサンダーは呆気なく吸いこまれていった。  何だか物足りなさそうだが、それはこの二人の圧倒的な強さのため、サンダーは手の内ようもなかったのである。 「ス、スゲェ・・・・・」 「あいつら・・・・何でこんな所に・・・・?」  イレブンは不満に思いつつも、なぜあの二人がここにいるのかに悩んでいた。  だかそこに、アヤナが戻ってきた。 「随分派手なショーだったわね?」 「あ、アヤナ、何処いってたんだ?」           バシッ! 「呼び捨てすんじゃないわよ、せっかく、私が生きた化石衆と話をまとめて来たと言うのに・・・」 「い、生きた化石?」  誰のコトだかは、最初から読んでいる人には分かっているであろう。 「とにかく、説明も面倒だから本当の事を話しておくわね。まずはアンタを向こうの世界に連れて行ったのと、2つの世界をひとつにしたのは私達の十人のリーダー達よ!」 「な、何だって!?」 「ついでに言うと、Mr.11やMr.4は私達の部下よ!」 「何〜〜〜〜〜!!」  驚きの連発であった。 次回予告「ジムリーダー達がイレブンに勝負を挑んできた!けど、呆気なく全滅してしまう。そんな中、俺達のバトルを見てポケモントレーナーにあこがれる人も殺到し始めた。それはさておき、俺は久々に家に帰るが、そこで隆史が行方不明になっているのを知り、しかもそこにロケット団のスミレまでもがやってきてしまった。一体これからどうなるんだ〜〜!? 次回 世界の壁 無敵のMr.11 」