第39話 覚悟の証 虹色の羽の伝説  ポケモンレースの途中、星・覇王神のメンバーの一人、克が襲ってきた。  克のスピアーは気球に穴をあけようとし、どんどん襲ってくる。 「ちっ、どうする!?」 「戦うしか・・・ないだろ?」  大樹とフォーは隣に並んで話していた。  もはやレースは一時中断である。 「スピアー、ダブルニードル!!」 「フリーザー、吹雪だ!!」 「ヨルノズク、催眠術!!」 「なっ!?」  いくら星・覇王神と言ってもこの二人のタッグにはかなわなかった。  催眠術で眠りかけたスピアーはそのまま凍ってしまった。 「く、くそっ!」 「諦めろ、お前程度の覚悟じゃ俺達には勝てない。」 「覚悟だと!?」 「そうだ、俺達はそれぞれいろんな覚悟を決めて今ここにいる。が、お前は自分の不満 を他人にぶつけてここにいる。そんな何の覚悟もない奴に俺は倒せない!」 「・・・・・」 「レースの邪魔だ、さっさと家に帰んな!」 「く、覚えてろ!」  そして克は去って言った。  その時の真剣なフォーの表情は、まるで何かを思い出しているかのようであった。 「さっ、レースの続きをやろうぜ!」 「あ、ああ。」  そしてレースは再開された。  克の邪魔によって後方から遅れた者達もやってきて、さらに白熱なバトルになってい った。 「いっけ〜〜〜!」 「追い上げろファイヤー!」  誰も前を譲ろうとはしなかった。  そして空中戦も終わりに近づいていった。 「フリーザー、高速移動で決めろ!」  一気に勝負に入った。  そして・・・・・ 『空中戦を制したのは・・・・・Mr.4だ〜〜〜!』  そして続々と地上に降りてきた。  最初に着いたフォーは素早く気球からおり、地上用のポケモンを出した。 「ギャロップ!」  出したのは地上速度トップクラスのギャロップであった。  その後を、大樹達も続いていった。 「最後は決めるぞエンテイ!」 「ウインディ、あいつを追い越すぞ!」 「頼むぞライコウ!」  大樹はエンテイ、イレブンはウインディ、英人はライコウを出した。  どれも足の速いポケモンである。 「うお〜〜〜〜〜〜!!」 「ちっ、もう追いついてきやがった!」 「ウインディは新幹線より速いんだよ!」 「負けるか〜〜エンテイ〜〜〜!!」  高速の対決であった。  なお、4人ともシズキとアヤナの「不思議な力」で空気摩擦の影響をそんなに受けて いなかった。 「神速だウインディ!」 「ライコウ、電光石火!!」 「な、追い越された!」  勝負は英人とイレブンの二人に絞られた。  わずかの差でイレブンが前だが、英人も負けてはいなかった。  だが、大樹も諦めずに追いかけてくる。 「もうすぐゴールだ!」 「勝つぞウインディ!」 「ここからが勝負どころだライコウ!」  もはや目では追えるスピードではなかった。  差もどちらがどうなのかも分からなかった。 「「いっけ〜〜〜!!」」 その後・・・・・・・ 「参ったぜ・・・・・・・・」 「ふう、がんばったなライコウ。」  わずか、本当にわずかな差であった。  1cmくらいの差で・・・・・・ 「くっそ〜〜、最後は英人の勝ちかよ〜〜〜。」  そう、勝ったのは英人であった。  周りは大きな歓声が上がっていた。 「みんなよく頑張ったな!」 「いい暇つぶしだったわ。」  大樹達の所にシズキとアヤナがやってきた。 「手を出せ。」 「え?」 「優勝賞品だ。」  シズキは英人に綺麗な羽を渡した。  虹のような七色の羽である。 「それは虹色の羽、いずれ・・・・・・」 「あ、これってホウオウの羽じゃん!」 「こ、こら、先にいうな!」  大樹は話に割り込んで喋った。 「ホウオウって・・・・」 「ジョートの伝説のポケモン・・・」 「そ、それは縁があって手に入れてたんだが、お前にやるよ。」  そう言うと、シズキはどこかに行ってしまった。  それと入れ替わり、民衆の方では何かが騒がしかった。  特に騒がしいのは何だか数十代の・・・いわゆる子持ちの親と言う感じの人達であ る。 「なあ、何だかあっちは騒がしくないか?」 「そう言えば・・・・・」 「・・・・・星・覇王神・・・・」 「ん、何か言ったかアヤナ?」          バシッ!!  またしてもビンタされた。 「あ、アヤナさん・・・あれって・・・・・」 「・・・・あれは星・覇王神にいる子供の親よ。」 「な〜んだ・・・・・・って!!」  とんでもない答えであった。  なんと、あの人々は今まで大樹達が戦っていた星・覇王神の・・・・・ 「親だって!?」 「知ってるでしょ?ある時、大樹みたいに時空の歪に巻きこまれて向こうの世界に行っ てしまった子供達のこと・・・・」 「じゃあ・・・・・・」 「どう言う訳か、あいつらはあんたとは違ってああなっているんだけど・・・・・」  大樹は呆然としていた。  自分と同じような事に巻きこまれたのに、何故あいつらは星・覇王神にいるのかと。 「・・・・・なんで・・・・・・」 「知りたいなら先に進む事ね。」  その時のアヤナの表情はまるで何かを知っているようであった。  そして、彼らが全てを知るのはもっと先の事であった。 次回予告「何だかとんでもない事が起きちまった!焼けた塔の渦に何かが起きたから行 って見ると、俺達はみんな渦に飲み込まれてしまった!その先には知らない別世界があ った。そしてそこで会ったのは・・・・・うそ〜〜〜!夢みたいなメンバーに、俺達は あってしまったぜ! 次回 第3の世界 新たな出会い 」