第44話 導かれる運命 望と利奈の冒険  サトシ達と別れて元の世界に戻ろうとしたのと同じ頃・・・・・・ 「ついに、ついにここまで来たか。」  ある森の奥で、かつてウバメの森で大樹達を苦しめた男が立っていた。  その背後には大人や子供など、多くの星・覇王神のメンバーがいた。 「今こそ我らの力を世に示すときが来た!」  男は、叫ぶと前にある巨大な機械のスイッチを押した。  だが・・・・・・                   ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・!! 「な、これは!?」 「そんな、設計は間違っていないはず!」 「ならば・・・・・」 「「うわ〜〜〜〜〜〜!!」」 大樹達・・・・・・・ 「もうすぐだぞ!」 「帰りは大変だな〜〜〜。」  ただいま時空を移動中である。  この時の大樹達は、まさか星・覇王神がとんでもないことをしていたとは知りもしな かった。  だが、次の瞬間・・・・・・               ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・  いきなり空間そのものが揺れ出したのだった。  いや、空間がそんなに揺れるはずはなく、流れが荒れだしたのである。 「な、なんだこれは!?」 「時空の流れが荒れ出している!」 「そんな、時空が自然にこんな荒れ方をするはずが・・・・」 「じゃあ、誰かが・・・!?」  そうこうしている内に彼らはどんどん流れに巻き込まれて行き、離れ離れになってい った。  そう、これは星・覇王神の作った装置の暴走のせいで起きているのである。 「「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」」  彼らは離れ離れになって行き、姿を消していったのであった。 その後・・・・・  どれくらい経ったかは分からない、だが、そこには望と利奈だけがいた。  他には誰もおらず、どうやらあの荒れで何とか一緒にいられたようである。 「ん・・・・・・・・・・・・」  しばらくすると望が意識を取り戻した。 「ここ・・・あ、利奈!大丈夫!?」 「・・・・え・・・・あ、ここは・・・・?」 「わからない、他には・・・・・・」  望は首を振りながら答えた。  そして、本当に誰もいないのかと、一緒に辺りを散策しに行ったのだった。  近くからは車のエンジン音が沢山聞こえており、近くに街があるようである。 「それにしても、ここは何処なの?」 「わかんないけど、多分、僕達の住んでる世界とは別の異世界だと思う。」 「一体何だっったよあれ?」 「・・・・・さあ?」  そしてしばらく歩いていくと、街の方についた。  街の様子からしてどうやらポケモンの世界でない事はすぐにわかった。  街中には若者から大人などがおり、大樹や利奈の世界とよく似ていた。 「まるで私の世界にそっくり・・・・・・」 「でも、それだったら僕の世界とも融合しているからヤッパリ違うよ。」 「これからどうするの?」 「みんなバラバラだし・・・・・・」  探すにも、どうやったらいいのか分からなかった。  手がかりもある訳でもなく、けどそれでも進むしかなかったのである。  そしてさらに進んで行くと、本当に大樹の世界と瓜2つのようなものばかりあった。 「こんな世界があるなんて・・・・」 「パラレルワールドかな?」 「何?」 「自分の住んでいるのとそっくりな世界の事だよ。」 「へえ、じゃあ、案外もう一人の私がいたりして?」 「ハハハ、だったら面白いよね♪」  二人は仲良く話ながら歩いていた。  何時の間にか、この二人は自然と話せるようになっていた。 「・・・・そう言えば久しぶりよね?」 「え、何が?」 「私達が二人っきりになるのってアサギシティ以来じゃない。」 「あ、そう言えば・・・・」 「これじゃあ、まるで恋人どうしみたいよね?」 「そ、そんな・・・・・」  望はカァと顔を赤くした。 「冗談よ、でも・・・・」 「で、でも・・・・?」  すると、利奈も顔を少し赤くしていた。  望もまだ顔を赤くしている。  と、その時、二人の前に同い年くらいの少年が立ちはだかった。 「ホントにむかつくヤツだよな。」 「あ、君は誰?」 「ふん、俺は星・覇王神の昇也!」 「せ、星・覇王神!?」 「まさか、俺達の実験にお前らも巻き込まれてたなんてな。」 「実験、じゃあ、あれは・・・・・」 「そうさ、俺達のボスがやった事だよ!」  突如として現われた星・覇王神の一人、昇也を前にして二人は驚きを隠せなかった。  それに、あれが星・覇王神の仕業だと知り、さらに驚いた。 「何で君はアイツラのいいなりになってるんだ!?」 「お前になんか分かるかよ、あんな腐った世界を知らないお前なんかに・・・・・」  昇也はぺっと唾を吐き捨てながら怒鳴った。 「まさか、あなたも私と同じ世界に・・・・・・」 「うるせえ、とにかくお前らには消えてもらうぜ!出て来い、ハッサム!!」 「え、こんな所で!?」  昇也はボールからハッサムをだした。  そして、さっきまでのんきに歩いていた一般の方々も彼らに気付き出し騒ぎ出した。 「ハッサム、スピードスター!!」 「キャァ〜〜〜!」 「殺される〜〜〜〜!!」 「どうしよ、みんな騒ぎ出しているよ。」  街は一変として戦場状態になってしまった。  それでも昇也はかまわず攻撃を繰り返してくる。 「メタルクロー!!」 「マズイ、ウインディ、火炎放射!」  ウインディの炎に驚き、一瞬だけハッサムを怯ませた。  だが、それがさらに騒ぎを大きくした。 「わ〜、又出た〜〜〜!」 「おい、あれってポケモンじゃ・・・」 「何言って・・・・あ、ホントだ!」  人々の間から「ポケモン」と言う言葉が出ていた。  どうやら本当にここは大樹と利奈の世界とほとんど瓜2つのようである。 「くっ、高速移動!」 「ウインディ、神速だ!」 「連続切り!」 「火炎車!」  ハッサムとウインディが大激突した。  どっちが勝ったかと思われる中・・・・ 「ハ・・・・」 「ち、戻れハッサム!」  流石は望のウインディである。  そして2番手が出ようとしていた。 「今度はニドキング、毒針攻撃!」 「今度は私よ、いっきなさいマリル!」 「リルル〜〜〜♪」  第二バトルはニドキングとマリルである。 「メガトンパンチ!」 「水鉄砲よ!」 「ふん、ニドキング、10万ボルト!!」 「マズイ、ニドキングは電気技も使えるんだ!」 「よけて!」  ギリギリで交わしたが、さすがにこれはまずかった。  ニドキングは沢山のタイプの技が使えるのでマリルではかなり不利であった。 「影分身!」 「今度は吹雪きだ!」  強力な技であった。  辺りはあっという間に雪景色である。  薄着をしていた一般の方々の間では風邪をひくほどであった。 「や、滑っちゃう!」 「だ、大丈夫!?」 「人の心配をしてる場合かよ、ニドキング、角ドリルで決めてやれ!」 「ニド〜〜〜!!」  一撃必殺の大技を出してきた。  このままではマリルはダウンである。 「マリル〜〜〜〜!」 「リル〜〜〜〜!」              ピカッ!! 「え、これは・・・・」 「進化だ、マリルの進化が始まったんだ!」 「何だと!?」  敵の方も驚き、ニドキングも技を止めてしまった。  そして、姿形が見る見るうちに変わって行き・・・・・・・ 「マリルリに進化した!」 「だからなんだ、ニドキング、アイアンテイル!」 「マリルリ、かわしてバブル光線!」 「ルリルリ〜〜〜!」  ジャンプしてかわすと、一気にバブル光線を放った。  もろに受けたニドキングはドンドンダメージを受けていった。 「く、だったらこいつら全員で!」 「卑怯だぞ!」 「うるせえ、今の世の中なんか卑怯ばかりじゃないか!」  そう怒鳴ると残りの4匹も一気に出してきた。 「いっけ〜〜〜!」 「デリバード、吹雪だ!」 「マリルリ、水鉄砲!」  圧倒的な技ばかりであっという間に倒れてしまった。  そして・・・・ 「くそ、覚えていろ!」 「あ、逃げるわ!」 「逃がすか、利奈、ウインディに乗って!」 「うん!」  ウインディに乗った二人は逃げる昇也を追っていった。  だが、この先には思いにもよらぬ事が待っている事に、二人は気づいてはいなかっ た。 次回予告「俺と留美は一緒に別の場所に来ていた。そこに現われたのは氷の洞窟やポケ モンレースで襲ってきた克だった。さらに現われたのはあいつらの実験に巻きこまれた プリンだった。ヤバ、こんな所に歌われたら大変な事になってしまう!けど克も野放し にしておけねえし〜〜〜、あ〜〜〜、これからどうなってしまうんだ!? 次回 プリ ンのコンサート 」