第46話 2つの孤独 英人の過去 (あらすじ)星・覇王神の実験によって別々の世界に散ってしまった。望と利奈は星・覇王神のメンバーの昇也と戦い勝ち、逃げる昇也の後を追っていった。一方、大樹と留美は克と遭遇し、こっちも戦って勝つことができた。その頃、ただ一人残っている英人は・・・・・・ ????・・・・・・ 「一体何処なんだ?」  英人は一人でひとけの少ない道を歩いていた。  見た感じでは都会ではなく、どうやら地方の街のようである。 「・・・・・・・・・・・」  何だか悲しそうな表情をしながら歩いていた。  思えば英人が一人でいるのはかなり久しぶりである。  そう、マダツボミの塔で大樹達と会った時以来、一人でいることはほとんどなかったのである。 「・・・・・・・・・・・」  何時もなら大樹達と楽しそうにしている英人だが、一人の時は無言であった。  そしてそのまま進んで行き、気がつけば街の中心に近い住宅街に来ていた  近くに学校でもあるのか、英人の耳には子供の声がたくさん聞こえてきた。 「・・・・学校か?」  何気によってみた。  校庭では多くの子供達が遊んでおり、なんだかうらやましかった。 「スターミー、ハイドロポンプ!!」 「何!?」  突如として襲われた。  真上から「ハイドロポンプ」が襲いかかり、英人は素早く動いて交わした。 「誰だ!?」 「ここだ!」 「!!」  声のする方を見上げてみると、そこにはスターミーに乗った少年がいた。  周りにも仲間と思われる少年少女がポケモンと一緒に英人を囲んでいた。  最初は誰かと思っていたが、こいつらの正体はスグに分かった。 「貴様ら、星・覇王神だな?」 「ああ、いきなりだが消えてもらう!」  すると一気に攻めてきた。  空陸ともに挟まれ、逃げ場のない状況であった。 「く、オニドリル、ドリルくちばし!!」 「ウツボット、はっぱカッター!」 「リザードン、炎の渦!!」  多勢を一人で相手しないとならないので、かなり苦戦するかと思われた。  しかし・・・・・ 「スターミー、バブル光線!!」 「・・・・・・」 「終わりだ!破壊光線!!」 「ライコウ、雷!!」          ズドドドドドドババババババ・・・・・・・・・・・!!! 「ラ、ライコウ!?」  これには星・覇王神もただでは済まなかった。  英人の切り札とも言えるライコウの雷は凄まじく、あっという間に勝負がついた。  周囲にいた人達も雷に腰を抜かしていた。 「勝負あったな!」 「くそ!」  全滅した訳ではないが、みんな雷で麻痺してしまった。  星・覇王神の者達は次のポケモンを出そうとしていた。  と、その時、空から球体の何かが落ちてきて爆発した。 「な、なんだ!?」 「誰だ!?」  すると、空からあの気球が降りてきた。 「何だかんだと聞かれたら!」 「答えてあげるが世の情け!」(以下省略)  ミサキとソウシであった。 「お前ら、ロケット団は潰れたのに!」 「ふ、組織が潰れようともわれらはロケット団!」 「名をあげて俺達を頂点に復活させるのだ!」 ((叶わぬ夢だな・・・・・))  英人と星・覇王神は同時に心の中で呟いた。  そうとも知らず、ミサキとソウシは有頂天になっていた。 「まずはそのライコウを頂くぜ!サイドン、踏みつけだ!!」 「ヘルガー、噛み砕いちゃいなさい!」  二人は一気に攻めてきた。  だが、英人はそのまま・・・ 「ライコウ、アイアンテイル!!」 「岩なだれだ!!」 「火炎放射!!」  技と技が大激突した。  星・覇王神の連中はただ呆然として見ていた。 「リザードン、竜の怒り!!」 「パルシェン、あんたも冷凍ビームよ!」 「く〜、ケンタロス、10万ボルト!!」  まあ、何度も戦っていた事もあり、ミサキとソウシも少しは強くなっていた。  だが、それでも・・・・・ 「リザードン、火炎放射だ!」 「ヘルガー、シャドーボール!」 「ゴローニャ、岩なだれ!ライコウ、10万ボルト!!」  激しい戦いの中、二人のポケモンは全滅した。  そして・・・・ 「覚悟はいいな?」 「ギクギク!!」(汗) 「リザードン、炎の渦!!」 「「やな感じ〜〜〜!!」」  が、その時何故か星・覇王神の奴らもほとんど巻き込まれていった。  ほとんどギャグである。 「何で俺達まで〜〜〜〜〜!?」 「・・・・・・厄日だな・・・・・・・」  英人はジ〜と見ていた。  周囲にいた人達もジ〜と見ていた。 「さあて、これからどうする・・・・・」  すると、英人は何かに躓いた。  下を見てみると、そこには「炎の渦」に巻きこまれなかった星・覇王神の少年が倒れ ていた。  英人はさっきの戦いで気絶したのだと思い、何となく起こしてみた。 「おい、大丈夫かお前?」 「ん・・・・・・・お前・・・・・あ!」 「やるか?」 「お前、ここで・・・・・!!」  立ちあがった少年はすぐにボールに手をかけて攻撃に入ろうとした。  だが、すぐに力が抜けてしまった。               グ〜〜〜〜〜〜 「・・・・・・・・・」 「お前、腹が減ったのか?」 「・・・・・・・・・・・」  少年は顔を真っ赤にしながら頷いた。  この少年、年は英人と同じ位のようである。 その後・・・・  アレからと言うもの、しょうがないので英人は少年を背負って何処かに連れていっ た。  ライコウにのせて行ったので誰にも捕まらずに済んだ。  そして近くの公園のような所で、持っていた食料を少年にあげた。 「ホントによく食うよな?」 「う、うるせえ!!」 「それよりいいのか?俺といたら余計な誤解をされるぜ?」 「お前からやったんじゃないか!?」 「それもそうだな。」  英人はからかっているかのように話していた。  最初は捻くれていた少年も、段々と話すようになってきた。 「俺の名前は英人、お前の名前は?」 「・・・・・・・・陵・・・・・・・・・」  渋々といった。 「陵、何でお前は星・覇王神にいるんだ?」 「知ってどうするんだよ!?お前なんかに俺の気持ちなんか・・・・・」 「言わなきゃわかんないだろ!」 「無駄に決まってる、親も知らずに育った俺の気持ちなんか・・・・・」 「な・・・・・」  陵のこの一言に英人は驚いた。  そしてその一言は英人の思い出したくなかった過去も思い出させたのだった。 「・・・・・どうした?」 「お前も・・・・俺と同じ孤児だったのか・・・・・・」 「え・・・・・・・・・・・・・・・」  英人の意外な言葉に陵は驚いて黙りこんだ。  まさか英人も孤児だったとは誰も・・・・予想していなかっただろう。  そして、空気は複雑になっていった。 「・・・・・・悪い・・・・・・・」 「言いって・・・俺はあいつらと一緒にいて乗り越えたからな・・・・・・・・・」 「・・・・・できるものなのか・・・?」  その後と言うもの、二人はお互いの過去を話し合っていた。  そしてそのほとんどが似ていた。  二人はいわゆる精神的双子のような者なのだった。 「へんな穴に吸いこまれたら変な世界にいて、その後、あの男に・・・・」 「それってウバメの森にいた!?」 「・・・・何を企んでるのかは俺にはわかんねえ、けど、時空を超える事にこだわって た。」 「それでこうなったって訳か・・・・・・・・・」  やはりウバメの森にいたあの男が首謀者なのであった。  沢山の子供の心の隙につけこみ、思いのままに利用したのである。  果たして、その男の目的は一体・・・・ 次回予告「何とか僕と利奈は英人と合流したのはいいけど、その後に時空の力の暴走に 巻き込まれて大変な事になってしまった。そしてそこに克を追ってきた大樹と留美とも 再開したけど、さらにそこに現われたロケット団残党の二人に教われてピンチになって しまった!って、僕達ずっとこの姿のまんまなの!? 次回 時の暴走 湖の戦い 」