第49話 届いた思い ミュウの輝き (あらすじ)ついに大樹達の前に現われた星・覇王神のボス、その正体は見た事も無い幽 霊ポケモンであった。克や昇也達に集めさせたポケモンを催眠術で操って攻撃してくる のに対し、大樹達は苦戦してしまう。克達も自分達が駒に過ぎないことを知り、放心状 態になってしまった。そして、戦いはさらに大樹達の不利な状況になっていった。 「ナイトヘッド!!」 「10万ボルトだ!!」  技と技の衝突は耐える事無く続いていった。  相打ちにはしていくものの、結局は大樹達のポケモンの方が多く体力を消耗していくのであった。 「く、くそっ・・・・・!」 「無駄なことだ、お前らに勝ち目はない。」 「かってに決めるんじゃねえ!!」  絶望しかけている克達には少しも戦意は残っていなかった。  ただ、適当に愚痴をもらすしかやる事はなかったのである。 「スイクン、バブル光線!」 「デンリュウ、雷パンチ!」 「無駄だ、トライアタック!!」  ポリゴン2を始めとするポケモン達は同時に攻撃していった。  一発でも強力な敵の技は、同時に放たれる事によってさらに威力を増していった。 「ラプラス、白い霧!!」 「バクフーン、泥かけ!!」  辺りを「白い霧」が飲み込み、敵ポケモンは泥を浴びて一瞬、視界を閉じた。  その隙に大樹達のポケモンは霧の中に隠れていった。 「姿を隠して攻撃するつもりか?だが、それも無駄な事・・・・・」  そう言うと、男は全身から不思議なオーラを放った。  そして、見る見るうちに霧が晴れていったのである。 「な、サイコキネシス!?」 「そうだわ、幽霊ポケモンはエスパーの技も使えるんだわ!」 「今ごろ気付いても襲い!」  男はスゴイ形相で大樹達を睨みつけた。  これは「黒い眼差し」である。  もう、彼らは後戻りできなくなってしまった。 「エンテイ、大文字!!」 「メガニウム、はっぱカッター!!」 「無駄だ、破壊光線!!」  二つの技は破壊光線により打ち消されてしまった。  操られているとはいえ、恐ろしいほどの強さを持つポケモンであった。  だが、それ以上に恐ろしいのは謎のポケモンである奴自信であった。 「そろそろとどめといくか。」 「クッ、オーダイル、噛み砕く!」 「フフフ・・・・・・」 「待って、あれは催眠術の見せている・・・・・」  留美が呼びかけた時にはもう遅く、オーダイルは催眠術による幻に噛み付いていた。  そしてそこを・・・・・・ 「くらうがいい、シャドーボール!!」 「オーダイル!!」 「エーフィ、スピードスター!!」 「リフレクター!」  いかなる隙を見せないおとこの前に次々と倒れていった。  大樹と留美の背後では、英人達がそれを見ているしかなかったのだった。 「無理に決まってら、あんなのにかなうわけがねえ!!」 「そんな事ない、諦めなければ絶対に勝てる!!」 「気休めはよせよ、世の中にはどうにかならないものもあるんだよ。」  昇也と克は自棄になっていた。  もとから心が暗かった二人にとって、この勝負はすでに決まったも同然のようなもの なのだった。 「煙幕だ!」 「無駄だ、凍てつく風!」  どんな攻撃も簡単に無効にされていくのだった。  だが、それでも大樹は諦めようとはしなかった。 「火炎車だ!!」 「フフフ・・・・・」  またもやサイコキネシスで弾かれてしまった。 「くそ・・・・・・」 「だから無駄だって言ったんだ、お前らには・・・・・」 「いい加減にしろガキ!!」 「な、ガキ・・・!?」  大樹は克に向かって怒鳴った。  克もいきなり言われて腹がたった。 「てめえ、俺に全敗したからって自棄になってんじゃねえ!」 「なんだと!?」 「お前らは考えが甘すぎるんだよ、そんな楽して強くなろうってのはな!!」 「・・・・・・・」 「お前らは負けるのが怖いからそんな事を言ってるんだ!」  克も昇也も全く反論が出来なかったのだった。  偶然なのかどうかは分からないが、大樹の言っていることはみんな図星だったのであ る。 「あんなのにかなわないんじゃ、俺達には絶対に勝てねえぜ!」 「「何だと!?」」  ライバル心を抱いていたのか、思わず怒鳴り返した。 「本当のことを言っただけだ!」 「言いたいこと言うんじゃねえ!」 「勝手に決めつけるな・・・・あ・・・」  思わず勢いで怒鳴る二人だったが、その時あることに気づいた。  自分達のいった「勝手に決めつけるな」と言う事に・・・ 「くどくどと五月蝿い奴らだ!」 「大樹、電磁砲が来るわよ!」 「ゲッ、エンテイ、バクフーン、同時に火炎放射!!」  すっかり忘れ去られていた男は一気に攻めてきた。  今までになくパワーが溢れていた。 「まずいわ、イノムー、冷凍ビーム!!」 「フフフ、それくらいで勝てるか!」  男はさらに「ナイトヘッド」もだし、どんどん大樹達を攻めていった。  かなりやばいと思ったその時・・・・ 「プテラ、破壊光線!!」 「何!?」  突如、克のプテラが加勢してきた。  意外な行動に、両者とも驚いていた。 「小僧、裏切る気か!?」 「裏切ったのはお前の方だろ!!」 「克、お前・・・・・」 「勘違いするな、ライバルに負けられたら俺の立場がないからやってるんだ!」 「素直じゃねえな〜。」 「何だと〜〜〜!」  本当に強情であった。  と、その時だった!            ピカッ!!  急に空がまぶしく光出したのである。 「な、何だ!」  すると、その光によって「電磁砲」も「ナイトヘッド」もやぶられてしまった。 「これって、もしかして・・・・・・・」 「め、『目覚めるパワー』だ!!」  誰が出しているのかはその時は分からなかった。  だが、それはすぐに誰なのかわかってきた。 「ミュゥ〜〜〜〜〜!」 「あ、あれ!!」  空から光と共に1匹のポケモンが舞い降りてきた。  そのポケモンは薄いピンク色の体毛に覆われた小さなポケモンだった。  かつて、竜の穴で大樹達が見た幻の・・・・・ 「幻の・・・・ミュウ!!」 「何でミュウが!?」  誰もがミュウの登場に驚いていた。  だが、それで驚くのははやかったのであった。 「・・・あ!」 「体が・・・・・」  なんと、小さくなっていた英人達の体が元に戻っていったのである。  ミュウの力かは分からないが、とにかく戻ったのである。 「ま、まぶしい!!」 「見て、あいつの体が分裂していくわ!」  ミュウの「目覚めるパワー」の影響で男の体にも異変が起きたのであった。  男の体は見る見るうちに分裂していき、最後には沢山のゲンガーやゴーストになった のだった。 「そうか、奴の正体はゲンガー達の集合体だったのか!!」 「いくら強くても、今の奴なら・・・・・」  形勢逆転であった。  集合していたからこその知性や能力も、今では全くなくなっていた。 「バクフーン、火炎車!!」 「メガニウム、メガドレイン!!」 「リザードン、炎の渦!」 「カメックス、バブル光線!!」 「フシギソウ、はっぱカッター!!」  更に強気になった大樹達は一気に勝負に入っていった。  そして克達も・・・・・・・・・ 「プテラ、大文字!!」 「スターミー、吹雪き!!」  今までの・・・いや、自分達自身に決着をつけるため、克達も本気で勝負に入ってい った。  そして、ゲンガー達はやられるごとにまるで成仏するかのように消えていくのだった。 「エンテイ、大文字!!」 「スイクン、バブル光線!!」 「ライコウ、スパーク!!」  とどめは伝説のポケモンで決めた。  ゲンガー達は一匹も残らず消えてなくなったのだった。 「みんな消えちゃった・・・・」 「ゲンガー達は幽霊から産まれたポケモンだといわれてるが、まさか本当だったとは な・・・・」 「これでおおわりだな。」 「うん!」  すると、空から日差しが差し込み、彼らを照らし始めていた。  そして、ミュウもなんだか楽しそうに辺りを飛びまわっていた。  そんな中、エンテイやスイクン、ライコウはまるで敬意を払うかのようにミュウにお じぎをしたのだった。 「・・・・・・・・・・」  そして、克や昇也達もまた、なんだかすっきりしたよな表情をしていたのだった。  それは、彼らがやっと何かの答えを見つけた事をさすのであった。 次回予告「うずまき列島に俺達、だが、そこに現われたのは鼾をかきながら道を塞いで いるカビゴンだった。何とかどかそうにも、厄介な技の前に苦戦してしまう。く〜〜、 一体どうすりゃいいんだ!?だがその時、利奈のフシギソウのつぼみが大きく咲き出そ うとしたのだった。これって、もしかして最終形態に進化するのか!? 次回 うずま き列島 VSカビゴン 」