第53話 幻のルギア 孤島の戦い (あらすじ)銀色の羽を頼りに大樹達は幻のルギアを探し始めたのだった。そんな中、海 岸でヨツバシティで出会ったトレーナー、真人と再会するのだった。だがその時、島の 周囲で異変が起き始め、そして海の中から謎のポケモンが現われ、望をさらって行った のだった。 ある島・・・・・・ 「ん・・・・・・・ここ?」  気がつくと、望は何処かの砂浜の上に倒れていた。  海の方からは未だに荒々しい渦潮の音が響き渡っていた。 「そうだ、僕は見たことのないポケモンにさらわれたんだ!」  だが、辺りを見渡してもあのポケモンはおらず、他には誰もいなかったのだった。  手には銀色の羽が握られており、未だに輝きを失ってはいなかった。 「何処なんだろう?」  望は辺りを散策することにした。  海の渦潮や島の植生からうずまき列島の何処かであることは間違いなかった。  だが、こんな島はマップにも乗っておらず、渦潮のせいで脱出することも出来ないの であった。 「どうしよう、はやくここから脱出しないと・・・・・・・・・」  だがそんな時、意外な人物が望に近づいていた。  望はそれには気付かず、さらに先に進んでいったのだった。  すると、その人物はいきなり望に・・・・・・ 「望!!」 「わぁっ!!??」  いきなりのことに望は驚いて転んでしまった。 そして、その望に普通に手を差し伸べたのは・・・・ 「よっ!」 「た、隆史!?」 「久しぶりじゃねえか、何でここにいるんだ?」  読者の中では忘れている人もいると思うが、彼は大樹の幼馴染の少年の隆史である。  あの時、時空の渦に呑みこまれながら、大樹と利奈と別れ別れになった彼は何故かコ コにいたのである。 「それはこっちのセリフだよ!何でうずまき列島に!?」 「・・・・・・・・」  隆史はしばらく黙りこんでいた。  おそらく知らない間に何かが隆史の元で起きたのであろう。 「もしかして、ルギアと関係あるの?」 「!!」 「やっぱり、じゃあさっきのは・・・・・」  と、その時であった。   「ギア〜〜〜〜!!」 「な、何!?」 「ルギアだ!!」  突然二人の真上から大きな叫び声がしたかと思うと、そこには巨大な銀色のポケモン がいたのである。  その姿は間違いなく幻のルギアである。 「わ、こっちを・・・・・」 「どうやら、ルギアはお前と勝負したいらしいな。」 「勝負?」 「ああ、きっと銀色の羽を持っているお前を挑戦者とみてこっちに連れてきたんだろ う。」  なんて言っている間もなく、ルギアは一気に攻めてきた。 「くっ、カメックス!!」  ボールから出たカメックスは一気にルギアに殴りかかっていった。  だが、レベルが違うのか、あのカメックスが押されていったのである。 「そんな、僕のカメックスが・・・・」 「パワーだけじゃあ、アイツには勝てないぜ。」 「・・・じゃあ、バブル光線!!」  望が指示すると、カメックスは口を大きく開けてバブル光線を放った。  間近にいただけもあり、ルギアの頭部にうまくあたった。 「ホ〜!」 「今だ、高速スピン!!」  高速回転したカメックスは思いっきりアタックした。  隙をつかれ、ルギアはそのまま地上に落ちていった。 「破壊光線!!」  そしてそのまま大技を放っていった。  しかし、あたる寸前で破壊光線は止まり、向きを変えていったのである。 「ガメ〜〜!!」 「カメックス!、今のはサイコキネシス!?」  そう、エスパータイプであるルギアは「サイコキネシス」で身を守ったのである。  さらにはそのまま相手に返してしまい、カメックスは大ダメージを受けてしまったの である。  そして、ルギアは口を大きく開けて空気砲を放ったのである。          ドカ〜〜〜ン!! 「カメックス!?」 「ルギアの必殺技、エアロブラストだ!」  連続で攻撃を受けてしまったカメックスはそのままダウンしてしまった。  カメックス、まさかの敗退である。 「戻れカメックス!」 「さあ、次は何を出すのかな〜〜〜♪」  隆史はすっかり観客気分でいた。  何故、こんな状況でそんな事をしていられるかは今は置いておこう。  望は次のポケモンを出そうとしていた。 「デリバード!」 「ルギアは飛行タイプ、氷タイプで一気に倒そうってことか?」 「デリバード、影分身!!」  デリバードは複数の分身を作って行き、ルギアの周囲を囲んだのだった。  だが、ルギアに戸惑う様子は全くなかった。 「吹雪き!!」 「デリ〜〜〜〜!!」  ありったけのパワーで吹雪きを放つルギアだったが、相変わらずひるむ様子はなかっ た。  飛行タイプなら氷攻撃には弱いはずなのだが、ルギアはそれを全く恐れてはいなかっ た。 「そんな、聞いて無い・・・・・まさか!?」 「そのまさかだな〜♪」  だが、それに気づいたときにはもう遅かった。  気付いたと同時に海からは何かが飛び出してきたのである。  出てきたのは望が戦っているはずのルギアである。 「身代わり!」 「そ、お前が戦っていたのはルギアの身代わりだったのさ!」  まるで最初から知っているかのような口ぶりである。  「身代わり」は体力の1部を戦える分身にする技である為、望は事実上、2体のルギ アと戦っていることになるのである。 「まずい、デリバード、高く飛びあがってスピードスター!!」 「遅いな。」  巨体でありながら、ルギアの方が素早く、デリバードは一瞬にして上下とも挟み撃ち にあったのであった。  そして、ルギアは全身から波状の念波で攻撃してきたのである。  エスパーポケモンの技、「サイコウェーブ」である。 「戻れデリバード!」 「さあて、これからどうするんだ?」  隆史は楽しそうであった。 「ゴルバット!」 「なるほど、毒タイプだがスピードで対抗するってことか?」 「そう言う事、高速移動だ!」  ゴルバットは目にもとまらぬ速さで移動し始めた。  2体のルギア(片方は身代わり)は「スピードスター」で対抗するが、中々あたらな かった。 「いいぞ、そのままメガドレインで体力を奪うんだ!」 「ホ〜、でも飛行タイプには効果薄いぜ?」 「それも作戦のうち!」  確かに効果は薄いが、それでも確実に相手の体力を奪っていった。  そしてしばらくすると分身の方は形を維持できなくなっていった。 「今だ、カマイタチ!!」  隙を逃さず、一気に分身を攻撃していった。  そして何とか分身を倒す事が出来たのだった。 「後は本体だけだ、怪しい光!!」 「・・・・」  だが、ルギアは混乱しなかった。 「これは・・・・神秘の護り?」 「正解♪」  迂闊だった。  これでは混乱どころか眠らせる事も麻痺させる事も出来ない。 「ゴルバット、破壊光線!!」  一気に力を蓄え、ルギアに向かって一気に放った。  だがそれと同時にルギアも「エアロブラスト」をゴルバットに向けて放った。 「「!?」」  望と隆史の見る中か、二つの技はぶつかり合い、そして爆発した。  あたりは砂埃で視界が閉じられ、何も見えない状況が続いていた。 「「どっちだ!?」」  そして、砂が晴れると・・・・・ 「ルギアか・・・・」 「ゴルバット!!」  ルギアの方が勝っていたらしく、ゴルバットはそのまま落ちていった。  望はすぐさまゴルバットの元へと走っていった。 「ゴルバット・・・・・・ゴメン・・・・・」  望は傷ついたゴルバットを抱きしめながら涙を落とし始めていた。  ゴルバットがこうなってしまったのは自分のせいだと思っているのである。 「僕の判断が遅かったから・・・・・・・・」 「あいつ・・・・・・」  だが、望の涙がゴルバットに落ちたとき・・・・              ピカッ!!  ゴルバットの体が光り始めたのだった。 「ゴルバット・・・!?」 「何だ!?」  二人とも何が起きたのか分らなかった。  そんな中、ゴルバットは姿を変えて行き、まるで無傷だったかのように元気になった のである。 「進化したのか・・・・?」 「クロバットに・・・・・・」 次回予告「クロバットに進化し、今度こそ勝てるかと思ったけどやっぱりルギアは強か った。そんな時、僕達の前に現われたのは・・・・・・その人が渡してくれたものでつ いにルギアとの決着をつける戦いが始まる。そして、別のところでも何かが大きく動き 始めていた。そう、全ての始まりでもあるアレが明らかになろうとしていたのである。  次回 疾風のクロバット 」