第54話 疾風のクロバット (あらすじ)ルギアにさらわれて孤島に辿り着いた望は、そこで以前行方知らずになっ ていた隆史と再開した。だが、再開を喜ぶ間もなく、ルギアは望に勝負を挑んできたの だった。あまりに強いルギアの前に、カメックスやデリバードなども次々と倒れていっ た、そしてゴルバットも傷ついて倒れたその時、ゴルバットはクロバットに進化したの であった。 孤島・・・・・・ 「ゴルバットがクロバットに進化した・・・・・」  突然の進化に望も隆史も驚いている。  それもそのはず、ゴルバットが進化するにはトレーナーにかなり懐いていなければな らないのである。 「お前のクロバット、本当にお前のことを信じているようだな。」 「クロバット・・・・・・」  だが、今は和んでいる暇はなかった。  ルギアはまだ戦いを止めてはおらず、さらなる攻撃を仕掛けようとしていた。 「マズイ、クロバット、高速移動で撹乱するんだ!!」 (は、早!!)  高速が自慢なだけに、クロバットは確実にルギアを撹乱させていったのだった。  流石のルギアもこのスピードでは狙いを定める事もできないようである。 「今だ、スピードスター!!」  高速移動をしながら、物凄い数の「スピードスター」を放っていった。  それは次々とルギアに当たって行き、次々とダメージを与えていった。  しかし、 「え!?」 「そっか、ルギアにはあれがあったんだ!」  何と、傷つけたはずなのにどんどんダメージが癒されていくのである。  そう、ルギアの持つ技のひとつ「自己再生」である。 「そんな、せっかくダメージを与えたのに・・・・・・」 「流石にココまでだな。」  このまま、仮にもダメージを与えたとしても、間違いなく自己再生で回復されてしま う。  混乱させようにも、「神秘の護り」があるために動きを封じることさえ不可能に近か った。  困り果てているなか、ルギアはクロバットに向かって「サイコキネシス」を放とうと した。 「マズイ、交わすんだ!」 「無理だ、サイコキネシスは辺り一面に放つ技だ。クロバットでもかわしきれない!」  隆史の言う通り、こればかりはかわしきれなかった。  と、その時・・・・・・ 「ピクシー、アンコールよ!」 「「え!?」」  どっかで聞いた事のある声が聞こえたかと思うと、何処からともなくピクシーがルギ アの前に現われた。  そして「アンコール」を使い、ルギアは「サイコキネシス」ではなく、「自己再生」 を使ってしまったのである。  すでに回復済みなため、これではまったく無意味である。 「今の声は・・・・・・あ!」 「おひさ〜〜♪」 「ファイヤー、それに・・・・・!!」  結構久しぶりの登場である。  彼等の前にあの二人が現われたのである。 「誰だあいつら?」 「Mr.11、それにヴィーナス!!」 「どうやら間に合ったみたいだな。」  そう言うと、ファイヤーは望の元に降りてきた。  そして、イレブンはそのまま望の元に行き、ポケットからあるモノを取り出した。 「な、何でこんな所に・・・・・」 「・・・銀色の羽の導きでここまで来たのか?」 「あ、うん・・・・・」 「なら、これを使うといい。」  イレブンは望の手に一つのボールを手渡した。  それは、ポケモントレーナーなら誰もが知っている幻のアイテムだった。 「マ、マスターボール!?」 「何〜〜〜〜〜!?」 「それを使ってルギアを捕獲するんだ!」 「え、でも・・・・・」 「これはお前に課せられた試練だ!」 「・・・・・・」  イレブンの迫力に望はおされ気味であった。  だが、イレブンの言う「試練」と言う意味が今一つ分からなかった。 「早く、でないとクロバットがやられてしまうぞ!」 「え・・・あ!!」  気がつくと、クロバットはルギアの恰好の獲物になっていた。 「言っておくが、マスターボールはそれだけだ。一瞬だけでも動きを封じて投げるん だ!」 「でも、ルギアには・・・・・」 「ある、お前のクロバットにな・・・・・・・・・」 「そうか!」  望は何かを思いついたらしい。  そして耳を塞ぎながらクロバットに指示を出した。 「クロバット、嫌な音!!」  その瞬間、辺り1面には嫌な音が響き渡った。  この音だけはルギアも防ぐ事が出来ないらしく、ルギアも動きを鈍らせていた。 「今だ、怪しい光!!」  その隙を逃さなかった。  今度は見事決まり、ルギアを混乱させる事に成功したのだった。 「今だ!」 「いっけ〜、マスターボール!!」  望はルギアの頭に目掛けてマスターボールを投げた。  ボールは一直線に行き、見事ルギアの額に命中した。 「!!」  そして、そのままルギアの巨体はボールに吸いこまれていった。  捕獲率100%なため、抵抗する事無く捕獲された。 「や、やった〜・・・・・・・・・」  捕まえたのを確かめると、一気に気が抜けてしまった。 「大した奴だよ。」  望の後ろで隆史が笑っていた。  だがそこに、真面目な表情をしたイレブンがやってきた。 「な、何だよお前!?」 「話してくれるな?」 「な、何をだよ!?」  問いかけられると、隆史を焦りながら怒鳴った。  やはりコイツは何かを隠しているようである。 「お前が大樹達と離れ離れになってからの経緯をだ!」 「・・・・・・・・」 「さあ、キレイなお姉さんに教えてちょうだい?」  自分でキレイっていうこの少女・・・・・(汗)  それはともかく、隆史は二人に迫られていた。 「わ、分ったよ・・・・・・・」 「あのう・・・・・」 「それと一応聞くが、お前は『ナイトメア』からルギアを護るためにいたんだろ?」 「ああ・・・」  望の声など聞こえていなかった。  だが、イレブンの口からこぼれ出てきた「ナイトメア」とは・・・・・」 「ん、ナイトメアって・・・・・何処かで聞いた事があるような・・・・・」 「・・・それはそうだろう、ナイトメアの陰謀を防ぐ為にお前達は選ばれたんだ。」 「え?」 次回予告「ルギアをゲットして俺達の所に帰ってきた望達から聞かされる真実。そして 影で動き出しているナイトメア、今、俺達に隠された本当の・・・・・・が明らかにさ れる。そして、ルギアと共に存在する虹色の存在が動き出そうとしていたのだった。そ う、俺達が今こうしているのは偶然ではなく運命だったと言う事もまた・・・・・ 次 回 光と闇の・・・・ 」