第56話 ポケモンリーグを目指して〜大樹&克〜 (あらすじ)ルギアをゲットした望を連れ、ティールは大樹達の元にやってきた。そし て、大樹がこの世界にこれたの理由のひとつが、大樹がこの世界の住人であると言うの であった。そして隆史もこの世界の住人であり、衝撃的にもあの望と双子の兄弟である と言うのであった。そんな中、シロガネ山では謎の組織、ナイトメアが動き出してい た。 何処かの山奥・・・・・・  ジョウトの何処かの山奥、ここに大樹と克がポケモンバトルの特訓をしていた。 「ゴルダック、バブル光線!!」 「フーディン、サイケ光線!!」  大樹のフーディンと克のゴルダックの一騎打ちである。  元からこの2人は互いに睨み合っていたので特訓でも本気でバトルをしていた。 「乱れ引っかき!」 「リフレクター!!」 「今だ、ハイドロポンプ!!」  ゴルダックのハイドロポンプはリフレクターを貫く。物理攻撃を防ぐリフレクターで は特殊攻撃は防げず、フーディンは近距離で攻撃を受けるのだった。  まともに大技を喰らってしまい、フーディンは大ダメージを受けてしまった。 「クッ、自己再生!!」  素早く回復技を指示しギリギリで体制を取り直した。 「ゴルダック、破壊光線!!」 「サイコキネシス!!」  ゴルダックは最大技を手加減することなく放った。  フーディンもまた、エスパー系最大の技を放った。 「いっけ〜〜〜〜〜!!」  2つの大技が互いに引くまいとぶつかりあってゆく。  2人の実力は互角に近く、長い間ぶつかり合っていった。 「フーディン、フルパワーだ!!」 「こっちもだゴルダック!!」  さらにパワーを上げてぶつかって行く。行き場を失ったエネルギーは互いに混ざり合 って一気に爆発したのである。 「うわっ!!」 「そ、相殺!?」  結局、攻撃が相殺してしまい、勝負は引き分けに終わったのであった。 「ちっ、もうちょっとだったのによ〜!」 「それはこっちのセリフだっての!」 「俺のだ!」  「俺だ!」  またつまらない事で喧嘩するこの2人、普段は仲が悪そうに見えたが、本当は案外気が 合いそうであった。  と、そこに彼が2人の下に現れた。 「元気にしてたか?」 「あ、ティール!お前、今まで何処にいたんだ!?」 「まあ、いろいろな。」 「特訓してやるって言ってた奴が遅れてどうするんだよ?」  特訓、そう、彼らは近々行われるポケモンリーグを目指し、一旦別れて特訓をするこ とにしたのである。  2人1組でやる事になったこの特訓、別にティールが決めた組み合わせではない。全 員文句なしのくじ引きで決めたのである。  その結果、何故かこう言う組み合わせになってしまったのである。 「まあ、とにかく始めるとするか?」 「さっさとそうしてくれ!」 「な〜に、お前が仕切ってるんだよ?」 「俺の方が上だからだよ馬鹿大樹!」 「んだと〜〜!!」 「やめい!!」               ゴン!!  また喧嘩するのを止めるべく、ティールは2人に同時に拳骨をしてやった。 「さっさとやるぞ!」 「殴ることはないだろ!!」 「そうでもしないと、お前らは絶対に喧嘩をやめないだろ!」 「う・・・・・・・・・・」  鋭いところを疲れ、2人とも返す言葉がなかった。  2人がようやく静かになるとティールはこれからの特訓の内容を話し出した。 「さて、これから特訓の内容を話すぞ!」 「何するんだ?薪わりとか言ったら怒鳴るぞ!」 「そんな事はしない。お前たちにはチームを組んで俺とバトルをしてもらう!」 「チ、チーム!?」 「こいつとか!?」  ティールの言葉に2人とも大声で叫んだ。  2人ともてっきり激しいバトルをするのかと思っていたため、ティールの言った内容 に驚きを隠せなかった。 「最近はポケモンリーグでも予選などで2人1組のバトルをやる所が増えている。今の 内に慣れたほうが今後とも役に立つんだ。」 「だからって・・・・・・・・・・・」 「こいつとか〜〜〜〜〜?」 「何か文句でも?」  鋭い視線が2人の体を貫き、2人はともに畏縮した。 「「べ、別に・・・・・・」」 「言っておくが、これはただのポケモンバトルの特訓じゃない。」 「どう言う事だ?」 「お前たちはハッキリ言って犬猿の仲に近い。そんなままじゃ何時、他の仲間に支障を きたす可能性が高い。」  ティールの言う事は最もであった。  2人は仲間になってからまだ日が浅く、毎日のように口喧嘩をやっていた。  普段の多少の喧嘩は問題はないが、ロケット団のような悪の敵と遭遇した時などはチ ームワークを乱しかねないのである。 「それに、お前達はまだ自分のポケモン達の力を存分に発揮させていない。この特訓 で、お前達には自分のポケモンの力を見極めてもらう。」 「見極めるって、俺は最初から・・・・・・・・・」 「それはバトルをすれば分かる事だ。」  そう言うと、ティールは2人から100メートル位離れると手持ちのモンスターボー ルを両手に1つずつ手に取った。  大樹もバトルをするのだとすぐに分かるとすぐに自分のモンスターボールを手に取っ た。  それに続き、克も自分のボールを手に取った。 「俺が2体出す。お前達は1体ずつ出して手加減なしてかかってこい!」 「しょうがない、言っとくけどこれは特訓でやるんだからな!」 「それはこっちのセリフだ!」  バトルが始まる前から2人は鋭く睨みあっていた。  流石にティールもこれを見ると溜め息を出さずにはいられなかった。 「じゃあ始めるぞ!バンギラス、ハッサム!!」 「だったらこっちは、行けニドキング!!」 「俺はキュウコンだ!!」  ティールがバンギラスとハッサムを出したのに対し、大樹はニドキング、克はキュウ コンを出した。  しかし、克が出したキュウコンは普通のキュウコンではなく、九本の尾が全部黄金色 に輝いていたのである。  普通のキュウコンは全体がレモン色、または薄い金色だが、克のキュウコンは尾が全 部黄金色に輝いているのである。  これはいわゆる色違いポケモンである。 「あ、お前色違いなんか持ってたのか!?」 「うらやましいだろ?」 「お前ら、バトルはとっくに始まってるんだぞ?」 「あ、そうだった!」 「全く・・・・ハッサム電光石火!バンギラス、地震!」  呆れながらもティールは先制攻撃を仕掛けていった。 「やば、ニドキング、ジャンプしてかわすんだ!!」 「キュウコン、ジャンプして炎の渦!!」  地震だけは避けるため、ニドキングとキュウコンはジャンプして地震を避けた。  キュウコンはジャンプと同時に地面に炎の渦を放ち、ハッサムは避けるために攻撃を 止めた。 「炎の渦の電光石火を防ぎ、そのままバンギラスにも攻撃か。いい技の選択だが・・・・・・・」 「ニドキング、毒針だ!!」 「バカ、岩と鋼には毒は意味ないぞ!」 「・・・・砂嵐!!」  克が一瞬、隙を見せた途端、バンギラスは激しい砂嵐を起こした。  バンギラスが起こした砂嵐はキュウコンの炎の渦と激突し、炎の渦は砂嵐に飲み消さ れていった。 「あ、しまっ・・・・・・!!」 「スピードスター!!」 「な、後ろ!?」  気付いた時にはハッサムがキュウコンの真後ろに立ち、近距離からスピードスターを 放った。 「コ〜〜〜〜ン!!」 「キュウコン!!」 「何やってるんだ、ニドキング、破壊・・・・・・・・・・」 「ハッサム、メタルクロー!バンギラス、アイアンテイル!」  大樹は冷静さを失ってしまい、間違って効果のない技を指示してしまった。  だが、完全に指示が届く前にハッサムのメタルクローでバンギラスの所まで飛ばされ てしまい、さらに続けてアイアンテイルを受けてしまったのである。 「ニドキング!!」 「キュウコン、ハッサムに火炎放射!!」 「影分身!」 「クソッ!だったら炎の渦!!」 「遅い、切り裂く!!」  圧倒的な勝負であった。  ニドキングに続き、キュウコンも倒れてしまった。 「そんな・・・・・・」 「くそぅ!!」 「・・・・・・・・・・・・当然の結果だ!」 「何だと!?」  ティールは怒り口調で語った。 「お前達は連携が無茶苦茶なんだ。2人で息を合わせていたらハッサムの攻撃も見破っ ていたはずだ。バンギラスの砂嵐もニドキングが角ドリルで攻撃していたら砂嵐を破っ て炎の渦を成功させられていた。」 「う・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「そんなの・・・・・・・・・・・・・・・・」 「それに自分のポケモンの能力を全く出し切れていない。ニドキングは接近戦向け、キ ュウコンは怪しい光などでかく乱攻撃が得意だ。」 「あ・・・・!」 「そう言えば!」  すっかり忘れたため、ティールに言われて2人はハッとした。 「分かっただろう。いくら強くなっても、その強さを扱いきれなければ何の意味がな い。」 「・・・・・・・・・・・そうだな。」 「・・・・・悪かった・・・・・。」  克はその時初めて「悪かった」と2人に言った。  それを聞くと、ティールは表情を和らげた。 「さあ、特訓を続けるぞ!」 「あ・・・・・・・・おう!」 「おっしゃぁ!」 次回予告「俺は克と一緒に猛特訓を頑張ってるんだが、あの2人はどうしてるんだろう な?あの2人って言うのは望と隆史、まさかあの2人が兄弟だったなんてな〜!みんな 驚いてるんだけどあの2人はちゃんと仲良くしてるんだろうな?ま、それは俺じゃなく あの2人が自分たちでどうにかする事だからな!  次回 ポケモンリーグを目指して 〜望&隆史〜 」