第58話 ポケモンリーグを目指して〜留美&利奈〜 (あらすじ)ポケモンリーグに向けてそれぞれ別れて特訓をする事になった。そんな中 で、互いに兄弟だと認め合う事ができない望と隆史は喧嘩をしてしまい、その決着をポ ケモンバトルでつけることになる。だが、強い力のぶつかった衝撃で隆史が崖から落ち そうになる。何とか手で支えていた望も一緒に落ちそうになった時、隆史は望を兄と呼 ぶのだった。そして落ちそうな所をルギアに助けられ、2人はようやく仲良くなれたの であった。                   ○ 「メガニウム、はっぱカッター!!」 「フシギバナ、つるのムチ!!」  一方、渦巻き列島から遠い場所に位置する山の平原では留美と利奈がいた。  緑の広がるこの平原で2人は特訓を続け、確実にレベルを上げていった。 「今日はここまでにしよう!」 「そうね、戻ってフシギバナ!」  キリのいい所でバトルをやめ、2人はポケモンを戻した。  辺りはまだ明るいが、太陽は沈み始めていた。 「もうすぐ日没ね。」 「大樹ったら、きっとまだ特訓してるわよきっと!」 「言えてる♪」 「大樹って、本当に負けず嫌いなのよね〜。  留美は笑いながら大樹の事を話していった。  振り返れば大樹がトレーナーとなって旅立ってから一番長い付き合いなのが留美であ った。  悲しい事もあり、うれしい事もあり、たまに喧嘩をする事もあった。(たまに?) 「ふ〜ん、もしかして留美は大樹のこと好き?」 「えええぇぇ!!!!!」  分かりやすく留美は動揺した。  留美の顔色は真っ赤になり、必死で誤魔化そうとしていた。 「そ、そんなわけんない〜〜〜〜〜〜!!」 「絶対好きなのね・・・・・・」 「だ、だから〜〜〜〜〜〜!!」 「今の、すごくわかりやすいわよ?」 「そ、そんな・・・と言うより、利奈こそ望の事が好きなんじゃない!?」 「えぇぇぇぇぇ!?」  利奈のほうも凄く分かりやすかった。  冗談のつもりで言った留美もビックリであった。 「ほ、本当に好きだったの!?」 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 「まあ、乙女同士なんだから一緒に恋の話くらいいいんじゃない?」 「そ、そうね!」  顔を赤くしながら利奈も同意した。 「やっぱり、こんな風に旅をしてたら自然になっちゃうものなのかな?」 「さあ、私の場合、恋とかには全然したことなかったから・・・」 「じゃあ、大樹が留美の初恋!?」 「そ、そうなるかな?」  2人はどんどん恋の話をしていく。  大樹も望もこの光景には予想もしないだろう。 「あ、でも望と結ばれたらその弟の隆史とも家族になるんじゃ!?」 「そこが問題よ!」  隆史には少し可愛そうな話であった。  気付けば空は赤く染まり始め、ヤミカラスが飛んでいた。 「けど、きっとあの2人は気付いてないわよきっと!」 「言えてる!恋愛には鈍そうだもんね!」 「だから私たちが告白しないと気付かないわよ絶対に!!」 「間違いないわね!」 「今頃、くしゃみしてるわよあの2人♪」  と、その頃の大樹は・・・ 「ヘックシ!!」 「ん?風邪でもひいたのか?」 「バカでも風邪はひくんだな?」 「んだとぉ〜〜〜!!」  噂されて本当にくしゃみをする大樹であった。  そして望の方も・・・・ 「ハッ、ハックション!!」 「おわ、きたねえ!!」 「あ、ゴメン!!」 「風邪ひいたんじゃねえのか兄さん?海辺は冷えるから。」 「そ、そうかも・・・・。」  こっちも本当にくしゃみをしていた。  女の噂は凄いものである。 「本当にくしゃみなんかしてたりして?」 「まっさか〜、漫画じゃあるまいし!」  本当にひいてます。 「あ、そろそろ山小屋に戻ろうか?」 「そうね。」  2人は立ち上がると、平原の上のほうにある山小屋を目指していった。  しかし、そこに・・・ 「シャドーボールじゃ!」 「ゲンガ〜〜〜!!」  山小屋に帰ろうとした瞬間、彼女達の真上からゲンガーが襲い掛かってきた。 「キャァ!!」 「危ない!エーフィ、守る!!」  エーフィがあたる一歩手前で「守る」を使い、何とか防ぐ事ができた。 「ホウ、少しはできるようじゃの?」 「誰なの!?」 「フェッフェッフェ、なあに、ただの老いぼれさ。」  2人の目の前に現れたのは1人の老婆であった。  老婆の周りにはゲンガーのほかにゴースト、アーボックなどがいた。 「あ〜、も、もしかして!!」 「え?」 「フェッフェッフェ、そっちの子はあたしが誰かしっとるようじゃのう?」  留美が大声で驚き、老婆はニヤリと笑みを浮かべた。 「あなたは元四天王のキクコね!!」 「ええ、この人が!?」 「昔の話じゃ。今はナイトメアの一員じゃよ。」 「ナイトメア!?」 「そんな・・・・・元四天王がナイトメアに!?」  2人が驚くのは無理もなかった。  あの最強とまで言われた四天王だったキクコが自分達の新たな敵、ナイトメアのメン バーの1人であったのである。 「全員が四天王クラスって、この事だったのね。」 「フェッフェッフェ、その様子じゃと、どうして襲ってきたのかはわかっとるようじゃ の?」 「・・・私たちが邪魔って事でしょ?」 「その通りじゃ。」 「た、戦うって事?」 「かなりまずいけどね・・・・。」  既にゲンガーは攻撃態勢に入っている。  今の彼女達のレベルでは何処までいけるかは分からなかったが、それでも戦うしかな かった。 「ゲンガー、ナイトヘッドじゃ!」 「エーフィ、サイケ光線!!」  とっさに留美は指示を出すが、ゲンガーの「ナイトヘッド」が圧倒し、エーフィに直 撃した。 「エーフィ!!」 「今は日没時じゃ、太陽ポケモンなどほとんど力は発揮できまい。」 「だったら今度は私が!フシギバナ!!」 「フェッフェ、炎のパンチじゃ!」  いきなりゲンガーはフシギバナの弱点の技を出してきた。 「光の壁!!」 「ほお、いい技をもっとるのう。」  タマゴから生まれたポケモンだったため、「光の壁」を覚えていた。  ゲンガーの「炎のパンチ」も違うタイプだったので威力は小さく、どうにか防ぐ事が できた。 「はっぱカッター!!」 「サイコキネシスじゃ!」  無数の「はっぱカッター」もゲンガーの「サイコキネシス」の前では無力であった。 「そんな・・・」 「つ、強すぎるわ!」 「フェッフェ、ここまでじゃな。ゲンガー、シャドーボールじゃ!」  最初のよりも強い力を込め、ゲンガーは2人にめがけて「シャドーボール」を放とう としている。  フシギバナも今は日が沈んでしまい、最大技を出す事ができない。 「放つんじゃ!」  ゲンガーが「シャドーボール」を放った。  そしてキクコの目の前で大爆発が起きた。 「フェッフェッフェ、戻っておいでゲン・・・・・」  キクコも目を疑った。  目の前で倒れたのはゲンガーの方だったのである。  そしてさらに現れたのは・・・・ 「ス、スイクンじゃと!?」 「ま、間に合ったわ!」 「おのれ、ミラーコートか!?」  スイクンのミラーコートで攻撃を倍返しで受けたゲンガーは倒れてしまったのであ る。  ゲンガーは同じゴーストタイプに弱かったため、効果は抜群であった。  だが、「ミラーコート」は自分もダメージを受けるのでスイクンも大ダメージを受け てしまった。 「ごめんねスイクン・・・・・」 「・・・・小娘が!」 「ダグトリオ、穴を掘る!!」 「チィ!」  キクコの背後にいたゴーストとアーボックは地面からの攻撃を受けた。  攻撃したのは利奈のディグダが進化したダグトリオ、どれも毒タイプなので効果は抜 群であった。 「やったわ!」 「じゃが、その程度のレベルでは倒れんぞ?」  そう言うと、ゴーストとアーボックは起き上がってダグトリオに攻撃してきた。 「ゴースト、アーボック、ギガドレインじゃ!」 「あ、ダグトリオ!!」  一気に体力を奪われ、ダグトリオは倒れてしまった。  そして利奈にもその牙を向けてきた。 「あ、利奈!!」 「フェッフェッフェ、もう遅い!」  と、その時であった。 「ネイティオ、サイコキネシス!!」  空から強力な「サイコキネシス」が降りかかってきた。  そのパワーを受け、ゴーストとアーボックは一撃で倒れてしまった。 「な、何じゃと!?」 「そこまでよ!」 「あ、スティンガーさん!」  現れたのはティールの相方のスティンガーであった。 「おのれ、覚えておくんじゃぞ!」  そういい残すと、キクコは「黒い霧」に包まれながら消えていった。 「帰りが遅いから来てみたら正解だったわ。」 「あ、ありがとうございます!」  利奈はスティンガーに礼を言った。  今回は四天王クラスのスティンガーのお陰で助かった。  しかし、ナイトメアの魔の手はまだ始まったばかりなのである。 次回予告「残った最後の1組の英人と昇也はワカバタウンの北部で特訓をしていた。し かし彼らにもナイトメアの魔の手が忍び寄り、2人はあっという間に追い詰められてい く。果たして彼らの運命はいかに!?  次回 ポケモンリーグを目指して〜英人&昇 也〜 」