第60話 開幕!ポケモンリーグ (あらすじ)特訓を続けている大樹達にナイトメアが魔の手を伸ばしてきた。英人と昇也 の元にも仮面の男が襲い掛かかり、英人と昇也は男とバトルを仕掛けるが、あまりに男 の方が強く、2人は手も足も出せなかった。だが、昇也のウツボットが「居合い切り」 を出したさいに男の仮面が割れ、男は顔を隠しながら去り、彼らは助かったのだった。                  ○ セキエイ高原・・・・・・・・  彼らが特訓を始めてから数週間後、大樹達は特訓を終えてセキエイ高原に集まってき ていた。バッチも特訓期間中に全員が8個そろえる事ができ、全員が再びセキエイ高原 で再会する事ができたのだった。 「よっ!久しぶり♪」 「やっほ〜、元気だった?」 「大樹の場合、元気じゃないほうがおかしいと思うが?」 「確かに♪」 「んだとぉ〜〜〜!?」  相変わらず賑やか一同であった。だが、彼らの中にはティールらはおらず、彼ら8人 しかいなかった。8人は特訓のせいか、ずいぶんとたくましく成長していた。  服装も別れる前とは変わっており、そこからも彼らの成長がうかがえた。 「にしても、凄い数だよな?」  彼らがいるのはセキエイ高原の中心街だが、そこには数え切れないほどの人が集まっ ており、そのほとんどがポケモントレーナーであった。みんなポケモンリーグに出場す るために集まっており、すでにお気に入りのポケモンを外に出しているトレーナーも少 なくはなかった。 「お、あそこにいるのキングラーだぜ!」 「カワイイ、あそこにピッピがいるわ〜〜!」 「おいおい、落ち着いてよ2人とも!」  大樹と留美は町中にいるポケモンに夢中であった。どのポケモンもよく育っており、 そのポケモンとバトルをするのだと思う大樹は落ち着いて入られなかった。 「あ、そろそろ受付に行かないと!」 「そうだな、さっさと行くぞ!」 「お〜、お兄ちゃんと仲良しになったみたいだね隆史〜〜〜〜♪」 「な、五月蝿いぞそこ!!」  隆史は顔を赤くしながら怒鳴り、望は苦笑いをしながら喧嘩している隆史と大樹を見 ていた。 「それはそうと、早く受付に行かないと予選も出られないわよ!!」 「そうだった!」 「おう、逃げるな!!」 「本当に五月蝿い奴らだ。」  怒る隆史をから逃げるように大樹は走っていった。その後を隆史も怒鳴りながら追い かけていき、他の一同もリーグの受付場に向かっていった。  だが、彼らが街から去って行た後、彼らの背後を見る影が幾つもあった。だが、その 姿は普通のトレーナーに見えたため、誰も怪しむ事はなかった。 「フェッフェッフェ、ここに来るのは久しぶりだねぇ。」 「・・・・・・どうやら奴らは来ていないようだな?」 「だが、奴らは全員来ているのか・・・・・少し厄介だ・・・・」 「それはお前だけだがな・・・・・・」  その者達の姿はしばらくするとその場から消え、街は何もなかったかのように賑やか になっていた。 ポケモンリーグ受付会場・・・・・・  街の中心街から離れた所にはポケモンリーグの施設が多く建ち、ポケモンセンターや リーグの選考会場などがあった。  大樹達は建ち並んでいる建物の1つ、リーグの受付会場の中にいた。彼らは受付に持 っているバッジを全部見せるなど、いろいろと手続きを行っていた。 「ハイ、確かにバッジを確認いたしました。これが皆さんのポケモンリーグ参加証とパ ンフレットです。」 「お、これか〜〜?」 「ありがとうございます!」  大樹達は参加証とパンフレットを受け取り、リーグへの参加手続きを終えて建物から 出て行った。 「え〜と、予選は今日から始まるようだな?」 「うん、一緒に受付はしたけど、予選ブロックは選考会場で決めるみたいよ?」 「んじゃ、さっそく行こうぜ!」 「案外、みんな同じブッロクだったりして・・・・・・」 「まっさか〜〜〜〜?」  彼らは知らなかった。  このポケモンリーグに迫り来る悪意に・・・・・  今の彼らはポケモンリーグのことで頭が一杯になっている。 「さ〜て、早く選考会場に・・・・・・」 「あ〜〜〜〜〜!!」 「ど、どうした留美!?」 「選手村にチェックインするの忘れてた!!」  留美は慌てて喋りだした。 「どうすだよ、選考はもうすぐだぞ!?」 「とにかく私はチェックインするからみんなは選考会場に行ってて!」 「あ、私も行くわ!」 「しょうがねえな。」  留美と利奈は選手村にへと走っていった。そして残った6人は予選の組み合わせを決 めるため、選考会場へと足を運んでいった。会場に近づくと街にいた数倍の数のポケモ ントレーナーが集まり、大混雑になっていた。 「うわっ、凄い数!」 「これじゃあ前に進め・・・うわっ!」  言ってる傍から6人は大勢の人並みに飲み込まれてしまった。子供の彼らにはこの人 並みはきつく、みんな押しつぶされそうだった。 「うわっ、大丈夫か兄さん!?」 「うん、こっちは・・・でも大樹達が・・・」 「え?」  隆史は視線を大樹達が飲み込まれた法を振り向くと、大樹と克はいわゆるごつくて汗 臭い体育会系のトレーナー軍団に押し詰められていた。 「おがぁ〜〜〜、助けてくれ〜〜〜〜!」 「くっさ〜〜〜!」  筋肉や汗臭さの地獄に苦しめられていた。 「・・・俺達はラッキーだったな兄さん・・・・・」 「うん、そうだな隆史・・・・」  わずかな幸運を喜ぶ兄弟であった。  そして数分後、大勢のトレーナーが集まる中で予選のブロックを決める選考会が始ま った。 「お、始まるぞ!」 「あ・・・あぁ・・・・・」 「おい、大丈夫か?」 「へ、平気だ・・・・・」  ほとんど魂が抜けているような状態になっていた。 「あ、出てきた!」  目の前にあったいくつもの大型モニターに次々と予選のブロック別のメンバーが表示 されていった。もちろん、その中には大樹達の顔ぶれもしっかりと表示されていた。 「ラッキ〜、予選では俺たちあたんないようだな!」 「それじゃあ、戦うのは本戦になるね!」 「それまで残っていられたらの話だがな。」  大樹達8人は同じブロックにはいなかったが、各ブロックの人数は10人以上で容易 に勝ち進めそうには見えなかった。しかも、当然の事ながらジムバッジを8個以上集め ているので実力はジムリーダー以上なのは言うまでもない。  だが、そんな時でも大樹達は緊張の素振りもせず、ただ何時ものようにはしゃいでい るのだった。 「え〜と、今日の予選試合は・・・・・あ、僕と大樹のがあるね!」 「よっしゃぁ、初日からぶっ飛ばしてやるぜ!!」 「飛ばしすぎてこけたりするなよ。」 「余計なお世話だ!」 数時間後・・・・・  予選の組み合わせが決まってから数時間が経ち、ついにポケモンリーグの予選が開始 された。 「サンダース、シャドーボール!!」 「ああ、ゲンガー〜〜〜〜!」 「ゲンガー戦闘不能、サンダースの勝ち!よって望選手の勝ち!」  予選初日の第1試合は望の試合であった。望は特訓の成果を存分に生かし、相手のト レーナーに三ダース1体だけで圧勝したのだった。 「やったな望!」 「まあね♪」  サンダースをモンスターボールに戻し、望はバトルフィールドから大樹達の所に戻っ ていった。  大会初日とは言え、予選会場は複数あったため、今日だけでもかなりの試合が行われ ていた。 「次は大樹の番よ!」 「よ〜い、いっちょ派手に行くぜ!」  そして大樹は今いるスタジアムを出ると、自分の試合を行うスタジアムに向かって行 った。 「一緒に頑張ろうなみんな♪」  大樹はモンスターボール越しに自分の相棒達に声をかけながら走って行った。その中 には最初のポケモンであるバクフーンももちろん入っている。  ポケモンリーグの予選はアニメと同じ、「岩」「水」「氷」「草」などの様々なフィ ールドに別れ、そこで手持ち3体のポケモンでバトルを行うのである。大樹の最初の戦 いは「草」のフィールド、大樹はバトルをワクワクしながら試合会場に向かって行った。 「草」のフィールド・・・・  既に観客満員になっているこの会場、バトルフィールド全体が草木に覆われている。  大樹はワクワクしながら自分の持ち場についている。大樹側の観客席には英人達も全 員で大樹のバトルを待っていた。  そして審判がフィールドに現れると反対側からも対戦相手が姿を現した。 「それでは、ただ今よりポケモンリーグ予選、Dブッロク第2試合を始めます!」 「ようし、みんなで暴れるぞ!」 「Dブロック第2試合、大樹選手対瑞郎(ミズオ)選手!」  対戦相手は大樹より年上の青年であった。 「子供とは言え、手加減はしないからな!」 「ヘッ、そう言ってられるのも今のうちだぜ!」 「時間無制限、試合開始!」  ついに大樹のポケモンリーグ初バトルが始まった。 「イッケ〜、バクフーン!!」  大樹が最初に出したのはパートナーのバクフーンであった。 「炎タイプ、ならこっちはニョロボン!」 「やっぱり水タイプか・・・・!」  当然、相手もバカではないので炎タイプに強い水タイプを出してきた。相性ならバク フーンが明らかに不利だが、大樹の目は負ける気は全くなかった。 「ニョロボン、バブル光線!!」 「電光石火で交わすんだ!!」  ニョロボンはバブル光線を放ち、バクフーンは電光石火で交わした。 「煙幕だ!」  口から大量の煙幕を放つとバクフーンもその中に隠れた。フィールドは煙幕で視界が 利かず、相手トレーナーも自分のポケモンの位置を見失っていた。  だが、 「ニョロボン、サイコキネシスで煙幕を掃え!!」 「ニョロ!」  するとあっという間に煙幕がフィールドからかき消されていった。 「へ〜、サイコキネシスを使えるのか。」  煙幕が晴れ、バクフーンがニョロボンの背後にいるのが見えた。 「バクフーン、電光石火!」 「させるか、ハイドロポンプ!!」  ニョロボンは素早く背後を向き、水タイプの最強技であるハイドロポンプを放った。最悪の場合、この一撃でバクフーンは戦闘不能になるのは間違いなかった。 「よし、やっ・・・何!?」  命中したかと思うと、ハイドロポンプはバクフーンをすり抜け、その直後にバクフー ンは煙のように消えた。 「しまった、影分身!?」 「今だ、雷パンチ!!」  気付けば、バクフーンはニョロボンのすぐ傍におり、強烈な一撃がニョロボンに直撃 した。 「ニョロボン!!」  間近での一撃で、しかも効果は抜群、ニョロボンは一撃で倒れてしまった。 「ニョロボン戦闘不能、バクフーンの勝ち!」 「やったぜバクフーン!!」  苦手なはずの水タイプに勝った事により、会場は一気に盛り上がった。  そしてバトルは完全に大樹のペースで進んでいった。 「イワーク、穴を掘る攻撃!」 「バクフーン、地震だ!!」  バクフーンは特訓のお陰で」今まで使えなかった技をどんどん繰り出していった。  だが、だからといって自慢の技を忘れたわけではなく、最後はこの技で決まった。 「ケンタロス、突進!」 「火炎放射だ!!」  灼熱の火炎放射がケンタロスを飲み込み、相手の最後の1体を倒した。 「ケンタロス戦闘不能、よって勝者・大樹選手!」 「やったぜバクフーン!」  なんと初戦から1体だけで勝ち進んだのだった。 次回予告「順調に勝ち進んで行く俺たち、だが、俺達の知らない場所であのナイトメア が動き始めていた。しかし、ナイトメアを止めようと、奴らの前に立ちはだかったのは ドラゴン使いのワタル、そして現・四天王だった。いったい、この後何が起きるって言 うんだ!?今、何かが大きく動き出した。  次回 影の戦い!ワタル&四天王VSナ イトメア 」