第61話 影の戦い!ワタル&四天王VSナイトメア (あらすじ)ナイトメアが影で動き出す中、ついにセキエイ高原でポケモンリーグが開催 された。初日は大樹の望の試合があり、最初に望が初戦を圧勝した。続いて大樹もま た、相棒のバクフーンで一回戦を圧勝したのだった。                  ○ ポケモンリーグ選手村・・・  予選も初日の日程は全て終わり、選手はそれぞれの宿泊場所で今日の疲れを取ってい た。 「大活躍だったなバクフーン♪」 「バク〜〜♪」  大樹はバクフーンの体をブラシで磨いていった。  ここは大樹達の宿泊しているロッジ、初日を終えた彼らは次の試合の準備をしたりしていた。 「明日は朝から試合があるな。」 「明日は英人や克も試合があるんだな。あ、俺の試合もある!」 「二日連続とは大変だな。」 「ま、こいつらがいるから平気だけどな♪」  バクフーンの手入れを終えると、大機はリビングに設置されているパソコンで日程を 見た。  今日初戦を終えた大樹は、明日も試合があるのだった。 「あ〜、さっぱりした♪」 「女の子はやっぱりシャワーがないと♪」  大樹達がパソコンで試合の組み合わせを見ていると、留美と利奈がさっぱりした姿で 現れた。 「じゃあ、私達は先に寝るけど勝手に部屋に入らないでよ!」 「誰も覗きたくはないから安心しろ!」 「その通り!」              ゴン!×2 「口は災いの元だね。」 「そうだな・・・」  約2名、余計なことを口にしてしまい、怒りの鉄拳を受けた。  そして留美と利奈は自分達の部屋に入って就寝した。 「いった〜〜〜〜!」 「自業自得だよ。」 「それより、俺達も早く寝ようぜ。明日も朝から試合があるんだからさ。」 「そうだな・・・・・。」  英人はモンスターボールを整理し終わると、ボールを持って自分の部屋に行った。  その後、大樹達はリビングの光を消すとそれぞれの部屋に入っていった。  みんなが寝付き、大樹達のロッジからは明かりが消えた。 一時間後・セキエイの外れ・・・・  大樹達が寝付いてから一時間後、セキエイの街外れの一角ではもう1つの戦いが始まっ ていた。 「フェッフェッフェ、久しぶりじゃのう。まさかあんた達があたしらを止めようとしとるかえ?」 「・・・キクコ、やはりお前もナイトメアにいたか・・・・」  いたのは只者ではなかった。  一方は英人達を襲ったナイトメア、そしてもう一方は・・・・ 「なるほど、最近誰かが嗅ぎ付けていたのは分かってはいたが、まさか新生四天王とド ラゴン使いのワタルさんだとは驚きました。  ナイトメアの数は十数人おり、その中には留美と利奈を襲ったキクコ、英人と昇也を 襲った仮面の男もいた。  その中で1人、ナイトメアの中で一番雰囲気の違う青年がマントを纏った男と対峙し ていた。 「ご紹介が遅れました。私がナイトメアの首領、シラマと言います。」 「・・・シラマ、お前達ナイトメアはポケモンリーグで何をするつもりだ?」 「それはお答えできませんワタルさん。しかし、どうしても知りたいのなら・・・・・」 「戦えと言う事か?」 「ええ、どの道あなた達は我々の障害となります。今ここで倒すのが最善の策ですの で・・・」  シラマがそう言うと、背後にいたナイトメアのメンバー全員が手にモンスターボール を握った。  同時に、ワタルの後ろにいた四天王もモンスターボールを手にした。 「ワタルさんの相手は私がしましょう。出てきなさいギャラドス!」 「ならば、こっちはカイリュウ!」  シラマはギャラドスを出し、ワタルはカイリュウを出して戦闘になりだした。 「フェッフェ、ちょいと遊んでやるんじゃゲンガー!」 「フフ、ではお婆さんのお相手はこのイツキが、行け、ネイティオ!」  キクコと四天王のイツキも戦いに入っていった。  そして残りも次々と戦いに入っていったが、数的には圧倒的にナイトメアの方が優位 であった。 「ギャラドス、凍える風!」 「カイリュウ、高速移動!」  もし、今が昼間だったとんでもない大騒動に発展していただろう。  ポケモンリーグでは見れないハイレベルな戦いが今、セキエイの一角で始まったので ある。 「竜の怒り!」 「竜の怒り!」  2つの竜の怒りが激突し、まるで花火が暴発したかのような爆発が起きた。  もはや、リーグとは別次元のバトルなのである。 「ギャラドス、火炎放射!」 「バブル光線!」  シラマとワタルの実力はほとんど互角に近かった。  だが、わずかながらシラマがワタルを押していっているのは2人だけが気付いていた。 「ギャラドス、カイリュウをメロメロにしなさい!」 「しまった!」 「これでカイリュウは攻撃に集中できません。ギャラドス、破壊光線!!」  一瞬の隙をつかれ、ワタルのギャラドスは痛い一撃をくらってしまった。  ナイトメアの力は明らかにワタル達の想像を超えていたのである。  別の所でも、四天王のイツキ、キョウ、シバ、そしてカリンがナイトメアに苦戦して いた。 「ネイティオ、自己暗示!そしてサイコキネシス!」 「ホウ、若いのに少しはできるようじゃのう?」  キクコも元・四天王と言う事もあり、今の四天王のイツキとも互角以上に渡り合って いた。 「カポエラー、トリプルキック!!」 「クッ、ガラガラ、砂嵐!!」  一方、仮面の男は四天王のシバと戦っていた。 「砂嵐でカポエラーを宙に飛ばして交わすとは・・・・・」 「今負ける訳には行かない。俺にはやらねばならない事がある。」 「やらねばならない事?」 「答える必要はない。ガラガラ、ボーンラシュ!!」  仮面越しだったが、男の目はまさしく真剣そのものであった。  この男には誰もにもいえぬ秘密があるようであった。 「カポエラー、高速スピン!!」 「原始の力!」 「電光石火!」  勝負はもはや互角、どちらかが少しでも気を許したらそっちが負けてしまう。  ガラガラとカポエラーも集中しながら戦闘を続けて行った。 「カポエラー、マッハパンチ!」 「吹雪!!」 「カポエラー!!」  カポエラーが素早くパンチをした瞬間、ガラガラの体から勢いよく吹雪が放たれた。  カポエラーも瞬時に後退したが、今ので片腕が凍り付いて使えなくなってしまった。 「まさかカポエラーが・・・・・」 「ガラガラ、ボーンラッシュ!!」  ガラガラは持っている力を存分に発揮し、カポエラーに会心の一撃を与えた。  その一撃でシバはまさかの敗北を喫したのだった。 「ハァハァ・・・・・今は・・今は負ける訳にはいかない。」 「(この男、ナイトメアでありながら悪意を持って動いてはいない・・。)」  仮面の男の正体はシバには分からなかったが、少なくとも悪人ではないと認識してい た。 「ヘルガー、噛み砕く!」  他の四天王も数は別とし、互角以上に戦うナイトメアに大苦戦していた。  決して彼らが弱い訳ではないが、この状況ではそう思われてもおかしくはないのだっ た。 「ギャラドス、最高パワーで破壊光線です!」 「く、プテラ!」  ワタルの方もカイリュウを倒され、今度はプテラで戦っていた。  だが、シラマのギャラドスの底知れぬパワーに押されるばかりであった。 「プテラ、岩雪崩れ!!」 「無駄です。放ちなさいギャラドス!!」  ギャラドスはフルパワーで破壊光線を放ちだした。  今のこの状況ではプテラは愚か、ワタルもただでは済まない。  かと言って、今の状況では交わす事などできそうにはない。 「せめてポケモン達だけでも!」  破壊光線が向かってくる中、ワタルは持っていたモンスターボールを攻撃の届かない 方に投げ出した。  だが、プテラを戻そうとした時にはすぐそこに・・・ 「ここまでか!?」 「これで、終わりです。」  シラマは冷静に破壊光線がワタルに向かっていくのを見ていた。  だがその時、 「守れ、バンギラス!!」 「「!?」」  何処からともなく声が聞こえてきたかと思うと、ワタルの前に一体のバンギラスが立 っていた。  そしてギャラドスの破壊光線を受け止め、無傷でワタルを守った。 「バンギラス・・・・まさか!?」 「そのまさかだ!」  その瞬間、そこにいた者全員がその少年の方を振り向いた。 「お前達、セキエイを焼け野原にする気か?」 「「ティール!!」」  現れたのは姿を現さなかったティールであった。 「・・・マズイですね。今のバトルで私たちのポケモンも疲れています。」 「フェッフェ、小僧、やっぱり来たのかえ?」 「今すぐこの場をされ!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」  その後、ティールの言われた通りにナイトメアはこの場を去った。  彼らにしても、今の状況でティールと戦うのは自殺行為だと判断したのだろう。 「済まない・・・・」 「礼はいらない・・・・。だが・・・・」  ティールは不安げな顔をしながら夜空を見上げた。  これから起きる事を知っているのは彼ら十神星だけである。 「あいつらには・・・辛いだろうな・・・・」 次回予告「予選も最終試合!流石に簡単には勝てそうにはないが、こんな所で負けたら 決勝トーナメントでみんなと戦えなくなってしまう。こうなったら本気で予選を突破し てやるぜ!  次回 予選突破!俺は絶対に勝つ!!」