第62話 予選突破!俺は絶対に勝つ!! (あらすじ)予選の初日を楽勝でクリアした大樹達は宿泊場所で1日の疲れを取っていっ た。そんな中、セキエイの外れではワタルと四天王がナイトメアと戦いを繰り広げてい た。だが、ナイトメアの予想以上のパワーにワタル達は苦戦を強いられてしまう。運良 く、やられる直前にティールが割り込み、どうにかナイトメアを追い払う事ができたの だった。                   ○ 「さ〜て、今日勝ったらいよいよ本戦だぜ!」  予選も着々と進んで行き、今日は大樹の予選最終試合の日である。  なお、既に英人と利奈の2人は先に予選を突破しており、今日勝てば3人目の予選突 破となる。 「大樹の最後のフィールドは確か水だったよな?」 「ああ、今日はオーダイルで決めてくるぜ!」 「電気タイプで来られたらやばいだろそれは!」 「水のフィールドは電気をよく通す!」 「分かってるって!」  流石に弱点に関する事くらいは大樹も理解していた。  だが、それ以上に注意しないといけないのは対戦相手の実力である。  ここまで来ると流石に相手も手強くなり、苦戦するのは誰でも想像はつく。 「確か今日の相手は・・・・・ゲッ、バッジ12個で参加してるわ!!」 「12個!?」 「平気平気!数が多けりゃイイってもんじゃないだろ?」 「それもそうだな・・・」  大樹は負ける気など全くないような口ぶりで言うとモンスターボールを身につけ、準 備満タンの体勢でロッジを後にしていった。 「水」のフィールド・・・・  予選もここまで来ると観戦客も初日の倍近くに増え、試合への期待も高まっていった。  すでに大樹はフィールドのベンチに入り、相手が来るのを待っていた。 「さあてと、もうすぐ時間だな?」  試合開始時間が近づき、大樹はベンチから立ち上がるとバトルフィールドに足を踏み 入れていった。  最後のバトルフィールドである「水」のフィールドは全体が1つの深いプールのように なっており、その中に足場となる円柱が複数あるだけであった。  そして時間が迫り、大樹と反対側には対戦相手が現れた。 「なるほど、君が最近噂になっている少年トレーナーか。」 「え、やっぱ俺有名?」 「・・・・・・・・」  対戦相手はマントを纏った青年であった。  しかし、大樹達は気付かなかったが、その青年はとんでもない人物であった。 「それでは、大樹選手対シラマ選手の試合を開始します。」  何と、大樹の対戦相手はナイトメアの首領、シラマなのであった。  もちろん、大樹はそんな事など全く知らないので何も疑いはしなかった。 「時間無制限、試合開始!」  審判の合図と共に大樹の予選最終試合が始まったのである。 「イッケ〜、オーダイル!!」 「こちらの一番手はモンジャラです!」  大樹は初めからオーダイルを出した。  それに対し、シラマは水に強い草タイプで勝負に出た。 「オーダイル、冷凍ビーム!」  相手が草タイプなので相手の苦手なタイプで攻撃する。  だが、相手のモンジャラは逃げようとはせず、むしろ立ちはだかっていった。 「モンジャラ、念力で攻撃の軌道を変えなさい!」 「何!?」  予想外の技が発動し、オーダイルの冷凍ビームはモンジャラではなくフィールドの水 面に直撃して水面を凍結させた。 「モンジャラは念力を使える事を知らなかったようですね。」 「く〜、やっぱ楽にはいかないな。オーダイル、頭突きだ!」 「ツルのムチ!」  オーダイルは力を込めてモンジャラに頭突きを当てようとするが、モンジャラは向か ってくるオーダイルをツルのムチで縛り付けて捕らえてしまった。  当たる前に捕らえられてしまい、オーダイルの技は不発で終わってしまい、それどこ ろか身動きができなかった。 「クソッ、水鉄砲!!」 「草タイプに水は無意味です。モンジャラ、そのままメガドレインです!」  縛られた状態でオーダイルはモンジャラに体力を吸い取れれていく。  だが、大樹はこの瞬間を逃さなかった。 「オーダイル、フルパワーでモンジャラに冷凍ビーム!!」 「!?」  縛られてモンジャラとの距離が短くなっていたのを大樹は逃さなかった。  しかも先ほどの水鉄砲で濡れていた為、全身が凍りづいてしまった。 「モンジャラ戦闘不能、オーダイルの勝ち!」 「驚きました。噂どおりの強さですね。」 「ヘッヘ〜、俺のポケモンはみんな強いんだよ♪」  だが、オーダイルもモンジャラの攻撃で体力を消耗し、このまま連続で戦うのは無理 そうだった。  大樹自身もそれには気付いたのでそのまま戦わせはしなかった。 「少し休んでなオーダイル!」 「・・・・・戻しましたか。」 「あんまり無理はさせられないからな!」 「なら、私の2番手はポリゴン2!」  大樹がオーダイルをモンスターボールに戻すと、シラマは2番手のポリゴン2を出し た。  ポリゴン2は珍しいため、大樹をはじめ観客も珍しそうに驚いた。 「スッゲェ、初めて見るぜ!」 「驚いている暇はないのではないですか?」 「そうだった、俺の2番手はフーディン!」  ノーマルとエスパー、タイプの相性ではどちらとも互角に見えた。  だが、ポリゴン2には「テクスチャー」「テクスチャー2」と言った技があり、容易 に攻略出来そうにない。 「フーディン、サイケ光線!!」 「テクスチャー2!」 「あ!」 「今のポリゴン2は悪タイプ、エスパーは効きません。」  いきなり使われてしまい、サイケ光線は全く効果をなさなかった。 「だったら目覚めるパワー!!」 「10万ボルト!」  2つの技の激突は凄い爆発を起こし、フィールド全体を波立たせた。  この衝撃には2匹ともダメージを受けてしまった。 「フーディン、自己再生だ!」 「ポリゴン2、電磁砲!!  回復を図るフーディンに相手は攻撃の手を止めなかった。  自己再生で身動きが出来なかったため、もろに直撃してしまった。 「フーディン!」 「どうやら麻痺の効果も出たようですね。ポリゴン2、とどめのトライアタック!」  電磁砲に続き、またしても大技がフーディンに襲い掛かった。  これでは自己再生も追いつけるわけがなかった。 「予めロックオンを使っておきました。」 「フーディン戦闘不能、ポリゴン2の勝ち!」  予選最後の試合とは言え、大樹も予想以上に大苦戦を強いられていた。 「3番手はデンリュウ!!」 「電気タイプ・・・ポリゴン2、テクスチャー2です!」 「綿胞子だ!!」 「・・・攻撃じゃない?」  シラマはてっきり攻撃してくるのかと思っていたため、少しだけ気が抜けていた。  ポリゴン2の周りを綿胞子が包み込み、身動きはできず、目の前も見えなくなった。 「よし、そろそろだ!」 「・・・・」  すると、何処からともなく何かがポリゴン2に向かってくる気配が感じられた。 「来た!」 「あ、まさか!?」  その瞬間、ポリゴン2の背後からエネルギー体が襲い掛かってきた。 「未来予知・・・・!」 「フーディンが倒れる前に出してくれてたんだぜ!」 「ですがその程度では・・・・何!?」  ようく見ると、ポリゴン2は今の攻撃で水の中に落とされていた。  ポリゴン2は前にテクスチャー2で地面タイプになっていたため、大きなダメージに なっていたのである。  こうなってはシラマもタイプを変えさせずにはいられなかった。 「テクスチャーでタイプを変えるのです!」 「待ってたぜ、デンリュウ、雷だ!」  ポリゴン2がタイプを変えた途端、デンリュウは雷をフィールド中に放った。  全体が水だらけだったため、ポリゴン2には効果絶大であった。 「ポリゴン2戦闘不能、デンリュウの勝ち!」 「よしゃあ!あと1体!!」  相手の手持ちが残り1体だけとなり、まだ2体いる大樹は余裕が出てきた。  しかし、相手はナイトメアの首領、本気を出さないとしてもここで引き下がる訳がな かった。 「では、私の3番手です。ムウマ!」 「ムウマか、だったらデンリュウ、10万ボルト!」 「サイコウェーブ!」  どちらの技も一向に引かないパワーを発揮し、またもや相殺した。 「デンリュウ、電磁波!!」 「サイケ光線!」 「ジャンプしてアイアンテイル!!」  電磁波でムウマの注意を引き、デンリュウはジャンプしてサイケ光線を交わすとその ままムウマにアイアンテイルをくらわせた。  落下の勢いもあり、ムウマには大打撃を与えた。 「雷パンチ!」 「・・・・・・これは中々の威力ですね。」  しかし、自分のポケモンがやられていると言うのに、シラマは相変わらず冷静だった。 「よし、次は炎のパン・・・」 「痛み分け!」  デンリュウが次の攻撃を出そうとしてムウマに近づいた直後、ムウマは「痛み分け」 を使った。  その効果でムウマの体力はいくらか回復し、逆にデンリュウは体力を減らしてしまっ た。 「しまった・・!」 「ムウマ、逃がさないように黒い眼差し!」 「くっ!」 「これでデンリュウはどちらかが倒れるまで逃げられません。ムウマ、嫌な音!」  鳥肌が立つような音が響き渡り、デンリュウも大樹も試合に集中できなくなっていった。 「ムウマ、シャドーボール!」 「マズイ、光の壁!!」  嫌な音で隙を作らせ、そのままゴーストタイプの最強技を放った。  デンリュウもすかさず光の壁で防御する。 「そう長くは続きませんよ?」 「何を〜〜〜〜、デンリュウ、俺達の本気を見せるんだ!」  するとデンリュウの光の壁の力が強まり、ついにはシャドーボールを最後まで防いだ。 「今だ、フルパワーで雷!!」 「ムウマ、サイコキネシス!」  凄まじいパワーのぶつかりが続いていった。  どちらも互角のパワーで攻めていくが・・・・・・・ 「あ・・・・・・・」  次の瞬間、デンリュウとムウマは同時に倒れてしまった。 「・・・参りましたね。」 「両者戦闘不能、よって勝者大樹選手!」  観客席からは一斉に歓声が上がった。  デンリュウは引き分けと言う形になってしまったが、それでも勝負には勝ったのであ る。 「・・・・今回は私の負けですね。」 「え?」 「また・・・・会いましょう。」  そう言い残すと、シラマは不敵の笑みを浮かべながらフィールドを去っていった。  この時、大樹はその意味が全く分からなかった。  だが、その真意はすぐに明らかになるのである。 次回予告「ついにポケモンリーグも決勝リーグが始まった。俺の最初の相手は待ってい ました英人!しかし、試合会場には不穏な影が渦巻いている。そして俺と英人の試合が 始まった途端・・・・・・ 次回 ナイトメア、災いの始まり 」