第65話 勝利への爆裂パンチ!! (あらすじ)ナイトメアのシブキとエイジにさらわれてしまった大樹と英人、その前に現 れたのは2人をさらったナイトメアの一味のシブキであった。シブキは大樹とポケモン バトルを始めるが、シブキのマグカルゴの前にオーダイルは一気に追い詰められてい く。                ○ 「これで終わりです!!」 「オーダイル!!」  マグカルゴは高速回転して転がってくる。  オーダイルは焼けどでその場を動く事ができない。  だが、オーダイルは直撃する直前でその拳でマグカルゴを殴りつけた。 「「何!?」」  命令なしで動いた事に大樹とシブキは驚いた。  オーダイルが出したのは「冷凍パンチ」、常に高熱のマグカルゴの体は今の一撃で亀 裂が走り、マグカルゴの殻は粉々に粉砕しだ。 「よし、よくやった!」 「マグカルゴの殻は冷えて固まった皮膚にすぎません。今の一撃でも簡単に砕けてしま うほどに。」 「知ってて今の攻撃を仕掛けたのか?」 「ええ、ですが負けてはいません。」  すると、何だか足元が熱くなってきているのが感じられた。 「マグカルゴ、火炎放射!」 「な・・・・・・!?」  その直後、オーダイルの足元から火柱が立ち、オーダイルを攻撃した。  それと同時に地面からさっき殻と一緒に砕いたはずのマグカルゴの殻のない姿が現れ た。 「あの殻はフェイクです。攻撃と同時に殻からでて地面に溶けていたのです。」 「だ、大丈夫かオーダイル!!」  大樹はオーダイルに声をかけると、オーダイルはやっとで立ちあがった。  だが、今の攻撃でオーダイルの体力はほとんどなくなっていた。  特訓やポケモンリーグの戦いで鍛えた事など関係なく、シブキのポケモンは強かった。 「マグカルゴ、とどめの大文字です!」 「ま、マズイ!オーダイル、フルパワーでハイドロポンプ!!」  渾身の力を込め、オーダイルはマグカルゴに向かってハイドロポンプを放った。  そしてマグカルゴの大文字と激突し、どちらも引けをとらずに押し合っていった。  オーダイルの体力が後わずかに対し、マグカルゴはまだ十分にあるのだった。 「ここまでですよ。」 「頑張れオーダイル!!」  大樹が叫んだ直後、オーダイルは今までにないくらいのパワーをハイドロポンプに放 った。  ハイドロポンプは大文字を押して行き、ついに大文字を破ったのである。 「何!?」 「いっけ〜〜〜〜!!」  渾身の力を込めたハイドロポンプはマグカルゴ(殻なし)に直撃した。  マグカルゴの体からは大量の蒸気があふれ出し、さらに急に冷やされた事から体が固 まっていった。  そして大樹は休むことなく攻撃を指示した。 「オーダイル地震!!」 「くっ、守る!!」  殻がなくても岩タイプのマグカルゴには効果は抜群だった。  だが、「守る」でマグカルゴも地震に耐えていった。  しかし、そこで終わる大樹とオーダイルではなかった。 「恩返し!!」 「な、かわしなさい!」 「遅いぜ!」 「何!?」  これにはシブキも驚いた。  大型のオーダイルは動きが遅いと思われたが、あっと言う間にマグカルゴの目の前ま で行き、攻撃したのである。 「オーダイルは大きな顎を支えているから足が頑丈で早いんだぜ!」 「しかし、これだけでは・・・・・・」 「どうかな?」  すると、シブキの目の前でマグカルゴは目を回しながら倒れたのである。 「・・・『恩返し』はポケモンが懐きに比例する攻撃技、まさか僕のマグカルゴが倒さ れるほどのパワーを出すとは・・・・・・」 「けど、どうやら引き分けだな。」  マグカルゴが倒れた後、力を使い果たしたオーダイルは緊張の糸が切れたかのように 倒れていった。 「ありがとなオーダイル、ゆっくり休んでいいぜ。」  大樹はそう言い、オーダイルをボールに戻した。 「まさかここまでのトレーナーとは・・・・・・。2人そろって末恐ろしいですね。」 「ん、何か言ったか?」 「いえ、では僕の2番手は・・・・グランブル!」 「ノーマルタイプか、格闘技が使えるのは・・ニドキング!!」 「そう来ましたか。」 「そう言えば、俺達のポケモンみんな回復していたな。」 「ええ、我らの首領の命令で回復させておきました。おそらく首領もこうなる事を考え ていたようですが・・・。」 「へ、それを後悔させてやるぜ!」  大樹の言うとおり、先の戦いでリザードンに倒されていたニドキングも元気になって いた。  かくして、ニドキングとグランブルのバトルが始まった。 「グランブル、冷凍パンチ!」 「ニドキング、かわしてアイアンテイル!」 「リフレクター!」  ニドキングはうまくかわしてアイアンテイルを出すが、グランブルはうまく防御した。 「リフレクターを使えるのか!?」 「甘く見ないことです。グランブル、体当たり!」 「こっちも体当たりだ!」  2匹は激しく体当たりをしていく。  小さな体に関係なく、グランブルのパワーはニドキングを上回っていった。  体当たりを繰り返すうちにニドキングはどんどん押されていった。 「グランブル、噛み砕く攻撃!」 「マズイ、影分身!!」 「無駄です、雷!」  複数の分身に対し、グランブルは地面タイプに効果はない雷を放つ。  ニドキングには効果はなかったが、分身には効果があり、一気にニドキングの分身は 消えた。 「シャドーボール!!」 「は、破壊光線!!」  ニドキングも破壊光線を出すが、シャドーボールが圧倒し、ニドキングに直撃した。  これでは「まもる」も使えない。 「こ、こらえるんだニドキング!」  凄まじいパワーに圧倒されるものの、ニドキングは何とかこらえていった。  そしてシャドーボールがなくなり、ニドキングは何とか耐え切る事ができたのだった。 「流石に頑丈ですね。なら、最後はこの面白い技で決めましょう。グランブル、指を振 る!」 「そんな技まで・・・・・・・!」  何が起きるのかは本人にも分からない「指を振る」、「自爆」「大爆発」なら引き分 けになるが、最悪にもエスパーか氷、水タイプの技が出たらいっかんの終わりである。  グランブルの指は光を纏いながら振られていく。  そして指の光が最高潮に達し、「指を振る」が発動した。 「さあ、どんな技が・・・・・ん?」  発動すると、グランブルは勝手にモンスターボールに戻り、それと代わってキングド ラが現れた。 「・・・・どうやらバトンタッチが出たようですね。」 「ドラゴンタイプ、だったらニドキング、冷凍ビームだ!」 「キングドラ、高速移動です!」  水のない場所だというのにも関わらず、キングドラは素早い動きでニドキングの攻撃 をかわしていった。 「では、バブル光・・・・」 「金縛り!!」 「へえ、そこまでできますか。」  今は弱点の技が出される前に止めるため、ニドキングは「金縛り」を出し、キングド ラは動きを封じられた。  だが、「金縛り」でも封じられるのはそう長くはないため、ニドキングは体力を振り 絞ってキングドラの方へ駆けて行った。 「袋叩き!!」 「く・・・・・・・」  思いっきり力を込め、キングドラをフィールドに叩き付けた。  だが、これしきではキングドラは倒せなかった。 「ハイドロポンプ!!」 「く、とにかく攻めるんだ!」  ニドキングはつかさず攻撃するが、殆どダメージを与えられずにハイドロポンプを食 らってしまった。  効果は抜群だったため、ニドキングはこの一撃で倒れてしまった。 「さて、次は何を出します?」 「(こうなったらいちかばちか)・・・ならフーディン!」 「フーディンですか・・・・。」  心の中で何かを思いつたのか、大樹はフーディンで勝負に出た。 「フーディン、サイケ光線!」 「高速移動、そして竜の息吹!」 「バリアーで防ぐんだ!それと・・・・」  攻撃は当たらなかったものの、何とか相手の攻撃を防いで力を温存していった。  しかし、動きの素早いキングドラが相手では攻撃を防ぐのもやっとであった。 「キリがないですね。キングドラ、フーディンに竜の怒り!」 「フーディン、フィールド全体にサイコキネシス!!」 「キングドラ、威力を上げていきなさい!」  勝負はサイコキネシスと竜の怒りの激突になった。  やはりキングドラが押して行き、フーディンがどんどん押されていった。 「これで3体目です・・・・・・ん?」  すると、キングドラの背後から何かが迫ってくるのが感じられた。 「まさか、未来予知!?」 「正解だ!フーディン、一気に勝負にかけろ!」  フーディンはサイコキネシスの威力を上げていった。  そしてキングドラの背後からも未来予知が迫ってくる。  だが、その一方でキングドラには異変が起きていた。 「な、どうしたんですかキングドラ!?」  キングドラは攻撃を殆ど受けていないのに顔色が悪くなってゆき、体力もバトルへの 集中力が減ったいった。 「あ、まさか・・・ニドキングがあの時に毒を与えたんじゃ・・・・・」 「ま、マズイ!キングドラ、守るです!」  今のままでは挟み撃ちと考えたシブキが「守る」を指示した。  そしてサイコキネシスと未来予知の攻撃を受けたが、何とか防ぐ事ができた。  しかし、そこが大樹の本当の狙いであった。 「今だ、アンコール!!」 「し、しまった!!」  大樹はチャンスを逃さず「アンコール」を支持した。  「守る」は連続ではほとんど成功しない技、今のキングドラは攻撃も移動もできな い。 「今だ、フルパワーでサイコキネシス!!」  その瞬間、フィールド全体はフーディンのエスパーエネルギーで充満されていった。  フーディンは力技の威力はないが、エスパーの技に関しては抜群のポケモンである。 「耐えるんだキングドラ!!」 「いっけ〜〜〜〜!!」  そして、力がおさまると、キングドラはフーディンの攻撃とニドキングの毒で倒れて いた。 「よっしゃ〜〜〜〜!」 「まさか僕のフーディンが・・・・・」 「どうだ、ハンデなんか必要なかっただろ?」 「・・・・それは、グランブルを倒してから言う事です。」  そしてシブキは最後の手持ちポケモン、グランブルを出した。  相性だけなら五分に見えるが、フーディンは防御力が低いため、直接攻撃を受けたら フーディンが明らかに不利である。 「言って起きますが、このグランブルは『癒しの鈴』を使えるので状態異常では倒せま せんよ。」 「分かってら、フーディン、サイケ光線!」 「グランブル、突進!」  グランブルは素早い身のこなしで攻めてくる。 「テレポートでかわすんだ!」 「騙まし討ち!」 「あ、マズイ・・!」  突進は来なかったものの、弱点の悪タイプの攻撃を受けてしまった。  さらにはフーディンに噛み付き、体から離れようとはしなかった。 「グランブルの噛み付く攻撃はそう簡単にかわせませんよ!」 「くそう〜〜〜〜〜」 「実力は明らかです。この辺で諦めてください!」 「絶対嫌だ!」  大樹は大声で怒鳴りつけた。 「確かにお前らは今までの誰より強い!」 「なら、無駄な勝負はやめて降参してください。」 「無駄じゃない、俺は相手が強いならさらに上に行くんだ。そうだろフーディン、お前 の本当の力を見せてやれ!」 「無理です。フーディンはキングドラのバトルで・・・・・何!?」  シブキは目を疑った。  フーディンはキングドラの時と同じ位のパワーでグランブルを自分の体から放してい った。 「バカな、何でこんな力があるんですか!?」 「気合だよ!フーディン、この一撃で決めるんだ!爆裂パンチ!!」 「!!」 「まいりましたね。まさか僕が負けるとは・・・・。」 「ま、俺達の実力を舐めて貰っちゃ悪いぜ!なあ、フーディン♪」  激しい戦いの末、大樹はシブキに勝利した。 次回予告「俺達は脱出しようとするが、その前に『虹色の羽』を取り返さないといけな い。だけど、その前に現れたのはまたしてもナイトメアの仮面の男、エイジという男だ ったが、何だか様子がおかしかった。そんな中、飛行要塞の別の場所では望達が駆けつ けていた。そして、俺達の前に明かされる衝撃の事実は・・・・!?  次回 仮面の 男の正体 」