第69話　激闘、ＶＳシラマ

(あらすじ)シラマとキクコを止めるため、飛行要塞の中枢部へと向かった。だが、シラ
マの作戦により、外に逃げられ、大樹達も鈴の塔へ向かうが、それさえもシラマの作戦
のうちであった。鈴の塔に一同が集結したとき、虹と共に空からホウオウが舞い降りて
きたのであった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　○

「これがホウオウ・・・・・・」
「凄く綺麗なポケモン・・・・・」

　その美しき姿に、大樹達は見とれてしまった。

「では、ホウオウ捕獲といきましょう！」
「あ、そうはいくか！！」

　シラマはモンスターボールを手にしながらホウオウへと近づいていく。
　大樹もそれを止めようとシラマに向かっていく。

「邪魔はさせません、エレブー行きなさい！」
「バクフーン、火炎車だ！！」
「エレブー、サイコキネシス！」

　エレブーは簡単にサイコキネシスでバクフーンを宙に浮かばせた。

「雷！」
「バ、バクフーン！！」

　大樹は今までに見た事のないパワーの雷を目にし、それがバクフーンに直撃するのを
見ているしかなかった。
　強烈な雷でバクフーンは麻痺し、サイコキネシスから解放されても身動きができなか
った。

「無駄な事を、あなた達には私を止める事はできません。あなた達はそこで大いなる瞬
間を見ていてください。」
「くそ、まだだ！」
「待てって、俺達だって奴らにカリがあるんだ。」
「そうよ、はい、この薬でバクフーンを回復させてあげなさい。」
「みんな・・・・」

　留美は大樹に回復の薬を渡し、留美や英人、望達はシラマの前に立ちはだかる。

「無駄な抵抗は止めてください。」
「やってみないと分からないわ！メガニウム、はっぱカッター！」

「そう言う事、カメックス、ハイドロポンプ！」
「どうやら痛い目に遭わないと分からないようですね。エレブー、雷パンチ！炎のパン
チ！」

　２対１にも関わらず、エレブーはメガニウムとカメックスに弱点の攻撃を同時に与え
ていった。
　メガニウムとカメックスは今の一撃で火傷、麻痺を受けてしまった。

「カメックス！！」
「メガニウム！！」
「分かりましたか？では、今度こそホウオウを手に入れます。出てきなさいギャラド
ス、ホウオウにバブル光線！！」

　シラマはギャラドスでホウオウを攻撃してゆく。

　大樹達も何とか食い止めようとするが、エレブーが邪魔をして先に進めない。

「クソ〜〜、エンテイ、お前だけでもホウオウを守ってやるんだ！」
「ライコウ、お前も行くんだ！」
「スイクン、貴方も行って！」

　エンテイ達は大樹達の事を心配しながらも、指示通りに自分達の主君の元へと向かっ
て行った。

「邪魔をしても無駄です。片付けて来なさい、カブトプス！ラフレシア！」

　シラマも邪魔をさせまいと、カブトプスとラフレシアをエンテイ達に放った。
　エンテイ達もどんどん攻めていくが、レベルが高いシラマのポケモン達はそれを容易
に受け流していった。

「フーディン、サイコウェーブ！！」
「ゴルダック、破壊光線！！」

　大樹達もエレブーを倒そうとするが、エレブーはトレーナーの指示なしでも攻撃を受
け流していった。
　何とか倒そうにも、レベルが違いすぎたため、大樹達のポケモンだけが傷ついていった。
　しかし、

「カイリュウ、竜の怒り！！」
「ワタルさん！？」

　ワタルのカイリュウが大樹達のポケモンと一緒に攻撃してきた。
　ワタルは一度シラマに負けていたが、レベルだけは大樹達よりも一番シラマのポケモ
ンに近かった。
　カイリュウの攻撃は大樹達のポケモンの攻撃に隠れていたため、エレブーに直撃した。

「今は卑怯などと言ってはいられない。今のうちにエレブーを倒すんだ！」
「ハ、ハイ！カメックス、メガトンパンチ！」
「フーディン、サイケ光線！！」
「リザードン、火炎放射！！」

　大樹達は一気に攻撃していった。
　エレブーが体勢を取り直さない内に攻撃したため、何とか攻撃を全部命中させる事が
できた。

「よし、何とか倒せた。後はシラマだ！」

　大樹達は急いでホウオウと戦っているシラマに向かっていた。
　だが、その先で見たのは・・・・

「エ、エンテイ！！」
「ライコウ！！」
「スイクン！！」

　信じられない事に、あの３匹が倒されていたのである。
　倒れているエンテイ達の前には、シラマのカブトプスとラフレシア、そしてゲンガー
が立っていた。

「フェッフェッフェ、３対３じゃ、卑怯ではないぞ？」
「そんな、お前たちが・・・・・」

　そんな中、キクコの背後ではシラマとギャラドスがホウオウと戦っていた。
　おそらく、あのギャラドスがシラマの最強のポケモンなのか、そのパワーはホウオウ
と互角に渡り合っていた。

「ギャラドス、竜巻です！」

　ホウオウも「聖なる炎」などで凄まじいバトルを繰り広げていくが、このままでは時
間しだいではシラマに捕獲されてしまいそうであった。

「先には行かせんよ。」
「くそっ、こんな所で時間をくっている場合じゃないのに！！」
「任せて、こうなったらこいつで何とかしてみる！」
「え、兄さんまさか！？」
「あ・・・望、まさか・・・・」
「うん、今はそうするしかない！」

　そう言うと、望は１つの紫色のボールを投げた。

「任せたよ、ルギア！！」
「出しよったな！」
「ルギア、ゲンガー達にサイコキネシス！！」

　その巨体がゲンガー達の前に立ちはだかり、大樹のフーディンとは比べ物にならない
サイコエネルギーで攻撃していった。
　ただでさえレベルが高いルギアだったが、特訓のお陰でさらにレベルが上がっていた。
　そのパワーの前にキクコのゲンガーは一撃で倒れた。

「ス、スゲエ・・・・・・！！」
「ルギアは兄さんの切り札なんだったんだけどな・・・・。」
「そ、そうだったんだ・・・・」

　みんなルギアのパワーに唖然とした。
　シラマのポケモンもサイコキネシスをもろに受けてしまいったが、そう簡単には倒れ
なかった。

「マズイ、オーロラビームが来る！」
「そうはさせないわ！フシギバナ、ソーラービーム！！」
「バタフリーもソーラービーム！！」

　利奈のフシギバナ、隆史のバタフリーは一斉にソーラービームを放った。
　運良く、今は雲が殆どない晴天であったため、光の吸収に時間をかけずに素早く放つ
ことができた。
　２つのソーラービームはカブトプスのオーロラビームと激突し、互いに引けをとらず
にぶつかっていた。
　だが、残ったラフレシアが・・・

「あ、ラフレシアが・・・・！！」
「邪魔をさせはしない、カイリュウ、破壊光線！！」
「バクフーン、火炎放射！！」

　すかさず大樹とワタルもラフレシアを攻撃する。
　そして、戦いに勝ったのは・・・・・

「バタフリー、とどめのサイケ光線！！」
「バクフーン、火炎車だ！！」

　バクフーンとバタフリーが最後の攻撃をし、カブトプスとラフレシアを倒した。

「やったぜ！」
「よし、今度こそ・・・・・・あ！」
「どうした昇也！？」
「おい、奴が持っているボールって・・・・・」

　昇也は愕然とした表情でシラマの方を指差した。
　そして、一同はシラマがその手に持っているものに驚きを隠せなかった。

「マ、マスターボール！！」
「そんな・・・何であいつが持ってるんだ！？」

　確かにシラマが持っているのはマスターボールであった。
　シラマは捕まえようと思えばいつでも捕まえる事ができる。
　ただ、確実に捕獲するため、動きを封じるために戦ってホウオウの体力を削っていっ
たのである。

「流石に手ごわいですね。まさか私の最強のポケモンであるギャラドスと互角の力を持
っているとは驚きました。」
「まずいぞ、このままでは・・・・・！！」
「そうはさせるか、行くぞバクフーン！！」

　大樹はバクフーンに乗り、シラマがマスタボールを投げるのを止めようとした。
　だが、その時にはシラマはボールを投げかけていた。

「バクフーン、煙幕を思いっきり出すんだ！！」
「！？」

　バクフーンは大量の煙幕を放ち、シラマとホウオウを丸ごと飲み込んでいった。
　辺りは夜のように漆黒に包まれ、シラマはその時にボールを投げてしまったので正確
な狙いは定める事ができなかった。

「くっ、こんな時に！！」
「ホウオウはお前に渡さない！！」

　そのまま大樹もバクフーンと一緒に煙幕の中に突っ込んだ。

「ギャラドス、ホウオウを捕まえるんだ！」
「そうはさせるか！！」

　その瞬間、ほとんど偶然だが、大樹はシラマと正面衝突してしまった。

「どわぁ！？」
「クッ・・・・・！」
「大樹！」
「大丈夫か大樹！？」
「いててて・・・・・・・」
「くっ、ホウオウは・・・！？」

　煙幕は晴れ、その中からはまずホウオウが姿を現した。
　そして次に、正面衝突した大樹とシラマが姿を現したのだが・・・・

「く、何処までと邪魔をしてくれますね・・・・」
「それはこっちの・・・・・・・ゲっ！！」

　その時のシラマの顔は全く別のものであった。
　シラマの顔、いえ、仮面の顔、正確にはメタモンでできていた偽の顔が外れていたの
である。

「げ、仮面のおっさんに続き第２弾！」
「仮面のおっさん？」
「いぜん、俺と英人を襲ったナイトメアのおっさんの事だって！」
「あのう、その人俺の父さんなんだけど・・・・・。」
「「え！？」」
「そんな事より、あの顔・・・・」

　昇也の言う第２弾は別の意味であっていた。
　現れたシラマの素顔は大樹とよく似た顔であった。
　髪の色が違うだけで大樹とシラマはよく似ていた。

「これって・・・・」

　だが、その時・・・

　　　　　　　　　ピカッ！！

「！？」
「何だ・・・・！？」

　その瞬間、ホウオウと外に出ていたルギアの体が光を発し、あたり一面を飲み込んで
いった。
　大樹達はシラマと一緒に光の中に飲み込まれ、目の前が真っ白になっていった。



次回予告「光の先にいたのは幻のポケモン、セレビィであった。俺達は時の狭間に迷い
込み、周囲に映される世界の歴史に目を奪われていた。そして、俺とシラマの関係も明
らかになり、シラマはセレビィを捕まえようとするのだった。そんな事はさせない、お
前は俺が絶対に止めてやる！　　次回　セレビィ、映し出された過去　」