第71話 無敵のミュウツー (あらすじ)大樹はセレビィの力によって時空の流れの中に入った。そこで白真に襲われ るが、その時に2人の周りに過去の映像が映し出された。そしてその中で、白真は大樹 の生き別れの兄である事が発覚するのだった。だが、突然現れた時空の穴に吸い込ま れ、大樹は異世界、白真は別の場所に飛ばされて記憶を失った事も知るだった。そして 過去を知った白真は再びセレビィを捕獲しようとするが、そこにいるはずのない凶悪ポ ケモン、ミュウツーが2人に襲い掛かってくるのだった。                    ○ 「くっ、バクフーン、火炎放射!!」  大樹の都合など関係なく、ミュウツーは攻撃を仕掛けてくる。  大樹もバクフーンで戦うが、その圧倒的な力には手も足も出なかった。 「バクフーン、スピードスター!!」 「よしなさい、その程度の攻撃では・・・・・」  白真は止めようとはするが、それも無駄であった。  バクフーンの攻撃はミュウツーに簡単に防がれてしまう。 「くそ〜〜、何できかねえんだ!?」 「これは単にレベルが違いすぎるのです。今の君の力では逆立ちしてもかなう相手では ありません。」 「う・・・・・・・・・・・・・」 「・・・ギャラドス、雷!」  白真は何かを試すかのようにギャラドスに指示を出す。  ギャラドスはミュウツーに雷を放ち、ミュウツーはそれをサイコキネシスで防いだ。 「なるほど・・・」 「ん、何がなるほどなんだよ!?」 「あのミュウツー、確かに力は凄まじいですが使う技はエスパーとゴーストタイプの技 のみです。」 「あ、そう言えば!ミュウツーは凄く頭がいいからいろんな技を使えるハズだっての に、あいつは・・・・・・・!!」 「そう言うことです。何故かは分かりませんが、それが分かっただけでも対抗策が打つ 事ができます。」  そう言うと、白真は別のポケモンの入ったモンスターボールを手に出す。  白真はギャラドスを前から下がらせると、そのポケモンを前に出した。 「フォレトス、行きなさい!」 「フォレトス・・そうか、フォレトスなら相性がいい!!」 「フォレトス、ミサイル針!」  フォレトスのタイプは虫と鋼である。  虫タイプはエスパーに強く、しかも鋼にはエスパーとゴーストの技は効果が薄いので 今の状況では最適な選択である。  だが、ミュウツーはフォレトスのミサイル針をバリアーで防いでいった。 「・・・流石に相性が良くても楽にはいかないようですね。」 「そんな事言っている場合かよ!バクフーン、電光石火だ!」 「あ、よすんだ!!」  だがその時にはもう遅く、ミュウツーに襲い掛かったバクフーンは逆に金縛りにあ い、身動きを封じられていた。  そしてさらにサイコウェーブで攻撃されてしまった。 「バクフーン、うわあっ!!」  サイコウェーブはバクフーンだけではなく、その周りにいた者全てを巻き込んでいった。  大樹と白真もミュウツーのサイコウェーブを受けてしまい、頭が壊れるかのような激 痛が走っていった。 「うわぁぁぁぁぁぁ、あ、頭が〜〜〜〜!!」 「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」  2人とも両手で頭をおさえる。  白真も頭の激痛に長くは耐えられそうにはなかった。  だが、激痛が伝わってくる中、白真の頭の中では何かが浮かび上がるような感覚がし てきたのだった。 「うわぁぁぁぁぁl!な、何だ・・・・・・・」  その時、彼の精神は別の時間の中にいるようであった。  頭の中を横切る走馬灯のような映像、それはセレビィに見せられた自分自身の過去の 姿であった。 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」  白真の耳に大樹の叫び声が伝わってくる。  そして蘇ってくる家族の姿、幼い自分が愛していた存在を・・・・  ミュウツーによって失われた記憶、皮肉にもミュウツーによって蘇ってきたのであっ た。 「だ・い・・・・き・・・・・」  そしてミュウツーはさらにパワーを上げようとした。  だがその時、 「フォレトス、甘い香り!!」 「!!」  白真はまるで別人のような表情でフォレトスに指示を出し、フォレトスは全身から甘 い香りを放っていった。  そしてその香りはミュウツーの敏感な鼻にも伝わり、ミュウツーの戦意を揺るがし た。  戦意が揺るいだミュウツーは攻撃の手を止め、大樹達はサイコウェーブから解放され た。 「ギャラドス、竜の息吹!!」  隙を逃さず、素早く対応していった。  甘い香りの効果が続いていたため、初めて攻撃が命中した。 「あ・・・・痛くない?」 「大樹!!」 「え・・・・?」  白真は咄嗟に大樹を抱きしめた。  大樹は一体何が起きたのか分からなかったが、その時、大樹は何か凄く懐かしい暖か い感じがしたのだった。 「大丈夫か大樹!?」 「・・・・な、何だよいきなり!?」 「思い出した・・・・・。全部思い出した!」 「・・・・・・・・・兄さん・・・・・・・」  思わず大樹は白真に呟いた。 「記憶が戻ったのか?」 「ああ、全部思い出した。俺が、お前の兄だってことも!」 「て言うか、言葉づかいも変わってる・・・・?」 「・・・・・それは聞かないで・・・」 「うん・・・・・・・って、今はミュウツーが!!」  白真もハッとし、ミュウツーの方を振り向いた。  さっきのギャラドスの攻撃でダメージを受けていたが、既に自己再生を使って回復し ていた。 「ゲッ、回復している!」 「だが、さっきの『竜の息吹』で麻痺している。これでミュウツーも連続で攻撃はでき なくなった。」  だが、それでもミュウツーは強力な技を放ってきた。  シャドーボールを大樹達に目掛けてどんどん放っていく。 「マズイ!バクフーン、アイアンテイル!!」 「ギャラドス、竜の怒り!!」  バクフーンは自分の尻尾をバットのように使ってシャドーボールを打ち返した。  流石に凄いパワーだったが、バクフーンは力を込めて何とか打ち返し、体が麻痺して いたミュウツーに直撃した。  エスパーはゴーストタイプの技に弱かったため、効果は抜群であった。  さらにギャラドスの竜の怒りで二重のダメージが加えられたのだった。 「よし、どんどん行くぞバクフーン!!」 「危ない大樹!?」 「うわっ!!」  白真はいきなり大樹を押し倒した。  その直後、2人の真上を巨大なエネルギー球が直進して行った。  もし白真が押し倒さなければ確実に直撃していたはずである。 「み、未来予知!?」 「ギャラドス、竜巻!」  しかし、ミュウツーは攻撃された怒りでパワーが上がり、強力なサイコキネシスを放った。 「く・・・・あ、バクフーン!!」 「ま・・・ギャラドス、フォレトス!!」  その威力は凄まじく、今まで耐えてきたバクフーンも倒れてしまった。  ギャラドスとフォレトスも何とか耐え抜いたが、かなりのダメージを受けてしまった。 「・・・よく頑張った、戻れバクフーン!!」 「大樹、気をつけろ!また来るぞ!」 「く・・・こうなったら・・・」  だが、ミュウツーは既に力を貯めて強力なサイコキネシスを放とうとした。  もうダメかと思われたその時、 「リザードン、火炎放射!!」 「カメックス、ハイドロポンプ!!」 「メガニウム、はっぱカッター!!」 「ゴルダック、バブル光線!!」  別方向から声が聞こえてきたかと思うと、あらゆる方向からミュウツーに向かって攻 撃がやってきた。  攻撃は次々と命中して行き、ミュウツーの攻撃は不完全なままで止められた。 「今のは!?」 「大丈夫か大樹!?」 「大樹〜〜〜、死んでない!?」 「ちゃんと生きてる!!」  凄く腹が立ったものの、大樹の元にやってきたのは英人達であった。  英人達の先頭にはすっかり忘れていたセレビィがおり、セレビィがみんなをこの場所 に導いてきたのであった。 「あ、白真!これもお前の仕業か!?」 「克、これはその〜〜とにかくミュウツーはただの野生で、今はとにかくあいつを何と かするのが先決だろ!!」 「確かにそうだ!」  しかし、その時にはすでにミュウツーは更なる攻撃を仕掛けてきた。 「来た〜〜〜〜!!」 「リザードン、竜の怒り!!」  リザードンはお構いなしにミュウツーに攻撃していくが、ミュウツーのサイコキネシ スの前ではリザードンでさえ無力であった。  他のポケモン達もミュウツーに攻撃していくが、恐ろしいほどに強いサイコキネシス の前に次々と倒れていった。 「くそ、一体どうしたいいんだ!?」 「・・・・・大樹、何か聞こえないか?」 「え・・?」  白真は耳を澄ましながら何かを聞き取っていた。  大樹も周囲の様子に気を配りながら耳を澄ましていくと、戦闘の音と混じって何か別 の音も聞こえてきたのだった。 「何だ・・・・この音は・・・・・!?」 「それだけじゃない、さっきからこの場所の感覚がおかしくなっている。」 「それって・・・・・」 「おそらく、今までの戦いでこの場所自体のバランスが崩れてしまった。このままミュウツーを暴れさせたら何が起きるか分かったものじゃない!」 「なぬ〜〜〜〜〜〜!?」  時の流れの中の世界、ここでこのままミュウツーを暴れさせたら何が起きるかわから ない。  だが、少なくともあらゆる場所で時空の穴が生じるのは大樹にも想像はできた。  すでにこの時空間は歪みだし、バランスは大きく崩れだしていた。 「くそ〜〜〜、一体どうしたらいいんだ!?」  何が起きるか分からない大ピンチ、大樹はもはや手も足も出せなかった。  しかしその時、               ピカッ!!  何処からともなく眩い光が差し込んできた。 次回予告「ミュウツーの力によってバランスを崩す世界、けど、そこに現れた一つの 光、その光は俺達に何を導くのだろう。そしてミュウツーとの決着、セレビィが導く先 にあったのは・・・・・・・・・!?物語は終末は近づき、何が残るのだろう。  次 回 光の向こうに・・・  」