第72話 光の向こうに・・・ (あらすじ)大樹達はミュウツーと戦いに入った。だが、その圧倒的な力の前に大樹はお ろか、白真でさえも手も足も出せなかった。そんな中、ミュウツーのサイコウェーブを くらい、そのショックで過去の記憶を取り戻した。そして戦っている中、セレビィの導 きで英人達も参戦するが、ミュウツーの力の前にどんどんポケモン達は倒されていく。 だがその時、目の前に眩い光が現れた。                    ○ 「何だあの光は!?」  突然現れた眩い光、それは何処からともなく現れた。  光はボールのような形になって行き、大樹たちの目の前を遊んでいるかのように動い ていた。 「あ、あれってまさか・・・・!?」  大樹には見覚えがあった。  その光、中で生き物か何かが動いている気配が感じられた。  そして現れたのは、 「ミ、ミュウ!?」  現れたのはミュウツーの元と言われる幻のポケモン、ミュウであった。 「何でミュウが・・・・!?」 「いや、ミュウとミュウツー、互いに惹かれあって現れたとしてもおかしくはない。し かし・・・・・」 「けど、これかどうなるんだ・・・・・・・・・?」  敵のミュウツーもミュウの出現に反応し、攻撃の手を大樹達からミュウに変えた。  ミュウツーは構わずすぐにシャドーボールで攻撃してきた。 「やば、逃げろミュウ!」  だが、大樹の心配とはよそにミュウは遊んでいるかのように軽く交わしていった。  流石はと言うべきか、ミュウはミュウツーと対等にやりあっていった。 「あいつ遊んでるのか?」 「聞かれても困る。」  ミュウツーの強力な技もミュウの前ではほとんど意味を成さなかった。  2匹の戦いは続いていくが、それと一緒にミュウツーの力の影響で空間の歪みも激し さを増していった。 「・・・・・・って、何だか周りの様子がおかしいぞ!」 「マズイ、このままではみんな何処かに飛ばされてしまう!」 「でも、一体どうしたらいいのよ!?」  この状況ではどうする事もできない、そう思われた。  だがそんな時、戦いを見ていたセレビィがある行動に出た。 「ん、セレビィの様子が・・・・!?」  セレビィは全身から光のオーラを放出させていた。  そのオーラはミュウツーに向かって行き、ミュウに気を取られていたミュウツーはセ レビィのオーラを全身に受けていく。  すると、ミュウツーの体を纏っていた凶暴なエネルギーのオーラは次第に弱まって行 き、ミュウツーの攻撃も止まっていった。 「これは・・・・・?」 「ギガドレインじゃないのか?」 「いや、それだけじゃない!何か聞こえてくる!」 「これは・・・・鈴の音?」  すると、セレビィの体から綺麗な鈴の音色が聞こえてきた。  その鈴の音を聞くと、ミュウツーの体はミュウと同じ優しいオーラに包まれていく。 「綺麗な音〜〜〜!」 「ホント!」 「これは癒しの鈴・・・・けど、何だか違うような・・・」  音自体は「癒しの鈴」だったが、その効果は普通とは違っていた。  ミュウツーの体は光に包まれ、だんだんと小さくなっていった。  そして最終的にはミュウそのものになった。 「ミュウツーがミュウになった!?」 「いや、あれが本来のミュウツーの姿なんだろう。セレビィの力によって凶悪な姿から 元の姿に戻ったと言った所だな。」 「セレビィってあんな事もできるのかよ!?」 「流石にセレビィ狙ってるだけあるわね。」 「・・・・・・・・・・・・・・」 「言いすぎだろ留美、兄さんは記憶を取り戻すためにセレビィを探してたんだよ!け ど、もう記憶が戻ったからセレビィは捕まえたりしねえよ!」 「え、そうなの?」 「ああ!」 「と言うかちょっと待て大樹!!今、お前白真のこと何て言った!?」  その時、彼らの言葉は一時消えた。  そして、 「「兄さん!?」」  英人達は大声で叫んだ。 「どうも似てるかと思ったら兄弟だったのか!?」 「当たり前だろ!」 「いや、あたり前って言われても・・・・・・・・・・・」 「おい、みんなそんな事話してる場合じゃないぜ!」 「「え?」」  言われて気付くと、辺りは既に大変な事になっていた。  ミュウツーが正常に戻ったのはいいものの、既に彼らのいる場所は乱れまくっており、今にも何か大変な事が起きそうであった。 「何だか嫌な予感・・・・・・・・・・・」 「右に同じ・・・・・・・」 「一体何が起きるんだろう?」  だんだんと体も自由に動きにくくなってきている。  時空の流れは乱れて行き、彼らがその流れに飲み込まれるのは時間の問題であった。 「う・・・何だか体が流されているのは気のせいか?」 「気のせいじゃない、ホントに流されてるんだ!!」 「え〜〜〜〜〜!?」  叫んだ時にはもう遅く、まるで渦潮の中にいるかのように彼らは流れに飲み込まれて いった。  まるでSF映画のような渦に飲み込まれ、せっかくそろった大樹達も再びバラバラに なっていったのである。 「うわぁぁぁぁぁ!」 「みんな、手を繋ぐんだ!!」 「って、この状況じゃ無理よ〜〜〜〜〜!!」  流れに飲み込まれてゆき、次第に姿が少しずつ消えていった。  そして大樹も時空の渦の中に飲み込まれ、その中に消えそうになった。  だが、その直前に誰かが大樹の手を掴んだ。 「大樹!!」 「・・・・・・・兄さん!?」 「しっかりつかまってるんだ大樹!!」  白真は大樹の手をしっかりと掴み、大樹も白真の手をしっかりと掴んだ。  そして2人はしっかりと手をつかみ合ったまま渦の中に消えていった。 「・・・・・光!?」  目の前には1つの光が見えていた。  大樹と白真は目の前の光の中に飲み込まれていった。  そして、その先で見たものは・・・・・・・ 「ここは・・・・・・・・・何処かで・・・・」  光を超えた先にあったのはごく普通の街であった。  時空間から現実世界に出たようであった。  だが、目の前の光景には大樹だけでなく白真も見覚えがあった。 「この光景、そうだ!あの時の!!」 「セレビィが見せてもらったあの光景だ!!」  そう、目の前に広がる光景はセレビィが見せてくれた過去の映像によく似ていたので ある。  だが、あくまで似ているだけで同じではなった。  それもそのはず、ここはあの映像から十数年経っているのでセレビィの映像とは結構 変わっていた。 「ここは俺と大樹が生まれた街、元の時代なのか・・・それとも過去か未来か・・・・」 「あ、この看板・・・こいつは今年と同じだ!やっぱ、元の時代に戻って来たみたいだ ぜ兄さん!」 「そうか、それじゃあもしかしたら・・・・・!」 「あ、兄さん!?」  白真は大樹の手を引っ張り、ある場所にへと向かって走っていった。  大樹は白真のいきなりの行動に戸惑ったが、先に進むにつれてその真意が分かってき た。  そして、2人が走って着いた先にあったのは・・・・・・・ 「この家・・・・・・・・・」  その家はセレビィの見せた映像とほとんど変わっていなかった。  庭には綺麗な花や菜園が広がっており、数匹だけだが小型のポケモンも庭の中でお昼 寝をしていた。 「まだあったんだ・・・・・」 「しかし、あれからもう十年以上は経っている。父さん達がまだ住んでいるとは限らな い。」 「かもしれねえけどさ、そんな後ろ向きじゃ前に進めないぜ!」 「お前はいつも前向きだからな。」 「う・・・生まれつきなんだからしょうがねえだろ兄さん!!」 「そうムキになるな大樹、とにかく・・・・・・・」  と、白真が大樹の名前を口に出したその時、 「大樹!?」  2人の背後で1人の男が2人を驚いた顔をしながら見ていた。  大樹らも後ろを振り向くと一緒に驚いてしまった。  目の前にいた男、容姿は年を取って少し変わっていたが過去の映像で見た大樹と白真 の父親なのだった。 「父さん・・・・・・・・・」 「え、兄さん?じゃあもしかして・・・・・・・」 「『兄さん』?まさか白真、大樹と白真なのか!?」 「・・・・・ただいま父さん!」  白真は涙を堪えながら答えた。  記憶の中で蘇ってくる父親の記憶、それと同じ面影が目の前にいる。 「まったく、すっかり大きくなって!」 「え、うわっ!?」  その時、父親は大樹の体をギュッと抱き上げた。  大樹は突然の出来事に顔を真っ赤にしながら慌てた。  父親は大樹に見られないようにしながら涙をこぼしていた。  そして、父親の声が聞こえたのか、家の中から1人の女性が出てきた。 「どうしたのあなた・・・・・え!?」  その女性も大樹と白真の姿に驚きを隠せなかった。  まあ、親子と言う事もあり、父親に似ている2人が誰なのかすぐに分かった。 「白真・・・・・・大樹・・・・!!」 「・・・もしかして、母さん?」 「そうだ、お前の母さんだ大樹!」  母親も両手を顔にあて、大粒の涙を流していた。  そして、そのまま2人に駆け寄って2人を抱きしめたのだった。  大樹と白真、兄弟は懐かしい家族の温もりを感じたのだった。 「おかえりなさい。」 次回予告「ナイトメアの一件も終わり、再びポケモンリーグが始まった。だが、そこで 待っていたのは俺が今まであった中で最強のトレーナー、ティールであった。今までと は違うレベルの前に苦戦を強いられる俺!だけど、とにかく俺は本気でぶつかって行く だけだぜ!!  次回 大激突、大樹VSティール 」