第74話 エピローグ、未来へ・・・・ (あらすじ)ナイトメアとの一件が終わり、中断されていたポケモンリーグが再開され た。だが、大樹の対戦相手は信じられない事に、今まで彼らを影から支えていた少年テ ィールであった。バトルがは始まるが、その強大な実力の前にニドキングはハッサムの 前に倒されてしまう。だが、大樹はティールとのフルバトルを楽しみ、負ける気など持 たずに次なるポケモンを出していったのだった。                     ○ 「バンギラス、破壊光線!!」 「かわすんだオーダイル!!」  バトルは続いてゆき、今ではオーダイルとバンギラスの勝負である。  2人の試合は後半戦に入り、あの後は大樹のポケモンはニドキングを初め、ヨルノズ クやデンリュウも倒されていた。  一方、ティールの方はウインディだけが倒されていた。 「ハイドロポンプだ!!」 「バンギラス、冷凍ビーム!!」  相性ならオーダイルの方が良い。  オーダイルとバンギラス、どちらも大型のパワータイプのポケモンだが、実際はバン ギラスの方が圧倒的であった。 「原始の力!」  水タイプに有効な技は出さないが、自分のステータスを上げながら確実にオーダイル を追い込んでいった。  やはり後半戦にもなるとティールもいよいよ本気で勝負に挑んできた。 「バンギラス、砂嵐!」 「オーダイル、ハイドロポンプ!!」 「フッ・・・・・・・・」  ティールは既に大樹の考えを理解しているようであった。  バンギラスを包み隠していく砂嵐、そこにオーダイルはハイドロポンプを放つ。  大部分は砂嵐に弾かれていくが、次第に砂嵐自体も水分を含んでいった。 「今だ、冷凍ビーム!!」 「やはりそう来たか・・・・。」 「何!?」 「バンギラス、穴を掘る攻撃!」  大樹の考えは筒抜けであった。  気付けば、バンギラスはオーダイルの足元から飛び出して来たのである。  砂嵐は囮であり、オーダイルが技を出しているときに隙をついて攻めてきたのである。 「10万ボルト!!」 「しまった、守る!!」 「何処まで耐えられるか?」 「クッ・・・・・」  オーダイルの体に電撃が走ってくる。  「守る」で耐えようとはするが、タイプに関係なく強い攻撃を前にし、オーダイルは 完全に防戦一本になってしまった。  「守る」ならダメージを0で済ませられるが、このままではダメージはなくてもその 負担で戦えなくなってしまうかもしれない。 「耐え切るんだオーダイル!!」 「フルパワーだバンギラス!!」  耐え切ろうとするオーダイルだったが、バンギラスが一気に押していった。  そしてついにはオーダイルの防御の限界を超え、強烈な電撃がオーダイルを襲った。 「オーダイル!!」 「バンギラス、破壊光線!!」  さらに、バンギラスはとどめの一撃を放った。 「オーダイル!!」 「残りは後2体!」 「戻れオーダイル!次はフーディン!!」 「休んでいてくれバンギラス、次はお前だカイリュウ!!」  ティールはバンギラスを戻し、5番手のカイリュウを出した。  フーディンとカイリュウ、特殊能力ならフーディンが上だが、総合的にはカイリュウ の方が高そうであった。 「カイリュウ、影分身!!」 「フーディン、テレポート、そしてサイケ光線!!」 「かわしてロケット頭突き!!」 「冷凍パンチ!」  エスパー技を活かして攻撃していく。  飛行速度が一番のカイリュウと言えど、テレポートで背後にまわって攻撃を繰り返し ていった。  攻撃力は低くとも、確実にダメージをあたえていった。 「いいぞフーディン!!」 「・・・・・カイリュウ、目覚めるパワー!!」 「うっ!?」  カイリュウの体からエネルギーが放出されてゆき、フーディンを己から引き離してい った。 「フーディン!!」 「今だ、竜巻!」 「サイコウェーブだ!!」  バトルフィールドは嵐が起きたように荒れだしていった。  突風は観客席にも吹き荒れ、誰もが腕で顔を防いでいた。 「いっけ〜〜〜〜!!」 「そうはいくか!!」  すると、竜巻のパワーはさらにまし、そこからフーディンの声が漏れ出していた。  そして竜巻の中心にはカイリュウの姿があった。 「カイリュウ、とどめのアイアンテイル!」  竜巻がおさまり、カイリュウは空から落ちてくるフーディンにアイアンテイルをぶつ けた。  そして地面に落ちたフーディンはそのまま倒れてしまった。 「これで残りは1体。」 「まだだ、行けバクフーン!!」  完全に後がなくなった大樹、頼みの綱のバクフーンを出すが、相性では明らかに不利 であった。 「何だ?交代させないのか?」 「今はその必要はない。だが、それでもカイリュウは勝つ!」 「そうは行くかよ!バクフーン、電光石火!!」  バクフーンは最初からカイリュウに突っ込んで行くが、カイリュウは「高速移動」で 軽くかわしていった。  流石にここまで来ると大樹にも焦りがでていたが、それでもポケモンバトルを楽しむ 笑顔は残っていた。 「スピードスター!!」 「リフレクター!」  攻撃技は全て防がれるかかわされてゆき、バクフーンは全くダメージを与えられなか った。 「こうなったら煙幕だ!」 「・・・・・・・・・・」  フィールドを大量の煙幕が飲み込んで行き、バクフーンはその中に姿を消していた。  だが、ティールは冷静な判断でそれをも簡単にやぶった。 「カイリュウ、地面を破壊光線で吹っ飛ばせ!」 「え!?」  気付いた時にはカイリュウは凄まじい破壊光線でバトルフィールドを吹っ飛ばし、バ クフーンもフィールドの外に吹っ飛ばされてしまった。  だが、それでも何とか立ち上がってフィールドに戻り、バクフーンはカイリュウと対 峙した。 「流石に手強いな・・・。カイリュウ、竜の息吹!!」  あれだけの力を出したのにも関わらず、カイリュウは素早い動きでバクフーンに攻撃 を放った。  かわす事もできず、バクフーンは攻撃を受けるとそのまま動けずに倒れてしまった。  バクフーンの体は麻痺しており、動くにも動けないままに倒れたのである。 「あ・・・・・・・・・・・・・・」 「勝負ありだ。だが、俺のポケモンが1体でも倒されるのは予想外だったから褒めてや るよ!」  そう言うと、ティールはカイリュウをボールに戻してフィールドを立ち去っていった。 ポケモンリーグ終了後・・・・・ 「みんな負けちゃったね・・・・。」  あれから数日後、結局みんな決勝戦までいけずに敗退していた。  一番成績が良かったのは準決勝まで上がった望だったが、それでも負けてしまったの である。  それもそのはず、望が準決勝で戦った相手はかなり忘れている人が多いと思うが、第 9話と第10話で大樹と留美、そして英人の前に現れた最後まで謎が多かった少女、綾 奈と言う少女である。 「あの女、一体今まで何していたんだ?」 「さあ、でもティール達の仲間だったみたいなのは驚いたね。」 「あの女と一緒とは・・・・・・・・」 「少し同情するな。」  どういう意味で言っているのかは別として、みんな負けた事にはショックを覚えてい た。  だが、これが現実であり、彼らの実力の結果なのである。 「世の中広いんだな。ジョウトだけ旅していただけじゃ勝ち抜けないくらい・・・・・・。」 「そうだな、少し甘く見ていたのかもしれないな。」 「だったら、今度はジョウトやカントウだけじゃなく、世界も旅してみようぜ!!」 「それはいい考えだな!」 「でも、外国語話せるの?」 「う・・・・・・・・・・」 「ダメじゃん・・・・・」 「と、とにかく!俺はもっと旅に出て強くなってやるぞ!」  少し詰まった部分があったものの、大樹は高らかに宣言した。  今回のポケモンリーグは負けてしまったものの、次は必ず勝つという意気込みはみん なにも伝わっていた。 「ホントに大樹は無駄に熱いわよね。」 「そしてまた砕けたりしそうだけど♪」 「余計なお世話だ!」 「だけど、それだったら僕達も付き合うよ!」 「俺も!」 「私も!」  気持ちは全員同じであった。  ポケモンリーグは終わっても、彼らの冒険はまだ終わりはしない。  もしかしたら終わりなどないのかもしれない。 「よ〜〜し、だったら早速出発しようぜ!」 「あ、でも閉会式に出ないと!」 「・・・・・そうだった。」 「まったく・・・・・・・・・」  またずっこけたものの、とにかく彼らの冒険は続くのだった。 数年後・・・・・・  あれから何年が経っただろうか・・・・・  彼らは再びポケモンリーグで集結していた。  そして、大樹は再び彼と対峙していた。 「久しぶりだな。何年ぶりかな?」 「今度は俺が勝つ番だ!」  2人ともあの時よりも一段と成長した姿をしていた。 「では、文句なしのフルバトルを始めるぞ!」 「ああ!!」  2人はモンスターボールを握り締めた。  そして、再び大樹とティールの試合が始まった。 「いくぜ!!」  冒険は、まだ始まったばかりなのであった。                      END