第七話 「別れ・・・そして新たなる仲間」 「ねぇ、皆はどっちに行くの?」 シュンは夕食の途中で仲間にこれからの事を聞いた。 「どっち・・・ねぇ。オレはジョウトかな?」 「ボクもアオイと同じジョウトにする〜」 「アオイがいないカントーだな」 レイの台詞にアオイが少しムッとした顔をするが聞かなかったフリをする。 「それで、お前はどうなんだよ。シュン」 アオイに聞かれたがシュンはまだどちらに行くか迷っていた。 「それが・・・まだ、決まってないんだ・・・」 シュンが少し戸惑いながら言うと、ヨウヘイが口を開く。 「じゃあさ、シュンはカントーに行きなよ。 そーすればレイも一人で寂しくないし、丁度半分になるよ。それにレッドさんもカントー出身だしね」 ヨウヘイのその台詞にアオイとレイが慌てて口を挟む。 「なッ・・・ヨウヘイ!お前、オレと一緒に旅する気なのかよ!?」 「まあ、アオイを野放しにしておくよりはマシだが・・・俺は一人で行く。いちいちシュンの面倒まで見ていられるか!!」 そう言ってヨウヘイの提案に抗議の声を上げる。 そんな彼らの様子を見つめていた女性、ココのポケモンセンターで医者をしているマイが彼らに話しかけてきた。 「カントーとジョウト・・・どちらに行くか悩んでるの?」 「あ、マイさん・・・」 すると、シュンは思い出したかのようこの旅の目的の一つである、知り合いの青年について尋ねる。 その質問に、残りの三人は少し複雑な表情をしながら見つめていた・・・。そしてマイは 「う〜ん・・・聞いたことはあるけど・・・あまりいい噂は聞かないわよ」 そう言いながら少し困ったような表情で答える。 「それでもいいです!教えてください、行き先とか・・・なんでもいいんです!!」 マイは暫らく考えるとゆっくりと話し出した。 「・・・わかったわ。彼は・・・ケンは、通称『スカイフレイム(天空の炎)』と呼ばれているトレ−ナーで、 その実力はあの四天王にも引けをとらないとも言われるほどの実力者よ。 でも彼はあまり人前に出ることが好きではないらしく、申し込まれたバトルも大抵は受けずに去って行くそうよ。 そんなだから、あまりトレ−ナーの間じゃ好かれていないわね。 それに戦ったことのあるトレ−ナーの話だと、彼は炎と飛行の二つのタイプを得意としているらしいけれど、その強さは本物。 チャンピオンロードで修行を積んだトレ−ナーですら歯が立たなかったらしいわ。 ・・・あと、興味深い話なんだけど、彼に出会った人の多くはその後すぐに幻のポケモンらしき影を目撃しているらしいの。 不思議な話でしょう? それに彼の周りには何かとよく色々な事件も起こっているわ。 とにかく謎が多いのよ。今は・・・確かカントー地方で彼の姿を見たって話を最近聞いたわ」 マイが語ったケンと言う人物にシュンをはじめ、他の三人も目を丸くした。 「幻の・・・ポケモン・・・」 シュンは搾り出すようにしてやっと一言だけ・・・そう言った。 「シュン君達・・・彼に会ったことがあるの?」 シュンはマイに二年前の出来事を話すと、今度はマイが心配そうにシュンに質問する。 「シュン君・・・君は本気で彼に会う気なの?」 「うん・・・ヤッパリ本当の事も知りたいし、ぼくもトレ−ナーとしてケン兄ちゃんと戦ってみたいと思うんだ。 目標はレッドさんみたいなトレ−ナーになることだけど、今はケン兄ちゃんともう一度会うことが目的だから・・・」 シュンは照れながら少し躊躇いがちにそう言うと、カントー地方へ行くことを決めた。 ・・・翌日、シュンとレイはカントーへ、アオイとヨウヘイはジョウトへと向かう。 しかし出かける直前にマイからある事を頼まれた。それは・・・ 「このエーフィ、ブラッキー、サンダース、シャワーズを旅に連れて行ってあげてくれないかしら? 一人一匹ずつ・・・無理にとは言わないわ。 唯、この子達を早く他のトレーナーの元で暮らせるようにしてあげたいの。どうかしら?」 そうマイに言われ、四人はすぐにOKした。 彼らもまだ旅に出たばかりであり、少しでも早く手持ちを増やしておきたいのだ。 そして、シュンはエーフィを、レイはブラッキーを、アオイはサンダースを、ヨウヘイはシャワーズをそれぞれ貰い、 その後すぐに四人はカントーとジョウトに分かれて旅に出た。 新しく仲間になったポケモン達を連れて、今それぞれの道を歩き始めた・・・。