Prologue of -Ever Believe- ――なんで、あんなことになったんだっけ……? 今はこうして冷静に振り返ることができるけど、あの頃はそうも言ってられなかった。 ただひたすらに押し付けられる身勝手な将来像に嫌気が差して、反発することしか考えられなかった。 オレ自身の思い描くものと違うからと、一考さえせずに、撥ね付けてばかりいた。 ――だけど、本当に身勝手なのはどっちだったんだ……? 自分のことばかり考え、相手が何を思って押し付けてきているのか。 それさえ考えようとしなかったオレの方がよっぽど身勝手だったんじゃないか? 今だから、そんな風に思える。 あの頃は嫌で嫌でたまらなかったことも、今じゃ他愛ない昔話として披露できる。 本当は……反発するだけじゃなくて、オレが思い描く道を認めてほしかった。 ウソでも「おまえが選んだ道なら……」と、優しい言葉と共に背中を軽く押してくれるだけで良かった。 そんな期待を抱いていながらも言い出せなかったオレ自身にも問題はあっただろう。 ちゃんとした考えを働かせられるほど、心理的な余裕がなかったのが事実だとしても。 結局、すべてが解決した今だから、結論だって簡単に割り切れる。 ――オレは押し付けられるものから逃げてただけだ。 ――真正面から向かい合い、堂々と反発することもなく、将来像を押し付けられるのが嫌だという理由で逃げてただけだ。 だけど、そんな過去があるから、今のオレがある。 そう思えるならそれでいい。 あれからいろんな経験をして、大人になったってことなのかな。 何にも代えがたい仲間がいて、同じ時間を過ごせる。 特別なことなんて何もなくても、それだけで十分に満たされる。 「オレはみんなと一緒にいるだけで楽しいって思ってる。みんなも同じだろ?」 みんな、笑顔で頷き返してくれる。 ああ、これがオレの幸せなんだ…… 迷った時も苦しかった時も、みんなが一緒だったから乗り越えてこられたんだって思う。 ――だけど、あの頃のオレも、本当は…… 〜とある青年の回想録より〜