シャイニング・ブレイブ プロローグ ある者は見つけた。 積年の怨恨を晴らすに足る力を。 目の前には、淡い黄色に輝く結晶がある。 元の色は紫だったが、松明の明かりを照り受けた影響か、淡い黄色を呈していた。 巨大な結晶――その中に、見つけた。 目を閉じ、長い眠りについたポケモンの姿を。 いつ目覚めるとも知れないのに、その表情に不安はない。 ……ならば、好都合。 彼は口の端に笑みを浮かべ、眠りについたまま、自分たちの存在に気づく様子も見せないポケモンを眺めていた。 ある者は見つけた。 馬鹿げた茶番を終幕させられる力を。 『それ』を見つけるのは簡単なことではなかった。 あらゆる情報網を駆使し、有害と思われる相手には偽りの情報をつかませたりもした。 また、敵に情報が渡らぬよう、用の済んだ資料は復元すらできぬほどに、膨大な火力で完全に焼き尽くした。 だから、確信できた。 目の前にある巨大な壁画の主が、自分の思い描いた通りに、敵の馬鹿げた茶番を完全に砕いてくれると。 あとは、打つ手を誤らないようにするだけ。 側頭部から二本の角を生やした、巨大な犬のような生物を描いた壁画を前に、彼女は女に似つかわぬ野太い笑みを浮かべた。 そして、相容れない両者の戦いが始まる。 すでに一線を越えた。後戻りはできないし、するつもりもない。 相手が同じことを考えていることは分かり切っている。 それならば、完膚なきまでに叩きつぶしてやるだけだ。 ネイゼルと呼ばれる地方に大きな騒ぎをもたらすことになる争い。 その中で、翻弄される者もいる。 自分と敵のことしか考えていない『彼ら』は、知る由もない。 絆を守るため、嫌でも介入せざるを得ない立場に追い込まれた第三者が、自分たちの戦いにどのような影響をもたらすのか……などと。 第1章へと続く……