コイキング、 No129、さかなポケモン 高さ:0.9メートル、重さ10キログラム、タイプ:水 力もスピードもほとんどダメ。世界で一番弱くて情け無いポケモンだ。 (ポケモン図鑑より抜粋) この小説はアニメ版ポケモンとコイキングを主成分としています。 コイキングの使用に関しては、医師による処方箋に従って、用法を守って正しくお使いください。 コイキング分は1日3回、食後30分以内に服用してください。 コイキング分を取り過ぎると副作用でギャラドスのように凶悪化しますので、年齢に応じて容量の目安を守ってください。 5歳未満:1回0.5匹、10歳以上:1回1匹、15歳以上:1回2匹 ポケットモンスターアドバンスジェネレーションを見るときは、部屋を明るくしてテレビから離れて見てください。 今日もバトルフロンティアの次なる場所にチャレンジしようと先を行くサトシ達だが、 目の前には謎のダー○ベ○ダーのコスプレをした人物が、サトシに近づいてラブレター風の手紙を渡そうとする。 「貴様がマサラタウンのサトシか?ようやく見つけたぞ」 「はい・・・。俺がマサラタウンのサトシですが・・・」 「確かに渡した。これでお前を必死に探し当てた甲斐があったよ」 旅の途中でサトシに手紙を渡した、ダー○ベ○ターのコスプレをした謎の人物は素早く去っていった。 「サトシにラブレター?見せて見せて♪」 「は、ハルカには関係ないだろう!!」 「あの郵便配達員は必死に探したというのだから、絶対に見た方がいいぞ」 (誰もあの人の格好に突っ込まないの・・・・・・・) ダー○ベイ○ーの格好をした謎の人物の突っ込みがマサトと共に置き去りにされてしまい、 サトシは胸を躍らせながらラブレター風の手紙を開ける。 ・・・・・・・・・・!!!! 「な・・・、なんなんだ・・・・・この手紙は・・・・・・・!!!」 手紙を見てその内容に愕然としたサトシは、驚きと戸惑いのあまりに思わず両手から落としてしまう。 「ど・・・どうしたの!?まさかサトシへの脅迫状だったのカモ?」 「違う・・・・・・。こ・・・・・ここここ・・・・・これは!?」 サトシが地面に落とした手紙をタケシが拾って見たのだが、その内容は元ジムリーダーの彼を震撼させるにも十分なものだった。 ・・・・・・!!!!!! マサラタウンのサトシ様 全国コイキング協会主催の第2664回コイキングリーグの書類選考に通過しました。 ○月×日にアンニュイスタジアムにて開かれる、第2664回コイキングリーグへの出場権を獲得しました。 当案内をご持参の上であなたのコイキングをお連れになられて、会場にてお待ちします。 「これは・・・・・・、ジムリーダーの間でも伝説といわれた・・・・・・。裏ポケモンリーグとも言えるコイキングリーグだ!?」 「オレもタケシやカスミからこのことは聞いたことあるが・・・・・・、これは何かの間違いだろう!!!」 「コイキングリーグ?そんなのパパは何も言ってなかったよ」 “コイキングリーグ”を話で知るタケシとサトシは驚くのだが、ハルカにはこれが何なのか全く分からない。 既にコイキングリーグと銘打っている時点で怪しいのだが、その驚きの意味がポケモンコーディネーターの彼女には想像が付かない。 「センリさんもコイキングリーグについては何も言わなかったのも無理はない・・・・・・!! コイキングリーグとは・・・・・・」 「「コイキングリーグとは・・・・・・」」 神妙な面持のタケシがコイキングリーグについての説明を聞こうと、ハルカとマサトは真剣な顔で耳を傾ける。 「『コイキング愛好家によるコイキングのためのコイキングによるコイキングを愛する者達のコイキング萌えによる、 コイキングのみが競うコイキング専用ポケモンリーグ』であって、優勝者にはコイキングマスターの称号が与えられるんだ!!!」 「何かの間違いだ!!オレはポケモンマスターになりたいが、コイキングマスターだけにはなりたくないんだ!!」 「驚きの意味が嫌な意味での驚きだったんだ・・・・・・」 「コイキングといえば弱いポケモンの定番だよ・・・・・・」 ある意味で伝説にしてほしいと願ったタケシと阿鼻叫喚の叫びに苦しむサトシに、ハルカとマサトは呆れ果てるしかなかった。 こうして不本意ながらもサトシ達はコイキングリーグ会場、アンニュイシティへと向かっていったのだった。 小説版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション ▼めざせ!コイキングマスター!鯉王絶叫編 「アサラタウンのサトツ様ですね」 「俺はマサラタウンのサトシです」 「サトツ様じゃないのですか?」 「俺の名前はサトシで、サトツなんかじゃない!!」 早速正体を見せて”参加拒否”しに来たサトシだったが、何故か名前を間違えられてしまううえに、 本人の意思に関係なく係員は勝手に参加登録を完了していた。 しかもサトツといっているにも関わらず、サトシ本人の意思を完全に無視して登録している。 「サトツでもサトシでもいいですので、時間が無いのでさっさと会場に入ってください!」 「俺はマサラタウンのサトシで、アサラタウンのサトツなんかじゃ・・・・・・」 どうやら係員はアバウトな性格だったらしく、サトシを問答無用で会場にジャイアントスイングで放り込んだ。 「まてや!俺の名前をどう間違えて登録されるんだ!?俺はマサラタウンのサトシだ!!!」 「ピカピカピー!!!」 鉄の扉によって固く閉ざされた会場入り口の前を前にして、サトシとピカチュウは受付に対して講義するが全然聞こえていない。 これでサトシのコイキングリーグ強制出場のフラグが立てられた。 「俺は・・・俺は・・・・・マサラタウンのサトシなのに・・・・・・」 「タケシ、サトシが精神的に塞ぎこんでいるかも?折角伝説のコイキングリーグに出られたのに・・・」 いかにも「出場しろ」と言わんばかりの名前まで間違えられた強引な展開に、サトシはショックで壁の隅でいじけていた。 その側にいるハルカは自分のことじゃないから何があってもいいようだ。 「!?この招待状・・・・・・謎が全て解けた!!」 招待状の隅から隅まで見ていたタケシが、招待状に書いているサトシの名前を間違えられた謎を解いた。 招待状は今時珍しいガリ版印刷であり、手書きで読みにくい文字もいくつか見られる。 まさに、手書きならではのアレが原因でマサラタウンのサトシが、アサラタウンのサトツになっていたのだ。 「タケシ、招待状に何が書いてあったの?」 「よく聞いてくれたマサト君! この案内状そのものに誤植があって、本来ならアサラタウンのサトツ宛のものがマサラタウンのサトシになってたんだ!!」 案内状の誤植、それがアサラタウンのサトツがマサラタウンのサトシとして誤植されていた。 『ア』が『マ』、『シ』が『ツ』になって、そのまま印刷されてしまい、結果としてサトシの手元に届けられたのだ。 「誤字誤植のせいでオレのところに来たというのか!?」 「マサトでもやらない間違いをやるなんて、コイキング協会は間抜けね」 「お姉ちゃん、僕に対して失礼だろう」 名前を間違えられたせいでこんな大会に出る羽目になったサトシは、先程の3倍の勢いで壁の隅で落ち込んでしまった。 もはやネタとして楽しんでいるハルカはともかくマサトでさえ、サトシを同情しようとは思っていない。 「そういえば、一昔前の某アーケードゲーム雑誌でも『インド人を右に』とか、 『ザンギュラのダブルウリアッ上』というような誤植が結構あったけど、コイキングリーグの場合はこれより酷いかもしれない・・・」 「そのネタはあたし達には普通に分からないカモ・・・」 既に伝説となっているこれらの誤植が分からない方は、『』で囲っている部分で検索して調べてください。 サトシが壁の隅でいじけている間を与えることなく、”布で覆われた”ドーム闘技場のアンニュイスタジアムでは開会式が始まり、 全国から集まった約14500人のコイキング愛好家が、テンションと高くして歓声を上げていた。 歓声に包まれるアンニュイスタジアムの闘技場の上で、ピジョンのマスクを被って白いスーツを着た謎の男が立っていた。 「ようこそ、第2664回コイキングリーグ全国大会によく来られた!! 私が全国コイキング協会会長のピジョン・エキスパンダーX(仮名)だ! 顔はある殺し屋に狙われている関係上からピジョンマスクで隠しているが、コイキングLOVEのナイスガイだ!!」 「ネーミングの時点で怪しすぎるぞ!!!」 変声器で声を変えているピジョン・エキスパンダーX(仮名)は、闘技場の中心で自己陶酔してしまっており、 コイキング愛好家達に溢れる客席ではタケシが脊髄反射で突っ込みを入れる。 「そうか・・・、そんなに私のピジョンマスクが美しいのか・・・・・・」 「誰もそんなこと言ってない!!」 「会長!ボケていないで、はやく試合を始めましょう」 タケシの突っ込みを聞いていないピジョン・エキスパンダーX(仮名)は、重度のナルシストであったらしい。 放送席にいた大会運営員がプログラム通りに進行させようと苦労する姿もあった。 「今日のゲストは、ミスリルのコールサインがウルズ7ことボ○太君と、謎の怪鳥・・・いや黄色い鳥のナゾ君(仮)と、そしてハ○だ」 「ふもふもふもっふ!もっふるふもっふる!」 「ナゾーーッ!ナゾナゾナゾーッ!!」(*泣き声は作者のアニメポケモン風イメージによるものです) 「ミトメタクナイ!ミトメタクナ〜イ!!」 「会長、せめてまともな人をゲストに呼んでください・・・・・・」 このゲストがどのような方向で呼ばれたのかは永遠の謎なのだが、辛うじて大会運営員だけは正気であったことが救いだった。 ヅパーン・・・・・・・・・・・! 「うっ!!」 会場の何処からかピジョン・エキスパンダーX(仮名)は何者かに狙撃されてしまい、 会場は一瞬のうちにコイキング愛好家と、5万匹以上のコイキングがモンスターボールから飛び出してパニックしていた。 「会長!今すぐ救急車を呼び・・・」 「そんなものは必要ないし、私がコイキングリーグを見守る義務がある限りはここで殺されるわけには行かない! コイキング愛好家の存在を認めてもらうためと、郵政民営化、そしてとし子のために・・・」 「郵政民営化は関係ないだろう!!それにとし子って誰だよ!!それより早く病院に行け!!」 こうしてタケシの突っ込みと共にピジョン・エキスパンダーX(仮名)は病院に搬送されたが、幸いにも命に別状は無かった。 事件発生から数分後には狙撃した犯人が多くのコイキング愛好家の袋叩きされた姿が見つかり、 犯人がピジョン・エキスパンダーX(仮名)を狙撃した動機は、「弱いコイキング馬鹿のくせに我々ヒンバス愛好家を馬鹿にした報復で撃った」 というお子様のけんかと同レベルの理由だったという。 狙撃事件から30分中断された開会式も再開し、スケジュールも遅れ気味であるが、コイキングリーグが始まりを告げた。 「それではルールを説明する! 使用できるポケモンは言うまでもなく”コイキングのみ”としており、途中でギャラドスに進化したら反則負けと見なす!! コイキングであれば、サイボーグでもナチュラルでもコーディネーターでも構わないし、 ナノマシンを植え付けたり武装したりバイドに寄生させたりしてもいいし・・・・・・・etc」 「「どういうルールなんだよ!!」」 コイキングで戦わせるなら何でもありのルールに、選手控え席ではサトシのような強制参加者達が、声を合わせて突っ込みを入れてしまう。 「・・・・・・もし他のポケモンが出てきたり、コイキングと偽って変身させていた場合は・・・」 この手の突っ込みも長い歴史の中で伝統となっているのか、審判は淡々とルール説明を述べて、コイキングリーグ最後の警告を発する。 「まさか・・・、コイキング愛好家全員で袋叩き・・・・・・・」 先程のヒンバス愛好家と思われる狙撃犯の姿を見たのか、サトシはコイキング愛好家による報復という恐怖を想像する。 「納豆青汁キムチ風味スッポン生血プリン3キログラム分を、炎の海の中に囲まれた鉄板の上で正座して食べてもらうぞ」 「わけの分からないペナルティだが、普通に怖い・・・・・・」 自分はもう既にわけの分からない世界に踏み込んでしまったのだと、入念に準備された得体の知れないペナルティゾーンと、 そこに居るフンドシ一丁で筋肉隆々の三人の男の姿を見たサトシは強く思ったという。 「コイキングリーグ第1回戦第1試合、朱雀の方角・・・アサラタウンのサトツ!!」 「俺はマサラタウンのサトシだ!!」 アナウンスに登録されたトレーナーの名前で呼ばれるサトシだが、この手の間違いに慣れていないので反射的に突っ込んでしまう。 そして、反対側からは太陽の日差しで見えない彼の対戦相手が姿を見せる。 「玄武の方角・・・トナタリシティのカヌシ!!」 「カヌシだと!?」 相手がどんなコイキングトレーナーなのか分からないので、サトシはコイキングの入ったモンスターボールを握る右手の力を込める。 ゆっくりと中央にプールが設けられたバトルフィールドに近づいていくトナタリシティのカヌシの姿が次第に分かってくる。 対戦相手のトナタリシティのカヌシ、それはサトシがジョウト地方までは共に旅をしてきた彼女であった。 「さ・・・・・・・サトシ!?」 「俺の相手はカスミなのか!?」 サトシの第一回戦の対戦相手、紛れも無くあのカスミであり、お互いに対戦相手名が違っていたのもあってか、 まさか知り合い同士であるとは思いもよらなかったという。 「まさか・・・カスミも・・・」 「サトシもあの招待状が・・・。あたしなんて『トナタリシティのカヌシ』(しかも同性)と間違われたのよ!!」 「俺なんか『アサラタウンのサトツ』と間違えられたんだぞ!!」 どうやらカスミも招待状の誤植が原因で、コイキングリーグに出場することになったらしい。 彼女はコイキングリーグ参加取り消しのためにここに来たのだが、結局サトシと同様に無理矢理に出されたという。 「この場合は、『ハ』が『ト』になって、『ダ』が『タ』と『リ』、『ス』が『ヌ』になって、最後は『ミ』が『シ』に間違われたんだ♪」 「ここまで誤植が酷いとなれば、知り合いが出てきそうである意味で怖いな・・・」 「ピ・・・ピカチュ・・・・・・」 その頃観客席では、ハルカはカスミの誤植された文字を当てており、タケシとピカチュウは今と同じ状況がありそうだと考えていた。 「ポケモンバトルである限りは、オレはコイキングリーグでも戦うぜ!! 相手が水ポケモン使いのカスミでも俺は絶対に勝つ!!行け!コイキング!!」 場所をバトルフィールドに戻して、開き直ったサトシはいつものように帽子を180度回して、 モンスターボールを投げてコイキングを繰り出す。 モンスターボールから出てきたコイキングは、バトルフィールドの中央にあるプールの中で何度も飛び跳ねる。 「サトシのコイキングは何処かで適当に捕まえてきたコイキングなんでしょう」 (うっ・・・・・・!!) 水ポケモンを見る目が肥えているカスミには、サトシのコイキングが捕獲されて間もないことを余裕で見破っていた。 現にこのコイキングは適当な場所で捕まえたものであり、とくに何の特訓もされてはいない。 「図星ね・・・。水ポケモン使いのあたしに適当に捕まえたポケモンで挑もうなんて無茶なことよ!行け、マ〜イスタデ・・・!!」 相手が数時間前まで野生のコイキングであるなら、あらゆる水ポケモンを使いこなせるカスミにとっては敵ではない。 ハナダジムで鍛えられた自慢のコイキングを繰り出そうと、彼女はモンスターボールを構えるのだが、 あるモンスターボールがカスミの目の前に転がって、勝手に開いてあるポケモンが姿を現す。 「コワック・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 アニメでもすっかり御馴染みの勝手に出現のパターンを定着させた、あひるポケモンコダックがバトルフィールドに姿を現す。 相変わらずモンスターボールから勝手に出てくる癖は直っていないようだ。 「こ・・・コダック!!相変わらずあんた勝手に出てきたのよ!!」 「コ・・・コワッ?」 場の空気が全く読めないコダックにカスミは困惑し、慌ててコダックをモンスターボールの中に戻そうとするが、 審判がカスミの目の前に立って白旗を下げて赤旗を揚げた。 「トナタリシティのカヌシ反則負けにつき、アサラタウンのサトツ不戦勝!!」 「え!?俺の勝ち?」 「そ・・・・・・そんなぁ〜〜〜〜!!!」 コイキングリーグのルールにより、コイキング以外のポケモンを出したカスミは、コダックを出した時点で反則負けが決まっていた。 結局サトシは何もしないまま第一回戦を突破したという。 「君は神聖なるコイキングリーグにコダックを繰り出すという暴挙を行った! 納豆青汁キムチ風味スッポン生血プリン3キログラム分を、炎の海の中に囲まれた鉄板の上で正座して食べてもらうぞ!」 「嫌ぁああ!!放してぇ〜〜〜!!やめてぇっ!!サ〜ト〜シ〜!!た〜す〜けて〜〜!!!」 「さっさと食わないと火傷するぞ小娘!!」 「残さずに全部食べるまで外には出させないぞ!!!」 カスミのセリフだけだと最悪の場合はアブナイネタを想像しかねない彼女の叫びに、 筋肉ムキムキのふんどし一丁の漢(おとこ)は怯むことなく、彼女を炎に囲まれた鉄板の上に正座させて謎のプリンを食べさせる。 恐怖の罰ゲームの生贄1号となったカスミの姿を見た参加者や観客達は、誰もが恐怖のあまりに絶句したという。 「な・・・なんて怖い罰ゲームカモ・・・」 「ぴ・・・ピカ・・・・・・」 「お姉ちゃん・・・!!こんなのすごく変だけど、なんだか分からないけど怖すぎるよ!!」 「よりによってカスミが得体の知れない罰ゲームの餌食になるとは・・・・・・」 観客のコイキング愛好家の誰もがカスミに対する冷たい眼差しを向ける中、ハルカ達は得体の知れない恐怖に脅えたという。 こうして金銀編終了に伴なうレギュラー降板に、年の離れた三人の姉に無理矢理に留守番を押し付けられたり、 手持ちポケモンであるトゲピーに巣立てられたり、本編降板後もレギュラーを勤めた週間ポケモン放送局が終了するなどという、 相次ぐ不運に見舞われるカスミに、一つのトラウマが両膝の火傷と共に刻まれたという。 よく考えれば金銀編終了後のカスミは、かなり大人の事情による不運に見舞われているような気がします。 「こんな役・・・もう嫌・・・・・・・」 「カスミ!ハルカを降板させればレギュラー復帰のチャンスはいくらでもあるぞ!!」 「レギュラー降板されて週間ポケモン放送局終了後のカスミもいろいろと苦労しているんだね。お姉ちゃんとは違って」 罰ゲームを終えて両膝の火傷と謎のプリンの不味さに苦しむカスミは救護班に運ばれながら、 サトシとマサトに見届けられながらも体を張らなければならない辛さに泣いていた。 「あたしも簡単にレギュラーの座を譲れないよ♪」 その横ではハルカが先輩に対する無神経な失言を放っていた。 とりあえずカスミの罰ゲームを除いては、第1回戦は順調に終了し、こうして第2回戦が開始された。 「第二回戦第1試合を開始する!朱雀の方角、アサラタウンのサトツ!」 「もうどうにでもなれ!!」 いちいち名前で突っ込むのは面倒くさくなったサトシは、会場の雰囲気に合わせるようにテンションを上げていく。 突っ込んだとしても「マサラタウンのサトシ」と呼ぶ可能性は限りなくゼロなので、既に諦めたと考えてもいいだろう。 「続いて白虎の方角、住所不定のコ・・・」 「ちょっと待った!!」 審判がサトシの対戦相手の名前を名乗ろうとしたその瞬間、突然会場にBGMが流れ出して全ての照明が点滅しだした。 「なんだかんだと聞かれたら・・・」 「答えてあげるが世の情け!」 「世界の破壊を防ぐため!」 「世界の平和を守るため!」 「愛と世界の悪を貫く!」 「ラブリーチャーミーな敵役!」 「ムサシ!」 「コジロウ!」 「銀河を駆けるロケット団の二人には・・・」 「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」 「ニャ〜んてニャ♪」「ソゥォオ〜ナンスッ!」「チリ〜ン♪」 この登場シーンといえばご存知のロケット団白服部隊であり、相変わらず時間と行数の無駄が多い登場の仕方であった。 なお、ロケット団の白服の立場は、ザ○ト軍の白服とは全く正反対の地位であることも補足しておこう。(何のネタだ!?) 「ロケット団!?何故お前達もここに居る!?」 「俺の対戦相手がジャリボーイ!?」 「何でおミャーがここに居るんだニャ!?」 対戦相手がお互いに因縁の敵同士であることと、まさかコイキングリーグに出ているとは思いもよらなかったという。 「お前達はコイキングリーグに出る振りをして、コイキングを狙って・・・・・!!」 「いや、ロケット団もサトシと同じように名前を間違われて出場する羽目になったとか・・・・・・」 「そこのピカチュウなら狙うけど、コイキングは眼中に無いし、コジロウは正式にコイキングリーグに参加しているのよ」 いつもの行動のパターンで考えるサトシと誤字誤植説を考えるタケシの意見を、ムサシは正面から堂々と否定する。 「そう言われてみればコイキングなんて狙う価値はないカモ?」 「ふはははは!!この俺はこう見えてもロケット団コイキング愛好会会員なんだ!! コイキング愛好家にはコイキングが好きならロケット団もポケモントレーナーも関係は無い!!」 自慢してもどのようなリアクションすればいいか分からない、「ロケット団コイキング愛好会No521、コジロウ」と書かれた会員証を提示する。 ロケット団には少なく見ても521人のコイキング愛好家がいるようだ。 「普段のロケット団なら賞品とか珍しいコイキングを狙うんじゃないの?」 「ご・・・豪華賞品が・・・で・・・出るから・・・・、たまには正々堂々と大会に出ようと思ったのよ」 「実はコイキング愛好家が怖くて、いつものように豪華賞品を盗みたくても盗めないのニャ」 「ソォ〜ナンス!」 ロケット団をいまいち信用できないカスミの突込みに対しても、ムサシは脅えながらも堂々とコジロウ名義の参加案内を見せる。 その後ではニャースとソーナンスが、コイキング愛好家から放たれる異様な気配に脅えるのも無理はない。 「豪華賞品?サトシは成り行きでコイキングリーグに出たけど、俺達も賞品のことを考えてなかった」 「これよこれ♪」 今まで気にしていなかった豪華賞品が何なのかを、タケシとハルカはコイキングリーグのパンフレットに目を通す。 その豪華賞品は写真つきで堂々とパンフレットの大開きで掲載されていた。 「純金の原寸大スケールのコイキング黄金像と水晶のコイキング彫像!?」 「副賞でお米券100枚・・・・・・」 「これを売ればお金にもなるし、ボスに献上する貢物としても十分にいいわよ」 「あくまでコイキングにこだわるんだ・・・。お米券は別として・・・・・・」 大会の趣旨がコイキングと来れば豪華賞品もコイキングに因んだものである。 意地でもコイキングと言わんばかりの黄金像と水晶像に、ロケット団一行には十分に価値があるものであったが、 お米券を除いてサトシ一行は欲しくなかった。 「俺のコイキングで勝負だ!ジャリボーイ!!」 「ロケット団ごときに負けてたまるか!?オレのコイキングの強さを見せてやる」 こっちはこっちで豪華賞品のことが頭に無いコジロウとサトシは、コイキングバトルにやる気を見せて、お互いにモンスターボールを構える。 バトルフィールドは漂う重い雰囲気が会場を押しつぶすように沈黙へと誘い、二人の目はポケモントレーナー独特の鋭い眼光を放つ。 「と、言うわけでCMじゃ♪」 「「ピジョン・エキスパンダーX(仮名)!何時の間に!?」」 ここで病院で治療を終えたピジョン・エキスパンダーX(仮名)がシリアスな雰囲気を破壊するかのように、 セスナ機から飛び降りて雨傘をパラシュート代わりにして、アンニュイスタジアムに掛けられた”布”を突き破って、 空から降りて観客席に座った。 サトシとコジロウが驚いている隙のCMの後は、鯉王怒涛編に続く!!! タケシ「CMが入るのかよ!?」 CM 「ヤマト♪」 「コサブロウ♪」 「「天気予報♪」」 ヤマトとコサブロウの天気予報(in アフガニスタン) 「ロケット団アフガニスタン支部のヤマトとコサンジです」 「コサブロウだ!!」 「それでは今日のアフガニスタンの天気d・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ****これは予定されていたCMではなく不法電波による電波ジャックであるので、当局によりカットさせていただきました。**** Bパート 小説版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション ▼めざせ!コイキングマスター!鯉王怒涛編 「CMじゃなくて天気予報かよ!しかもアフガニスタンの天気じゃカントー地方には意味が無いぞ!!」 「ヤマトとコサンジ・・・左遷されたからって電波ジャックするの・・・・・・?」 客席ではヤマトとコサブロウのアフガニスタンの天気予報に、客席に居るタケシとムサシが突っ込みを入れてしまう。 「もう何でもいいから勝負だ!コジロウ!」 「ジャリボーイ!威勢が良いだけではバトルには勝てないぞ!!」 「始めっ!」 ヤマトとコサブロウは置いておいて、サトシとコジロウはモンスターボールからコイキングを繰り出す。 サトシのコイキングは何処にでも居るコイキングであるのだが、コジロウのコイキングは赤い角をつけていた。 「あ・・・赤い角といえば赤い彗星の・・・・・・」 「どうだ!これが三倍のスピードで動くことが出来るシ○ア専用の赤い角だ!!」 赤い角をつけた元々赤いコイキングを見たサトシは、相手のコイキングは普通ではないと見た。 赤くて角があれば3倍早く動けるという伝説があるのだが、まさにそのとおりであった。 「コイコイコイコイコイコイコイコイコイコイ・・・・・・・」 赤い角をつけたコジロウのコイキングは”3倍のスピードで跳ねているだけ”だった。 「どうだジャリボーイ!!!」 「なかなかすごい道具だ・・・・・。こっちは連邦の”白い悪魔の角”を持たせて対抗だ!!」 「3倍のスピードで跳ねているだけじゃないか!!サトシもサトシでガン○ムの角は無いだろう!!」 既にマニアックな会話になっているサトシとコジロウのバトルに、タケシは二人の耳には届かないが反射的に突込みを入れてしまう。 「連邦の白い悪魔の角を持たせた俺のコイキングを見てみろ!」 「コイコイコイコ〜〜イ!コ〜〜イ!コ〜〜イ!コ〜〜イ!」 V字で黄色い連邦の白い悪魔の角を着けたサトシのコイキングは、通常のエネルギーゲインの5倍ということで、 普段の5倍の高さまで跳ねていた。 「す・・・すごい戦いだ・・・」 「通常の5倍の高さか通常の3倍の速さのどちらだ・・・・」 「赤い彗星の方が勝つぞ!!」 「いいや、一年戦争を戦い抜いた連邦の白い悪魔だ!!」 「ただ跳ねているだけじゃ・・・」 コイキング愛好家達が息を飲んでコイキングバトルを見守っているが、呆れ果てたハルカは小声で突っ込みを入れる。 「跳ねたり体当たりする以外は何も出来ないコイキングだが、私はそんなコイキングの姿が好きなんじゃ・・・」 「ピジョン・エキスパンダーX(仮名)にゃ、そこまでコイキングに対する熱い想いがあるんだニャ・・・・・・」 「弱いと馬鹿にしていたコイキングがここまで美しいなんて・・・」 「ぼく・・・、コイキングのことを単なる役立たずだなんて誤解していたよ」 熱いコイキングバトルを見せられたピジョン・エキスパンダーX(仮名)は、コイキングへの熱い思いを語りだし、 ニャース、ムサシ、マサトは洗脳されたかのように感動していた。 「はあ・・・はあ・・・・・・コジロウ・・・なかなかやるな・・・」 「ジャリボーイこそ、ここまでコイキングを使いこなすとは侮れないな・・・・・・」 試合制限時間15分の間中”跳ねているだけ”だったコイキングバトルで、サトシとコジロウは当然のように決着が着かなかった。 「制限時間オーバーに尽き、サトツ選手とコジロウ選手の試合、判定によって勝利を決めたい! 審査員の皆さん、判定どうぞ」 「ふもっふ!」 「ナゾ!」 「ハ○、ゲンキ!テヤンデ〜ィ!!」 「あの3匹は審査員だったのか!?」 会場で数少ない正気な神経を保つタケシの突っ込みが虚空に空しく響く中、審判がボ○太君、ナゾ、ハ○の三匹に判定を委ねる。 点数 サトツ :美しさ:8、逞しさ:7、きらめき:6、こく:5、味わい:10、まろやかさ:9、汗:10、魂:9、ぽにぽに:10、やすゆき:9、合計:83 コジロウ:美しさ:9、逞しさ:8、きらめき:9、こく:7、味わい:10、まろやかさ:8、汗:7、魂:8、ぽにぽに:6、やすゆき:6、合計:78 「今まで見てきたけど、どういう意味がある点数なんだ!!??それにやすゆきの意味は何だ!?」 「やすゆきはコイキング協会プラチナ会員でコイキング養殖家じゃ」 「そのやすゆきが何の意味があるかを聞いているんだ!?」 突っ込み所満載の大型ディスプレイに映し出された点数表に、タケシは正気でありたいが故に突っ込みを入れてしまう。 彼の隣には、あのピジョン・エキスパンダーX(仮名)が座っているのだから・・・・・・。 「点数審査により、この勝負はサトツの勝利!!」 「やった!意外と強敵だったが、コジロウに勝った!」 「ジャリボーイにどうしても負けてしまうのか・・・・・・・」 コイキングリーグにおける決着の99.98%は点数審査に委ねられる。 10項目からなる点数の合計点が当然上であるサトシの勝利であり、土俵を変えてもコジロウが彼に敗れるのはアニメ版のお約束だ。 「やっぱり負けるんだニャ・・・・・」 「ここはジャリボーイに勝ってもらって、その後で純金コイキング像と水晶のコイキング彫像を奪うのよ!!」 コジロウ敗北によってサトシ応援団となったロケット団は、二体のコイキング像を横取りするというプランに変更する。 「そんなものはいらないから、ロケット団にあげるわよ・・・」 そんなことをしなくても、ハルカは如何わしい豪華賞品をプレゼントするつもりだった。 それからサトシは順調にコイキングバトルに勝ち抜くと共に、タケシの対戦相手に対する突っ込みも炸裂した。 第3回戦、VSアンニュイシティのジョーイさん 「私のコイキングのすごさを教えてあげるよ」 アンニュイシティのジョーイのコイキングは、紅白○合戦の小林○子風装備であり、ある意味でもすごい代物だった。 「そんな格好だけのコイキングに、オレのコイキングは負けない!!」 「何故ジョーイさんが、こんなところにいるんですか!?」 結果、 ○サトツ:75点―×ジョーイ:73点 第4回戦、VSジュンイチ 「マリナちゃんが何処かでこの試合をテレビで見ていると思えば、俺はお前に勝てるぞ!!」 「お前もコイキングリーグに出ていたとは・・・。ホウエンリーグのようにオレが勝つ」 「まさか・・・。ジュンイチも誤植で参加なのか・・・・・・」 ジュンイチも同じく誤字誤植による強制参加だったらしく、マリナへの想いを原動力に戦っていたが結果は下記のとおりだった。 結果、 ○サトツ:79点―×ヅェンイテ:4点 「何故・・・・・・オレがまたサトシにボロ負けたんだ・・・・・・」 「コイキングへの愛情じゃなくて、くだらない色ボケしていたからじゃ」 「なんか自分のこと言われているみたいだ・・・・・・」 点数判定で一桁だったジュンイチのショックは大きく、ピジョン・エキスパンダーX(仮名)は客席で彼を説教する。 お姉さんに弱いタケシは自分も人のことが言えないので、このことに関しては突っ込めなかった。 第準決勝、VSゴールド 「さすが『一部で主人公陣最弱説が浮上されている』とはいえポケスペ主人公。なかなかやるな・・・」 「アニメで『成長しない万年中級トレーナー』のくせに、なかなか強い相手だった」 試合を終えた健やかに見える二人の間には、友情とは全く異なるドス黒いオーラと呼べるものが増長していたという。 結果、 ○サトツ:88点―×ゴーノレド:87点 「何でポケスペのゴールドがここに居るんだ!?」 「あんたがアニメ版の細目の兄ちゃん?よくあることだ、気にするな!」 ここがアニメ版設定であるのにポケスペのゴールドが居るという時点で、読者への疑問と共に彼のこの台詞には無理があった。 こうして、タケシの突っ込みと共にサトシはコイキングリーグ決勝戦へと駒をすすめたのであった。 「サトシ・・・、あなたはこのコイキングリーグに疑問が無いの?」 「”ポケモンバトル”である限りは、コイキングリーグだろうとカビゴンリーグだろうとオレは戦う!!」 決勝戦が間近となった控え室では、すっかりサトシはコイキングリーグ優勝に大いに燃えていた。 ハルカはそんな彼が”もう二度と普通には戻れない境地”に入ったのではないかと心配していた。 「サトシ、ここまできたんだから、こんな大会でも優勝してよ!」 「サトシならきっと優勝できるよ!」 「ジャリボーイが優勝すれば、純金コイキング像と水晶コイキング像はニャー達のものだニャ」 「分かっているって、オレの次の対戦相手は・・・」 「これで勝てば優勝する」ということで、応援する動機が不純なニャースを含めたカスミ達の激励もあって、 サトシは決勝戦の相手が誰なのかを確認するために対戦表を手に取ろうとする。 そのとき、サトシが高速で移動する何かに勢いよく突き飛ばされてしまい、カスミの側に何者かが回りこんでいた。 「カスミさん、お久しぶりです!」 「あ・・・あなたはユズジムのジギー!?」 サトシを突き飛ばしてカスミの肩に手を回していたトレーナー、彼はオレンジ諸島編においてサトシの因縁の宿敵であるジギーであり、 彼に対するサトシの抱く怨念は、カゲボウズが十数匹単位で群れをなして続々と集まるくらいの憎悪に匹敵していた。 そんなジギーにはカスミが視界に入ったという時点で、サトシの存在は眼中に入っていなかったらしい。 電撃ピカチュウの作中で”女装した”経歴を持つジギーこそが、彼が決勝戦で戦う対戦相手であるのだ。 「お前はユズジムのジギー!!カスミから離れないとお前を殺す!」 「サトシ、ガン○ムWのヒイ○・ユ○の真似してないでそのツインバスターライフルを下ろせ」 「ジャリボーイ!これは全年齢対応の小説だぞ!!」 殺意のオーラを放つサトシはツインバスターライフルをジギーに向けるのだが、タケシとコジロウが慌てて必死に押える。 「君は確か・・・・・・」 「カスミに””振られた””ときに居た俺を忘れたとは言わさんぞ!!」 (わざわざ強調してくるとは、ジャリボーイには相当恨みがあるみたいだ) カスミにしか眼中に無かったジギーは、ようやくサトシの存在に気付いてカスミをしっかりキープしたまま振り向く。 ドス黒いオーラを放つサトシを見たジギーは、一度は会ったことのある彼のことを思い出そうとする。 サトシへの返答次第では一触即発の危機に陥った控え室に、重い空気が漂っている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「君、誰!?」 「ピカチュウ・・・10万ボルトで思い出させt・・・」 「サトシ!!ピカチュウはやりすぎよ!!」 「逆に記憶が全部忘れたらどうするのよ!!」 ジギーの一言でキレたサトシはピカチュウの10万ボルトを浴びせようとするが、危険を察したカスミとムサシが必死に止める。 「そんなことやってる場合じゃない!ジギー・・・まさか・・・お前もか・・・・・・」 「うっ・・・・・・、僕はエヌスジムのヅキリという奴と間違われたんだ・・・・・・」 「ゲー○スト誤植で知り合いに良く合うとは・・・・・・」 「ゲーメ○トというゲーム情報誌は、編集部員や担当がエン○ーブ○インに移籍して出しているア○カ○ィアの基となった雑誌だ」 「コジロウ、わざわざ伏字つきで解説しなくても・・・・・・」 「コジロウはアーケードゲーム全盛期に格闘ゲームやっていたみたいだニャ・・・」 やはりジギーもコイキング協会の誤字誤植によって、サトシと同じく参加拒否が出来ずに強制参加されて決勝戦まで進めてしまった。 参加者の数は誤字誤植も無く普通に参加できた人数を数えたほうが早いと思われるだろう。 「相手がお前なら、オレは意地でも勝たなければな・・・」 サトシがジギーに対する黒い闘志を燃やしていたのだが、彼はデオキシススピードフォルムやテッカニンを凌駕するスピードで、 ハルカに早くも接近していた。 (注意:作者の中でのジギーのキャラは、シスコン&タケシの3倍は軟派というイメージがデフォルトになっています。 ジギーファンの皆様はごめんなさい) 「キミの名前は?」 「ハルカですけど・・・・・・・」 「僕はユズジムのジギーです。妹のマリーが「お姉ちゃんが欲しい」といっていますし、是非お付きa・・・・・・」 早速サトシの話を聞かずにハルカを口説きだしてしまう。 その後ろでは、ダークルギアも真っ青なくらいダーク化したサトシとピカチュウの姿があった。 戦闘力、 サトシ:54953232(現在も上昇中)、ピカチュウ:78342145(現在も上昇中) 「ピカチュウ!ジギーに”1000万ボルト”だ!!」 「ピカ!!」 「え゛!?」 ―――只今サトシがピカチュウでジギーを攻撃しています。倫理規定に接触する残酷シーンにつき暫くお待ちください。――― 「決着はコイキングリーグ決勝戦で付けるぞ!いいな!」 「ピカッ!!」 決着は決勝戦に持ち越しということでサトシとピカチュウは、ジギーを”半殺しの一歩手前”まで手加減したという。 人の話はきちんと聞きましょう。 「は・・・・・・はる・・・か・・・・・さ・・・・・・・」(残りHP:1) 「まだ言うか!?」 「ぐごぉはっ!!!」(残りHP:0) ゾンビの如くしつこいジギーに対して、サトシは思わず蹴りを入れてしまって倒してしまった。 ▼ サトシはジギーを倒した! ▼ サトシは573の経験値を手に入れた! 「「ジャリボーイ・・・・。ある意味で既に決着がついているぞ・・・・・・」」 そんなジギーの慣れの果てをロケット団の二人は、彼の写真が納められた遺影を片手にとって喪服を着ていた。 「勝手に殺すな!!」 「あ、生き返ったのニャ!」 ジギーが蘇生したところでCパートの鯉王逆鱗編に続く!! Cパート 小説版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション ▼めざせ!コイキングマスター!鯉王逆鱗編 控え室の騒動が無かったかのように、アンニュイスタジアムの約14500人のコイキング愛好家が歓声を上げていた。 コイキングマスターが決まるこの一戦に興奮しないコイキング愛好家は誰一人としていない。 ただ一部の例外を除いては・・・・・・・。 「ついに決勝戦・・・・・・、俺は突っ込むのに疲れた・・・・・・」 「もういい加減に終って欲しいカモ・・・」 これ以上の展開について来られないタケシとハルカは、精神的に大いに疲れていた。 「今日のこの戦いで新たなるコイキングマスターが誕生する。しっかりとその眼にこの戦いを焼け付けるんじゃ!」 「あなたのマスクの方も忘れたくても忘れられないよ」 ピジョン・エキスパンダーX(仮名)は歴史的瞬間であるのだと言っているのだが、ハルカには到底そう思えなかった。 むしろ彼のマスクと共に黒歴史に葬り去りたい記憶として位置付けている。 「やあ、キミ達」 「その声は・・・、シュウ?」 ここでシュウがコイキングリーグの会場に姿を現し、ハルカの隣の空席に座る。 何故彼がここにいるかということに、タケシが早速質問する。 「シュウもコイキングリーグに出ていたのか?」 「ボクがこんな美しくない大会に出るわけは無いだろう」 「だったら、何故ここに居るのニャ?」 シュウが大会参加者ではないことは間違いない。 彼にとっては見ることすら拒みたいコイキングリーグの会場に居るのかという疑問が新たに生じており、 彼の上着のポケットからは、コイキング協会宛の招待状が見えていた。 「これはコイキング協会の招待状?シュウはコイキングリーグじゃなくて何に参加するの?」 「そ・・・それは・・・・・・。それよりもうすぐ醜く過ぎる決勝戦の始まりだ・・・」 ハルカに詰め寄られて大量の冷や汗を流すシュウであったが、これを上手く誤魔化すかのようにバトルフィールドを指差す。 バトルフィールドにはサトシとジギーが既にスタンバイしていた。 「勝負だ!『女垂らしの軟派で人の話を聞かない肝心な部分の記憶力が無い』ジギー!!」 「ふっ。『脚色の都合でポケモンマスターになれない挙句に、なったらリストラの可能性が極めて高い』サトシ君には負けないよ」 一見平穏に見える二人の姿であったが、内面ではドス黒いオーラが漂っており、 カイオーガとグラードン、ハブネークとザングースの犬猿の仲と言わんばかりに、お互いに相手を全力で”殺す”つもりでいたという。 「この二人は、今回ばかりは本気で怖いわよ!!」 「初代ジャリガールを巡る戦いに、ニャー達は見守るだけだニャ」 「ジャリボーイ達に武器を持たせたら会場は血の海になりかねないぞ・・・・・・」 「これがコイキングリーグだったことが唯一の救いね。コジロウ・・・・・・」 「ピ・・・ピカピ・・・・・・ピピカ・・・・・・」 サトシとジギーの間に漂う恐ろしいほどの黒い闘志に、止める術もないカスミ達は決着が付くまで見守る他は無かった。 「サトシがキレたらすごく怖いカモ!?」 「タケシ!お姉ちゃん!今日のサトシとジギーさんはすごく怖いよ!!」 「サトシが本気でキレたら、誰にも止める事は出来ない・・・・・・」 その横ではハルカとマサトが脅えてしまっており、マサトに至っては泣き出しそうなくらい恐怖に臆している。 そんなサトシとジギーの姿は、タケシもまた決着が付くまで見守るしかなかった。 「コイキングリーグ決勝戦!サトツ対ヅキリ!始め!!」 「「行け!!コイキング!!!」」 もはや名前の間違いをいちいち正すことが面倒くさくなったのか、サトシとジギーは決勝戦開始の合図と共に、 モンスターボールを力の限り投げてコイキングを繰り出す。 「行け!コイキング!ジギーのコイキングを叩きのめせ!!」 「サトシのコイキングなんてボコボコにしてしまえ!!コイキング!!」 相手に対する憎しみを増幅させた暗黒面のフォースを纏う二人は、お互いのコイキングを全力で倒すように指示するのだが、 所詮はコイキングであるので、跳ねたり体当たりするしか方法は無かった。 「コココイコイコイコイコイ!!!!」 「コイコイコイコイコ〜〜イ!!!!」 サトシのコイキングは力の限り高く跳ねるだけで、ジギーのコイキングもまた力の限り高く跳ねていただけだった。 時々体当たりをして相手のコイキングを攻めるのだが、ダメージは微塵でしかないため普通に倒すことが出来ない。 「サトツ!!お前のコイキングこそが最強だ!!軟派野郎のコイキングなんて蹴散らせ!!」 「ヅキリさん!!こんなジャリガキのコイキングなんて、ボコボコにしなさい!!」 「どちらも頑張れ!!これで勝てばコイキングマスターになれるぞ!!」 『フレー!フレー!サ〜ト〜ツ〜!!』 『L・O・V・E!ヅーキーリー!!』 「ただ跳ねるだけのコイキングのバトルに、何故コイキング愛好家は盛り上がれる!?」 熱気に包まれた客席の中で、必死に力を込めて応援するコイキング愛好家達にタケシは脊髄反射で突っ込んでしまう。 そんなタケシの叫びも、ヒートアップしているコイキング愛好家達の前では、全く聞こえることは無かった。 「ジギー・・・いい加減にギブアップしろよ!!」 「サトシこそはやく諦めろ!」 コイキングバトルがなかなか決着が付かない二人と二匹のコイキングは十数分の戦闘で早くも疲労困憊になっており、 これ以上の長引いてしまえば自分自身が倒れてしまう可能性もある。 ちなみに決勝戦は”制限時間1時間”で行われている。 たった一時間の制限時間であっても、サトシとジギーにとっては24時間といえるくらいの長い時間だった。 「う・・・美しく無さ過ぎて・・・全身にジンマシンが・・・・・・」 「何故コイキングバトルで過剰なくらいに熱くなれるのかしら・・・」 「サトシとジギーは半分ヤケクソなのだが、半分はカスミを巡る戦いとあって眼が本気だ!!なんて熱いバトルなんだ・・・!!」 観客席ではシュウがあまりの醜さで苦しみだしてしまい、ハルカは突っ込む気力すら無くしてしまっている。 タケシもまた半ば精神崩壊した状態になってコイキングリーグ決勝戦を見守っていた。 「ぼくのコイキングの『ツイスター・ローリングテンペスト』を使わせる前にね!」 「それなら俺のコイキングの必殺技『インテグラル・デストロイヤー』を受けてみろ!」 「「「『ツイスター・ローリングテンペスト』に『インテグラル・デストロイヤー!!??』」」」 名前からしてもすごい隠し技とも言える名前を二人が言ったとき、ロケット団一同は驚きのあまりに絶叫してしまう。 ポケモン最弱のコイキングであるのだが、あまりにすごい技の名前に思わず期待してしまう。 「受けてみろ!ツイスター・ローリングテンペスト!!!」 ツイスター・ローリングテンペストとは、コイキングが高く跳ね上がるときに高速度で三回転1/2捻りを入れた後、 落下し始めたときに四回転で落下して着水するという、コイキングの跳ねるの中でも高等技術を要する技である。 「技名と跳ね方がすごいだけで、所詮はコイキングの跳ねるじゃないか!!!」 結局は跳ねる以外はなんら変わりの無い技名だけすごい跳ね方に、シュウは脊髄反射で突っ込みを入れてしまう。 「その程度か!?これがオレのコイキングのインテグラル・デストロイヤーだ!!」 インテグラル・デストロイヤーとは、コイキングが全速力で助走をつけて空中に飛び跳ねた後に四回転した後に、 着地に3回捻りを入れるという、コイキングの跳ねるの中でも難易度の高い技である。 「結局サトシのコイキングも変わりないじゃん・・・・・・」 また技名だけすごくて所詮は跳ねると変わりない技を見たハルカは、情けなさのあまりに絶句しそうになったという。 「次はオレのコイキングの『メテオブレイク』を見てみろ!!」 メテオブレイクとは、コイキングが水面から三角飛びして高速十回転して落下する高等技である。 「それならぼくのコイキングの『バーニングサイクロン』を見せてやる!!」 バーニングサイクロンは、コイキングが水面を飛び出すと同時に、空中六回転した後に落下時は3回捻りを入れる高等技である。 「これはコイキングリーグ始まって以来、大会の歴史にも残るすごい戦いだ」 「あなたの記憶には残る戦いでも、あたし達には忘れてしまいたい戦いよ!!」 「ぼくを殺せ!!こんな醜い戦いを見せられたら死んだほうがマシだ!!」 サトシとジギーの高難易度技のオンパレードに、ピジョン・エキスパンダーX(仮名)は手に汗を握って興奮しているが、 ハルカとシュウは余りに耐えられない醜いコイキングバトルに発狂寸前まで追い込まれていた。 (こんな情け無いコイキングバトルでジギーに負けてたまるか!!!) (カスミさんに見られたくないバトルでサトシに負けたら、末代の恥だ!!!) 二人の内面では、絶対に負けたくない相手とのコイキングバトルに必死になっており、お互いに絶対に勝ちたいと思っていた。 これで負けたら一生の恥どころか、今後の経歴や名誉に深い傷を負ってしまうことになるからだ。 「こんなバトルでもサトシとジギーさんはすごく必死だよ!」 「おミャーもそう思うか?ニャーもジャリボーイ達がある意味での執念と意地を感じるのニャ!」 観客席で試合を見守るマサトとニャースは、二人から放たれる「絶対に負けられない」という気迫に押されてしまっている。 これは普通のポケモンバトルには絶対に見られない、異様な意味での執念と意地であるのは言うまでもない。 「ハイマット・フルバースト!!」 「ローリングソバット!!」 「ムーンサルト・タイフーン!!」 「デストリング・フィンガー!!」 「超級!覇王電影弾!!」 「爆熱!石破天驚拳!!」 「ダイダルウェーブ!!」 「マーベラスコンビネーション!!」 「アトミック・グランドスラム!!」 「アイゼンドラグーン!!」 「ファントムフェニックス!!」 「天上天下念動爆砕剣!!」 「廃墟と楽園!!」 「謳う丘!!」 「最後の2つの技名に作者に対する疑問が大いにあるぞ!!」 「技名があっても、全部が跳ねるとか体当たりとかじたばたばかりだ・・・」 「何なんだこいつらは・・・・・・。アホの極限による、おバカ過ぎるバトルだ・・・・・・」 激しいコイキング同士の”私闘”を繰り広げるサトシとジギーに、タケシは気力を入れて突っ込んでしまい、 ハルカとシュウは地獄に居るような時を過ごしているような感覚であった。 唯一正気さを辛うじて保っている三人は、多くの観客が歓声をあげる中に居るにも関わらず、展開から完全に置いて行かれている。 「さんま!」 「ホタテ!」 「ニシン!」 「キス!」 「エビ!」 「タコ!」 「おさかな天国!?」 「これを聞くと、おさかな食べたくなったニャ・・・」 技のレパートリーが無くなって来たのか、サトシとジギーは連装ゲームの如くコイキングを跳ねさせていた。 タケシはこの展開に追従不可能となり、ニャースはこれを聞いて小腹が空いてきた。 「ピカチュウ!」 「カイリュー!」 「ヤドラン!」 「ピジョン!」 「コダック!」 「コラッタ!」 「ズバット!」 「ギャロップ!」 「『おさかな天国』の次は『ポケモンいえるかな?』・・・・・・」 「はやく・・・ぼくを・・・ここから・・・出して・・・・・・美しく無さ過ぎる・・・・・・」 おさかな天国に続いてポケモンいえるかな?になっても、二人のコイキングバトルは決着が着かない。 情け無いコイキングバトルを延々と見せられている、ハルカとシュウはここから逃げ出してしまいたい心境だ。 「残り時間5秒前。4!3!2!1・・・終了!!!」 「ジギー・・・・・・!この審査はオレの勝ちだ・・・・・・」 「何を言う・・・・・・?審査員のハートを掴んだのは、ぼくのコイキングだ・・・・・・」 コイキング愛好家にとっては激しい戦いだった決勝戦は、タイムアップとなって二人の決着は判定に委ねられることとなった。 激しい戦いを繰り広げたサトシとジギー、そして二匹のコイキングは疲労困憊となっており、 今は気力を振り絞って立っている状態だ。 これで決着が着いて欲しいという思いと、最も情け無いポケモンバトルで最も気に入らない相手に負けたくないという思いが、 二人を支えていたのである。 点数 サトツ:美しさ:10、逞しさ:10、きらめき:10、こく:10、味わい:10、まろやかさ:10、汗:10、魂:10、ぽにぽに:10、やすゆき:10、合計:100 ヅキリ:美しさ:10、逞しさ:10、きらめき:10、こく:10、味わい:10、まろやかさ:10、汗:10、魂:10、ぽにぽに:10、やすゆき:10、合計:100 「この勝負!引き分け!!」 「「何だと!?」」 審査員が下した点数が満点でありつつ引き分けという、コイキングリーグ始まって以来のジャッジに観客は騒然として、 サトシとジギーも同じように、二人とも満点で引き分けという結果に驚いてしまった。 二人のコイキングバトルは点数で計れないほど、コイキング愛好家達には想像を絶するバトルであったことを物語っており、 二人のどちらにも優劣や甲乙をつけ難い評価であった。 「感動した・・・・・。すばらしい戦いだった・・・・・・」 「コイキングバトルでなければ、もっと凄い戦いだったはずだ・・・・・・」 観客席ではピジョン・エキスパンダーX(仮名)とタケシが席を立って、滝のような感動の涙を流していたという。 最後の最後でこの二人はすっかり意気投合してしまっている。 「・・・・・・・」 「お姉ちゃん!気絶していないで、サトシとジギーさんがパーフェクトで引き分けたから、同時優勝かも知れないのよ」 想像を絶するほど見ていられないコイキングバトルに、精神崩壊しかけたハルカは決勝戦の終盤から気絶してしまったという。 「このバトルは全身にジンマシンが出るくらい『美しくなさ過ぎる』!!!」 同じく観客席で最後まで戦いを見届けたシュウであったが、黒歴史に葬り去りたいバトルを見せられた彼の精神は崩壊寸前となっており、 彼に残された最後の理性が”余計な一言”を大声で叫ばせてしまった。 「「!!!???」」 不運なのか偶然にも聞こえてしまった発狂寸前のシュウのこの余計な一言、 それがサトシとジギーの溜まりに溜まった怒りを爆発させる、最終安全装置と化してしまった。 「シュウ・・・・・・、オレは好きでコイキングリーグに出ていると思ったか・・・・・・」 「カスミさんにはとても見せられない一生の恥ともいえる大会に好んで出ると思っているのか・・・・・・」 シュウの一言が聞こえてしまったサトシとジギーは、引き分けたことへの遺恨とコイキングリーグへの嫌悪感が混ざり合って、 彼らの怒りもまた数値で測りきれないほど上昇していたのだ。 戦闘力、 サトシ:計測不能、コイキング:計測不能 ジギー:計測不能、コイキング:計測不能 「一番言ってはいけない事を言っちゃった・・・・・・」 「もう知らないカモ〜」 「ジャリボーイが完全にキレると、ニャー達でも手に負えないのニャ・・・・」 怒りの臨界点に到達した二人を見て、カスミと先程目を覚ましたハルカは会場から全速力で逃げ出して行き、 ニャースは恐怖のあまりに足が動かなくなっていた。 「「シュウ!!ポケモンの能力差が戦力の決定差で無い事をお前の身体で教えてやる!!」」 「うわぁああああ!!!」 二人の怒りは八つ当たりといわんばかりにシュウに向けられてしまい、彼に美しくないと言われた二匹のコイキングは、 怒りを力に変えて口から灼熱の炎を噴出した。 そう、コイキングが放ったこの技は竜の怒りであり、その炎はシュウを包み込んで大ダメージを与えた。 「ジャリボーイズの怒りに応じて、コイキングが竜の怒りを使った・・・・・・」 「コイキングの中には、ごく希に竜の怒りを使うのが居ると聞いたことあるけど、2匹同時はどういうことなの!?」 「一番言われたくないシュウに一番言われたくない台詞を言われたサトシとジギーの怒りが、 コイキングにもシンクロするように、今まで眠っていたギャラドスの力を呼び起こしたんだ!!!」 阿鼻驚嘆の修羅場と化したアンニュイスタジアムの中で、コジロウとムサシはコイキングの怒りをこの眼で見るとは思ってもいなかった。 その横でタケシはサトシとジギー、そして二匹のコイキングの怒りの原因を解説している。 そのとき、サトシとジギーの怒りに更なる反応を示したコイキングは、凶悪ポケモンギャラドスへと同時に進化を果たした。 「ぎ・・・ギャラドスに進化したのニャ・・・・・・」 「ジャリボーイ達はバラのジャリボーイを殺さない限り暴れ続けてしまうぞ!!」 「そんなことより、ここは逃げるのよ!!」 二匹のギャラドスの頭上に乗って破壊の限りを尽くすサトシとジギーの姿に、 ムサシとコジロウは恐怖で立つことが出来ないニャースを引っ張って、アンニュイスタジアムから逃げ出した。 二人と二匹はシュウを半殺しにするまで止める事は出来ない。 「ギャラドス!!シュウに破壊光線!!」 「サトシのギャラドスに続いて、シュウにハイドロポンプだ!!!」 他の観客が巻き込まれるということは全く考えていないサトシとジギーは、シュウに対するギャラドスによる猛攻が行われる。 アンニュイスタジアムは地獄絵図の光景へと様変わりしている。 「何でボクが狙われなきゃならないんだ!!」 「これは全部余計なことを言ったシュウのせいだよ!!」 「ピカピカピ!!!(怒)」 破壊光線やハイドロポンプなどが飛び交うアンニュイスタジアムを、シュウはマサトとピカチュウを巻き込んで逃げ回る。 しかもサトシとジギー、二匹のギャラドスは、手加減なしで本気で攻撃を加えているので逃げるのにも命懸けだ。 「はははは・・・!!ギャラドスが・・・ギャラドスが・・・・・・・!!ははははは!!!!」 「ピジョン・エキスパンダーX(仮名)!!はやく逃げないと俺達も殺されてしまうぞ!!」 「あたしのギャラドスでも、サトシとジギーをとても止められないよ!!」 コイキングリーグどころではなくなった、主催者のピジョン・エキスパンダーX(仮名)は精神崩壊を起こしており、 タケシとカスミに引っ張られるように、アンニュイスタジアムから脱出した。 シュウの余計な一言によって、コイキングリーグ会場は混乱の渦に包まれて続行不能となった。 これによってサトシとジギーは、ギャラドスに進化させた挙句の破壊活動で反則負けと永久出場停止処分をうけることとなり、 結果としてもこの大会は優勝者不在のまま混乱の収束と共に幕を閉じた。 「お前がミシロタウンのハルカか?」 「はい。あたしがミシロタウンのハルカですけど・・・・・・」 地獄のようなコイキングリーグ会場から脱出しようとするハルカの前に、サトシと同じようにダー○ベ○ダーのコスプレをした謎の男が、 ラブレター風の封筒の入った手紙を渡す。 「コイキングリーグの会場に居たことは好都合だ。この招待状を持って数日後にここに来るんだ」 「まさか・・・・・・これって・・・・・・」 謎の男から手渡された招待状を受け取ったハルカは、開けてはならない嫌な予感がしたのだが、招待状の封を開けてしまう。 彼女の嫌な予感が的中したように、これはコイキング協会から出された招待状であった。 ミシロタウンのハルカ様 全国コイキング協会主催の第873回コイキングコンテストの書類選考に通過しました。 ○月△日にアンニュイスタジアムにて開かれる、第873回コイキングコンテストへの出場権を獲得しました。 当案内をご持参の上であなたのコイキングをお連れになられて、会場にてお待ちします。 「こ・・・・・・、コイキングコンテスト!?」 サトシとジギーの怒りによって終幕したコイキングリーグから数日の月日が流れた。 すぐに復旧されたアンニュイスタジアムには、厄災の元凶となったポケモントレーナー達と共に、 コイキングリーグで精神的に苦しめられて発狂まで追い込まれた、ポケモンコーディネーターのハルカとシュウの姿があった。 「シミロタウンのハノレカ様と某所在住のツエラ様、会場に入ってください」 相変わらず誤字誤植の激しいコイキング協会の招待状によって、ハルカとシュウはコイキングコンテストへと強制出場が決定した。 「何で参加拒否をしに来た僕がコイキングコンテストに出なきゃならないんだ!!ツエラって何処の誰だ!?」 「コイキングしか出られないポケモンコンテストに、ハノレカと間違われたあたしも出ることになるなんて・・・・・・」 この場から逃げ出したい二人であったのだが、筋肉が隆々とした漢(おとこ)に軽々と抱えられてしまい、 会場の中へと無理矢理連れて行かれる。 「はははは!!!ふっ腹筋が痛い・・・!!」 「ひゃははっははっはっはは!!・・!!・・・・息が苦しい・・・・・!!」 「サトシとジギーさん、シュウとお姉ちゃんのこと笑っちゃダメだよ」 「二人とも、サトシとジギーのように潔くコイキングコンテストに参加するのよ」 「コイキング協会の誤植はとんでもなく酷いとしか言いようがないのね」 こうしてコイキングリーグ参加者達に見守られながらも、コイキング協会による招待状の誤字誤植のせいで、 ハルカとシュウは出たくないコイキングコンテストへと強制出場されたのだった。 その後の二人のコイキングコンテストでの活躍は黒歴史に葬られたことは言うまでもない。 ふ〜りむ〜いてご〜らん〜♪君のつけ〜た道〜は〜♪ 小言兄版ポカツ上モソヌタ一マトリ少ンヌツリエ礼ーミョソ ▼ぬぢサ!ユハキソグア又ター! 糸冬了 タケシ「最後の最後も意地でも誤植か!!もう止めろ!!」 あとがき、 ラルースシティの真実、左遷〜エリートロケット団員”だった”二人の悲劇〜に続く、アニメポケモン下克上(え?)3部作最終章、 めざせ!コイキングマスター!をお楽しみいただいたでしょうか? これは「「ポケモンマスター」を「コイキングマスター」に置き換えてみようかな?」という些細な語呂合わせから始まって、 コイキングリーグというネタとして次第に構成されていくのに時間は掛かりませんでした。 アニメポケモンを”徹底的に壊す”というコンセプトでコイキングリーグを構想したら、サトシVSジギーの構図が浮かんでしまった・・・。orz オレンジ諸島編のジギーはサトシにとっては恋敵もとい『天敵』ですし、 電撃ピカチュウ4巻で”女装オチ”をやった過去を持つ彼が”生贄”になることは視野に入れてみました。 さらにはAGではハルカの突っ込み役のサトシを久々に初期の頃のボケキャラに戻すと共に、力の限りジギー君を壊しました。 それからサトシの『天敵』でオチをやりたかったから、最後のシュウの「美しくないね」オチは当初から決めていました。 あ、謎の存在であるピジョン・エキスパンダーX(仮名)氏は一体何って?彼の存在は永遠の謎にしてください。(マテ) アニメポケモンは”ギャグパロディの材料として”書き易いですから・・・・・・。(え?) それではコイキングリーグにお付き合いいただいてありがとうございました。 2006/01/10 Whitten by:霧島吾留乃 ゲーム本編で序盤のお月見山のポケモンセンターでコイキングを必ず500円で買うトレーナーの一人として・・・。