*この小説は作者の想像によるフィクションですので、アニメ本編とは関係ありません。 ヤマト、コサンジ・・・いやコサブロウは、ムサシ&コジロウと同期入団したロケット団員であり、 ボスも一目を置くエリートロケット団員として、将来は幹部になるであろうとロケット団上層部からも期待されていた。 しかし、サトシ一行や彼らの出世を気に入らない同期で落ちこぼれのムサシとコジロウの妨害によって、 作戦はあと一歩のところで全て総崩れを起こして失敗する。 その度に支払った保釈金の額は膨大で、警察への根回しに上層部が苦労させられ、彼らの期待も次第に希薄なものになっていく。 実力主義のロケット団での度重なる失態は許されないことで、上層部は期待させておきながら裏切ったような結果に激怒したことで、 これを機にボスもこの二人を幹部候補から外すことを決定する。 そして、この二人をロケット団ペトロパブフロスク・カムチャッキー支部への左遷が決定した。 左遷〜エリートロケット団員"だった"二人の悲劇〜 ここはロケット団ジョウト支部の秘密基地で、そこにはヤマトとコサンジ・・・いや、コサブロウの姿があり、 基地司令室の大画面にはロケット団独自の通信回線を中継して、ペルシアンを撫でるボスが映し出されていた。 「お前達のペトロパブロスク・カムチャッキー支部への転属は決定した。これについて何か言いたいことはあるか?」 補足説明:ペトロパブフロスク・カムチャッキー ロシア連邦領でカムチャッカ半島南東部の太平洋側に面しており、アバチャ湾の奥に位置する天然の良港である。 ロシア太平洋艦隊の軍港にもなっていることから戦略的価値も高く、多くの漁業資源に恵まれていることからサケやカニの水揚げ量が多い。 世界遺産のカムチャッカ半島の火山群もあることから、観光地としても有名で、1998年に北海道釧路市とは姉妹都市協定をしている。 くれぐれもペトロポロロックスグァンダムダイスキーと間違えないで貰いたい。 「ボス!!私たちの作戦はムサシの妨害が無ければ必ず成功していましたし、これは不可抗力ですよ!!」 「それにジャリボーイ達・・・特にあのピカチュウのせいで、我々は散々煮え湯を飲まされてきました!!」 「貴様らの言い訳には、必ずムサシとコジロウ、そしてピカチュウが出てくる!!もう少しマシな言い訳を言え!!」 ヤマトとコサブロウの作戦失敗に、落ちこぼれの同期とピカチュウが必ず絡んでいるのは事実だが、 同じ失敗理由を何度も聞いているボスには、もはや言い訳にしか聞こえなかった。 この二人がどんなに足掻こうと、左遷は既に決定事項であるので覆せない。 「何故我々をムサシやコジロウをホウエン地方に飛ばしたように、私達も同じ扱いなんですか?」 「奴らと一緒にされたら俺達にとって屈辱です!」 「あいつらが我々ロケット団への背信行為で数々の作戦を妨害したことを考えれば、 奴らこそがペトロパブフロスクカムチャッキーに飛ばされるべきだし、むしろ公開処刑するべきです!!」 あくまで自分達は悪くないとして、全ての責任をムサシとコジロウの責任に転化しようと二人は延々と言い訳を続ける。 何故あいつらが国内のホウエン地方で、自分達がロシアのペトロパブフロスクカムチャッキーに飛ばされるというのが理不尽すぎる。 そんな二人の必死の言い訳に聞き入ったボスは一つの決断を下す。 「分かった。ペトロパブフロスク・カムチャッキー支部への転属は取りやめよう」 「「ボス・・・・・」」 「その代わり、ミッドウェイ島支部への転属に変更する」 補足説明:ミッドウェイ島 1859年に発見された、北太平洋のハワイ諸島の北西に位置する島で、1869年にアメリカが領有を宣言する。 島の位置が軍事的に重要な位置にあることで米軍基地が置かれ、1942年6月4日に旧日本軍とアメリカ軍のミッドウェイ海戦が起きている。 それ以降も1996年までに米軍基地が置かれており、基地が閉鎖された後は自然保護区となっている。 補足の補足として、ミッドウェイ海戦にて、旧日本海軍は主力空母である、赤城、加賀、蒼龍を失っており、 これに伴う大打撃を受けた旧海軍の連合艦隊は、アメリカ軍の反攻もあって太平洋戦争の戦況は次第に劣勢へと逆転し始める。 「「余計に辺地じゃないですか!?」」 「その程度の言い訳なら子供にだって出来る!!」 むしろこの二人の言い訳は左遷先を変更しただけであり、本部勤務はともかく国内残留は絶望的な状況となる。 ロケット団の国外支部の予算は場所によっては厳しいところもあり、ペトロパブフロスクカムチャッキーは比較的にマシな方で、 ここからは低予算支部ばかりになる可能性すら出てきた。 「同じロケット団員に責任がないとおっしゃるなら、あのピカチュウが我々にとっても全ての元凶です!!」 「たかが電気ネズミに舐められて、巨額の予算を費やした作戦が失敗したというのか?」 「はい!あのピカチュウの鬼のような攻撃を受けたからには、むしろ俺とヤマトが被害者なんですよ」 「たかが一匹の電気ネズミに勝てない奴はチベット高原支部に行け!!」 補足説明:チベット高原 ユーラシア大陸中央部に位置する世界最大の高原で、東西約2,000km、南北約1,200km、面積は約220万平方kmで、 日本国土の約6倍の広さをもつ。 中華人民共和国領で、中国では青蔵高原(せいぞうこうげん)と呼ばれ、中国領土の約23パーセントの面積を占める。 そのうちの半分がチベット自治区として区分されているが、チベット側は中国からの分離独立を訴えている。 「ボス!!お気を静めてください!!あのピカチュウは世界に一匹しかいない並のピカチュウじゃありません!!」 「ピカチュウなんか地面ポケモンの地面タイプ技で一撃倒せるぞ。ポケモンバトルの基本も忘れたかヤマト!?」 「あのピカチュウは地面タイプのポケモンすら倒してしまうほど強いのです!!」 勢いでチベット仏教徒に出家して悪の道から脱線することを恐れてか、二人は次なる言い訳にピカチュウを持ち出すが、 ボスは決して本気で聞き入れようとしない。 あのピカチュウの強さは通常のピカチュウとは比にならないが、ボスから見ればそれ以上でもそれ以下でもない。 ただの電気タイプのネズミポケモン、ポケモン図鑑全国ナンバーNo025のピカチュウでしかないのだ。 「貴様らが連れてきたポケモンのレベルが低いだけか、お前達の腕ではピカチュウ一匹すら倒せないほど弱いのか!?」 「とんでもない!!我々はロケット団でも屈指の実力を持つポケモントレーナーであることをお忘れですか!!」 「それにあのピカチュウを連れたジャリボーイは、大人顔負けの破天荒な戦い方をするのです!!」 「ピカチュウを連れたトレーナーは子供といっていたが、子供にすら勝てない奴は南極大陸支部に行ってもらう」 補足説明:南極大陸 南極点を中心とした大陸で、年間を通じて気候は非常に寒冷である氷雪気候であり、僅かな動植物を除いて生物はほとんど生息しない。 南極の領有権は南極条約により凍結されていることから、どの国にも属さない大陸となっているが各国の観測基地が置かれている。 地下資源は豊富であることは確認されているが、資源採掘は生態系保護の観点により禁止されている。 現在では地球温暖化の影響による氷の溶解に積雪層の重さによる地盤沈下、そして観測隊が過去に持ち帰らずに残していった、 不法投棄されたゴミによる環境破壊が問題となっている。 ちなみに南極条約は某ロボットアニメの方の、核兵器や質量破壊兵器などの使用禁止や捕虜の扱いなどを明記した条約とは関係ない。 「それにあのジャリボーイは水戸黄門も顔負けの、野生のポケモンを味方につける素質があります」 「あのオーキドやウツギからポケモン図鑑を貰っています!!」 「それがバトルと何が関係ある?ポケモン図鑑を持っている奴はそこらに山のようにと居るぞ! くだらない言い訳ばかりする奴はサハラ砂漠支部行きに変更と・・・」 補足説明:サハラ砂漠 アフリカ北部にある、東西5600km、南北1700km、面積は約1000万平方kmの世界最大の砂漠で、アフリカ大陸の約3分の1を占める。 現在でも毎年四国と九州を合わせた面積の土地が砂漠化していると言われている。 言い訳すればするほど左遷される支部の辺境度数が増していき、ここまでくれば本部復帰の可能性も限りなくゼロに近くなる。 このとき、ヤマトとコサブロウの何かがキレてしまい、開き直って言葉を武器にボスに対して反旗を翻した。 「ボスはジャリボーイと戦ったことが無いから分からないんですよ!!」 「あのジャリボーイは地球防衛組に居たときは、校舎の中に隠したスーパーロボットに乗って侵略者と戦っています!!」 「ロボットの操縦ができるというのか!!」 「他にも俺達が知っている情報としては、スー○ーロ○ット対戦に別の名前で出ていたという事実もあります!!」 「後はJAM Projectというユニットで活躍しているという情報が・・・」 ご存知の方もいるかもしれませんが、サトシの声を演じているのは松本梨香である。 妙に少年役が多いような気がするし、アニメソング界でもその名を轟かせているのは声優に詳しい方ならご存知だろう。 しかし、この二人の言い訳は”全然ポケモンとは関係ない方向である”のは言うまでもない。 「ヤマトとコサンジ。そのジャリボーイの声優が松本梨香だというネタには付いて来れない読者もいるぞ。 サハラ砂漠より白頭山に行きたいということがよく分かったぞ」 補足説明:白頭山 中華人民共和国吉林省と朝鮮民主主義人民共和国両江道の国境地帯にある標高2744mの火山で、頂上にはカルデラ湖がある。 中国では中国産朝鮮人参や薬草などが栽培されており、温泉があることから外貨取得のための観光地にもなっており、 日本や韓国の旅行客は中国側から入山する。 朝鮮半島では朝鮮民族の聖地とされており、韓国と朝鮮双方の国家や代表民謡のアリランの歌詞でも歌われている。 また第2次世界大戦中では、反満抗日ゲリラの拠点であることから、日本軍によるゲリラ掃討戦が繰り広げられた。 北朝鮮では金成日国家主席がここを拠点とした抗日ゲリラの主導者であり、その頃に金正日総書記が生まれた場所だと言われている。 「ボボボボボス!!!他にもそのジャリボーイは赤い魔本を片手にピカチュウを操って強大な呪文を放つのです!!」 「な!!なんだと!?」 「他にもピカチュウのすごいところはロケットパンチを発射したり、十万馬力のパワーと7つの力を持っています!!」 「ジャリボーイは怒ると髪が金髪で目が青色の筋肉モリモリのスー○ーサ○ヤ人になるんです!!」 「うそだろう!!!」 二人は玉砕確定となれば別ネタを用いた反則的な嘘に満ちた言い訳で、ボスを言葉で押し切ろうとする。 ヤマトとコサブロウの小泉劇場・・・いや、勢いによるハッタリでボスは訳も分からないまま驚かされてしまう。 ここまで幾つの別ネタを使って何のネタを言っているのかは、ここでは明記しないのでご了承ください。 「他にはポケモンではない魔王系モンスターを引き連れて、世界征服を企もうとしているし・・・」 「さらにはイフリートやシヴァ、バハムートなどの召還獣も繰り出すことだって出来ます!!」 「ポケモントレーナーを超越していたのか!!」 「さらにはそのピカチュウは18メートルに巨大化して体中が白くなって、”連邦の白い悪魔”という異名で恐れられています!」 「それから、赤い彗星とかエンデュミオンの鷹、13番目の時の番人とか破壊王とかいろいろと異名がありまして・・・」 「すごいことに、リザードン、カメックス、フシギバナと4体合体することで、ミュウツー型ロボに変形するのです!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」 「もっと驚くべきところは、ジャリボーイは戦闘時に裸・・・、全裸になるんです!!」 「そのうえ手ぬぐいを頭に被ってマジックで書いたヒゲ面で、サーベルを片手にヒゲダンスを踊りながら指示します!!」 「「そらから・・・そらから・・・・!!!」」 「ヤマトにコサンジ・・・、もういい・・・」 「ボス・・・。分かってもらえましたか・・・・・・」 力の限りを尽くした政治家顔負けの言い訳で精神力を使い果たしたヤマトとコサブロウは、とにかくボスを勢いで押し切った。 その勢いに飲まれつつもボスは下した決断とは・・・・・・。 「お前達クビだ!」 補足説明:クビ 会社や組織側からの解雇通知、つまりヤマトとコサブロウはロケット団に居なくてもいいということである。 ロケット団総帥直々の解雇発言によって、ヤマトとコサブロウはロケット団からの追放が確定した。 それに伴って何十人ものロケット団員が二人を取り囲んで、モンスターボールを構えて総攻撃の態勢を取る。 ロケット団が秘密結社である以上はこの二人を簡単に表社会に戻すわけには行かない。 そのうえ幹部候補であるが故に秘密を知りすぎた二人は、機密保持のために抹殺することは組織を維持するために当然の判断だ。 「ヤマトとコサンジ、ロケット団規約第234条の適用により、追放する幹部候補の始末に処する!!」 「「と・・・とっても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、 い・・・・・嫌な・・・・・・嫌な・・・・・・・・・嫌なフィーリィーンングゥゥゥッ!!!」」 ボスのクビ発言で絶体絶命の窮地に立たされたヤマトとコサブロウは、なんとかロケット団支部を無事に脱走することに成功したが、 その後の二人の消息は誰も知らない。 本日の教訓 『言い訳すればするほど泥沼にはまってしまうので、命が大切でしたら潔く辞令を受け取りましょう。』 *この小説は作者の想像によるフィクションですので、アニメ本編とは関係ありません。 地理紹介参考資料、ウィキペディア(日本語版):http://wikipedia.org/ あとがき、 このブラックコメディを愛する悪役、大和&コサンz・・・失礼、ヤマト&コサブロウに捧げます。 ポケモンAGになってから全く出ていないヤマト&コサンジとボスのやり取りを何気に想像してコメディ風味に書いてみました。 ロケット団(白)の3人組より悪役度の高いヤマト&コサンジは、アニメスタッフでも扱いにくい存在として出番が少ないらしいのだが、 自分としてはこの二人は何処かに左遷されたと思っています。 この小説のように存在が消されかけて行方不明というオチかもしれませんし、あるいは内勤になったりと色々と考えられます。 果たしてこの二人がアニメに復帰する日は何時になるのでしょうか? それでは自分はヤマコサ復帰を首を長くして待ちます。 2005/9/14 Whitten by 霧島吾留乃 アニメ版ロケット団のファンとして・・・