Sub Effect 第一部:Ballet city story 第十六話:総帥 9月17日午後7時3分、ショウ達はエレベーターで地下研究室に向かっていた。 エレベーターは防犯上の理由から各階で停止するので、その度にアーガス警備兵と衝突していた。 初めは階段で行こうと思ったが階段自体ユウキとの戦闘で爆破されていたので仕方なくエレベーターで行くことになったのである。 そして、ようやく地下1階にたどり着いた。 「レイナはここを出た方がいいぞ。」 「『M』という化け物を止めるには少しは知識がいるかと思って・・・。」 「ショウさんのいう通りここから脱出した方がいいですよ。」 「『M』に関する資料をスレイヴボールを探してるときに見つけたんだけど見てみる?」 ショウはレイナから『M』の資料を素早く奪って見てみた。 「か、書いてあることが全く分からん・・・。これ、何語か?」 「ショウさん、俺に見せてください。俺、こう見えても英検準1級取ってますから。」 サイウンが自身をもって資料を見てみた。 「これ、英語でもありませんし、どこの言語なんですか?」 「これはシルフカンパニーの社員にしか読めない暗号よ。ちなみに解読方法は企業機密だからいえないよ。」 二人は企業機密に触れるとまずいので仕方なくレイナを連れて行くことにした。それから地下2階の地下研究室に無事にたどり着いた。 とても分厚い地下研究室の扉にはこのような警告文が書かれていた。 −−−−−−−−−−−−− 地下研究室 関係者以外立ち入り禁止 シルフカンパニー総合研究所 −−−−−−−−−−−−− 「十分関係あるから無視!」 ショウ達は持っていたC4爆弾で壁を爆破した。3人は地下研究室の中に入ると、そこには高さが2メートルある体が白く、 長い尾をもつミュウに似た顔のポケモンがカプセルの中に入っていて、一人の中年女性がそこにいた。 ショウはその中年女性をすぐに何者か分かったので話し掛けてみた。 「お前がアーガス総帥か?それからあのポケモンが『M』という奴か?」 「そうよ。私がアーガス総帥、コードネーム『エリザ』よ。」 「本名では名乗れないのか・・・母さん。」 ショウの発した一言でサイウンとレイナは驚いた。 「ショウさん、お、親子なんですか?」 「ユウキはこいつの父さんが10年前のアーガス総帥といってたから、その母さんがあの副総帥だったと考えてもおかしくないでしょう。」 「俺の母さんは10年前に死んだんだ。そこにいるのはアーガス総帥エリザだ。」 「ショウから見れば私はすでに死んだ者よ。今の私はアーガス総帥エリザよ。」 ショウはアーガス警備兵からいつの間にか奪ったサブマシンガンの銃口をエリザに向けた。 「エリザ、お前がやってることは10年前と全く変わりないテロだ。」 「そう否定してもおかしくないわね。私達はアーガス以外のテロ組織を撲滅させるためにこの『M』が必要なの。 シラキには言ってなかったが、このバレットシティをアーガスの新拠点として使う予定でもあるのよ。 住人の生活は今まで通りのものを保障するし、もしこの街が危機に瀕した時は私達が守ることにしたわ。」 「きれい事並べて自分達を正当化するな!お前達はそこらのテロ組織と変わりないことをしてるんだ! お前らが『M』いや、ミュウツーを手に入れるために何千の人間や動物、ポケモンを殺したんだ!?」 「ミュウツーを知ってるとは・・・。」 「ああ、レイナはこの研究所に就職する前にマサラタウンのオーキド研究所にいた時期もあるんだ。 俺はバッジを集めにカントーを旅していたときに偶然レイナと会った。そこでレイナがポケモン図鑑を見せてくれたんだ。 そこにこいつが図鑑に登録されていた。やはりこいつは遺伝子ポケモンミュウツーだったか。」 エリザは2つのモンスターボールからカイリュ−とバンギラスを出した。そのカイリュ−とバンギラスは腹部に何らかの装置をつけていた。 「カイリュ−、バンギラス、この2人を生きて返すな!」 「断る!俺は人間として許せない!俺はお前を倒す。いや、絶対に勝つ!」 ショウはモンスターボールからマリルリとポリゴン2を出し、マリルリはすぐに2匹に向かって吹雪を放った。 それからポリゴン2がトライアタックを放った。だが、カイリューとバンギラスは無傷のまま仁王立ちしていた。 「何故、攻撃が全く効いてないんだ・・・。」 「シールド、我がアーガスが研究しているシールドシステムの試作品、それをカイリューとバンギラスにつけているのよ。」 エリザがショウの疑問に余裕で答えた。それからエリザは2匹に破壊光線を指示した。 ショウとそのポケモンは何とかよけたが、破壊光線が壁に当たり、壁に大きな穴をつくった。 ショウはすぐにパラセクトを出して、キノコの胞子を指示した。だが、カイリューとバンギラスは眠らなかった。 「こいつらは薬慣れしているからキノコの胞子なんか効かん!」 「毒物に慣らしていたのか。レアコイル、ジャミング!」 レアコイルがモンスターボールから出てきてすぐにジャミングを放った。さすがの徹底防御を施しているカイリュ−とバンギラスでも特殊音波は効いたのである。 それでもエリザは余裕の表情を見せていた。 「ジャミングでこの2匹の方向感覚や平行感覚を奪ったのはいいが、嗅覚までは狂わないのよ。」 エリザの言う通り2匹は嗅覚を頼りにふらつきながらショウを殴りつけた。エリザは2匹にとどめの破壊光線を浴びせるように指示した。その時ショウはシールドについて考えてみた。 (そうだ、防御に徹するなら攻撃はおろそかになるはずだ・・・それにキノコの胞子もシールドで防げるはずなのにあえて使わなかったのは・・・) カイリュ−とバンギラスが破壊光線を撃つ瞬間、ショウは手持ちポケモンに総攻撃を指示した。 しかし、カイリュ−とバンギラスは破壊光線の発射を止めて、バンギラスは地震、カイリュ−は大文字でショウのポケモンを攻撃した。 「シールドの弱点、攻撃時にはシールドを解放せざる得ない。 その弱点をついたのはいいが、この2匹はこのような対応ができるように訓練されているのよ。」 エリザが余裕で説明しているのをショウは気に入らなかった。ショウはそこであることを考えた。 「マリルリ、ブーバー、レアコイル、カイリューとバンギラスに攻撃だ!」 ショウは3匹に指示した後、サイウンとレイナを見つめた。2人はショウのやることが分かったのか、すぐに動き出した。 マリルリは吹雪、ブーバーは火炎放射、レアコイルは10万ボルトをカイリューとバンギラスに放った。 しかし、シールドに守られているカイリューとバンギラスに攻撃が届くはずがなかった。 「何度言えば分かるの?シールドがある限りこいつらは無傷のままなのよ。」 「シールドの限界を超したらどうなる?」 ショウはエリザににらみつけた。それからショウはパラセクトにキノコの胞子を指示したが、 シールドに阻まれてキノコの胞子がシールドに触れたときに発生する熱で赤く燃えていた。 「まさか、シールドの弱点を・・・。」 「やっぱり弱点だったか、キノコの胞子もシールドで防げるはずだが、あえてこの2匹を毒物に慣れさせていた。 つまり、シールドは細かい粉とかに触れると熱が発生し、シールド発生装置事態が発熱してオーバーヒートを起こすからだ。 つまり、シールドの弱点は長時間は使えない上に広範囲の攻撃の防御には向かないことだ!」 「カイリュ−、バンギラス、シールドを解いて攻撃だ!」 エリザは2匹にシールドを解かせ、ショウのポケモンをなぎ払った。 だが、サイウンのニューラの吹雪とレイナのベイリーフのソーラービームが2匹に直撃した。 それからショウは隠し持っていた対戦車ライフルで2匹のシールド発生装置を破壊した。 「対戦車ライフル、まさかユウキの?」 「そうだ。お前と戦うからには強力な武器が必要と思ってユウキから奪った。奪ったといっても死んでからだがな。 これでアーガスも最後だ。お前を殺してからミュウツーを保護する。」 ショウは対戦車ライフルの銃口をエリザに突きつけ、サイウンとレイナ、そしてそのポケモン達が彼女を包囲した。 「総帥、まだ無事でしたか・・・。」 その時、ユウキに撃たれたはずのミムラが入口の前に立っていた。 −−−−−−−to be continued−−−−−−−