<  流 れ 星 に お 願 い っ っ ☆  >  流れ星にお願い事をすると、それが叶うんだって。  そう、キョーコが言ってた。  ワタシの頭を、ポンポンってして、ニッコリ笑って。 「フレイヤも、なんか願い事してみたら? もしかしたら叶うかもよ?」  だからね、ワタシ、ずっと流れ星探してた。  キョーコが寝ちゃってからも、ずっとずっと。  でも、星はなかなか流れてくれなかった。  でもでも、ワタシは頑張ったのよ。お願いしたい事があったから。  ずっとずっと。  ずっとずっと。  そしたらね、とうとう、流れ星が落ちたの!  すっごく大きな流れ星で、ワタシ、慌てて目を閉じてお願いしたんだ。  どうかどうか、叶えてくださいって。  3回繰り返して、パチッて目を開けて見て、  …一瞬、ワタシ、フリーズしちゃった。  あれ?  あれれ?  よくよく目を瞬かせて、ワタシは大きく息を吸って……吐いた。  そうして、もう一度。  光に溢れる夜の空を見上げた。  ……あれれれれ?  桔梗の花を敷き詰めたみたいな、紺色のお空。  そこに、さっき流れたはずの流れ星が。  ・・・・・・まだ、流れてた。  ……ヘン。ヘンだよね。  首を傾げて、ワタシは考える。  おかしいわ。それになんだか、あの流れ星。  心なしか、大きくなってるような……  …気がするんだけど。  と、そのとき、ワタシは奇蹟を見た。  なんていうか、・・・絶句?  まさか、こんなことがあっていいの、って。  あのね。流れ星がね、  …急カーブをかけたの。  どこに? こっちに。  こっちの、ワタシの方に………って、ええ?!!!  こ、こっちぃいぃぃぃ!?!?  キャーキャーキャー!!! どうしようどうしよう!!!!  こっちに来るこっちに来るーーーーーー!!!!!? 「みゃーーーーっっ!! どいてどいてどいてーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」  ドカ―――――――――――――――ン。  何かの声を聞いたと同時に、ワタシは頭に凄い衝撃を受けて、バタンて倒れた。  あ、あれ……目の前がマッしろ………… 「あにゃーー。失敗しちゃったぁ…。大丈夫ですかァー?」  大丈夫、じゃない・・・。  遠くなる意識の中、ワタシは何処かのんびりしたその声に、小さく小さく、応えた。 「ハイハーーイ! 起きて起きてッッ♪」 「うきゃっ!!? ……って、アレ?」  景気の良い声が突然耳元で聞こえて、ワタシは慌てて飛び起きた。  そうして、ビックリして起きたワタシは、周りの風景を見て、さらにビックリした。  ・・・・・・まっくら。  なにもない。  ……ここ、ドコ? 「君の夢の中デーーース!」 「ふにゃぁっっ!!!?」  突然、目の前に何かが飛び出してきた。  唐突過ぎて、ワタシはとってもビックリした。  心臓が、胸の中でバクバク走ってる…… 「ノンノン! 駄目だどー? このくらいでビビッてちゃさぁ」  その脅かした張本人は、悪びれることなく指を振った。  …それは、やけに人間じみた動きだった。  ・・・・・・ていうか。 「……ダーレ?」 「ジラーチでーーーっす!」  ワタシの問いに、その星型の生き物が元気良く答えた。  ジラーチ?  聞いた事の無い名前に、ワタシは首を傾げた。  彼(彼女?)は、そんなワタシを気にせず、一人言葉を続けた。 「いえーーーすっ☆ ぼくはジラーチっ。まだ見習いだけど、れっきとした宇宙公務員なんだゾ☆」  果てしなく胡散臭い言葉。  ううん、その前に、ワタシには全く意味がわからなかったけれど。  コウムイン、って何? 「公務員って言うのはねえ・・・・・・・・・・・・まあ、仕事してるってことだよ、うん。おっけい?」  おっけいじゃない。  でも、どうせこれ以上聞いてもこの生き物は答えてくれそうもない気がしたので、ワタシは黙って頷いた。  ・・・そういえば、ここは何処なんだっけ?  このよくわかんない生き物さんは、さっきなんて言ってたんだっけ。 「もーぉ、しっかりしてよ君〜。さっき言ったでしょ? ここは、君の夢の中だって」  ユメ? 「そう! まあ、正確に言うと、君の夢とぼくの夢が合体したという、ひじょーに特殊なケースの夢なんだけどねっ」  って、そんなこと言ってる場合じゃないんだっけ。  と、唐突に真面目な顔になった。  スッと目を閉じて、少しじっとしてて、「あ、いたいた」って言って。 「ふむぅ、この星の先輩は、先月起きたばっかりか。にゃるほど、ギリギリセーフか。危なかったぁ」  とりあえず、謝罪メール送っておこうっ、と頷いて、急にパチッと目を開けた。  ワタシが、はへーー?と見ている前で、両手を前に差し出し・・・握り合わせた手から、とっても綺麗な光の玉を生み出した。 「きれーー・・・」 「よーし、送・信!」  送信って言った途端、白い光の玉は小さな彼の手を離れて、猛スピードでお空へ飛んでいった。  そうして、いってらっさーい、と見送る星形の生き物を、ワタシは改めてマジマジと見た。  ・・・・・なんだろう、このジラーチっていうの。  すごくなさそうだけど・・・・・凄いのかもしれない。 「失敬だなあ。ぼくは凄いんだぞ? ・・・そりゃ、まだまだ見習いなわけではあるけどさ」  プンプンとワタシの目の前へと、彼が宙を滑ってきた。 「ねえねえ。貴方は、誰なの?」 「宇宙公務員のジラーチ。名前は、あったと思うけど忘れちゃった。識別コードなら<ER12−78・notice>だけどねー」  数字と英語の羅列に、ワタシはキョトンとした。  何ソレ、変なの。  それが名前? 「ま、ね。でも、いいよ。どうせ、ぼくらは星々に一人づつしか派遣されないわけだし。ジラーチで」  で、そんなのはぶっちゃけどうでもいいんだよね。  ジラーチは溜息をつくと、ワタシの目を、ジーーッと覗き込んできた。 「本題に入るよ、フレイヤ」  さらっとワタシの名前をジラーチが口に出したもんで、ワタシはびっくりして飛び上がった。  何で!?  なんで知ってるの、ワタシの名前!? 「なんで、って・・・・・・まあ、わかるんだよ、ぼくらは。いい名前じゃーん、フレイヤって。豊穣の女神の名前でしょ」  トレーナーが付けてくれたの?  そう聞くジラーチに、ワタシは強く頷いた。  うんっ、この名前はね、キョーコがワタシにつけてくれた大事な名前なんだから! 「彼女が好きなんだね。その気持ちは大事にするんだよ。・・・・で。本題いいかな、おっけい?」  どうもジラーチは急いでいるみたいに見えた。  ワタシは頷いて、キョーコがお父さんの前でそうなるみたいに、神妙にその場に腰掛けた。  そうして、ワタシはジラーチの話すことを、じーっと黙って聞いた。 「ぼくらの仕事はね、星の願いを叶える事なんだ」  星の願い?  ワタシが首を傾げると、そう、とジラーチが頷いた。 「何万年も何億年もかけて、その星を見守り、その願いをかなえる。それが、ぼくらの使命なんだ」  ジラーチは、簡単に自分の事を説明してくれた。  ジラーチたちは、星の願いを叶えるという役目をもっている事。  千年に一度やって来る千年彗星便からエネルギー補給をしながら、割り振られた星のために働かなくてはいけない事。  そうしてくうちに、ジラーチたちはどんどん若返っていく事。  そして仕事が終わる頃、つまり星の命が尽きる頃には、「ム」っていうのになってしまう事。  でもそうなることによって、ジラーチたちは生前の罪を許され、また輪廻の輪に入る事を許される事。  そうしてその時に、一つだけ、自分の願いを叶えることが出来る事。 「わかる?」 「・・・・・・わかんない」  顔を覗き込んできたジラーチに、ワタシはふるふると首を振った。  だって、すっごく難しいよ。  キョーコに聞いてみないと、わかりそうもないや。  …キョーコもわかるかわかんないけど……… 「いーよいーよ。わかんないならそれでいーの」  ジラーチが、よしよしとワタシの頭を撫でた。  それは今必要な事じゃないしね、と頷いて。 「今はね、ぼくが、ぼくに割り振られた星へ飛んでく最中に・・・・・・、 ちょーーーっとトラブっちゃって、この地球に落ちちゃったんだよー…ってことだけ理解してくれればいいから」  そ・れ・で・ね?  ジラーチがビシィッと指を突き出した。 「というわけで、本題の本題なのだ!」  ・・・・・これは、本題じゃなかったんだ・・・? 「うんっ、今からが本題なのさ! アフターケアサービスの話なのだ!」  あふたーけあさーびす? 「そうなの。……あのね、フレイヤ。ぶっちゃけ、本当のこと言っちゃうとね」  うん? なあに?ジラーチ。 「君ね、実は死んじゃったんだ。ぼくがぶつかったショックでね、てへ☆」    ・・・・・・え・・・? 「・・・にゃ、にゃぁぁあぁああ!!!!!??」  ワタシはあまりのことに、心臓が天まで飛んでいくかと思うほど驚いた。  ううんっ、そんなもんじゃないー!  死ぬほどおどろいたのーー!!  …って、死んでるんだっけ……? 「まーま、落ちついて落ちついて。だいじょーぶだからァ」  やけに呑気な様子で、ジラーチはのほほんと手を振ってた。  この言い方で、安心しろって・・・・・む、むりだにゃーーー!!!! 「だからー、だいじょーぶなの。心配ナッシングだってぇ。ちゃーんと、生き返らせてあげるから☆」 「・・・・・・にゃ?」  ワタシは、キョトンとした。  な? 生き・・・かえれるの? 「いえーすっ、その通り! だ・か・らぁ、その点においては何も心配いらないんだよね」  そうして、ワタシの前でジラーチは再び指を一本突き出した。 「でねー、ぼくが聞きたいのは、アフターケアサービスのことなのだっ。あのねー、これは完璧にぼくのミスなの。 だから、そのお詫びとして、君の願いを一つだけ叶えてあげましょーって感じなのだよぉ」  ふふふー、ぼくって太っ腹ー☆スリムだけど太っ腹ー♪ とジラーチが笑った。  ワタシは、ポカンとそれを見てた。  …ねがいごと?  叶えてくれるの?  ジラーチが?  それが、あふたーけあさーびす? 「そそ。迷惑かけたお詫びに、一つだけなら、なんだって叶えてあげるよン」 「・・・・・・」 「ほら〜、さっきフレイヤ流れ星見てたでしょ? お願いしたでしょ? 言ってごらんよぉ。ぼくにまっかせなさーーい!!」  ・・・なんでも、いいのかな? 「ぼくの辞書に、不可能の文字はない!」 「じゃあ進化したい!!!」 「・・・・・・・・・・へ?」  ワタシの即答に、ジラーチが呆気に取られた。 「えーっと……芯、貸したい?」 「違うのっ、進化したいのっ!」  ずっと夢だったの。進化すること。  進化して、キョーコをたくさん守る事! それがね、ワタシの願い事なの! 「進化って・・・・・・フレイヤ、何になるか知ってるの?」 「知らない!」 「知ら・・・・・」  即否定したワタシに、ジラーチが溜め息をつく。 「知らないのに、進化したいの?」  うーん……そうっ。  あのねっ、とにかくねっ、ワタシは進化したいの!  そーしたら、キョーコをヘンな人間の男から守ってあげられるでしょ? 「ふーん。キョーコちゃんのため、か。・・・・・・・いいの?そのお願いで」  ジラーチの問い掛けに、ワタシは「うん!」と頷いた。  だって、さっき流れ星にお願いした事でしょ?  これでいいんだよっ。  ワタシ、これを流れ星にお願いしたかったんだもん!  お願いしてたんだもん!  ね?ジラーチ。  何でも良いんでしょ?  だったら、ワタシ、進化したいの!!! 「おっけーおっけー。わかったよーぅ。じゃね、目を閉じて。いい? そんで、力抜いてーー・・・」  ワタシは、ジラーチに言われるがままに目を閉じた。  …ちょっとドキドキ。 「さてさて。じゃあ、今から生き返らせるからねー。で、それと同時に、君のお願いを叶えてあげるから」  アーユーレディ?  そう尋ねるジラーチに、ワタシはよくわからないままに頷いた。  ……あーゆーれでぃ、って何だろう。  キョーコなら知ってるのかなあ・・・・・・ 「よーーっし、いっくよーーーーー? 1・2・3…………でやっっっ」    *    *    *    *    *    *    *    *    *    *    * 「・・・レイヤ・・・・・・フレイヤ」  う、うにゅーー……?  だあれ?  ワタシを呼んでるのは、誰なの? 「フレイヤー。ねぼすけフレイヤちゃーん。朝だから起きましょーー?」  !!  キョーコだ!!  ワタシは慌てて、パチッと目を開いた。  顔をむくっと持ち上げる。 「きゃんっ!」  と、ワタシを隣から覗きこんでたキョーコが、コテンと引っ繰り返った。  ご、ごめんねごめんねっ、大丈夫っ?キョーコ!?  引っ繰り返った赤髪の女の子の顔を覗きこんだワタシは、…はたと気がついた。  ・・・・・・・あれ?  ・・・なんだか、キョーコがちっちゃい気がする・・  おかしいなあ。  キョーコ、こんなに小さかったかなぁ? 「あー、ビックリした。もーぉ、フレイヤ? あなたね、自分が大きくなった事、忘れてるんじゃないの?」  え? 大きい?  大きいって・・・・・・誰が?  キョーコが小さくなったんじゃないの? 「あたしは小さくならないってば。もう、フレイヤー? あなたはもうガーディじゃなくて、立派なウインディなんだからね。 気をつけてくれないと、あたしが踏み潰されちゃうでしょー?」  ・・・・・・ウインディ?  ワタシは、ふと自分の足を見た。  ・・・・・大きい。  キョーコの手より、おっきい!!  おっきいよ!!!? 「だって進化したんだから、当然でしょ?」  変なあたしのおチビちゃん、とキョーコがクスクス笑いながら、ワタシを抱き締めた。  首の辺りに、キョーコの小さな手を感じる。  キョーコのちっちゃい顔が、ワタシの顔に押しつけられる。  大きいワタシ。小さいキョーコ。  ・・・・本当に、ワタシ、進化したんだ・・・。  すごいっ!! ジラーチがちゃんと叶えてくれたんだ!!  うわーーーいっっ!!!!!  ワタシ、嬉しくて跳ねまわったの。  だってだって、本当にお願いが叶ったんだよ!?  ワタシ、すっごい嬉しい!!! 「って、えっ、キャッッ」  ひょいっとキョーコの服を咥えて、ワタシは大きくなった自分の背中にキョーコを放り投げた。  ひょいって! ひょいってだよ!!  ねえ、すごくない? すごいでしょ?  だってだって、キョーコを乗せられるくらい大きくなれるなんて、ワタシ、思ってなかったもん!  あと、キョーコがこんなに軽く感じるなんて!!  すごいすごいすごーーい!!!!! 「ど、どーしたのよ、フレイヤぁ。なんか、やけに興奮してない?」  だってだって、嬉しいんだもん!!  ・・・よーっし!  キョーコキョーコっ、走ってもいい? 「ええー? 散歩に行きたいの? …もう、しょうがないわねえ。いいよ、ひとっ走りなら」  苦笑したキョーコの手が、ワタシの頭をポンポンと撫でた。  えへへ。よーっし!!  行くよっ、キョーコ!!!  そうして、ワタシは駆け出した。  ・・・・・風を切る。  大きな体は、前と変わらず軽い。  風に乗って、ワタシは草原をかけぬける。  ・・・って、あれ?  いつのまにワタシ、こんな草原を走ってるんだろ?  ・・・・・・・・ここ、どこ? 「そんなの気にしちゃ駄目だよ、フレイヤー・・・って、ちょっとスピードあげすぎだよーー!!」  背中でキョーコが、「きゃーー!!」と楽しそうな悲鳴を上げた。  毛を掴まれているのを感じる。  …キョーコ、軽いなあ。  なんか、全然乗せてる気がしないや。  と、ワタシはまた、ふと疑問に思った。  ・・・そういえば。  キョーコ、なんでワタシの思った事が分かったんだろう?  キョーコって、ワタシの言ってる事、わかってたっけ?  ・・・・・・・。  ちょっと考える。  でも、わからない。  あんまり、考えがまとまらない。  むしろ、考えられない。  …まあ、いっか。いいよね。  うんうんと、ワタシは思いなおした。  なんだか、そんなことは今考えなくてもいい気がした。  そんなことより、今が大事だよねって気がした。  だって、こんなに楽しいんだから。  キョーコと一緒に、草原を走る事。  だって、それが。  ワタシの夢だったんだから。 「…ほんとに夢なんだったりして」  スヤスヤ眠る一匹のガーディの女の子を見下ろしながら、ジラーチは呟いた。  そう、今のは全てユメ。  ジラーチが見せた、彼女の願いが叶った世界の話。  …うう、そりゃ、嘘ついて悪いとは思うけれどさ。  他の人の管轄地で勝手な事はするわけにはいかないんだよね、ぼく。 「…ごめんね、フレイヤ。いい夢見てね」  そうガーディに微笑みかけて、ジラーチはスッと宙を飛んだ。  次に向かったのは、その奥の側。  壁にもたれて丸くなって寝ている、一人の少女の側だ。  赤い髪をした、一人の少女。  ガーディが、夢の中で「キョーコ」と呼んでいた人間だ。 「…でーも。一旦約束しちゃったわけだしね。ぼくは約束は守るヤツなのだ」  そうして、ポンッと何処からともなく、ジラーチは一つの小さな石を取り出した。  燃えるような色をした、小さな小さな石。  この世界において、炎の石と呼ばれるものだ。  それをそっと少女の傍らに置き、ジラーチは頷いた。 「・・・使うかどうかは、響子ちゃん、君次第だけどね」  これで、一応願いは叶えたってことにしてちょうだいな。 「・・・さてと」  石を置いたジラーチは、すいっとポケモンセンターの外へと出た。  玄関のところに空いた巨大なクレーターは、もう無い。  きっちり、ジラーチが元通りにした後だ。  これで、もうジラーチがいたという証拠は、キョーコちゃんへあげたあの炎の石のみ。  真実を知るガーディは、現在夢の中。  そう、全ては、夢物語で終わってくれるはずだ。 「アフターケアサービスも万全っと。・・・・・・じゃあ、行きますかっ」  ぼくの星へと、早く向かわなくっちゃね。  そうして、ジラーチはそっと目を閉じた。  ジラーチの体が薄い紫の光に包まれ、光る不思議な糸により、大気圏突入に備えた「簡易宇宙繭」が作り上げられた。  出来あがったその薄い紫色の結晶は、少しの間その場に浮かんでいたが、  突然、何の前触れも無しに、一瞬のうちに空へと飛び去って行ってしまった。  淡い紫の光の軌跡が、ほんの少し、空を薄く明るませたが、…それもすぐに消え。  再び、静かな暗闇が降りた。   流れ星にお願いすれば、願い事は叶うんだよ。         でも、それは      『 ゆ め の な か 』で   ・・・・・なのかもしれないけれどね。  *** 20031203  発案。ジラーチ平行世界話。第二世界観。  *** 20031210  完成。「流れ星におねがいっっ☆」