夜。 それは昼のにぎやかさや明るさ、太陽の暖かさとはうって変わって暗く。全てのモノを闇に引きずり込む。 家も。町も。街灯も。町の中心にある綺麗な噴水も。花も。世界も。 全てを飲み込む漆黒の「闇」。 そんな闇のなかにあるのは不気味に張り詰めた冷たい空気と・・・ 月の光。 彼だけはこの暗い世界でも光り続け、町を照らす。 そんな町の近くには大きな森があった。 大きな木がいくつも身を寄せ合って静かに眠っている。 もちろん全ての木が背伸びして競争するかのように 高く葉っぱの数は星の数ほどあった。 当然、月の光りもあまり届かない。そんな不気味でほとんど真っ暗な森を人々こうよんだ。 ハクタイの森 そしてこの森にはひとつの噂みたいなものがあった。それはこの広い森のどこかに一軒の洋館があるという噂だった。 実際に洋館を見たという人がでてきたこともあったがもちろんだれも信じようとしなかった。 しかし、その謎を解き明かそうと町の偉い人が調査を行った。昼の太陽が照らしていたからか洋館はすぐに見つかった。 そこは遠い昔二人の夫婦が経営していた大きな旅館だった。中は長い時を感じさせるようにかなり老朽化が進み床がすぐに抜けそうな ほどまでになっていた。そんな中一人の調査員が言った。 「おい。なんだありゃあ・・?」 「ああ。隊長。あれは置石ですよ。昔はあーゆー大きな石を家の中に祭っておくと病気とかになったりしないってゆー。まあいわゆる迷信ですね。」 「ほーー。こんな石ひとつで健康になるんだったら俺なんか5個ぐらい置いちゃうよ」 そういって大柄ですこしあごひげを生やした男が置石に近づき石を触ろうとしたときだった。 「ん?おい今なんか言ったか?」 「いえなにもいってませんが?ボケてるんですか隊長?」