「うん。だって僕には君は見えてないから・・」 「え?」 またもゲンガーは衝撃のような驚きをくらった。まるで体を大きな金槌で打たれたかのようなとても大きな衝撃だった。男の子には彼が見えていない。 それどころかこの洋館や内部のロビー、いろいろなポケモンをかたどった銅像や絵この世界にある全てのものが男の子の目には映っていなかった。 「僕ね、生まれたときから目が見えない病気にかかってるんだ。だからこの杖も周りを確かめるのに必要だし。一人じゃなにも出来なかったんだ。 だから家族の皆、お兄ちゃんやお姉ちゃん、お爺ちゃんやお母さん、お父さんも僕のこと物としか見てくれなかったんだ。だってそうだよね、ご飯だって 一人で食べれないんだもん。これじゃあ世話のかかる物だよね・・・。だから自分から皆の迷惑にならないようにこのお家のことを聞いてここに住もうと 思ったんだ。でも、君がいたんじゃ君にも迷惑がかかるよね。ごめんねもう帰るから」 その男の子は一生懸命笑顔を作っているがその顔にはとても苦しいと書いてあるようだった。 「・・・オマエ、名前は・・・」 扉を開けて帰ろうとしている男の子にたずねた。それは昔の彼からはとても想像できないことだった。 「え?」 「だ、だから!!!オマエの名前はってきいてんダヨ!!」 「僕・・・僕はカイって言うんだ君は?」 「オレはゲンガーだ!」 「そうか・・ゲンガーいい名前だね。じゃあまたいつか会えたらいいね」 そういって扉を出ようとした男の子ーーーカイをゲンガーは呼び止めた。自分でも恥ずかしくなるほど大声で。 「カ、カイ!一緒に住まないか!!!?オレは別にどっちでもいいんだけど・・ほら!オマエ行くトコないんダロウ!!!?」 その言葉を聞いてカイは数秒立ち止まりゲンガーのほうを向き直した。そして笑顔と少し恥ずかしそうにしながら言った。 「ありがとう。これからよろしくおねがいしますね」 そのとき彼の笑顔はとても綺麗で幸せそうでいままで感じたこともないようなぐらいーー・・・。         暖かった。