ゲンガーは今ハクタイの森を抜けたところのすぐそばにある町に来ていた。夕飯の食べ物と今朝カイが割ってしまったお皿と、プレゼントを買いに。 そう、今日はカイの生まれた日。誕生日なのだ。今日でカイは13歳になる。カイの誕生日を昨日カイとの会話中に知ってプレゼントをあげようと思った。 カイにプレゼントは何がいい?と聞いたが遠慮しがちな彼は「そんなに気を使わなくていいよ。君のその気持ちだけで十分さ」といっていたが とても喜んでいるようだった。いままで目が見えないせいで誕生日もろくに祝ってもらえなかったのだろうか・・・。 そんな、カイへの同情や哀れみからではない。ゲンガーの、自分の友達として彼にプレゼントを贈ろうと決めた。 ゲンガーは夕飯の食材をてきぱきと決め、カイのプレゼント探しを始めた。 「う〜ん。カイはなにをもらったら喜ぶかナ。食べ物か?そんなわけないカ・・・。じゃあゲーム?ダメだお金がない・・・う〜〜〜ん・・・」 そんな感じで悩んでいるとある一軒の家が目に付いた。それはとても小さく、植物のつたが壁を覆っている。 そして周りの活気があるお店とは正反対の暗いイメージ。だがゲンガーは無償にそのお店が気になった。どころか自分でも知らないうちに 店へと入ってしまっていた。 中はアクセサリーや骨董品、扇子などパッと見栄えのしないものばかり置いていた。そんな品物を見ていると店の奥これまた小さな扉から人がでてきた。 お店の雰囲気とは違ってその人間は17〜8のとても若い女性だった。身なりはとても動きやすそうな服装でいまどきの女の子のファッションだ。 スタイルもよく彼女のはくスカートが彼女の足の美しさをより綺麗に見せている。そしてとても元気な声で、 「いらっしゃーーい。ゆっくりみってってね〜」 と昔からの友達のような挨拶だった。そんな彼女にこれ以上気をとられていてはカイへのプレゼントが決まらないので品物にまた目を落とす。 すると一つだけ気になったものがあった。       マガ玉。 ゲンガーはマガ玉を手に取り眺めているとさきほどの女性が話しかけてきた。 「あ。それいいでしょ。私も気に入ってるんだー。その深い青色の感じが海みたいで綺麗でしょ〜」 「海・・・なんだかカイに似てるナ・・・」 「ん?もしかしてプレゼントかなんか選んでるのかな?ゲンガー君」 「な、なんで分かるんだ?」 「だっていま カイ っていったじゃん。君の友達?それともお・・・恋人かな〜?」 この女性はなんだかよくつっかっかってくる。でもなんだか憎めない、明るい顔をしている。そう思っていると女性が 「・・・そのマガ玉あげよっか?」 「エ?い、いいのか?でもオレあんまりお金ないシ・・」 「いいよタダであげちゃう。私の店の商品を手にとってくれるほど気に入ったんならあげるよ。私はそのマガ玉を 好きで使ってくれる人に使ってほしいから」 「あ、ありがとうナ!いつかこのお礼はするから!!マタナ!」 「いつでもおいで。」 そういってゲンガーは深い青色をしたマガ玉を大事に握り締め店をでた。 外は、もう暗くなっていた。