町のにぎわっている店の中で一軒だけひっそりとたっている店があった。今カイはその店にいる。自分の意思で来たのではない。 半ば強引な女性に引っ張られてきたのだ。今その女性は店の奥で何かしている。それをカイは黙って待っていると女性がカイに話しかけてきた。 「ねえ〜。君名前なんていうの?」 「僕ですか?・・・カイっていいます」 その言葉を聞いて女性があわてて店の奥から飛び出してきた。 「え?君がカイ君?!そうか〜なるほどね〜。確かにそんな感じがするわね〜」 と、カイのことをじろじろみながら独り言をいっている。 「僕をしっているんですか?」 「うん。この前ゲンガー君が来てねプレゼントを選んでったのよ。そのときに カイって名前を言ってたから」 「そうですか・・・。そうだあなたのお名前は?僕だけ言ってあなたが言わないのはずるいですよ」 「ん〜そうだね。私の名前はアスカよろしくねカイ君」 「よろしくおねがいします。え〜と・・アスカさん」 女性ーーーアスカは「アスカでいいよ」といいながら奥から一枚のコートを持ってきてカイに着せた。 「その格好じゃ寒いでしょ?これ着ときな。さ、ケーキ屋さんいこっか。」 カイは「はい。ありがとうございます」といってアスカがカイの手を引いて店をでた。店の外はとても寒く、かといって人が少ないわけでもない。 みんなクリスマスの食べ物やプレゼントなどを買っては嬉しそうな顔をしている。しかしカイは町の雰囲気に意識がいかなかった。 そのかわりに意識がいっていたのは  アスカと手をつないでいる左手である。 いままで女性とかかわったことがないカイは心臓の鼓動がまわりに聞こえそうなくらい大きく鳴っていた。 「ねえ。カイ君」 「ぅ・・ひゃい!!な、なんでしょう!!?」 自分でもびっくりするぐらい声が裏返った。そんなカイにアスカは笑いつつも聞く。 「ゲンガー君は元気にしてる?」 「あ、はい。元気ですよ。ときどきおっちょこちょいですけど・・あ、そういえば昨日はなんか元気無かっ・・・」 ゲンガーのことを話しているときにやけに耳の奥で引っかかる会話が聞こえた。町を歩く男の声だった。 「−−−−しっかしあのゲンガーどうなったかな」 「(ゲンガーの話・・・?)」 自分でも知らないうちにカイは歩をとめていた。その様子を心配に思ったアスカが聞いてくる。 「?カイくん??」 しかし、今はアスカの声は聞こえない。聞こえるのは男の会話である。 「−−−−あんだけ殴ったんだ。もしかしたらどっかで死んでたりしてな。」 「(殴った・・・?)」 「−−−−−どうします?洋館行ってもっかい殴りに行きますか?」 「いや、大丈夫だろう。もしまた見つけたら今度は本気で息の根を止めてやるさw」 その瞬間カイは男達がいるであろう方向に向かって口を開いていた。その見えない目からは涙が自然と流れ落ちている。 「・・・・まってください。」 「あ?なんだこのガキ。なんかようか?」 「・・あなたたちが昨日ゲンガーを酷い目にしたんですか・・・・」 「ああ。なんだ知ってんだあいつのこと。そうだけどなんか文句でもあんのかよ?」 カイのアスカの手を握る左手はみるみる力がこめられていく。右手はすでに真っ赤になるほど力強く握られている。 「(カイ君・・・?)」 次の瞬間、カイは男達に飛び掛っていた。が男はそれをかわす。 「なんだこのガキ!?やんのか!ああ!!?」 「う・・うう・・うわああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」 男はカイに殴られて地を転がった。もう一人の眼鏡をかけた細身な男が服の裏からなにかとりだす。 「カイ君!!!!!」 「ふざけやがって!このガキ!!!」 服の裏からだされたものは黒光りして重そうなものだったそれをカイに向けて構える。         銃だ。 「死ねええええ!!!!!!!」 「うわあああああ!!!!!!」           ドンッ