白い雪の上に紅く、少し黒い液体がぼたぼたと流れ落ちる。みるみるうちに白から赤へ地を染めていく。周りの悲鳴や叫び声、 救急車や警察に連絡をする者。それぞれの喧騒の中雪に倒れる黒い影。撃たれたと思ったカイはあまりの恐怖に腰を抜かして地に座りこんでいた。 そのカイに駆け寄る赤い髪をなびかせた女性、アスカ。目の前で赤黒い血を流しながら倒れるのはカイの傍にいつもいた者。 「−−−−っ!!!!!!!!」 カイはどんな状況なのかわからない。カイの目には光りがない、目が見えないのだ。しかしその唐突で目を疑う状況に周りは驚きを隠せない。 銃を撃った男も絶句した。自分に大量に降りかかった血。目の前で倒れる黒い影。 「な、なんでテメーが・・・・銃に・・!!?」 男がやっと驚きから戻った意識で言ったその言葉に倒れ行く黒い影は答えずただ笑う。男をあざ笑うように。 「なんでテメーが銃の弾を受ける!!?化け物野郎がああ!!!??」 黒い影の化け物と呼ばれた奴は地に倒れ、答える。 赤い雪にうずもれながらその目を男に殺意を向けて。答える。 「ハァ・・ハァ・・カイに・・触れるんじゃねええ!!!食い殺すぞ!!」 その殺意を体全体からだし男に向けた黒い影が誰なのかを声と自分ーーカイを呼ぶ声で誰なのか理解した。地に倒れるそのいつも傍にいた、 笑っていてくれた者の名前をカイは叫ぶ。 「ゲンガー!!??」 血にまみれる体をゆっくりと起こし男二人に向かい合う。その体に彼の持つ力がこめられていくのが分かる。もちろんその力を使う標的は決まっている。 それをさとった男達は逃げようと悲鳴をあげる。 「ひ!ひいいいぃぃぃ!!!!!たす、助けてくれ!!!!」 「断末魔の叫びを最後に聞かせてくレ!!カイに触れようとした罰だ!!!‘痛みわけ’!!」 ゲンガーはその力を男達に使った。その瞬間男はゲンガーが撃たれた箇所右胸を押さえ地に倒れる。 そこに警察複数人と救急車が来て男達を取り囲む。 白い服を着た医者が何人かゲンガーに駆け寄る。その様子を黙ってみていたアスカは自分が抱える少年、カイの手が震えているのを知り、 カイをゲンガーの場所に連れて行く。 ゲンガーのすぐ傍までくるとカイは目に映らないゲンガーを抱きしめる。 「ゲンガー・・ゲンガー・・ごめんね・・・」 抱きしめるゲンガーの心臓から伝わる音が弱々しかった。周りの医者は心中でさとっていた。 (  もう助からないと   ) その死に絶えるゲンガーの口がゆっくり開きカイに話しかける。 「・・・カィ・・・・・怪我は・・・ナイ・・カ・・・」 「うん・・全然平気だよ・・・大丈夫すぐに治してあげ・・」 カイは台詞の途中できられたほかでもないゲンガーにカイの口を手で押さえて。 「わかって・・ル・・・オレ・・もう・・・死ぬんだロ・・・・?だから最後に・・・言わ・せてくれ・・」 カイもわかっていた心のどこかではもう彼は助からないと。それでも助かるんじゃないか?という希望は捨てたくなかった。 「カイ・・・オレ知ってたんだ・・・・カイが・・・・危険な目に・・・合う・・こと・を・・夢で見たんだ・・・・・それで ・・・どうやった・・ら助か・・・るか・・考えたんだ・・・」 自分の持てる力の限りでゲンガーはしゃべり続ける。それを黙って聞き入るカイの目には涙がたまっていく。 「・・それで・・わかっ・・・たんだ・・・カイを助ける方・・法・・・・カイの不幸を・・オレに全部・・移すんだ・・・」 「・・・移す・・・ってどうやって・・」 「おれの力を使ってお前を・・・助け・・・ルヨ・・・だからもうあんま・・しゃべれない・・・最後に言うよ・・・そしてこれからの ・・・人生・・オレがお前の目に・・なるぜ・・・」 「ゲンガァァァ・・・・」 「泣くな・・・それと・・手紙のことだけど・・・俺たちはもう・・・」 「    トモダチダロ    」