FRIENDOS ポケモンは、仲間。 ポケモンは、パートナー。 ポケモンは、友達。 ポケモンは、戦いの道具じゃない。 みんな、そう言う。 でも、現実はちがう。 だって、みんなバトルをしたがるじゃない。 自分は戦わないのに、仲間や友達を戦わせるの? 本当に、仲間? ほんとうに、パートナー? ホントウニ、トモダチ? 私、ティア。 一応ポケモントレーナー。ニビシティに住んでるの。 私のポケモンは2匹いるんだ。 1匹はライチュウ。名前はシャイン。目がスカイブルー、しっぽが赤なの。ちょっと珍しいでしょ。 6歳くらいの時、捨てられてたのを拾ったの。(ポケモンを物みたいに捨てるなんてひどいわよね!) もう一匹はエーフィのシオン。 怪我してたのを手当てしてあげたら、なついちゃったみたいで、 ずっと家にいるの。野生みたいだったから飼う事にしたんだ。 私には両親がいない。10歳くらいの時、交通事故に遭ったの。 でも今は寂しくは無い。この2匹がいるから。 2匹とも、今じゃ大切な私の家族なんだ! 私はポケモンバトルをした事がない。ううん、した事が無いんじゃなくて、しないの。 だって変じゃない。 友達とか言っときながら、その友達を戦わせて、傷つけて、自分は命令するだけ。 バッカみたい! だから私は絶対バトルなんかしない。 これから何があったとしても。 私はそう、誓いを立てていた。 「今日は月が綺麗だから、お月見山に月見にいこっか!」 ティアは、空を見上げたまま側の2匹に言った。 すると、2匹ともうれしそうにはしゃぎまわって賛成した。 「じゃ、早速準備しなきゃね!」 そう言ってティアはかばんに水筒や夕飯に食べる物等を詰め出した。 すぐに準備も整い、一行はお月見山に向けて出発した。 「もしかしたら、ピッピがいるかもね!月の石も見つかったりして〜」 そんな話をしながら山を登って行くと、間もなく頂上についた。 「うわー、綺麗ー。やっぱ来た甲斐あったねー。」 「ライー。ライチュウ。」 「フィー。」 後の2匹もすっかり見とれている。 と、その時だった。 刹那、空を切り裂く音がしたかと思うと、ティアの右腕に鋭い痛みが走った。 「痛っ!・・・な、何?」 見ると、二の腕がぱっくりと切り裂かれていた。 「だ、誰よあんた。一体何するのよ!」 ティアの見据えた先には、一人の男とストライクが立っていた。 黒い服を着、胸には赤ではっきりとRの文字が書かれていた。 ティアは、はっと息を呑んだ。こいつらの事なら、テレビや新聞で何度も見た。 「ロケット…団。」 「いかにも。」 男はそれだけ言うと、スッ、とティアの首にストライクの鎌をあてた。 「そのエーフィと、ライチュウを渡してもらおう。そうすれば命までは取らない。」 「なんで、あんたなんかに!」 「珍しいからな。高く売れる。」 「なんだって!?」 男の言った事に、いきり立ったティアは2匹に向かって叫んだ。 「シャイン!シオン!私に構わず逃げて!」 しかし、2匹とも逃げなかった。逃げればティアが殺されると分かっていたからだ。 そして、決心した。 ティアを守るため、戦う事を。 もちろん、戦ってかなうかどうかわからない。負ければ自分達も、ティアも、殺されるだろう。 でも、逃げればティアが殺される。自分達だって、捕まるだろう。 なら、するべきことは1つしかない。 ティアを、守る! シャインは、ティアと合う前にバトルをしたことがあった。 なかなか強かったが、珍しいためよく泥棒に狙われたので、捨てられたのだ。 そして、そのかんはまだ鈍ってはいなかった! シャインは気づかれないよう陰にまわり、ストライクの脚を狙った。 バリバリッ! 電気ショックは寸分の狂いも無く的に当たった。 それに気を取られて、一瞬ティアの首に当てられていた鎌が首から離れた。 今だ! その刹那シオンが男とストライクにかなしばりをかけた。 「?!くっ、しまった!」 ラーイ゛ーチュウッ! ストライクに雷が落ち、男もシオンの念力で気絶した。 ティアはしばらく呆然としていたが、はっと気を取りなおすと2匹に向かって叫んだ。 「どうして、どうして戦ったの?私なんかほっといて逃げてればよかったのに…」 そういうティアの目には涙がいっぱい溜まっていた。 その時だった。ティアの耳にこんな声が聞こえてきた。 “家族を、見捨てられる訳ないでしょ?” ティアは、びっくりしてシャイン達を見た。他に人はいない。 「も、もしかしてシャイン?」 “うんっ。それにシオンも喋れるよ!” “ええ。ばれると迷惑になると思って…” “あ、早くこの人縛っとかなきゃ。この人いきてるもん。” 「あ、そか。起きられたら大変だもんね。」 男を警察に引き渡してティア達は帰途についた。 「あーあー。誓い、破っちゃった。」 “良いんじゃない?私達が勝手にやったんだもん。” “それに、こうやって皆助かったんですし。” 「それもそうかもね。でも、無意味なバトルはしないよ。これからもね。」 彼女はポケモンを戦わせたりはしないと言った。 私達もスポーツのように戦うのは嫌だ。 でも、もし誰かが危機に陥ったら、 私達は戦う。 大切な者を、守るために。 終わり ------------------------------------------------------------------- 全ジャンルにおいて、これが私の小説第一号、つまり処女作です。 今振り返ってみるとずいぶん文章も下手ですし、結構言ってることめちゃくちゃですけど・・ それでも記念すべき第一号として残して行こうと思います。(笑) しかし・・・ルールにのっとったポケモンバトルはやっぱりスポーツですよねえ。 人間だって格闘技とかやってるんだし。(^_^;) 幼くて純粋だった頃の考えだと思ってください、はい。(爆) 2000/6/17 Written by 樺夜