今日はある夏の晴れた日。かなりの猛暑らしく、軽く三十八〜九度は越えていると、今朝ニュースで見た。 ここまで暑いと、勉強も手につかない。 俺は五十嵐光輝(いがらし こうき)、高校の三年だ。 野球部だが、三学期には受験も近づくので父さんに勉強に力を入れろ、と言われたんだ。 まぁ夏休みなんだし、ここは焦らずにじっくり勉強に励みたい。 (ガタガタ・・・!) おっと、俺の相棒が暑いってうるさいな。 丁度良い、モンスターボールから出すか。 「出て来い、ロード!」 「ピカピカァ!」 この泣き声でわかるかな、ロードってピカチュウのことなんだ。 もう腕白すぎて、親の俺でさえ手を焼くくらいの暴れん坊だから学校にも連れていけない。 「カピピィ!(暑い!)」 言っていることも少しだけどわかるようになってきた。なんせ、付き合ってもう五年くらいか・・・ ・・・・・・・・・・・・暑い!!! これはやばいな。暑すぎる。 「ロード、どっか行くか?」 「ぴか」 こうしてたまに俺らは出かける。 といっても、あてはなくただぶらぶらとなんだけどね。 (ちゃりんちゃりん) 軽い貯金箱から小銭を少し握り、出かけることに。 「そうだ、爺ちゃんに会いに行こうかな」 俺の爺ちゃんは昔は腕利きのトレーナーで、ライチュウが主力だったらしい。その子供がロードだ。 けど、かなり遠いんだな、これが。 自転車じゃなくて、電車でもいいけど懐が凄いくらい寒い。 ここは俺の手持ちの遊撃手の力を借りるか。 「出て来い、ナックル!」 「くく、きゅう」 ナックルはラプラスだ。俺が始めて自分の手で捕まえたポケモンなんだ。 こいつの得意技は波乗り、ほんの一キロくらいなら猛スピードでいける。 だが、その肝心の爺ちゃん家はざっと十キロは軽く離れている。 「よし、用意完了!っと」 持っていくのは勉強道具、相棒たち、サイコソーダを二、三本だ。 こいつらは不思議なくらいサイコソーダが好きなんだし。 「ナックル!宜しく頼むぜ♪」 「きゅうきゅう」 (ざっぶん、どぶんどぶん) 俺は昔、中学に上がるまではずっと爺ちゃんや婆ちゃんに育てられたんだ。父さん、母さんが仕事に忙しく、子育てができないから泣き泣き爺ちゃんに頼んだそうだ。 ちなみに俺の初恋の相手もその時の小学校でできたっけ。 俺が爺ちゃん家からこの今の家に戻るまでは結構仲が良かったんだ。 だけど、結局は父さんの元に戻る時がくるんだよね。 その子の誕生日の一日前に・・・ 「ぴか」 「ん?どうした、ロード」 「ぴかぴか」 俺の長年(?)の勘だと、これゃ喉渇いたって言いたそうだ。 もうサイコソーダ飲むのか・・・ これ、意外に高いんだぞ! ――って言っても、海水飲めって言えないしな。 (きゅっきゅ  ぽん!  しゅわぁぁ) 「ぴかぴかぁぁ♪」 (ごくごくごくごく・・・) 「ぴか」 気がつくと空っぽの瓶を渡された。 飲むの、はえぇぇ!!! こころなしか、スピードが速い気がする。 「ナックル、無理しなくていいぜ」 「きう?」 ・・・そういや、あの子もサイコソーダ好きだったっけな。 「ぴか」 ロードが指さした先に、なにやらポケモンとそのトレーナーのような影が見えた。 ま、サーファーだな。海に、よく見かけるんだよね。 すると、そのサーファーがスピードを落としてこちらに近寄ってきた。 ん? 若い女の子のサーファーって、珍しいな。 「君もサーファー?」 その女の子が問いかけてきた。だがスグに 「・・・じゃないよね、その荷物から察して(ラプラスに乗っているし)」 そのサーファーの跡を一生懸命についてきているゼニガメが目に入った。 「ゼニガメかぁ・・・ トレーナーなのか?」 俺のちょっとした質問に、なぜか少し回答に詰まった。 「まぁ・・・違うね」 どうやら、この子、今初めて会ったって気にならないな。 それに・・・この声、ゼニガメ、思い出せそうで思い出せない・・・ あ、この子との話に夢中で、気がついたら港に着いた 「俺、ココで降りるから。」 するとなぜか悲しい顔つきで「うん、じゃッ」と、軽く一言をかけた。 やっと爺ちゃん家だな。懐かしいな。一年ぶり、だったはず。 「ナックル!お疲れ様な」 「きぅぅ」 ナックルをボールに戻し、ロードを肩に乗せた。 ――というより、勝手に乗った。 まぁ、昔みたいに電撃を放たないから、いいんだけどね。 とりあえず歩いてみる。 ただただ歩く。 懐かしいな。爺ちゃんに会いに行く前に、まずはウロチョロしよう。 新しい発見があるかもしれないし、あの子に会いたいし―― けど、全然変わってない。なぜだろう?変わったってトコないな。 この古びた街灯、河原に小さな橋・・・ ふと目に入ったのが、街の外れの駄菓子屋。 昔、ここでみんなで買いに来て、くじを引いたり飴を買ったり・・・ ここでの俺のお気に入りは栗キャラメルっつー、独等的なその味が好きなんだよ。 みんなは不味いとか、いろいろ言うけど俺からしたら上手い菓子だ。 この栗の甘味をふんだんに使って、キャラメルの食感を楽しみつつほろ苦さまでも感じられて・・・ あ、感傷に浸っていた。アハハ・・・ これ一個五拾円、安いんだよ。値上げラッシュ続きなのに。 俺はそこで栗キャラメルを二個、サイコソーダを一本買った。 ・・・財布が・・・・・・! 爺ちゃんの住んでいる町、やや小さいから情報提示板があるんだ。 ・・・使っている人あまりいないけど。 「ぴか」 またサイコソーダくれ、と言われた。 「さっきあげただろ」 そう言ってロードに聞かせる。 でも、ホンットに変わらないな。ココ。 川にはトサキントやコイキングが泳いでいて、空にはオニスズメやムックルの大群。 友達の間だけの秘密で回ったのだけど、この町のとある大きい池に「幻のヒンバス」が居るほど、自然が多い。 ここの伝説、何個かあったのだけど忘れた・・・ 確か・・・アル・・・ 冥府からの使者とされてるんだ。 そして、爺ちゃん家についた。やっぱ変わってないなぁ〜。 畑で、ドンメルやナエトルが遊んでて、水車小屋の川の近くにコダックやクラブが日向ぼっこしていて、爺ちゃんの池にはヒンバスが二、三匹潜んでいる。 「じいちゃ〜ん、遊びに来たよ」 この流れからして、爺ちゃんも変わってないかも。変わってないな、絶対。 (ガラガラッ) 出てきたのはライチュウだった。あ〜、コイツ、最初に言っていた主砲だよ。爺ちゃんの。 今は、お手伝いとかしているらしい。 ライチュウは俺の顔見てわかったのか、にっこり微笑んで中に案内してくれた。 「らい〜」と、やや低い声で爺ちゃんに物申す。すると爺ちゃんがこっちの存在に気づいていた。 「お、光輝か、久々じゃのう。元気か?」 「元気だよ。暇だったから来たんだ」 爺ちゃんとの会話で気がついたのか、裏庭から婆ちゃんが来た。 婆ちゃんは立派はブリーダーで、餌なんか自前の改良とうもろこしがベースだぜ。 「光輝ちゃんかい、ゆっくりしていきな」 結構話が弾んだ。すると、爺ちゃんが俺にこういった。 「そういや、夏祭り、明後日じゃぞ。今日は泊まっていき。父さんにはちゃんと言っといてやろう」 夏祭りかぁ、これも懐かしいな。俺、金魚すくいの名人って、みんなに歌われたこともあったっけ。 ここの町に、結構人が多く祭りなどの団体行事ではかなり人来るんだ、覚えている。 「ふぁあぁあ・・・」 気がついたら外はもう夜。今日は寝るかな。 「ぴかぁぁ」 ロードも眠気を誘われたようだ。 おやすみ、ロード そして二日目―――― 外は雨。昨日、さんざん俺を苦しめた太陽も今日は寝坊しているらしい。 だが、この雨、ナックルにとっては最高に気持ちいいらしい。 まぁ、水タイプだし、当たり前っちゃあ当たり前なんだけど。 今は朝五時半過ぎ。婆ちゃんは合羽を着て、ポケモンたちの餌やりを欠かさずに行っている。 婆ちゃん特製の餌はそこらの市販のポケモンフーズとは一味も二味も違う。 婆ちゃん特製ポケモンフーズのレシピとして、まずは美味しさを追求した自前のとうもろこし。これをふんだんに使うんだ。 他に、卵を用意する。 この卵も、かなりの弾力があり箸で黄身をつかむことが出来るほどだ。 これで卵ご飯にするともうサイコーだぜ。 婆ちゃんのこの特製フーズはポケモンたちの大好物。 昨日まで元気がなかったポケモンも、これを食うとたちまち元気! ・・・になるらしい。 俺は、朝八時に目が覚めた。いつもは学校の時間だが、今は夏休み。しかもここは俺の元故郷だし、存分にゆっくりできるぜ! もう爺ちゃん、婆ちゃん共におきて朝飯を食ったらしいね。 ――早ッ!! とりあえず、爺ちゃん自慢の大きい池にナックルを泳がせる。 ちなみに、ナックルの特徴は額にメの傷がついているトコ。 俺が教えてもらったバトルで実践をしているときについたんだ。 ホントはその時に治っていたのだが、トレードマークとなりそうだったのでそのままにした。 無論、今は傷はしみらない。 そして、問題は次だ。 ・・・ロード! コイツはかなりの寝坊野郎で、少なくとも昼間では起きずに寝ている。 でも、美味しい餌のにおいをかがせるとスグにでも起きる。 コイツのトレードマークといえば・・・ 強いていうなら背中に大きい/印の斜線の傷があるトコ。 これもバトルなんだけどね。無論、今は傷はしみらない。 とりあえず飯を食おうとした。爺ちゃんはテレビ出演(実は有名人だったり)、婆ちゃんはヤドラン、ジュプトルと一緒に買出し。 つまり、俺の世話番はライチュウだ。名前は確か・・・ルト! だった筈だ。 「ルト、俺の朝飯は?」 この問いかけに、ライチュウは待ってました!といわんばかりに料理を食卓に運んだ。なにやら、香ばしい香りがする。 これは、チャーハンだな。ラッキー!これは俺の大好物!だぜ! これも、弾力のある地鶏の卵を筆頭に、婆ちゃんの丹精こめて作った有機野菜がたっぷり! 俺がここに居た時も、大好物で野球クラブの帰りによく作ってくれたっけ。 だが、「冷めてる」これは悲しい・・・ と思いきや、ルトは年老いたコータスを連れてきた。コイツは、爺ちゃんの黄金時代のときの、縁の下の力持ち的存在だった筈。 だけど、コイツはもう潮時。いわゆるベテランだ。 「コ・・・コぉーー」 そういうと煙突の役目をするところが少し熱い。そこにルトがお碗を乗せた。少し温かくなってきた。これなら食べれる! 「いただきます!」をそこらじゅうに響かせた。もうお腹がぎゅうぐるぐる言ってしょうがない。 だが・・・「ぴか」との声がして、チャーハンの前に現れた。 ロード・・・・・・ いつもコイツに朝食の半分は持ってかれる。 「ぴかもぐ」 そして訳のわからない泣き声まで覚えた。(といっても単なる擬態語だが) なんとかロードを黙らせ、のんびり美味しく頂いた。 「ごちそうさま!」 今度はそれを思いっきり響かせた。 ・・・ロードが思いっきり怖い目でこちらを睨んでいる・・・!! とりあえずここまできたからには明日の夏祭りに出るか。夜店にも顔を・・・って残り二百五拾円! これだったらあそこの伝統の焼き蕎麦一個と何かを買うだけで底が尽きる。 あそこの伝統の焼き蕎麦だけは食べなければ! ・・・・・・あとで爺ちゃんから貰おうっと。 今日もぶらぶらすることにした。することもないし(勉強を思い出すのは帰ってからだそうだ)。 「ナックル、ボールに戻るか?」 帰ってくる答えは「ききう(もう少しここに居たい)!」と。まぁ雨だし、たまにはいいか。 でも、傘はどうしようか考えたものだ。少なくとも俺は雨は降らないと思っていたし、まず泊まりがけな筈じゃなかったし。 ここはとりあえず傘たてに入っていた蛇の目傘を使った。 どうせ、変に見られても良かったし。 とりあえず歩く。ロードが肩に乗ってるが、別に重くは感じられなかった。 少し歩いていると公園を見つけた。思い出の公園だったっけ。 俺が小学生の頃、よくココで野球をした。俺は二塁手で、俊足と唄われた。無論一番で、セーフティーバントでも結構出塁していた。 今でも、二塁手の一番は守りきれているし、文句はないけど、盗塁をしょっちゅうできなくなってきた。 警戒されるって、嬉しいやら悲しいやら。 そんなことを考えていると昨日の女の子を見かけた。ゼニガメと散歩をしているのだろうか。 「よう」と軽い挨拶を交わした。その子はスグに挨拶を返した。「おはよう!」と、元気ではつらつとした・・・ やはりコイツ、見たことある気がしてたまらない。どうせなら想い出したほうがすっきりしていい。 「今日はゼニガメの散歩、かぁ」 「あなたはどうしたの?」 「ん?暇だし、歩いていただけだが」 そんなたあいもない平然とした会話でも、その子は何処か、嬉しそうだった。 「どうしたんだ?」なんてことも考えさせないまま、会話は続いた。 趣味の話、祭りの話、ポケモンの話―― 時はあっさりと過ぎてゆくことを改めて知ったんだよな、ここで。 俺よりまぁ若い女の子。おれはロリコンの趣味ないぜ? 気がつくと日は沈み、夕暮れ時になった。 「じゃあ、もう遅いし俺帰るか」 この言葉に、やはり戸惑いを隠せないその子。その前に、聞きたい事があったから聞いてみたけど・・・「そういや、お前の名前、なに?」 この問いに意外な答えが待っていた。 「・・・・・・それを言うと終わってしまうから、明日までに内緒で・・・」 「明日は祭りに来てね、『光輝くん』!」 え?なんで俺の名前分かってんだ? もしかして、初恋の女の子だったり・・・ ちなみに、ソイツの名前は草薙香里(くさなぎ かおり)。 でも、少なくともそいつも今はざっと十七〜十八歳くらいの筈だ。 コイツは見た目・・・・・・・・・十三歳くらいだけどな。 ・・・・・・・・・ 「ねぇ、ジョウト地方のお父さんの家に帰るって本当なの!?」 「そうなんだ。いつかは決まってないけど・・・」 「・・・・・・  じゃあその日まで、いぃーっぱい遊ぼー!」 「いいね。そうしようか」 「えー、みんな、よく聞いて!」 「今日で五十嵐君は引っ越すことになりました」 「いきなり引っ越しの日が変更になって今日になったけど、それでもみんなで五十嵐君とのお別れ会を開きましょう」 「光輝、ばいばい!ボクはいつも待ってるぜ!」 「いつかはまた会おうな!五十嵐!!」 「ねぇ、香里ちゃん、今日休みなの?」 「風邪なんだって。今日がお別れ会って知らないで、可哀想だね」 (え?香里、今日休みなのか・・・) 祭り当日の朝 「ハッ!!  ・・・」 今日はとんでもない夢を見ちまった。 俺のお別れ会を開いてくれた日だ。 とても儚く、とても虚しい日だった。 あ〜、よりにもよって祭りの日にとはな。 俺は布団から上がり、ナックルの様子を見に行った。今日は雨じゃなく、また晴れだ。この様子からするとナックルはまた泳ぎたいっていいそうだな。 「ナックル〜」 返事はやはり・・・ 「ききゥ(今日は暑いからここに居て泳ぎたい!)」 今日の祭りはたしか五時からだった筈。それまでは、かなり暇になりそうだ。 しかもこのカンカン照りの太陽の下、ぶらぶら歩いていても、こっちが干からびる。 あ、確かこの辺りに神木があったっけ。かなり大きい木で、涼しいんだよね。 そこに行くことに決定! だけど、朝飯食ってねぇんだよ、まだ。 「ビカピ!ピビ!(暑い!飯!)」 ロードもこの暑さに耐え切れず、なんと自力で朝八時に起きた。まぁこの暑さだし。 ここは田舎で、都内よりはかなり涼しい筈だけどそれでも暑いんだよ。 温度計が掛けてあったので見てみることに。 凄いことが分かった!これは湿度のせいであることが・・・ 昨日は雨でまぁ涼しかったが、そのせいで今日は蒸し暑い。 湿気がもたらした暑さのせいで寝付けない。今日の朝飯はお茶漬けですました。 といってもルトが持ってきてくれたのだが。 「び〜・・・」 「まぁ我慢しろ。涼しいとこに連れてってやるからさ。」 「ピカ!」 今日もまた少し歩いた。暇だし。っ てこのセリフ、また聞いたような気がする。 俺の言っている神木はこの川沿いにあって、なかなか有名なんだ。 となりのト●ロに出てきたデカイ木よりも更にデカイ。 少し歩いたところの峠道に、墓地がある。 といっても、まだ利用者が少なく、墓参りにくる人も少ない。 俺は久々にそこに立ち寄った。 あと、ここで有名なのがポケモンの墓参り・・・ あ、怖い話じゃないよ。 毎日朝に墓参りに来るポケモンがいるんだ。 それでテレビも来た事があってさ。可愛いもんだな。 (トテタタタ・・・) あ!来た!今日は運がいいな。 「ロード、見てみろよ。カメックスだ」 「ぴ・・・」 このカメックス、かなり飼い主想いで花を一輪摘んで来ては備えるんだよ。今はクローバーを摘んできている。 何処か不思議なことに、ロードが警戒していない。 向こうも気にしていない。むしろ、知り合い感覚だ。 「ぴかぴ、ぴ」 「ぐるるる・・・  がめ!」 少しして・・・ 「ロード!着いたぜ。ここが言ってた神木だぜ」 「ぴ〜か〜」 (ヒュウウウウウゥゥー) 「お〜、涼しいな。ここに来て正解正解」 「か〜ぁ、ちゅう」 ココには、よくポケモンが現れるから遊び場やゲットにももってこいなんだけど、どういうことかバトルだけはしてはいけない。 神の前で争いは厳禁、ということだな。 (がさがさがさ・・・) 「ちり〜ぃん」 「お、ロード。珍しいチリーンだぜ、遊びに言ってこいよ」 てことを言う前にもう遊びにいってる・・・・・・ 「ぴかぴかピ!」 「ちりちり〜ん♪」 (ひゅぅぅ) 風が吹くと、たまに泣くんだよ。 意味わかる?風が泣くんだ。 みんなも、よく風がきつい時「ひゅぅうぅうぅ」とか言って聞こえるだろ? それだよ。 ココに池があるし、ナックルを連れてこればよかったなぁ。 まぁアイツはあそこが気に入ってるし。 「・・・・・・ぐぅ」 スヤスヤ・・・ 気がつくと俺は涼しいからって爆睡してしまった。 朝が暑く、全然寝てなかったからだろうな。多分。 気がついた頃にはもう祭り寸前だったのである。 起こしてくれたのはロードだった。 起こした、というより暴れていたロードとチリーンに体当たりされたのだが・・・ 「・・・ん?あ!もうこんな時間じゃねーかよ!」 「しまった、寝過ごしたのか・・・」 「ぴか」 俺は猛ダッシュした。 ロードを肩に乗せて・・・ってお前も走れよ! でも、走ってくれなさそうだから、諦めるか。 コイツは融通聞かねぇからな。 しょうがないか。 (タタタタタタタ・・・・・・) 走っていると墓場に墓参りしている人が居た。 どうせなら、と墓参りのポケモンの件について聞いてみた。 遅れても学校と違うし、ね。 「すいません、墓参りですか?」 「あ、そうです。あなたもですか?」 「あ〜、まぁ、そのようなトコです」 「ココによく墓参りに来るカメックスを知っていますか?」 「知ってますね、というより、事実上私のポケモン扱い・・・ ですね」 「そ、それはどういう事ですか!?」 「ん〜、この子は私の娘のポケモンだったの」 「私の亭主がサーファーで、それに憧れていてねぇ」 「ゼニガメを娘に託したのです。カメックスの娘でして・・・」 「・・・・・・! その子は今何処ですか?」 「・・・・・・・・・ココです」 その女の人は墓に指をさした。 「まさか・・・  亡くなったのですか・・・?」 「はい。 そのカゼニガメが香里を忘れられず、墓参りに来るように・・・」 「今では自然にカメックスなんです」 ・・・・・・・・・え? 香里だと!? 亡くなった・・・  なに!!? 「え・・・、どうされました?」 「あ! いや・・・ 別になんでもないです」 「それで、その子が身体の調子が思わしくなくなって、六年生の夏の日、最初は風邪だと医者に言われて、休ませていました」 「ですが、出された薬を飲ませても効果がなく、仕方なくもう一度医者に行かせました」 「診断した結果が・・・」 「結果がどうしました?」 「ウイルス性の心臓病だったのです」 「し・・・!」 「医療側の診察ミスでして、遅かったのです」 「せっかくの誕生日に、亡くなったのです」 俺はしばらく沈黙だった。 香里が死んだ・・・ 俺が去ったすぐ後・・・ 最期にも会えなくて・・・ 「香里が、最期の最期まで『光輝くん』と呼んでいました」 「ですが、学校側にも調べ様がなく、困り果てていて」 「個人情報保護法による・・・せいですか?」 「はい。私たちがどんな理由でも、国家側のセキリュティーで、です」 「私や亭主、香里の祖父や祖母も泣きましたが、一番可哀想だったのはゼニガメでして・・・」 「亡くなってすぐカメールに進化しました」 「せっかく進化して、かお・・・いや主のサーフィンについていける、たくましい体つきになっても・・・」 「見てくれる主がいない、ってことですか?」 「そうなんです。霊感の強い、スピリチュアル・カウンセラーに聞いたらこういっていました」 「このカメールは『強くなったよ、あなたについてゆけるようになったよ、見て、ご主人様、お願いします』と豪語しています・・・って」 「・・・ッ!」 「あ、つい話し込んでしまいましたね。失礼しました」 「は、はい。さようならです」 (タタタタタ・・・・・・) 俺は涙が出てきた。 〜悔しい〜 〜虚しい〜 〜悲しい〜 俺は己の無力さに泣いた。馬鹿だな、俺。 前日にはもう変更したって知っていたから、香里だけにも言っておけばよかった。 その考えが頭の中をグルグル駆け巡った。 サーファーで、ゼニガメを連れていて・・・って昨日の女の子じゃねーか! どういう事だ!俺は話をして、挨拶を交わして・・・ あれは幻覚の筈じゃない。 じゃあアレはなんだ? この考えをしているうちに祭り広場についた。 「ぴかぴ?」 ロードも気をつかってくれてる。“どうしたの?”って聞いているのがわかる。 「もうこのことは忘れよう!」 そう決めた。これ以上考えるとせっかくの夏祭りを楽しめない。 また今度考えよう。 (がやがや・・・) 「たこ焼き、いかが〜すか〜!大阪の本場もんやで〜」 「綿飴、一個百円ですよ〜」 「ねぇママ、リンゴ飴買って〜」 「お〜!当たった当たった!」 時は六時。みんながもうお祭りを楽しんでいる。 俺も楽しむか! 「伝統焼き蕎麦、美味しいですよ〜」 お、あったあった。焼き蕎麦! コイツを食べてから決めることにしよう。 あの女の子が何なのか――――― 今朝、爺ちゃんから少しお小遣いをもらった。 お祭りには千円くらいいるから、無理言って貰った。 焼き蕎麦を買うと残り八百五拾円、後は射的やスマートボールなどで懐かしもうっと。 「ピカ!ぴぃか」 どうやらロードも何かを食べたいらしい。焼きとうもろこしでいいかな。 確か、婆ちゃんから買ったって昔聞いたことある。 「とうもろこしください」 そういって俺は小銭を渡す。確か百五拾円だった筈だね。 ところが「あ、兄ちゃん。今年から弐百円だよ」と言われたんだよね。 しょうがない、ロードのための経費として・・・弐百円! 「ぴかもぐ」 また言いやがった! でも、美味しそうに食べるな、ロード。 これは醤油で味付けしている、シンプルなとうもろこし。 その割りに美味しく、安くて好きだったが・・・ 値上げの影響下でこれまで値上がりか。 「ちゃぁ〜」 げ!おかわり要求してきたぜ。 ・・・食うの速いなぁ! ホンットコイツの食欲には驚かされてるんだよ。 口にとうもろこしをつけてまで好きだったのかよ〜ロード・・・ 〜で、焼き蕎麦は何処だ? 「ぴか」 ロードが走った!こいつは速いんだよ。 俺と同じくらいだから、だいたい百メートルで・・・七秒かな。 俺もこうしてみるとかなり速かったのか。 「ロード、待て!」 (タッタタタタタタ・・・・・・) 「ぴか!」 お!焼き蕎麦屋!こいつ、焼き蕎麦屋の場所教えてくれた! と思ったのも束の間、今度はこれが食べたいって言いたげな視線で俺を見た。 ま、俺も食べるし。 「焼き蕎麦ください」 「あいよ。  ん? 兄ちゃん、光輝ちゃんかい?」 「あ、はい。覚えてましたか?」 「覚えてるよ、久しぶりだね。よし!大盛りサービスだぜ!」 「お!ありがとうございます!」 「焼き蕎麦も買ったし、とりあえずは・・・」 俺はこの広場の近くの空き地によくいっていた。 特に、祭りの日は焼き蕎麦とか買ってはココによく来て食べてたね。 「ついたっと♪」 この空き地は神木の南にあって、まぁまぁ涼しく、静かだからお気に入りさ。 とはいってもうるさいトコは少ないけど。 (パカッ) 俺は焼き蕎麦を開けた。まだ鰹節がふわふわしていて、暖かさは変わっていない。 「よいしょっと」 俺は丸太の上に腰を掛けた。 夏のこの時期にはよくバルビートやイルミーゼが光っていて、なかなか綺麗なんだ。 空には夏のイルミネーションが繰り広げられ、まさに特等席! ここにもし屋台が建ったら、俺はどうしよかな、なんてね。 ――ん?誰かいる。 丸太くらいの大きさのドラム缶の上に誰かが乗ってる。 んー、影の大きさからして大体小学六年だろ。 「ぴか!」 するとなぜか勝手にロードが動いた。 コイツ、人見知りはしないけど、こうも警戒せずに動くとは、もしや知り合いかな。 「ぴっか!」 (だきっ) 「あ、このピカチュウ・・・」 「ぴか!」 ん? 俺のロードを知っているって、ここらあたりではそうそう居ない筈だったのだが。 ロードは滅多に学校にこなかった筈だし。 (バァーン  パチッパチッ・・・) 光った。花火なのだ。 その明かりで姿が見えた。 あのサーファーだ・・・! 「ん、あ。君は・・・」 俺は目を皿にしてよく見た。 もしかすると、やはり香里だったりして・・・・・・? でも、香里の母親曰く、死んだ筈じゃ・・・ 確かに、アイツはこの空き地を知っている。 ・・・・・・話しかけてみるか。 「わ〜、あのロードがもう懐くとか、凄いな」 「あ、私のポケモンこの子しかいないので・・・ 新鮮なの」 するとあのゼニガメがひょこっと顔を出した。 「ぜに!」 「ぴか!」 俺は勝負に出る。 「・・・・・・もしかして、香里・・・か?」 「えっ・・・・・・・・・・・・」 「思いだしたぜ、伝説を」 「冥府の使い、アルセウスの話を」 「アルセウス、ソイツは世界の始まりでもあり」 「世界の何処か、たしかシンオウ地方だったっけ」 「その何処かに『天界の笛』を使うことで出会うことができる」 「生身の人間では――  だがな」 「だが、もう帰らぬ人は守護神に許可を得ることで会うことができる」 「アルセウスは世界で初めて生まれたポケモン。もう百億年は生きているな」 「そんなアルセウスは伝説と言える特別な能力を使えるという」 「それは・・・」 「一時期蘇生能力――」 「・・・・・・知ってたの?光輝君・・・・・・・・・」 「ああ。最初はわからなく、しかもアルセウスの伝説までも忘れていた」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「聞いたんだよ。お前の母さんにな」 「墓参りをしているカメックスにも、会ったしな」 「いろいろ考えても、不思議だったが、アルセウスの伝説を思い出してからは辻褄があってね」 「・・・・・・私・・・」 (バァン、バァアーン) また花火が上がった。 なんとも言えぬ美しさ故、この花火を楽しみにしている人もさぞ多いだろう。 その花火の明かりにて、香里の顔がまた少し見えた。 目元には大粒の涙があった。 香里は涙を軽く拭き取り、開き直って俺にこう言った。 「深刻な話は後!  お祭りを・・・ 楽しもうよ」 この発言に、俺は否定はできなかった。 (バァーン、パァンバアァーーン、パチッパチッ・・・・・・) 「わかった・・・  とりあえずは、お祭りを楽しむか」 「じゃ、行こッ!」 「ぴか!ぴか!」 どうりであのロードが懐いているワケか。 意外にコイツ、記憶力や嗅覚があって、香里の「匂い」でわかったんだな。 香里、ロードと言わずにピカチュウって言ってたな。 アイツはロードの名前を知っている筈なんだけど。 ・・・・・・やっぱ知られたくなかったのか。 「早く行こうよ!」 だが、「知ってたの?」って言ったってことは、やはり香里・・・ 「やった!トサキントすくえた!」 (ビリッ、ザッブーン) 「とさ!」 「ハハハ、下手だな」 「だって怖いもん・・・!」 「――で、取って欲しいのは?」 「あのロードそっくりの人形!」 ・・・・・・やっぱ香里だな。 もうピカチュウって呼ばなくなってるぜ。 「わかったよ」 (パーン、ドコッ!  バサッ・・・) 「兄ちゃん、上手いね。このピカチュウ人形、三年前から誰にも取られなかったんだ」 「光輝君、スゴーイ!」 「はいよ」 「えへへ、ありがとう♪」 「あ!そうだ!ペンダントあげるよ」 出来事は、急に起こった。 俺でも予知できなかった、不思議な出来事。 「事実は小説より奇なり」 よく言ったもんだぜ。 その出来事に、今、俺が気づいた。 「香里、とりあえず空き地に戻るか・・・   ――ん!?」 なんと、香里の身体が透けている。 服だけ、とかじゃない。 なんと香里自体透けている。 こころなしか、握っている手も握っている感覚がなくなっている。 「お、おい!香里!? どうしたんだ!」 「・・・・・・下界(ココ)に居すぎたらしいね・・・」 「・・・  ハッ!」 俺はアルセウスの条約を思いだした。 「例え、冥府の使者であっても不可能はある」 「神のポケモン三獣神、ダークライの能力は『夢の世界』と『夢を魅せる』の『夢の要素』」 「シェイミの能力は『緑の世界』と『緑を作る』の『緑の要素』」 「アルセウスの能力は『下の世界』と『下の要素』」 「そのアルセウスの下の世界、それはこの世のことである」 「下の要素、それはいわゆる蘇生能力を指す」 「とはいえ、完全な蘇生を行えるわけでもない」 「ほんの一時期だ。アルセウスの能力、詳しく言えば『一時期蘇生能力』」 「その上、一時期蘇生能力は一人一度しか不可能」 「その『一時期』を越えると存在が薄くなってゆく」 「そして、条約を破り、現世に存在し続けるといずれは存在が消える」 「ただ天界に戻されるわけではない」 「もう誰もその者を忘れ、下界、天界ともに存在しなくなる、ということだ」 俺は、すぐに説得を試みた。 「おい!俺のことはいいから天界に帰れよ!  そうじゃないと・・・」 「そうしたい・・・  でも・・・」 「どうした!?」 「光輝君と一緒に居たい・・・・・・・・・」 俺はその言葉に強く心を打たれた。 「・・・何年かは知らないが、俺も天界に行く時が来たらあえるだろ!?」 意外な言葉が返ってきた。 俺の想像を超えた・・・ 「・・・も・・・う、無理よ・・・・・・」 「!?」 気がつくと、香里を通して向こうの景色が見える。 もう・・・遅かったか・・・・・・!? 「お、おい!香里!大丈夫か!?」 「・・・・・・無理みたい・・・」 香里の声は、まるでゴニョニョの鳴き声よりも小さくなっていた。 目をこしらえてよく見ないと見えないくらいにまでなっていた。 「・・・・・・あり・・・が・・・と――」 俺はどうせならと、最後のサイコソーダをあげた。 「これ、お前の好きなモンだったろ? あげるよ。何処に行くのかわからないけどな」 「・・・・・・・・・・・・ぁ・・・」 もう声は聞こえない。 アルセウスの条約の結果なのか・・・ 「・・・・・・」 「ちょっと目をつぶって・・・」 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・!」 「・・・・・・」 俺は香里の言っていることは聞こえなかったが、目でなんとなくわかった。 『バイバイ・・・』と・・・・・・ 俺は香里が消えるのが怖かった。 伝説によると、存在がなくなり、誰も彼女のことを覚える者はいなくなる。 生みの親でも、だ。 もっと一緒に居たい―― それはもうどうにもならないことだ。 ・・・ん? ゼニガメも、薄くなっている。 そういや、ここにゼニガメが居ると、墓参りのカメックスの件が矛盾になるな。 でも俺はすぐに理解できた。 これは「夢だろう」と・・・ 香里はアルセウスの力、だがこのゼニガメはダークライの現実的な夢だろう。 とても愛していたゼニガメ、香里の強い想いで幻として出てきたのだろう。 「ピカピカァ!!」!! あのロードが涙を流している。 コイツは人の言葉を話せない。 人間の言葉も少ししか理解できない。 なのに泣いている。 これは、 さっきまでのやり取りを見ていて、奇跡的に理解したのだろう。 ロードにも、俺にも襲った悲劇。 だがあえたのは奇跡。 どうせ奇跡なら、もう会えないほうが良かったのだろうか。 もう思い残すことはないのか・・・ 俺は考え続けた。 ただ、一個だけしか思いつかなかった。 「香里・・・大丈夫か?」 「・・・・・・」 香里は黙ってうなずいた。 「それと、最期に言いたいことがあるんだ」 「・・・・・・・・・?」 「誕生日、おめでとう」 「これしかいえない」 「これ以外になにもいえない」 「これ以外にはなにもいえない」 「いうことができない。なにもできない」 「俺のこと、忘れるなよ・・・!」 「俺もお前のことはまず忘れない。永遠にな!!」 俺は気がついたら涙が目に溜まっていた。 声も枯れてる。 当たり前だろ。 初恋で、会えなくなっても、今会えているのに、さっきまでは普通に会話もできたのに、もう会えない―― さっきまではなにも聞こえなかったのに、なぜか耳に入ってくる、香里の最期の言葉。 「ありがとう・・・――」 「・・・ウッ・・・」 すると、スゥーっと香里が消えていった。 人の気配が消えた。 俺はさっきまで声をあげて泣いていたのだが、何故泣いているかに疑問を持った。 「あれ?俺、さっきまで何してた?」 俺は不運にも、香里のことを忘れてしまった。 あれだけ約束をしたのに、あれだけ愛し合っていたのに―― だが、ロードはまだ泣いている。 言葉をあげて、泣いている。 「どうしたんだ?ロード」 俺の問いかけを無視して、ただただ泣き続ける。 俺は、祭りから帰ってきて爺ちゃん家に戻った。 「光輝やい、祭りは楽しかったか?」 「おう!久々に伝統焼き蕎麦食って、昔に戻ったみたいだった!」 「おや、ロードちゃん、なんで泣いとるんかいの?」 「さぁ、俺もわからないんだ。何度聞いても、無視するしな」 「じきにわかるじゃろうて。強は夜遅いし、明日帰りんしゃい。電車賃あげるからの」 「お!ラッキー!ありがとう!またナックルの力借りるのかなぁって思ってたんだ」 「ホッホッホ・・・そんなもんじゃろ。ナックルなら、今寝とるんじゃ」 「じゃあ今のうちにボールに戻すか!」 次の日の朝、俺は家を出て、今の故郷に帰ることになった。 (ガタン、ゴトン) 「夢・・・なのか?」 「夢・・・だったのか?」 どうやら、あの後も香里のカメックスは墓参りを続けたようだ。 名前も書かれてない墓に―― ロードはやっと泣き止んだ。 朝一番の電車のなか、客は俺くらいなもんだ。 とある、夏休みのとある日。 俺は大切なことを学んだ気がする。 とても、大切ななにかを―― 〜〜次の日〜〜 「あ〜、今日も暑ぃ〜!爺ちゃんトコ涼しかったな〜」 「あれ?勉強道具・・・  あ!バックなかだっけ」 (ガサゴソガサゴソ・・・) 「ん?なんだこれ・・・ ペンダントじゃん。誰から貰ったんだ?」 「ぴ・・・ぴか!」 (ぱか) なかには、見知らぬ女の子の写真が載っていた―――― おしまい ※これは完全なフィクションであり、人名、団体名など、現実のものとは全く関係ございません ※しかし、この二人の想いから感じたなにか―― それはあなたの心に残り続けることでしょう。