ここは、シンオウ地方でも5本指に入るほどの金持ちのウラヤマさんの大豪邸。 自慢の裏庭や高そうなポケモン像があるのはもう有名。 おや?今日もウラヤマさんのおぼっちゃまが、じぃを困らせてますよ。 ちょっとのぞいてみましょうか? ウラヤマさんのおぼっちゃま 「じぃあのポケモンはまだ手に入らないのか」 「えーだからあのポケモンは無理ですと前に」 「うるさいうるさい、早く捕まえてこいよぉーでないとクビだぞ」 ぎゃあぎゃあとわめいているのはウラヤマさんちの一人息子ユーイチぼっちゃま。 そしてわめかれている方はおつきのじぃである。 「あのポケモンが欲しいんだよぉーどーしても」 あのポケモン、それはこの前この屋敷を訪れたトレーナーが持っていたポリゴンのことだった。 ユーイチぼっちゃまはそのポケモンを気に入ってしまったわけで・・・。 「だって、口ぽいとこからいろんな光線が出るんだよ、それに体の色とかがかっこいいしー」 というのがユーイチぼっちゃまのコメントである。 一方じぃの言い分はというと・・・。 「ポリゴンというポケモンはとても捕まえるのが困難で生息地もあまりわかっていないというのがその理由の1つでして、要するに私では 無理です」 というわけである。 しかし、上のようなことを言っても今のぼっちゃまは・・・一言で言うと 何が何でもポリゴンがほしいぜ、そうポリゴンこそが一番、ポリゴンイズベスト、ポリゴンバンザーーーイ。 という狂喜乱舞的な状態であることは間違いない。 だからじぃはこの時が過ぎるのをじーーーーーっといくらまだかまだかと催促されても、「無理です」をオウムがえしのように繰り返し ひたすらぼっちゃまが平静を取り戻すことを待つしかないのだ。 そう、今回はそれが少し長いだけ、今に飽きるさどうせ子供だしね・・・。 というのが1ヶ月前のじぃの心境である。 し   か   し そうもいかなかったワケで・・・・。 「まだ、手に入らないのかーーーーいい加減にしないと父さんにいってほんとにクビにしちゃうぞーーーーー」 そう、一ヶ月たってもまだ、ぼっちゃまはポリゴン狂喜乱舞状態だったわけである。 そして、被害はじぃだけではなかった。 メイド、警備員、裏庭のポケモンなどなど、被害者は拡大した。 ある日だった。 じぃは玄関に続く庭の掃除をしていた。 新しく入ってきたメイドと一緒に・・・。 「おい、お前ポリゴンもってるだろ?だったらくれ、隠してもダメだぞぉーー」 急にぼっちゃまの声がすると同時に新入りのメイドに詰め寄るユーイチぼっちゃま。 「私持ってません、すみませんぼっちゃま」 「うそつけーーーそんな事いって本当は持ってるんだろくれよぉーーー」 そういって、メイドの服のすそにすがるぼっちゃま。 「ぼっちゃまそろそろやめてあげなさい、これ、ぼっちゃまはしたないですぞ」 そういってじぃはユーイチぼっちゃまをひっぺがす。 そしてメイドは、「仕事がありますから・・・」といって脱兎のごとくその場を走り去ってしまった。 「ぼっちゃま、いい加減にしてくださいませ!」 「うるさいなぁ、これもじぃがポリゴンを手に入れられないからだぞ!」 またはじまったぼっちゃまの吐く暴言に近い言葉。 じぃはこの頃から胃腸薬などの薬を飲んでいた。 もう、辞めよう・・・今回ばかりはもう限界だ・・・。 そうじぃがおもっている時だった。 「ごめんください、道を聞きたいんですけどぉ」 突然そんな声がした、ふと見るとそこには一人の少年がいた。 年はユーイチぼっちゃまより年上らしい風貌。 そして、腰にはモンスターボール。 「ちょっと道に迷ってしまったんです、こっちに来たのは初めてなので」 そういう少年。 しかしぼっちゃまは見境がなかった。 「ねぇねぇおにいちゃんポリゴンもってる?もってたらちょうだい」 「こ、これいきなり失礼ですぞ、すみませんぼっちゃまは今ちょっと・・・」 「もってるよ」 じぃがいい終わらないうちにその少年はいった。 「え、もってるのちょうだいちょうだいちょうだいちょうだい」 ポリゴンを持っているとわかったら「ちょうだい」の連呼を始めるぼっちゃま。 さすがに、断るだろうな・・・と思っていると。 「いいよ、だけど条件があるよ」 「え、なになに条件って、あ、わかったお金でしょ、おにいちゃん貧乏そうだもんね?」 「ぼっちゃま、失礼すぎますよ」 「だってそういう風に見えるもん」 「違うよ、お金はいらない、もちろん高い指輪とかもいらない」 「えーだったら何?」 ぶーぶーといいながら坊ちゃまが聞く。 「僕とバトルして勝ったらいいよ」 そういった。 「いいよっお前なんか3分で勝ってやるもん!」 ぼっちゃまはやる気満々だった。 そして3分後・・・。 ぼっちゃまは見事に負けていた・・・。 「ううううわああああああああんんんんん」 「残念だったね、でも君もなかなか強かったね、うん、あと5年くらいたてばもっと強くなると思うよ」 と、ねぎらいの言葉をかける少年、しかしぼっちゃまは泣きやまない。 「あのね、おれ何にも知らないからこんなこというのもなんだけど・・・・」 少年はいった。 「何でもかんでも自分の思うとおり、手に入らないんだよ、このおれのポリゴンだっておれがねやっとの思いで捕まえたんだ、だから自分で まずは努力なくちゃいけないんだよ、それにね・・・このポリゴンはおれも大好きなんだ、だから簡単にはあげないよ」 それだけ言うと少年は、横にいたカクカク動くポリゴンを「チャッピーもどれ」とモンスターボールにもどしてしまった。 「じゃあ僕は行くね、ありがとうございましたっ」 そういうと少年は、自転車に乗りいってしまった。 少年が去った後、ぼっちゃまはしばらく泣いていた。 「ねぇ、じぃえっぐ僕ってうっぐ努力がなかったんだね、えっぐ、じぃにばっかりたよっていたからえっぐ」 そう、ぼっちゃまは今の少年の一言でわかったようだ。 そして少年が言ったことはじぃが言いたくてもいえなかったことだった。 「僕、がんばるよポリゴンをがんばってえっぐゲットするために努力してみようと思うよ、だからがんばる」 「うむ、私はうれしいですぞぼっちゃまの口から努力という言葉がきけるなんて」 そうして二人は屋敷へと向かっていった。 「ねぇ、じぃじぃってば!」 「なんですか?騒々しいですよぼっちゃま」 「わかったんだよ、この近くにポリゴンの生息地があるんだって」 「ほう、それはよかったですな」 「だから、いってくるね、5時までには帰るからっ」 そういうとぼっちゃまは元気よく外に飛び出していった。 「ふぅ、努力するようにはなったけれどちっと元気がよすぎるような気もするのぉ」 そういいながらもじぃの顔は少し幸せそうだった。 おしまい あとがき この話は実はクリスマスごろから考えていたんですけど・・・・。 きねづかがちんたらしすぎて、2月になってしまいました。 でもまぁ執筆は自分のペースでオッケーなので、これからも牛のよーなスピードかも知れないけれど、よろしくお願いします。 ちなみにチャッピーはほんとに自分のポリゴンのニックネームです。(現在ダイヤにいる)