ここはハクタイの森、いつもは虫取り少年たちが虫ポケモンゲットにいそしんでる。 だけれども今日はそんなトレーナーの姿が見当たらない・・・。 だって今日は、森のポケモン達にとって大切な日だったから。 ぎんぎらひらひら 「おーいピコぉー、ツリーの飾りつけ大丈夫かー?」 下のほうで、カーリーが叫んでいる。 「大丈夫だよー今おりるわ〜」 ボクはそう言ってずるずるとこの森で一番大きな木からおりた。 ボクはミミロルのピコ。 下にいて叫んでたのは、親友のパッチールのカーリーだ。 「ごめんね〜ピコぉ〜ぼく木登り苦手だもんで」 「いいよいいよ、だってボク木登り好きだもん」 「ミミロルのくせにね」 「うるさい」 そうボクはミミロルのくせに木登りが得意というか出来る。 「あっカーリーちゃんにピコちゃんもう来てたんだ〜早いねぇ〜」 「こんばんは〜フリーねぇさん、あっアゲハさんもきてくれたんだ〜」 「もちろん、今日は年に一度の‘森のクリスマス’だもんね」とアゲハさん フリーねぇさんとアゲハさんは恋人同士、もうすぐ結婚するそうだ。 森のクリスマス・・・これは森ポケモンにとって一番楽しみにしている行事だ。 この行事では、シンオウ中のありとあらゆるポケモンがハクタイに集まる。 そして盛大にどんちゃん騒ぎをするのだ! もちろん人間が入れないように、森の洋館のゴースさん達が入り口に少し仕掛けをしている。 「ちょっとちょっとねぇ、あなた達!私の子供達知らない?また急にいなくなってしまって」 「あっマダムさん、またチビちゃんたちいなくなっちゃたんですか?」とフリーねぇさん。 マダムさんは、森の洋館近くに住んでいるミノマダム。 クキ、スナ、ミーコという3匹の子供がいる、3匹とも可愛いけど目を離すとすぐに迷子になっちゃうからマダムさんは困っている。 「さっき、3匹ともツリーの下で遊んでましたよ・・・ご主人と一緒に」 「まぁまぁピコちゃんありがとねっ」 そういってマダムさんは、ツリーのほうへ行ってしまった。 「アゲハ、フリーごめん遅くなっちゃった」 「遅〜い、何やってたのリーフ?」 「ごめんごめん、ちょっと用事があって」 「まぁいいけど・・・あっ紹介するね以前この森に住んでた幼馴染のリーフ、リーフィアよ」 「フリーねぇさんの幼馴染なんだぁ〜ぼくはパッチールのカーリー、でこっちは」 「木登りミミロルのピコ、よろしくねリーフさん」 「リーフでいいよ」 しばらく5匹で話をした後、フリーねぇさん達は「準備があるから・・・」と料理を作るために行ってしまった。 ふと辺りを見回してみるとポケモンが集まり始めていた。 「ねぇピコ、ツリーのてっぺん星をつけないと間に合わなくなっちゃうよ」 「それもそうだね」 そういってボク達はツリーのてっぺんに星をつけるためにツリーへ向かった。 すると、目の前にポケモンがどーんと現れた。 「おっ!星をつけるんだな、手伝うぜピコ、カーリー」 「ありがと、ホークさん。やっぱりホークさんは頼りになるなぁ〜」 「いいってことよ」 そういうが早いにホークさんは星をがしっとつかむとあっという間にてっぺんに着いてしまった。 「おーいこれでいいかぁ〜」 「うんん、もうちょっと右」 「こうかぁ〜」 「うんそれでいいよ、ありがとうホークさん」 「いいってことよ、じゃ俺は席についてるからな」 「あっぼくらもそろそろいこ」                  * ラムの実の殻やピジョットさん達の羽それからボクの綿毛。 ジグザグマのシグがどっからか見つけてきた青や赤緑のきれいな玉。 そういったものでぼく達のクリスマスツリーは飾られていた。 いわゆるガラクタ、ごみといったものだ。 でも、どんな立派なツリーよりもこのガラクタツリーがぼくらにはとても立派に見えた。 「では、これよりパーティの始まりだぜーっとそのまえにツリーの点灯行くぜ」 司会のホークさんが、ばさっとツリーのほうを指し示し「ぜーいんちゅうもくぅぅぅ」と叫ぶ。 す   る   と ぼや〜っとだけどツリーが点灯した。 ライトの仕掛けはぼくは知らないけど多分人間のものを拾ってきてるんだろう。 とてもきれいだった。 きらきらと青い玉や赤い玉が輝いていた。 毎年見ているけど、今年が一番きれいなのは、自分達で飾りつけをしたからかもしれない。 「きれいだね」 「うん、そだねピコ」 ぼく達はしばらくツリーに見とれていた。                * 「じゃー次は毎年恒例!ザ・かくし芸大会だぜ〜〜〜張り切っていってみよーーーー」 オレン酒が入って上機嫌のホークさんが叫ぶ。 「エントリーナンバー1マダムさんとダンナのガー介だぁぁ張り切ってどうぞ」 ちゃんちゃかちゃんかちゃんかちゃらんら〜〜 気の抜けたメロディーと共にツリーの下の簡単なステージにマダム夫妻が現れる。 「マダムでーす」 「ガー介でーーーーーーーーーーーーーーーす」 「のばしすぎやー」 「いーじゃん別に死にゃしないでしょ」 「でも、うるさいねん」 「お前のいびきほどはうるさくないワイ」 「お前のそー言うところがうるさい言うねん」 そういいながら夫婦漫才をする二匹、これも毎年恒例。 しかもくだらないのについつい笑ってしまう。 「オイオイそろそろ時間だってよ」 「うるさいねん今いいとこやねん」 「もうお前とはやってられんよ〜〜〜」 じゃじゃーーーん 「は〜〜いありがとうございましたはいはい、ではでは次に行きましょおおお」 ホークさんの絶妙トークでかくし芸大会が進められていく。 水ポケモンチームによるシンクロ。 フーディン&サ−ナイトによる本格的マジックのショー。 そして、もちろん長老さんのテーブルクロス引き! * かくし芸大会の時間は、あっという間に過ぎて。 今はフリータイムの時間。 この時間は何をしてもいいのだ。 ・・・・当たり前だけど。 だからボクとカーリーは今料理にしたづつみをうっていた。 「おいしいーね〜ピコ〜」 カーリーが、口にべったりとクラボソースをつけながら言った。 「カーリー、ソースついてる」 「あははっやっぱついてたぁ〜」 あっはははと笑ったりしながら時は過ぎていく。 そしてそろそろ‘森のクリスマス’も終盤。 「はぁぁぁぁいみなさんこっちにちゅーーーーもぉぉく!」 突然ホークさんが、言った。 「はい、みなさんもう知ってる方もいると思いますが、フリーねぇさんとアゲハさんが結婚することになりましたぁぁぁ」 わーーーーヒューヒューと会場からは歓声が上がる。 「フリーねぇさん、アゲハさんではでは、こちらに来てください〜」 フリーねぇさんとアゲハさんがほおを真っ赤にそめながらステージのほうへ来る。 「コホン、ではこれよりフリーねぇさんとアゲハさんの結婚式を始めたいと思う、長老さん出番ですよ」 「はいはい、今行きますよ」 やれやれよっこらしょといいながら長老さんがステージにあがる。 「えーーでは、これよりフリーとアゲハの結婚式を始める」 わぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜とかなり大きな歓声が上がる。 「静かに」 こほん、といって長老さんは結婚式をはじめた。 「では近いの言葉を」 「はい、私フリーはいつの時でもアゲハさんを愛すると誓います」 「私アゲハもいつの時でもフリーを愛することを誓います」 「うむ、いま二匹はこの銀色の大樹の下で夫婦をなることを誓い合った、これで二匹はめでたく夫婦じゃ!」 まさに長老さんが言った時である。 ひらひら、ひらひら そらから白くて冷たいものが落ちてきた・・・・・雪だった。 「おお、空も二匹を祝福しているようじゃな」 ぎんぎらとひかる おおきなクリスマスツリー その下で二匹のポケモンが夫婦になった そしてお空の神様が 二匹を祝福して ひらひらときれいな雪を降らせた ぎんぎらひらひら ぎんぎらひらひら カーリーが突然そんなことを言った。 「どうしたの?急に」 「いやいやなんか急にこんな歌が出来ちゃったんだ」 「すごい!カーリーちゃんって即興詩の才能があったんだびっくり」 「・・・この歌フリーねぇさんとアゲハさんにあげます」 「すごいすごい!ありがとうカーリーちゃん」 「いやあそれほどでも・・・テレテレ」 ぎんぎらとひかる おおきなクリスマスツリー その下で二匹のポケモンが夫婦になった そしてお空の神様が 二匹を祝福して ひらひらときれいな雪を降らせた ぎんぎらひらひら ぎんぎらひらひら もう一度カーリーが歌った、そして次にボクが続いた。 そしてどんどん合唱の輪は広がっていき。 最後にはみんなが歌っていた。                   * 「なんだこりゃ、うわっ散らかってるなぁ」 「なんだか、ポケモンたちが大騒ぎしてたみたいだなぁ」 「昨日はハクタイの森に入ろうとしても入り口に戻っちゃうし・・・」 「いったいなんなんだ?この状況は」 クリスマスの後、ハクタイの森は一面の銀世界だった もちろん、人間達は昨日のドンチャカ騒ぎの事は知るよしもない。                                  ぎんぎらひらひら おわり あとがき 一足早いクリスマス気分を味わってもらった思います。 これ本当にクリスマスの日に出そうかと思ってたのですが、結構早めに出来てしまい。 う〜でもまぁ、クリスマス話は他にもネタがあるんで。 また出すかも。 では、また。