私は公園で他の人のポケモンバトルを見ていた。 ベンチに座って見ていると、私のおさななじみの『ハク』がいつもどうり、 トゲチックを頭の上にのっけているのが目に入った。 私はそれを見て、私のブースターがイーブイだったころのエピソードを思い出していた。 私のバトル日記  〜イーブイ編〜 「電光石火!」 私『アカリ』は当時9歳だったかなぁ。 私と当時イーブイだったブースターともそれなりの付き合いになったころね。 よくイーブイといっしょにポケモンバトルしてた。 この日は調子が良くって、全戦全勝だった。 「ふーー。疲れたね、イーブイ。ちょっと休もうよ。もうすぐハクもくるし」 私はベンチに座り、イーブイもベンチの近くでまるくなった。 そうして2、3分たったらハクがやってきたんだケド、この日はいつもとちがってた。 いつもはトレーナーのフードにトゲピーを入れてここにくるんだケド・・・ この日はフードの中にトゲピーの姿はなく、代わりにハクの近くに白くて、 トゲピーの卵の模様がついたモノが浮かんでた。 「ね、ねぇハク、それって・・・」 「あ!アカリ、ボクのトゲピーねぇ、昨日トゲチックに進化したんだよ!いいでしょ」 私が全部言い終わる前にハクが自慢したいのか、突然大きい声をだした。 「突然トゲピーが動かなくなってねえ、すっごい心配したんだケド、一瞬で変化したもんだからビックリしたんだ」 「・・・・・・・」 私はハクのトゲピーが私のイーブイより先に進化したのが悔しくてたまらなかった。 確かにイーブイは進化の石がなければ進化できない(当時はそれが常識だった)のはわかってるケド、 勉強、運動、なにやってもあまりよくない(勉強は私のほうが苦手だケド) 上にバトルを当時全くというほどやっていなかったハクに先をこされるなんて、私にとっては屈辱的なコトだった。 「ふっ、ザッとこんなもんよ!」 ハクのトゲチックに関する無意味トークを2時間ほど聞いた後、ついにキレた私はハクにバトルをいどんだ。 前はトゲピーは赤ちゃんだからと断ってたから、これが(多分)初バトルになると思うケド、 ハッキリ言ってうんざりしていた私は手加減抜きでボコボコにしてやった。(今思うとかわいそうだケド) バトルしながら私は計画を立てていた。今度の日曜日となりのとなりの町まで行って炎の石を買いに行くつもりでいたんだケド・・・ この計画は資金不足という面でもろくもくずれさってしまう事になった。 「はぁ・・・なんかいい方法ないかなぁ・・」 私はいつもバトルしてる公園のベンチで、炎の石を買いにいく方法を考えていた。 草バトルで賞金を稼ぐにしても、私の実力は中の中(今は上の上だケドね)。 勝ったり負けたりで、結局、財布の中身は増えないもんね〜。 ま、その日のジュース代ぐらいならなんとかなるケドね。 「アカリ?どうしたの?なんか元気ないね」 ドキィッ! 突然後ろから声が聞こえたので私は飛び上がった。 「は、ハク!?おどろかさないでよ!」 「ごめんごめん。なんか悩んでたみたいだったからさ・・」 私の後ろにいたのは何故かトゲチックが頭の上に乗っかってるハクだった。 「別になんでもないわよ!」 「そう?ならもう行くケド?」 そうハクが言い、背を向けようとする。 「行くってドコへ?」 ハクが行くトコロと言えば、ポケモンパンが売ってる店かこの公園ぐらいのハズ。 「カードショップ。今度のカードの大会でトゲチックデッキ作りたいから材料集めにね。 今年のお年玉まだ残ってるし」 お年玉・・・?私なら当の昔に使っちゃったケド・・。 「ねぇ、あんた今いくら持ってんの?」 「えっ?五千円ぐらいだケド?」 五千円あれば炎の石が買えるじゃないの! それなのに、この人はトゲチックデッキを作るために五千円を使うなんて・・・。 「アイアン・テール!!」 ズガァッ! 私のイーブイのアイアンテールが野生のイシツブテに炸裂し、イシツブテは壁に背中(後頭部?)をぶつけ、倒れた。 翌日、ハクからお金を借りることで資金不足をなんとかした私は進化の石を買いに出かけたんだケド・・ 目的の町まで行くには今私がいる洞窟を抜けきゃいけないの。 しかも、こういう洞窟はノーマルタイプのイーブイが苦手とするポケモンがたくさんいる。 私のイーブイなら、ここらの野性ポケモンは敵じゃないと思ってたケド、この洞窟が以外と大きくて、道に迷ってしまった。 「あーもう!なんで洞窟って暗くて複雑な造りになってんのーー!」 私は大声で怒鳴ったケド、答えてくれる人は誰もいない。 本来ならここで引き返すのが正解なんだろうケド・・ どうしても炎の石がほしかったのと、イライラしていて冷静さを失ってた私はドンドン先に進んでいった。 冷静さを失っていたために、イーブイがかなり疲れているのに気が付かなかった。 前の方に懐中電灯をやると、またイシツブテが出てきた。 格闘タイプのマクノシタまでいる。 岩タイプと格闘タイプ・・両方ともイーブイが苦手とするタイプだ。 「イーブイ!イシツブテにアイアンテール!」 私はイシツブテの苦手とする鋼タイプの攻撃をイーブイに指示する。 イーブイはイシツブテに突っ込んで、鋼のように硬くなったシッポをたたき付けようとする。 が、しかし・・・ シッポが硬くなったのはほんの一瞬で、イシツブテに当たったのは普通のシッポだった。 「アイアンテールが使えない・・?」 私は『ハッ』となった。この洞窟に入ってからずっとアイアンテールを使いっぱなしだった。 つまり、もう私のイーブイはアイアンテールを使いきってしまったのだ。 (アイアンテールが使えないとなると、イシツブテを倒すのは至難の技ね) 私がそう考えていたら、イシツブテのとなりにいたマクノシタがツッパリ攻撃を仕掛けようとしていた。 「あぶない!よけて!」 私は叫ぶが間に合わないと思っていた。 「天使のキッス!」 突然、後ろから声が聞こえてきたと思うとマクノシタが攻撃の手を休め、私の背後に注目した。 私が背後を向くと、翼を使わずに宙に浮かんでいるトゲチックの姿が目に入った。 そのすぐ後ろには、白いシャツの人がいた。 白シャツの人はマクノシタとイシツブテの間あたりにピッピ人形を投げた。ハク?! 「逃げるよ!アカリ!」 「イーブイ!戻って!」 ハクの指示に従うのはシャクだったケドイーブイをボールに戻し、後ろに猛ダッシュする。 「まったく、無茶するなぁ」 私とハクがイシツブテとマクノシタから逃げた後のハクの第一声。 「イーブイだけで洞窟抜けようなんてサ」 確かに洞窟にはイーブイが苦手とするポケモンが多いのはわかってるケド・・・ 「ハク。なんであんたがここにいんの?」 助けにくるのにタイミングが良すぎる。 「・・・・・・」 「あんた、まさかつけてきたんじゃないでしょうね」 答えを出さないハクの目を『ジッ』とにらみつける。ハクは視線をそらせてるケド。 「・・そのとうりだよ。つけてた」 「なんで!なんでつけてたの!!」 「そっちが理由も言わず五千円も借りるから心配だったんだよ!」 突然ハクが逆ギレしてきたので私はおどろいた。 ハクはめったなことで怒ったりはしないから私のおどろきもおおきかった。 「ちゃんと理由を言ってくれればいいのに、  無理やり理由も言わずに借りるから心配するに決まってるじゃないか!!」 「・・・・・」 私はハクの言葉に何も言えなかった。 「・・まったく・・五千円も何に使うつもりだったの?」 「・・・・進化の石」 私は思わずポツリと口を開いた。 「え?」 ハクは突然の発言を聞き取れなかったようだ。 「炎の石を買って、イーブイをブースターに進化させたかったの」 「じゃ、行こうか」 「えっ?」私は突然のハクの発言におどろいた。「どこへ?」 「買いたいんでしょ、炎の石。ハイ。これドリンク代わり」 ハクはそう言ってPPマックスといいキズ薬を私にわたした。 ・・ハク、なんでこんなもん持ってんの?などと思ったが気にせずに使う。 「そう言えばハク。あなたはどうやってここまで来たの?私だって苦労したのに」 「えー?ボクはアカリのすぐ後ろにいたんだよ。アカリが全部倒したからなんの苦労もなかったよ」 私はこの発言にズッコけた後、『なんでもっと早く助けにこなかったの』と怒りが込み上げた。 ハクが都合よくこの洞窟の地図をもって来たため(早く出さんかーっ!!)私たちはスムーズに出口まできた。 私は久しぶりに太陽の光が浴びれると思い、出口へ駆け出していく。 が、しかし        『夜』 空にはきれいな満月が浮かんでおり、星たちが自己主張するかのように輝いていた。 私は洞窟に長い間いたためにずいぶんそれがきれいに見えた。 「きれいだなぁ・・」 ハクも感動してたらしく、私と同じ感想を口にした。 「さ、とっととデパートにいきましょ」 私はいつまでも見とれてるワケにはいかないので、ハクの腕をつかみ、デパートへ駆け出した。 (それからが大変だったのよねぇ・・お母さんたちが心配してるだろうと電話したら二人ともこっぴどく叱られて・・ とっとと地図を出さなかったハクにヤツ当たりも含めて、連続電光石火の刑にして・・) 『フフッ』と私はあの時のハクの姿を思い出して軽く笑う。 洞窟内で逆ギレしたあの時のハクの表情と連続電光石火を喰らったハクの表情は今でも鮮明に思い出せる。 (ハクのお父さんと私のお父さんが、迎えに来てくれたんだけど、ハクのお父さんが優しかったおかげであまり怒られずにすんだんだっけ) 「どうしたの?アカリ?」 私はベンチで下を向いて座ってたためハクの接近に気が付かなかった。 「は、ハク!?おどかさないでよ!!」 「ごめんごめん」と軽くあやまるとハクはポケットから一枚の紙切れを出した。 「ところでさ、今日カードの整理してたらこんなのが出てきたんだケド・・」 私はその紙切れを見て青ざめた。なぜならそれは五千円借りた時に書いた証明書だったから。 「ねえ、五千円返してくれ・・「ブースター!逃げるよ電光石火!!」 私は素早く自転車にまたがりブースターといっしょにダッシュで逃げる。 「五千え〜ん」 と自転車に乗れないハクの声が聞こえた気がするがきっと幻聴にちがいない。うん。    おしまい   〜あとがき〜 どうもコウです。最近自分のハンドルネームを『ハク』と間違えてしまうことがあります。 なんかこの小説ってハクは必ずバットエンドですね。