Curse of summer night 「第三話」 男はついに島民に牙をむけた。 『…っ!』 『……!!』 島民達も震撼した。 そして一気に動揺が走る。 『これが本当にあの気弱な男だったのか!?』 『まるで以前のアイツとは別人じゃないか…っ!』 島民達はこの不気味なまでの男の変わり様に不気味なまでの恐怖を覚えていた。 身体が震える。 本音は怖い。 変わり果てた姿の男の姿がとてつもなく恐ろしく感じられる。 『どうしたぁ? 俺様が怖くて何も言えないのかぁなぁ? ヒャーハッハッハッ!』 島民達は自分の命の危険すら感じ始めた。 誰もが思った。 『この男は異常だ!』 、と。 『俺様に逆らう奴は誰でも容赦しないぜぇ? この俺が一番なんだ! この世でなぁっ!』 男は天高々に叫んだ。 『ダメだ…。 この男の精神は、 そして我々の命も…っっ!!』 島民は皆、この男の異様なまでの言動から自分達の死すら考える。 躊躇する。 何とかして逃れたい。 こんな男に見す見す殺されたくも無い。 刹那、 『グギャァァァァッッ!!?? おのれぇぇっ、貴様はぁぁっっ…!!?』 男は急に倒れこんだ。 男の体からは一気に大量の血が噴出した。 赤く滲み出る血。 止まらない。 それは止まらない。 遥か上空から一匹の鳥ポケモンが飛来した。 ピジョットだった。 そう、この男に殺されたあのポッポの親鳥である。 このピジョットが男に攻撃を仕掛けたのだ。 『ピジョォォッッ!』 ピジョットは怒り狂い、絶叫した。 ピジョットは傷だらけの男を自分の翼につかみ、飛来していった。 『…助かった…のか…?』 『あのピジョットが…助けてくれたのか??』 島民達は心から安堵した。 自分達は救われたのだと信じて。 一方ピジョットは島の海岸沿いにまでやってきていた。 『離しやがれっ!? この死にぞこないのクソ鳥がぁぁっっ!!??』 瀕死に近い男は抵抗を試みた。 しかし、このピジョットはあのポッポとは違い、全く男の力では歯が立たなかった。 『くそぉぉっっ! こんな筈じゃ…! 俺の力はこんなもんじゃ無いはずだっ! こんな…、こんな親鳥如きに…っ!』 ピジョットは厳しい目で男を見つめ、そしてあざ笑うかのようにも見えた。 それでも必死にもがく。 苦しい。 更に…、 『ギャァァ…』 怒りを噛み殺しているかの様に一匹の青竜が現れる。 その竜の名はギャラドス。 そう、このピジョット同様、この男に殺されたコイキングの親ギャラドスである。 『き…貴様等…っっ! まさかこの俺を殺るつもりなのか…っっ!?』 ピジョットもギャラドスも奇妙な声で微笑する。 『そ…そんな、冗談だろっ!? ま…待ってくれよぉぉっっ!?』 流石に男にも恐怖の感情が少しずつ表れてきた。 自分が殺したはずの親ポケモン達によって。 続く。