Curse of summer night 「第六話・男の復讐の果てに」 『ケケケ、キサマモアノヨニオクッテヤルッ!』 男の怨霊は毎晩のように現れ、島民を襲った。 ある者は頭を引き裂かれ、 ある者は両腕をもぎ取られた。 そう、かつて男が受けた苦しみを島民達に教えているかの如く。 島民達は皆、恐怖した。 日々、離島する者が続出した。 『次は俺が殺されるかもしれない…っ!!』 『この島にいるのは危険だっ!!』 そんな考えが彼らの思考を支配していた。 当然、村に残った者などいなかった。 そしてこの島から去ったのは島民だけでは無かった。 というのもポケモン達もこの島から次々と離れていったのである。 男の怨霊に恐れた・・・、という理由もあったのかもしれない。 だがやはり最大の理由は長年共存してきた島民たちが次々と離島していった事も当然、含まれてくるだろう。 ポケモン達はこの島の島民と長い間共に生活してきた。 やはり急激な生態系の変化に耐えられなかったのだろう。 そしてついにこの島に存在する生きとし生ける者は無と化した。 そう、唯一残ったのは愚かで、哀れで、悲惨な末路な死を迎えた怨霊ただ一人。 そしてこの島でこの男が死んだ日はちょうど真夏の季節。 離島し、無事に生き残った島民達はこの男の命日を『呪われた夏の日』と呼んだ。 そして島民もポケモン達もこの島からいなくなった今でも、 毎年、この『呪われた夏の日』に夜な夜な男の怨霊がさまよっているという。 次の復讐の為の人間【オモチャ】を求めて…。 これがこの島に伝わる言い伝えである。 長い月日を経た今でもこの島を恐れ、人々は寄り付こうとしなかった。 もう二度とこの島に人間が現れるはずが無いと誰もが思った。 しかし、時代の移り変わりと共にこの島の言い伝えもただの伝説と化した。 年月が流れるに連れてこの言い伝えも風化していったのだ。 そんな訳で今ではこの言い伝えを守る人々は少ない。 ある一定層の世代の人々のみ信じているようだ。 近年になってからは様々な子供達が、快楽と思い出を追い求め、この島にやって来ている。 島に伝わる伝説など知るよしも無い子供達が。 そして今日もまたこの島に子供達がやって来る。 あの忌々しい悪夢の事件の残り香が残るこの日に。 『Curse of summer night』 そしていよいよ子供達の恐怖の夜が幕を開けようとしていた。 終幕。 御視聴下さいまして、有難う御座いました。 Written by Lock 2002