現実世界。 冷たい社会や財布のふところも寒い経済が象徴とも言えるこの国。 つまりは日本。 そしてその国の首都に位置するのは大都会・東京。 様々な高層ビルが立ち並び、一部の地方の人間も一度は憧れるであろうこの都市。 そんな東京の下町に位置する町の一角から物語は始まる。 ―――――白い子猫――――― 〜〜〜はぐれポケモンミュウ〜〜〜 ―――東京・某地――― 季節は…冬。 天候は雪。 深々と冷たい雪が降り注ぐ情景。 なんとも神秘的な風景が季節を冬だと印象づけている。 ある町の路地裏で数匹の猫がいた。 その内の数匹は何処にでもいる普通の猫だった。 でも一匹だけ、他の猫とは何処か違う、不思議な感じの猫がいた。 少し変った猫……、白い猫。 周りの猫と一風違った雰囲気と神秘的な感じが感じられる。 白猫の名は…「ミュウ」。 ある一匹の猫が問う。 『君は何処から来たんだい?』 別の猫が更に問う。 『君の名前は?』 しかし白猫はただ笑ってこう答えるのみ。 『ミュウ?』 そう、この猫は明らかに他の猫とは違っていた。 一般の猫が話す「猫語」と呼ばれる言葉がこの猫には通じなかった。 異国からやって来た猫なのだろうか…。 白く小柄な容姿。 その割には長い尾。 そして一番の特徴といえるものがこのミュウにはあった。 それはその不思議な瞳にある。 緑色のクリクリした愛らしい瞳。 その瞳は何処か寂しげで、神秘的な目だった。 まるで何処からか迷い込んできた迷子のように。 純粋な顔立ち。 猫達はこの新しい仲間、「ミュウ」をしばらく見守っていく事にした。 寝床もご主人様もとてもいるようには見えなかったこともあってか。 『ミュウ、お腹すいたかい?』 一匹の猫がミュウに話しかける。 『ミュァァァ〜〜〜〜〜。///』 グゥーッとお腹がミュウのお腹が鳴った。 ミュウは恥ずかしそうに声を上げた。 『お腹すいているんだね。 ほら、このお弁当を食べるといいよ。 ちょっと前に人間が食べ捨てた残り物だけど…。 ほとんど食べずに残したものみたいだからね。 結構美味しいと思う。』 『ミュゥ? 煤cミュァァ……♪♪♪』 しばらくの間何も食べていなかったのかミュウは嬉しそうに無我夢中でその残り物のお弁当を口に入れ、ほうばった。 ――― ――― 『ふふ…、よっぽど疲れてたんだろうね。 ミュウったら眠りこけちゃったよ』 『寝顔も可愛いねぇ。 でも何処から来たんだろ、この子』 お弁当を食べ終わると眠りこけてしまったミュウを尻目に猫達は話し始めた。 『さあね、見当もつかないよ。 だけどこの子は猫だよ。 誰がどう見てもね。 だけど僕たちとは少し違った猫』 『ま、いいじゃないの。 ミュウの事は僕たちがしっかり世話をしてあげれば』 『それもそうだね。 ……しかしこのミュウも大変だったろうなぁ…。 こんな小さな身体で今まで一人で生き抜いてきたなんて…』 『本当だね、 凄いよ…、ミュウは…』 『ミュウゥゥ…?』 幸せそうに眠りながらミュウの寝言が夜空を包んだ。 猫達がミュウと出会ってから数週間が経った。 この頃から既に周りの猫からもちょっと違った概念で見られ始めていた。 ミュウは。 たびたび超能力の様な不思議な力を操るミュウ。 空を飛んだり物を手も触れずに持ち上げたり。 そんな不思議な力を見せ付けられた猫達。 普通は脅威を感じ、逃げ始めるものなのかも知れない。 だけどこの猫達は違った。 『凄いなぁ、ミュウの力は』 『きっとミュウは神様の使いの猫なんだね』 そんな感じに快くミュウの存在を受け入れた。 ミュウも嬉しかった。 生まれて初めて心を許せる仲間が出来たのだから。 『ミュウゥゥゥゥゥvvvvvv』 そして月日は流れた。 やがてミュウと猫達が出会って一年が過ぎようとしていた頃のこと…。 『ねぇ、ミュウ、覚えてるかい?』 『ミュア?』 相変わらず猫言葉を放たないミュウ。 『僕達が初めて会った日の事。 丁度今から一年前なんだよ』 『ミュウゥゥゥゥ??』 相変わらずのミュウ。 そんな時…。 『………!!』 猫達は一同驚いた! 『なんだい、この声はっ!? ミュウ、これは君の声なのかいっ!?』 『ミュアァァ』 否、『ミュウ』そのものは何時もと同じだった。 『……りがとう』 『え?なんだって?』 猫達はこの『ミュウの心の声』に耳を傾ける。 『今までありがとう、皆。 こんな私を今まで皆の側にいさせてくれて…』 『ミュウ? やっぱりミュウの声なんだね!?』 今まで決して理解できなかったミュウの言葉が今、初めて猫達に届いていた。 でもどうして今になって? 『そうだよ、私はミュウ。 直接じゃ話せないからテレパシーを使って君達に私の心の声を伝えている』 『どうゆう事なんだい? 今までって……?』 不可解なミュウの言葉に少し驚く猫達。 ミュウは続ける。 『うん、…今までありがとう。 私はこれから旅立たないといけないの。 自分の故郷へ』 『そんなっ、嫌だよっ! 今までだって一緒に仲良くやって来たじゃないかっ! これからだってきっと……!』 ミュウの言葉に激しく動揺する一匹の猫。 しかミュウは首を横に振るのみ。 『行かせてあげようよ。 ミュウにはミュウの生きる道が、帰るべき場所があるんだよ』 涙を堪えながらも必至にそれを抑えて別の猫が言う。 『そんな…。 嫌だよ……、ミュウと別れるだなんてっ!』 ミュウは更に続ける。 『私だって今まで通り皆と暮らして生きたい…。 楽しくやっていきたい……。 だけど』 『だけど…?』 猫が問う。 『私は本来この世界には存在するはずのない存在だから。 私のいるべき場所は別の世界にあるから』 『そうだったの……。 やっぱりミュウは特別の猫だったんだね』 ミュウは答える。 『特別なんて事はないよ。 私も君達も……。 …それじゃ、そろそろ行くね。 今まで本当にありがとう。 そして…さようなら』 そう言うとミュウの身体し少しずつ空中を舞い、天高々と昇って行く。 『さよならだよ、…そしてありがとう、私の大切な仲間。 私に初めて仲間の思いやりを与えてくれた君達へ……。 絶対に忘れないよ…! 私は……私だけは…!』 哀しそうで辛そうで、そして神秘的な目から涙を一滴発して…。 ミュウは消えた。 『ん…あれ、僕達、どうしてたんだっけ?』 『さ……さぁ? なんだかとても長い夢を見ていたようだよ』 『あれ、君達もかい? 実は僕もだよ、楽しくて……なんだかとても悲しかったような…』 猫達の記憶から『ミュウの存在』は消えていた。 『絶対に忘れないよ…! 私は……私だけは…!』 あの時ミュウが最後に発した言葉の意味、それは自分だけはこの楽しかった一年間の日々を決して忘れないということ。 本来あるべき存在ではない自分がこの世界の生物に干渉してしまったから。 決して干渉するべきではなかった。 でも猫達に心打たれてしまった自分がいた。 思い出は何時でもミュウと共にある。 でもミュウは『猫』では無い。 ミュウは『ポケットモンスター』。 本来、この世界には存在しない生物。 時空の迷いの扉からはぐれてしまい、この世界に迷い込んでいたミュウ。 そしてミュウはこの世界で多くを学んだ。 大切な仲間。 大切な友情のキズナ。 そして別れの辛さ。 出会いと別れは繰り返される。 運命の歯車が噛み合っているから。 そしてミュウは再び旅に出る。 自分の故郷へ。 ポケットモンスターの世界へ。 新しい出会いを求めて…。 fin あとがき いや…あはは、意味不明です。(ww なんだかミュウの読み切りのネタが浮かんでいたんですよ、以前から。 だから何となく書いて見ました。 今回のミュウ読み切りでした。 いや、意味不明でしたけど。(汗 ミュウって不思議な子じゃないですか? だからミュウらしく不思議な出会いと別れになるのかなぁと。(何が言いたい ではまたですっ!