水に落ち、溺れ、苦しむのは、誰?  それは、毒バチ。  毒蜂のスピアー。  それは小春日和の、ご機嫌な午後。  突然の突風が、乱暴に、スピアーを水溜りに叩き落しました。  自慢の羽は濡れ、羽ばたく事が出来ず、飛ぶ事が出来ても泳ぐ事の出来なかったスピア ーは、必死でもがきました。水を大量に飲んで苦しみました。  「 大変っ! 大丈夫!? 」  それを見つけた人間が駆け寄って助けたのですが…。  スピアーは大変怒って、その人間に言いました。  『 助けるのが遅い! 間抜けで無能なお前のせいで、俺は心に大きな傷を負った。 どうしてくれるんだ!! 』  そう言って毒針で人間を刺し、どこまでも、しつこく追いかけまわしたのでした。  その哀れな人間は、どうにか逃げのびました。  逃げのびた先で…。  水に落ち、溺れ、苦しむのは、誰?  それは、綺麗な蝶。  蝶のバタフリー。  人間は、逃げのびた先で、またしても水溜りに落ちて苦しむポケモンを見つけました。  それは、バタフリーでした。  かわいそうに、綺麗な羽は完全に濡れてしまい、空を飛べそうにありません。また、ス ピアーと同じく、空を飛べても泳ぐ事が出来ませんでした。  「 大変っ! 大丈夫!? 」  あんなことがあったのに、その人間は水溜りに飛び込んで、泥まみれになって、バタフ リーを助けました。  人間に助けられたバタフリーは、喜びました。  『 あなたが助けてくれなかったら、あたし、死んでた。本当に、ありがとう。 』  バタフリーは、何度もお礼を言って、空へ飛んで行きました。  水に落ち、溺れ、苦しむのは、誰?  それは、人間。  人間の子供。  バタフリーと別れた後、またしても人間は、溺れている者を見つけました。  「 大変っ! 大丈夫!? 」  人間が駆け寄って助けました。そして、子供に、こう聞きました。  「 あなたは、スピアー? それとも、バタフリー? 」  人間の子供は、答えました。  「 僕は、魚。お魚さんなの。泳ぐ練習をしてたんだ。 」  おしまい☆