番外編・ポケットモンスターRPG(リアルプレイングゲーム)    2.「ダイチ・・・陰らぬ夢をもった時代・・・・」 ・・マグマ団第3部隊隊長、「歩くピコピコハンマー」と呼ばれているこの俺、 蔵原 大地(くらはら ダイチ) にも幸せで平和な時くらいはあった。それだけは確かだ。 今思えばそれは夢だったんじゃないか、悪夢を振り払うためにつくりだした 妄想だったのではないのかとまあ、 時々は思った。でも、多分・・本当に幸せな時はあったんだ。 俺の幸せは10年前でストップしちまった。なぜかといえば10年前に起き た悲惨なポケモン殺害の事件の容疑が、 何故か現場で倒れていたこの俺にかかってしまい、そして賞金狙いの、ポ ケモン愛護団体だとかいう偽善者の塊団体が 俺を追いかけてきた。何で俺の名前と顔を知っているのかは疑問だったが・・。 「鬼畜」「鬼」「死ね」「ポケモン殺し」・・奴らは俺の主張もなにも 聞きゃあしない。 そして暴力で俺を押さえつけようとした。・・俺は暴力なんて受ける覚えは無い。 俺は逃げた。 逃げ続けた。すると奴らは「やっぱりあいつが犯人だ」と決めつけ、 ますます追いかけてきた。ったく冗談じゃねえ。 人間ってのは情報にすぐ影響されやがる。ニュースで「少年 ポケモン 殺害の疑いか」などとかいって特集をはじめ 、友達や知り合いに俺がどんな子供だったとか聞いている。 そしてマスコミは俺の過去を全部探る。家に押しかける。 ・・奴らは、きっと人が1人くらい傷ついてもおかまいなしさ。 俺だけならまだしも、奴らは、そして奴らの情報に操られた奴らは皆俺の 家族を縛り付けた。 「ポケモン殺し!」「息子さんはどんなかただったんですか、おしえてください!」「あんたの息子は鬼だ!」 「息子さんが今容疑をかけられていることについてどう思いますか!?」 ・・・犯罪の容疑をかけられたのは俺だ。家族じゃない。なら何故家族まで責められるんだ。 どうやら警察は完璧に俺を犯人に仕立て上げたいらしかった。なぜかは、警察が面倒くさくてあそこにいた俺を 犯人にしてさっさと事件を終わらせたかったのか、裏で糸を引いている やつがいたのか・・理由はわからないが、こっちとしてはたまったもんじゃない。 俺は・・・・心底嫌になった。もう、人間なんて信じられない。・・ ・バカバカしい、あんな奴ら信じるだけ無駄だ。 あるひまたもや偽善者の塊、真の醜き化け物たちが俺を半殺しにした。 おい、まてよ・・・・これだって充分犯罪じゃねえか・・・・。 つうか、家に「犯罪者!」なんて書いた紙で石を包んでそれを投げつけて 窓ガラスを割るのも、 「お前の兄ちゃんはポケモンを殺したんだ!」っていっていじめて、 ものをとって壊すのだって 充分犯罪じゃねえか。なんでそっちは責めねえんだよ・・・ ったく、ふざけんじゃねえよ・・・。 そんな俺を助けてくれたのが、マグマ団のリーダー・・当時はそ んな組織も無かったけど、マツブサさん。 彼は俺を責めることもなく俺を自分の家まで連れて行って、育ててくれた。 ・・なんか、変なつうか怪しい 雰囲気はあったけどそれでもよかった。あの人は俺を助けてくれた。 ・・つうわけで彼は俺が信じている唯一無二の存在だ。 だから、俺はこのマグマ団にいて、隊長をやっているんだ。 そんな俺にも、幸せな時があった。普通の、平凡な暮らしだったが、 でも幸せなそんな時が・・・。 〜10年前〜 蔵原 大地はミシロタウンの出身だ。家は、町の中心近く。 そして蔵原一家はミシロでも有名な「大ボケ一家」であった。と にかくマイペースでのんびりや、 非常識でいつもボケてばっかり。親戚も大体はこんな感じだった。 まあ、人様に危害は加えていないから大丈夫だとは思うが・・。 そんな一家に生まれた唯一の「ツッコミ役」が、ダイチであった。 何故彼が「ツッコミ」の遺伝子を受け継いだのかは分からない。 こんな天然ボケの両親から半分づつ遺伝子を受け継いだはずだが・・ まあ、性格をみんな遺伝子で決められたらたまったもんじゃないが。 仮に遺伝子の生だとしたら突然変異体である。そんな彼は3 歳のころにはじめてハリセンとピコピコハンマーを手にもち、 そしてことあるごとに「なんでやねん!」 「どーしてそーなるの!」といってツッコミを入れる。 もちろん家族だけでなくボケにはツッコミを入れた。 誰であろうがツッコミをいれる。 まあ、そんな彼も時々ボケる、または1人ボケ1人ツッコミを かます時はあるけどね・・・。 そんな毎日を送っていた。 しかし、ダイチはそんな毎日毎日ことごとく大ボケをかます家族を大切とは ・・・まあ思っていたけど呆れてものもいえず、 結局3日後に予定している旅立ち・・ポケモントレーナーとしての 出発も半ば家出のつもりだったのかもしれない。 ジリリリリリリリリ・・・・・! ダイチの部屋の目覚し時計がなり、ダイチは目を覚ました。今 日あたりに両親に旅をするというつもりだ。 まあ、俺はそういうことをほのめかしていっていたので分かるとは思う ・・・が・・・あ、いや・・・分かるかなあ・・・。 ダイチは部屋のドアをあけてリビングへと直行した。もう、朝食が出来ている頃だ。 「おはよー、母ちゃん、今日のごはんなにーーー?」 「えーーと、えーと・・えっと・・・・・サンボワーズ」 「は」 ダイチは意味の分からない事を口にし出した母を見て顔をしかめる。 何が何だかわからないダイチがひょいっとテーブルを見ると、 そこにあったのはサンドイッチであった。 「・・・・母ちゃん・・・・まーーた、そうやって勝手に名前 をつけやがってーー!!名前忘れたんだったらそういえーー!! つうかなんだよサンボワーズって!サンしかあってなーい、 サンしかーーー!!」 バシコーーン! ダイチは朝一番、早速母にハリセンツッコミをお見舞いする。 この母はよくものの名前、及び人の名前を忘れ挙句勝手に それに名前を付けてしまうというナゾボケをかます。 「ええー、結構いい名前でしょ?サンボワーズっていうのは300年前に いた大食い大王で、そんなサンボワーズさんは 野菜と肉とパンを一気に食べる方法が知りたくて、それでー、あ る日神からお告げを貰ってそれを元につくったのがコレ・・・・・」 バシーーン! 「いい加減にしーーーーろーーーーーーー!!!!勝手に由来をつくり やがってーーー!!誰だよそのサンボワーズ大王ってーーーー!!」 「あら、知らないの?歴史の教科書にも載って・・・・」 「いるわけがなーーーい!!」 バシコーン! こんな日常だった。これが当たり前で、むしろ皆がぼけない日のほうが気 味が悪くなってしまう。 ・・・しかしこうやって頭を殴っているから余計にぼけちゃうんじゃない?と いう意見もまあ少なからずあるけどまあそんなことはどうでもいい。 ダイチは「オダマキ研究所にいってくる!」といって家を飛び出した。 「・・・結構いいと思うわよね、サンボワーズ大王って」 そんなダイチに行ってらっしゃいといった母がそういう。 「えー、それよりサンダラボンズ大王のほうがかっこいいよおー」 と、ダイチの弟であるクウガがいう。 「あらー、サンボワーズのほうが言いやすくていいんじゃないかしら?」 「えー、サンダラボワズのほうがかっこいいようーー」 「でも、やっぱり音の響きはサンボワーズのほうがね・・・・」 「えーー、絶対にサンダラボワズ!!」 「・・・・そういえばー・・・サンボワーズってなんだったかしら?」 母は首をかしげる。クウガは「えー、お兄ちゃんの恋人の名前じゃない?」 と平気で言う。つうかダイチにそんなのいない。 「ああーー・・そうだったわねえーーー・・・・」 と母も何故か感心。・・・・つっこみがいないと果てしなくボケ続ける、 それが蔵原一家なのです、はい。 「あー、もう!あの家族はなんで毎日ああかなあー?まあ・・ それなりに楽しいけど毎日アレじゃあ嫌になっちゃうよ・・ でもボケない日のほうがまあ逆に恐いけど・・・・」 ダイチはそういつものようにぶつくさいいながらオダマキ研究所を目指す。 ダイチはポケモン研究所が大好きだ。 あそこにはたくさんポケモンもいるし、博士はポケモンに詳しい から少し話すだけでもとても勉強になる。 今日はフィールドワークをやらずに、研究所で仕事をしているから行っても 大丈夫だ。・・・ といっても博士は研究所内にずっとこもっていられるような人では ないから微妙なところだけど・・・。 ダイチが研究所近くまで来ると、トコトコとこっちに来る女のこがいた。 茶色の髪の毛で赤いワンピースの小さな女の子だ。 「あーー、ダイチおにいちゃんだあ〜〜。あそびにきたの〜〜?」 「別に、お前に用があるわけじゃないよ、チービ」 といってダイチは少女の頭の上にぽんと手を置いた。 少女はぶうっと頬を膨らませる。 「チビじゃないもん、ハルカだもん。おにいちゃんだって、 おとうさんから見ればチビだもん」 「はいはい。分かったからそうふてくされんなよ、 全く冗談が通じないから子供って言うのは・・・」 「だからお兄ちゃんも子供でしょ!」 「・・・う・・そりゃあそうだけど」 とダイチがひるむとハルカはクスクス笑い始める。 「あはははは!!おにいちゃんのまけー。おにいちゃん、 おとうさんにあうの?おとうさんね、おうちにいるよ」 「おう、サンキュー!」 といってダイチはハルカに手を振る。 「おにいちゃーん、あとでいっしょにあそんでー。お父さんね、 ハルカとあそんでくれないのー。 ずっとね、本をね、読んだりね、運んだりしてるのー。ハルカつまんない〜〜」 と頬を微妙にふくらませながらいった。ハルカは大体毎日がこうだ。 大抵オダマキ博士は研究に忙しくて ハルカが遊びにきても遊ばない。下手するとハルカがきたことすら知らず、 夕方妻が「ハルカどこにいったか知らない?」 と聞かれ「知らない」と答えてそのあと大騒ぎになって町中を大捜索していたら 実は研究所の中にいたという伝説(?)が残っている。 研究に、ポケモンに熱心なのは構わないが、これはいくらなんでも 酷すぎだよな・・・。 「はいはい、分かったよ」 何だかんだいって甘えん坊な少女を見ながら(やっぱりガキだよなー)と 思ってしまう。 ・・だからお前もガキやんとかいう突っ込みはお願い、しないで(何 ダイチはダイチの来た道を行って、公園に行ったらしい。ダイチは 彼女とは逆に進んでいき、 オダマキ研究所へとたどり着いた。ダイチはドアをノックして、 研究所に入っていった。 「オダマキ博士ー!!こんにちわー」 ダイチはどんどん進んでいって彼のいる研究室へ向かった。 「ん?おや、ダイチ君。遊びにきたのかい?」 重たそうに何冊もの本を抱えていたオダマキ博士はダイチに気づいて こっちに来るが・・・。 ドテ! 「おう!?」 博士は何もないところでつまづいて本をばらばらと床に落としながらこけた。 ダイチは博士のところまで駆け寄る。 「わあ、大丈夫かよ、オダマキ博士ー!!」 「いてててて・・・。いやあ、すまんねえ。おとといの夜から寝ないで 書庫の整理をやっていたもんだから眠くてぼーっとしていたのさ。それ に最近ろくなものも食べていないし・・・そういえば、ハルカはドコにい ったんだい?さっきからみかけない気がするんだけど・・・」 博士は辺りをキョロキョロ見回す。ダイチは呆れる。 「外に遊びに行ったけど。・・ったく、おじさんそれじゃああいつが 誘拐されても気づかないんじゃないの?」 「うう・・・それはそうだ・・・どうも娘にかまっていないもんで・・。 多分暇だったんだろうな〜〜 ・・・・ああ、私はだめな親だなあ・・・ははは・・・・」 彼の表情は悲しそうにも見えるが・・・どちらかというと眠気が ピークに達しているといった感じだ。 散らばった本をまとめるその手の動きはおぼつかない。 「博士ー、眠った方がいいって。すっごく眠そうだよ。」 「いや、大丈夫だよ。私はこんなこと慣れっこだから・・・」 といって博士は本をまとめ終わると「よっこいせ」といって立ち上がったが・・・・。 バラバラバラ  ゴケ 結局すぐに本を落としてしまい、ばったりと倒れてしまった。 ダイチは一瞬あせったが、彼の顔に自分の耳を近づけると、寝 息をたてる音がした。 ・・・どうやら・・つうか寝てしまったらしい。 ダイチは研究所の助手さんに博士をベッドまで運んでもらって、 そのあと書庫整理の手伝いをして、 そのあと公園にいたハルカと他の子供たちと遊んだ。んで、そのまま家に帰る。 「俺・・・・一体あの研究所に何しにいったんだっけ?つうか・ ・このエピソードは非常に意味がないと思うんだが・・・なあ、作者さん」 ギクッ そ・・それは・・・・いや、とりあえずハルカを出したいかなとかなん とか思ってだねえ・・・その・・・。 「問答無用!」 ダイチのハリセンアタック攻撃!▼ 効果はバツグンだ!▼ 野生の(?)作者は逃げ出した!▼ 夕食・・・。ってなんでこんなに話が飛んでるんじゃい!という つっこみはもうなしにして下さい、勘弁してください(だから何 今日の夕飯は母命名「トマトーラ(スパゲッティ。彼女いわくト マトーラというトマトの神様が自分をおいしく食べて もらうためにとある貧乏な夫婦の営んでいるレストランにコックとし て潜入し、作った料理がこれらしい。)」だ。 これは子供ならみーんな大好きでダイチも例外なくスパゲッティは好きだった。 なのでおいしく食べる事が出来た。 ダイチはスパゲティを食べながら (そういえば、そろそろ、俺は旅に出るって事を言わなくちゃな) と思い、フォークを動かすのをいったん止めてのんびりとスパゲッティを食べている (2人ともそんなにかんでいるわけでもないのにやたら食事が遅い。 蔵原家でラーメンをつくると食べ終わる頃には すっかり麺が延び、つゆが消滅するという謂れがあるらしいがまあそんな くだらないエピソードは作中全く関係ないのであえて深く追求はしない) 父と母に話をし始める。 「なあ・・・父ちゃん、母ちゃん。・・・俺さあ、ポケモントレー ナーになりたいからさ、3日後あたりに・・旅してもいい?」 「あー、いいよ」 「いいわね、がんばって♪」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「・・・・・それだけ?いいたいことは?」 ダイチは拍子抜けしてしまう。普通自分の息子が自分達から離れて旅 を始めるとか言い始めたらもっと何かいうだろう・・・。 しかし、2人は何にもそれ以上は言おうとしなかった。弟も「 わあー、お兄ちゃんアニメでやってるみたいに旅するんだー。」で終わってしまう。 「だってー。そんなにぎゃーぎゃー騒いだってしょうがないじゃない〜〜」 「そうそう。ごちゃごちゃいってもしかたない。うんうん。」 「だってダイチはなんかごちゃごちゃ言われるの、嫌いだもんねえ」 「そうそう。私達が何か言うとすぐにハリセンやピコピコハンマーで叩くじゃないか」 ブチ←ダイチ(10歳)のあまり丈夫ではないものがプッツーンと切れた音 「ええーーーーーーい、それは皆が大ボケかましているからじゃーーーーーー!!!!!なんだよ!!自分の息子が旅立つって言うのに! しばらくあえなくなるかもしれないのにその態度はーーーーーーーー!!! もう知らない!!」 ダイチは大声で叫んで夕食中にも関わらずテーブルから離れてさっさと自 分の部屋に戻っていってしまう。 バン!という彼の怒りに任せて閉めたドアの音が響く。 両親は、顔を見合わせるのであった。 「モグモグ・・やっぱりおいしいなあ〜〜〜スパゲッティは〜〜」 ・・・・・・そんな緊迫した感じの場面があったのにもかかわらず弟 は何事もなかったかのようにおいしそうにスパゲッティを頬張っていた。 くっそーーーーー!!!なんだよ!! ダイチは部屋に戻るなり電気もつけずにベッドに直行し 、布団に顔を突っ伏して泣いていた。 自分がこの家を出て、しばらく会えないかもしれない。そ れなのになんであんな、あんな態度でいられるんだ!! 俺の事が嫌いなのかよー!! いつも皆にツッコミを入れている、しっかり者のダイチではあるがやっぱり 10歳の子供。淋しいのだ。 だから一言でも皆に「ダイチがいなくなるのは淋しい」といってほしかった。 それなのに・・・。 「ちっくしょーーー!!こんな家なんてでていってやるーー!!!」 ダイチは布団をバンバン叩きながらその日は眠りについた・・。 俺の事嫌いなのかよ・・・・・酷いよ・・・・・。 くそ・・・・。 次の日は結局家族とは口をきかなかった。・ ・母と父はなにか言おうとしていたようだが、 ダイチは完全にふてくされモードになっていたので無視してしまった。 母がホットドッグを「ポットキャット」 と間違えていようが父の靴下がそれぞれ違う種類であるのに誰も気づか なかろうが弟がランドセルのふた(?) をしめないでしゃがんで教科書を落とし、そしてまた閉めないでいたま ま礼をしてまた教科書をバラバラおとそうがツッコミをいれなかった。 ダイチは一応「行ってきます!」とだけいって、またもやオダマキ研究所に向かった。 研究所に向かう途中、大体同じような場所、研究所の手前の坂道でハルカに会う 。今回はまあ一段とふてくされているようでよく見れば泣いている。 ・・・まーた博士にかまってもらえなくてないているんだろう。 多分・・つうか絶対そうだ。 「まーた、オダマキ博士に遊んでもらえなかったのか?」 とダイチが聞くとハルカはぶんぶんと首を横に振る。 「違うのー。あのね、あのね、お父さんね、カゼひいちゃったの。 セキがコンコンでてるのー。だからね、おねんねしてるの。」 どうやら不眠と食事をろくにとっていなかったのが 災いしてカゼをひいてしまったらしい。 「・・で、なんでお前が泣いているんだ?」 「だってー、お父さん苦しそうだもんーー。嫌だもん。お父さんがおせ きこほんこほんやっているの見ると嫌なんだもんー、お父さんかわいそうだよー」 そうか、風邪を引いている博士が心配なんだ・・・。でもさ・・。 「でも、お前ずっと、お父さんに構ってもらえなかったのになん でそんなに心配してられるの?」 「?」 「だって、オダマキ博士、ほとんど遊んでやれなかったじゃん。 お前がきたことに気づかない事だって珍しくないじゃん。 なんでそんなに心配していられるの?」 ・・・全く、俺は何をいっているんだー。こんなガキに(だからお前 もガキやろ、おい) やつあたりみたいじゃん。あー、バカだー!!俺って!! しかし、ハルカは言っている意味が全然わかっていないらしい。 そりゃあそうだ。だってまだ4歳だし。 こんなこといきなり言われてもしょうがないよな。 「・・・・・・・・・お父さんはお父さんだもん。ハルカね、 お父さん大好きだもん。お父さん、 毎日がんばっているんだもん。大好きだもん。だから心配なの」 「・・・・そうか。ごめんな。俺さあ今ちょっとイライラしてて・・。 悪いな!!じゃあな!」 「・・・・お父さんのところに行くの?」 「うん。オダマキ博士、カゼひいているんだろう?なんか手伝える事があ ったら手伝おうと思って。」 「でも、お父さんハルカに近づいちゃダメって・・・」 「それは、お前に風邪をうつしたくないからだろ?大丈夫、 俺はバカだからカゼひかないってな!」 といってガッツポーズをしながらダイチは笑う。・・自 分でバカっていうのもなんだかなあ・・・。 ハルカは「バカだからカゼひかない」の意味は分からなかったようだけど、 ダイチが笑っているので、それにつられてニッコリ笑った。 「じゃあねー、お兄ちゃん!!」 ハルカはまた公園へといったらしい。 そうだよな・・・家族ってやっぱり自分の家族になんかあるとやっぱり 心配になるよな・・・・。 なのに、なのに・・・・・・・・・!!!ったく!! やっぱり俺っちの家族って変だ!絶対変だ!! ・・・・まあ昔から「変な一家ね」とはいわれていたけどさ・・それにたいして誰も ショックうけていないようなへんてこりん家族だけど ・・・いや!そういう意味じゃない! ったく!!もう本当に俺、怒ってるんだからな!! オダマキ博士はそこまで酷いカゼではなかった。まあ栄養をしっかりとっ てゆっくり休めば大丈夫だろう。 オダマキ博士にハルカが博士の事を心配しているよといったら博士は 「そうかー・・」といいながら涙ぐんでしまったので驚いた。 ・・・そこまで自分を責めているんだったらもう少し改善してくれよ・ ・とかなんとか思ったことはまあ秘密である。 結局ダイチはポケモンのえさやりをすることとなった・・・。 これがまた大変な作業で・・・。 「っておーい、そこのコダック!!とぼけながら他の奴のエサ食うなーーー!!」 バシコーン! 「だあー、だからその草は食べちゃダメな草なの!食べると体の具合が悪 くな・・・って言ってる間にくってんなーーー!!」 バシコーン! 「ぎゃあ!!おいそんなヨダレ垂らすな・・・・うわ!!ぎゃあ!!ア、 あと少しでかかるところだったーーー!! この、よだれたらすなら時と場所を考えろ!(無理難題)」 バシコーン! 「こらーーーー!!スバメー、頼むからそこにいるケムッソをくうなー!! え?ああ、仲良く遊んでいるだけかーふーん、 そりゃあ楽しそうだな、あー、もう赤いものもちょろちょろだしちゃって ・・・・・じゃねええええええ!!!!! ぎゃあーーー!!ケムッソーーーーー!!なんか目が天国にいきましたって 感じだぞーーーー、助手さんカッモーン!!」 バシコーン! ・・・・一日中オダマキ研究所ではハリセンとピコピコハンマーの音が 鳴り響いていたとかいう伝説があったそうです(確信無 そんなこんなで日は過ぎていき、ダイチは家族と仲直りできないまま 旅立ちの日を迎えることとなった・・・。 「だから展開が速すぎじゃーーーーーーー!!」 バシコーン! 「き、きのせいですってばあーーー!!!」 ダイチのピコピコハンマー攻撃!▼ マンタインは混乱した!▼ いや、実はマンタインは元々混乱していた!▼ ええい、わけがわからん!▼ とにかく話をすすめろー!!▼ *現在、作者に電波が受信されていません・・少々おまちを・・ バッコーーン!! 「とにかく話をすすめろーーー!!」 ダイチは、ポケモン研究所にきていた。彼は朝早くに起きて、 まだ家族みんなが起きていない時間にさっさと行ってしまった。 ・・まだふてくされているのだ。これじゃあ仲直りも出来ずにお別れである。 オダマキ博士は、もうすっかりカゼも直ってしまったらしい。・・ なんでちょっと寝てごはんを食べたくらいで 完全回復できるのかよくわからないが、まあ話の展開上オダマキ博士には 元気でいてもらいたいから☆(うわあこじつけかよv) ダイチは今、モンスターボールを3つ目の前にしていた。その中に、 ダイチのパートナーとなるものがいるのだ。 ダイチはドックンドックンと心臓を激しく動かしながらそのモンスター ボールを見つめた。 「さあ、今日はいよいよダイチ君の旅立ちの日だ。そのために、 君の一生のパートナーとなるポケモンがいる。」 そんなオダマキ博士の背後からひょこっとハルカがでてくる。 「あのね、お箸をもつ手えっとー、右手にー、じゃなくって一番右 にあるのがアチャモ。かわいいひよこさんでー、 真ん中にあるのがミズゴロウ。お空みたいな色をしていてー。それで、 一番左のが、キモリ。黄緑色なのー」 「俺、じつはもう決めてあるんだ!!!俺はアチャモにする!!俺、 燃えるポケモン大好きなんだ!!」 ダイチはあまり考えずにきっぱりとそういった。もう何日も前に決めてあったのだ。 「おお、そうか。意外と早く決まったな。じゃあ、アチャモを大事にな。 こいつは結構燃えるタイプでなあ、強気で元気!君にはもってこいだ」 といいながらオダマキ博士はアチャモのモンスターボールをダイチに渡す。 モンスターボールは軽いが、 でもなんとなく中にいるアチャモの重みが伝わってきている気がした。 ダイチは思わずにっこりと笑う。 夢にまで見た、自分のポケモンがもらえるこの瞬間。自分がポケモン トレーナーになる第一歩を踏み出せたこと。それが嬉しくて仕方ない。 「へへへ♪やっぱり、嬉しいなあ!!・・ねえ、博士、 アチャモに名前付けてもいい?」 「そりゃあもちろんさ!!きっとアチャモも喜ぶよ」 「やったあ!じゃあリヒト!!今日からこのアチャモはリヒト!!」 「・・あのー、お兄ちゃん・・・・がんばってね!!」 ハルカがいった。ダイチはハルカの頭の上にぽんと手を乗せる。 「おう!!任せとけ!!」 ハルカはそういわれてニッコリと笑った。 「・・・・・・じゃあ、がんばれよ、ダイチ君」 「はい!俺、絶対に世界一のポケモンマスターになります!!!」 ダイチはそうズビシ!と格好をつながらいうと、博士に見送られながら いつも歩いている道を・・・ しばらくは踏めないその地に足をつけ、歩み続けた・・・。 博士もハルカと一緒に研究所内に戻っていく。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 タッタッタッタ。 「博士ーーーーーーーーーーーーーーー!!!ポケモン図鑑ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 ダイチはしばらく踏むこともないその地をわずか1分あまりで再びふみ、 研究所内に猛ダッシュでかけこみ、 研究室に入った。博士は目を丸くして驚いていたが、しばらくして ポケモン図鑑の存在を思い出したらしい。 「どわあ!!しまったああ!!そういえば、忘れていたあ!! わあ〜〜〜偉大なポケモン博士の大発明を忘れるとは 私の脳内の世も末だ!!!たしかにあのアイテムがないと困る・・・ いや、困らない・・いや困るか、 これはポケモントレーナー免許でもあるからこれがないとポケモンセンターが 有料だ。ポケモンセンターが有料だと 非常にお金がかかる・・それにポケモンセンター 食堂のごはんの料金もちょっと高くなってしまう!! そうすると1ヶ月の出費がかさ・・・・」 「そうそう、出費がかさなると嫌になるんだよなあ〜〜、お金がか かるのはいやだ・・・って何いきなり長話モードになってるんですか!!」 といってダイチは博士をピコピコハンマーで軽く叩く。 「はっ!!すまない!!とにかく、図鑑をやろう!!これだよ!これに 君の情報を入力して、近くの・・・ こっからだと・・コトキタウンのポケモンセンターで手続きをすれば 君は正式にポケモントレーナーとなる。いいね?」 といって図鑑をダイチにくれた(博士は図鑑のおいてある場所を忘れ 実は10分くらいそこらへんを散らかしながらさがしていた ・・・とかいうエピソードはまあ関係ないので省きました) 「では!今度こそ、いってらっしゃい、気をつけて!!」 「はい!!気をつけて行って来ます!!」 ダイチは研究所をダッシュでかけていって、猛ダッシュで旅立ち始めた・・ ・・思えばかなりあわただしい旅立ちとなってしまった。 ・・別に無理して走る必要もないのに・・・・。 へへへ!がんばるぞ!!俺は最高のポケモンマスターになって、母さんと父さんをあっといわしてやる!! そんでもって友達にもうーんと自慢してやるんだ!! リヒト以外にももっと仲間を作って、どんどん強くなって、 リーグでも優勝するんだ!! ああ、楽しみだな!これからきっとすっごく面白い事・・っ てまあ嫌な事もあるかもしれないけどきっと、 見たこともない世界があって・・・・・!!ああ、本当に本当に・・・・・・! そんなダイチは知らない。彼が旅立ってしばらくして、 彼とすれ違うように彼の家族がやってきたことを。 彼は知らない。母が泣いていた事を。いつもニコニコ笑っているか ぼーとしている母が研究所の研究室で オダマキ博士の前で崩れ落ちてこれ以上にないくらい泣いていた事を。 「・・・・・私・・・・私、あの子の気持ち、考えてあげられなくって・ ・・・・それで・・謝ろうとしたんです。 本当は寂しいんです・・本当は・・・だから・・あのあと・・・ そのこと・・言おうと思って・・応援してあげようと・・ でも・・・でも・・・・・・・・・遅かったんですね・・・」 ダイチは、知らない。 そして、そのあと・・・9ヵ月後。ダイチは悲惨な事件の容疑者となった。 彼は、事件現場で気絶していた。彼は悲惨な事件現場をみて。 ・・・・・・いや、犯人の顔を見て。 そして目の前の事件にショックをうけて、気絶しそして起きた後に警察に通報した。・・・・・しかし、遅かった。 すでに第一発見者がいたらしく、しかもその通報者はダイチがやったのだ と言い張った。おそらく、 その第一発見者・・というのが犯人である・・ようだ。 しかし、ダイチは犯人の顔を覚えていない。ポッカリと忘れてしまっている。 そして警察はダイチに返り血が付いている事、 凶器に彼の指紋しかなかったこと、彼が現場にいたことなどを証拠にして、 ダイチを犯人にしようとした。それをしった彼は逃げた。 警察の追っ手をポケモンでふりきって。自分は無実なのだから。 でも、それが余計に彼の首をしめてしまったのだろう。 あのあと、ダイチの家族はミシロを離れたらしい。 ミシロの人々はダイチが犯人だとは思ってはいない。でも、それでも彼らの、 家族に対する視線はどことなく冷たくなってきていたし、 それにマスコミまで家の前にうじゃうじゃたかってくるようにもなり、 弟は子供たちにいじめにあい、結果どこか遠い地方へと引っ越したらしい。 でも、それだってダイチは知らない。 そして、知らないまま失った。 みんな、みんな、失った。 〜現代〜 「そうかー、これが飲んだら痺れて倒れてしまうという強力なクスリ、 しかも解毒剤なし!のすぐれものかあ〜〜」 「ダイチ様、早速これを飲んでください!」 「おう!そうすれば俺は痺れに痺れ意識を失いぶっ倒れ、しかも 解毒剤がないから手のほどこしようもなくなる!! というわけかあ!!そりゃあすげえ!!アーハッハッハッハ!!!・・ ・って、俺を実験台にするな、ドアホ!!」 ・・・・マグマ団第三部隊隊長であるダイチは研究員をハリセンで殴る。 スパーン!という神業だからこそなせるいい音が研究所内に響き渡る。 「全く!そういうのはなあ、自分で飲め、自分で!」 「そんな無茶な!」 「自分でも無理だったら俺にもやらせんな、ドアホ!!!」 バシーン!とまたもやハリセン攻撃炸裂。 こんな風にダイチはもうツッコミぐせがしっかりと定着したらしくぼける 奴には問答無用でツッコミをいれている。 彼はツッコミグセの原因を覚えているだろうか?記憶の底に静めただろうか? 彼は、そう・・・見た目は何も変わっていないかもしれない。 喜怒哀楽が激しくて目立ちたがり屋でツッコミばっかり入れて、 ちょっとお調子やで。 でも。 彼は変わった・・・・・・・。 「俺は、人なんて信じない。信じるのもバカバカしい!」 彼は変わったんだ。 「俺は、リーダーだけについていく!!それだけだ!」 彼はもうあの時の彼ではない。 陰らぬ夢をもち、ポケモントレーナーとして意気揚揚と旅立っていた あの日の彼とは違う。 夢はもう消えた。夢はかげていった。 もう、戻れない。 決して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。                     終わり