四天王の砦  第3話 VS茜髪の少女・後編 「せやけど、アンタの炎と電気の相棒はポニータとビリリダマ……つまり、ギャロップとマルマインだったはずや。 なんで、キュウコンとサンダースなんや?」 一息ついた所でアカネが聞いて来た。 「2ヶ月ほど前まではそうでした。でも、ちょっとした事情がありましてね。」 「そうか……ってことは、あの人のポケモンってことやな?」 当然、アカネは2ヶ月前の事件を知っている。 手持ちポケモンが変わった事情が2ヶ月前にあるなら、そのポケモンが誰のポケモンだったのかは予想がついた。クリアは頷く。 「はい」 「ほなら、うちは最後の1匹や……行くで、ミルタンク」 そのミルタンクを見たクリアは突然話し出した。 「確か、俺がアカネさんのジムに行ったのはセキチク、タマムシ、ヤマブキについで4番目。 ……俺は10年前、コガネからセキチクに引っ越した。俺はトレーナーになってまず、幼馴染のパープルに会う為にコガネに行った。」 「確か、そん時にはもうパープルはうちのジムを突破し、旅立った後やった。あん時、うちはジムリーダーになりたてやった……」 「そのとき、アカネさんと戦った。……あの時はそのミルタンクには苦戦させられました。」 誰もがあそこで苦戦するのです(何) 「せやな……そして、今日もそうや。」 自信満々で言うアカネ。クリアも自信満々を返した。 「今回は急いでるので早めに決着をつけさせて貰います。」 「強気やな……ほな、行くで……ミルタンク、『丸くなる』んや。」 丸くなるのは、恐らく、次に転がるの速度を上げ、威力を上げるコンボ技の為。 しかし、一撃では、サンダースは倒れないだろう。 クリアはそう考え、攻撃の指示を取る。 「サンダース、『10万ボルト』だ。」 サンダースの10万ボルトはかなり強力。 しかし、ミルタンクは体力が自慢。そう簡単には倒れない。 その直後…… 「ミルタンク『地震』や」 「え?」 コンボで来ない事はクリアには予想外だった。 転がると違い、弱点を突かれたサンダースは倒れてしまった。 「転がるで来ると思ったやろ?『地震』を警戒させない為に丸くなるを使ったんや。」 「裏をかかれましたよ。何より、アカネさんが裏をかいたことに驚きました。」 「どう言う意味や……まあ、それが裏をかくって事なんやけどな。」 多少、突っ込み気味に言った後、真面目に答えるアカネ。 「ま、これで、残りは1対1や。」 「そうですね。では、最後のポケモン……行け、ジュゴン。」 クリアは最後のポケモンを繰り出した。 「ミルタンク、『転がる』んや。」 「ジュゴン、『凍える風』だ」 丸くなった状態の転がるは強力。弱点を突き一撃でかなりのダメージを受けた。 ジュゴンは凍える風でダメージを与えるとともにスピードを下げた。 ちなみに、ここ四天王の城では、複合技やオリジナルの技は使えない。 つまり、『輝く風』は使えないのだ。 まあ、当然と言えば当然である。 「そのまま、どんどんスピードを上げるんや。」 「ジュゴン『波乗り』だ。」 さっきと違い、先に攻撃に移ったのはジュゴンだった。 どうやら、凍える風の効果が出ているようだ。 「くっ、これを耐えれば、なんとかなるで……ミルタンク」 スピードに乗って急に方向を変えることは出来ない。真正面から波乗りとぶつかる。 しかし、その水圧はかなりのもの。必死に転がりつづけるが、遂にミルタンクは倒れた。 「うちの負けや……次に進んだらええ。その前に……そこの機械で全回復できるで……」 アカネは、門の隣にある機械を指差して言った。 クリアは機械でポケモンを回復させると、門を抜けていった。 「なんか、急いでたみたいやな……何があったか知らんけど、頑張るんやで……」 クリアを見送ったアカネが小さな声で呟いた。