四天王の砦  第7話 VS虫達の司者・前編 ――ポケモンパーク―― 「え?内部から書き換えられた物でもないんですか?」 パープルが驚きの声を上げた。 「そうや。書き換えるのも時間が掛かるし、他人に見つからない様にするには相当な苦労や……それに……」 「書き換えた痕が残るのです。まあ、今、それを調べてるんですけどね……」 マサキ、シルフ社員の順に答えた。 しかし、ポケモンパーク社員は何もしていないな(何 ――四天王の砦・第二の部屋―― 二番目の部屋は草が生えていた。 鮮やかな緑は外のものと変わらない。 「フフフ。こんにちは」 その部屋に居たのは二十歳前後であろう女性。 彼女は微妙に茶味がかったほとんど黒に近い髪を左右で三つ編みにしていた。 目が大きく彼女のチャームポイントと言っても良いだろう。 部屋の中ほどまで行くと、その彼女が話し掛けて来たのだ。 クリアは彼女に聞く。 「貴方が二人目の四天王ですか?」 この部屋に居るのだから当然と言えば当然だが、とりあえず聞いてみるクリア。彼女もきちんと答えてくれた。 「ええ、そう。貴方、なかなか優秀なトレーナーの様ね?」 「まあ、それほどでもないですが……」 「一応、自己紹介だけはさせてもらうわ。私はツツジ、一応、虫タイプを司っているの。」 そう言って、ツツジはパラセクトを繰り出した。 「バトルを始めますか?」 パラセクトを出してから聞くのもどうかと思うが、取りあえずポケモンを繰り出すのが彼女のスタイルなのだろう。 クリアは頷く。 「はい。」 「行け、ワタッコ」 ワタッコを繰り出すクリア。 「虫・草のパラセクトに対して草・飛行のワタッコ……タイプだけ見れば貴方達が有利だけど、ワタッコは飛行タイプの強力な技を覚えられない ……つまりは五分ね。パラセクト、『嫌な音』」 この女性、なかなかの分析家のようだ。 「(あれを受けると厄介だな)ワタッコ、『眠り粉』」 しかし、眠り粉は空気の流れで簡単に軌道が変わり、相手に当てるのが難しい技。 さっきのバトルではうまく当たったが、今回は外れてしまった。 そして、外した直後に嫌な音がワタッコに聞こえてきた。 クリアは同じ指示を出す。 「ワタッコ、『眠り粉』」 今度は、空気の流れに乗って眠り粉がうまく命中した。 だが、それでも、パラセクトは眠らなかった。 「え?」 「一応、正確に言うと一度眠って起きたの、薄荷の実の効果……パラセクト、『切り裂く』」 ゆっくりと近づいていたパラセクトは、ワタッコの攻撃が終わった時点ではいつの間にかワタッコの近くまで来ていた。 これでは、『切り裂く』を避けられないで当たってしまう。 そして、次の指示は…… 「ワタッコ、『眠り粉』」 クリアはあくまで相手を眠らせる事にこだわった。 それは今のままだとほとんどダメージを与えられない上、宿り木の種は草タイプには効果が無いからだ。 三度目の正直。 パラセクトは眠った。 そして、その隙にクリアは次の指示に移った。 「行けキュウコン」 「炎タイプね。」 冷静にキュウコンを見つめるツツジ。 「キュウコン、『火炎放射』。」 キュウコンの炎がパラセクトを襲った。 それは虫・草タイプのパラセクトには致命的。一撃でダウンしてしまった。 クリアはツツジに聞いた。 「代えませんでしたね?」 「代えても、その隙に貴方は火炎放射を放つ。そしたら、次のポケモンまで致命傷になる。」 それは、さっきクリアがエイジ戦でワタッコが強制で出された時と同じ判断だった。 つまり、この女性、クリアと思考が似ているのだ。 そして、少し考えた後、ツツジは言った。 「……なるほどね、私が勝つにはそのキュウコンを止めなくてはいけないみたいね。頑張って、カイロス。」 「そうかもしれませんね。キュウコン、『火炎放射』。」 「カイロス、『剣の舞』」 キュウコンは火を放つ体勢になり、カイロスは剣を構える。 先に行動に出たのはキュウコン。炎を発射する。 「(剣の舞?カイロスが使う暇が有るのか?)」 そう考えている間にもキュウコンの放った炎がカイロスに迫っていた。 戦況は3対2……しかし、クリアのワタッコはかなりのダメージを負っている。つまり、五分だった。 □■□■□■□■□■□■□■□ 補足のようなもの この回からツツジってトレーナーが登場しています。 しかし、この人はホウエンのジムリーダーとは関係が有りません。 ポケモンのタイプも違いますしね。 実は、この話は2002年に書いたものなので、ルビーサファイアの情報は入ってなかったんですね。(汗汗 そんなわけで……物語はまだまだ続きます。 それではー