出会い とある星の、とある国の、とある森に、ポケモンだけが住む村がありました。 その村に、一人のピチューが住んでいました。 ある日、ピチューは噂を聞きました。 『村外れに、最強のポケモンが住んでいるらしいよ?』 「さいきょう?」 ピチューは思いました。 「会いたいなぁ・・さいきょうさんに・・ ・・で、ボクにもつよさのヒミツを教えてくれないかなぁ・・そしたら・・」 そしたら、すきなひとをまもれるのに・・ こんこん。 ピチューは、その家のドアをノックしました。 「・・誰だ?」 まるで、氷の様に冷たい声・・ でも、ピチューはめげずに言います。 「ボク、ピチューっていいます。 あの、えっと・・さいきょうさんですか?」 「・・最強というのは、名前ではない・・」 その声が聞こえたあと、ドアは黙りました。 「もしもーし・・」 もう一回ドアをノックしますが、「さいきょうさん」の声は聞こえませんでした。 「つかれてたんですね? ごめんなさい・・また明日来ますから・・」 そして、次の日・・ こんこんこん。 「さいきょーさーん!」 ピチューは、また 「さいきょうさん」のところに来ました。 「・・うるさいなぁ・・」 かちゃ・・ 「さいきょうさん」は、ドアを開けてくれました。 そこに立っていたのは・・ とがった耳、白くておおきいからだ、紫色の目に長いしっぽ・・ そして、メガネをかけていて・・ 「・・何の用だ?」 「えと、『さいきょうさん』とお友達になりたいんです!」 「・・だから、私の名前は『さいきょうさん』じゃない・・」 「じゃぁ、何て名前?」 「・・ミュウツーだ、あまり名乗りたくはないのだがな・・」 「みゅうつーさん? ボク、ピチューっていいます!よろしくです!」 ぺこり。 ピチューはおじぎしました。 「・・用事はそれだけか?」 「・・えと」 「用事がないなら、私は家へ戻るぞ・・」 ばたん。 「さいきょうさん」・・改め「ミュウツー」は家の中に入って行きました。 「最強、か・・」 ミュウツーは呟きました。 「・・人を傷付ける能力(ちから)が、何になるんだ・・・」 それから、ピチューは何度もミュウツーの家に遊びに行きました。 ミュウツーも、だいぶピチューに心を開いてきたようでした。 暇があるときには、話をしてくれる様になりました。 そんなある日の事。 「ぴ、ピチュー・・?」 「どーしたの?」 「そこにいる、虫をどっかにやってくれないか?」 「何で?みゅうつーさん・・虫恐いの?」 ぐさっ! どうやら、図星だったみたいです。 「虫が嫌いで何が悪い!?元々私はエスパータイプ!虫とは相性が悪いんだ!!!!」 「ご、ごめんなさい・・」 さて、そんな日が続いたある日のこと。 ピチューは、裏山にリンゴを採りに行きました。 「きっと、赤くてきれいだろうなぁ・・食べたらしゃりしゃりして、あまくて・・」 ピチューは、うきうきと山を登りました。 自然と、スキップしてしまいます。 「おいしそうなのが取れたら、 『さいきょうさん』・・じゃなくて、みゅうつーさんにもおすそわけしよっと!」 そしてついたのは、山にあるリンゴの木です。 「よいしょ・・」 ピチューは、長い棒で葉っぱの中をかきまぜました。 がさがさ・・ ひゅーん・・ リンゴが落ちてきました。 「えい!」 ピチューは器用にそれを、かごで取りました。 さて、その様子を見ていたポケモンがいました。 彼らは、ピチューのリンゴを盗ろうと、ピチューの前に立ちふさがりました。 その赤い沢山の目はピチューを睨み付けてます。 睨み付けているのは大量のスピアー・・ 「え、えと・・さよならっ!!」 だぁっ! ピチューは、その場から ダッシュで逃げ出しました。 でも、相手は空を飛んできます。 ピチューは、自分が電気系だということを忘れていました。 たとえ覚えていて、電撃を放ったとしても自分もびりびりしてしまいます。 と、その時! 「あっ!?」 ずざぁ! ピチューは石につまずいて、転んでしまいました。 「どーしよ!」 と、その時! ヴンッ! スピアー達の目の前に、真っ黒なボールが落ちました。 ちゅどーん! そのボールは大爆発を起こしました。 ピチューは、ボールが飛んできた方を見ました。 そこにいたのは・・ 「みゅうつー・・さん・・?」 そう、ミュウツーだったのです・・ 「・・蜂め、私の友に手を出すな・・!!」 ミュウツーの体からは、怒りのオーラが立ち上っていました。 (みゅうつーさん・・虫きらいなのに・・) 「・・消えろ!!!『シャドーボール』!!」 どっこぉぉぉん!!!! あたりには、凄い土煙が立ち上り、前が見えなくなりました。 「みゅうつーさーん!!!」 「・・ふぅ」 ミュウツーは、額の汗を拭いて、へたりと座りこみました。 「みゅうつーさん!みゅうつーさん!」 ピチューが走ってきました。 「もう、心配した・・」 「馬鹿!!!」 「・・よ?」 「・・心配したのはこっちの方だ!! 今の時期は、スピアーの気が立っているのに・・そんな時に山へ登って行くなんて・・ そのくらい、覚えておけっ!!!」 ミュウツーは言いました。 きつい口調だったけど、最初に聞いたときみたいな冷たさはありませんでした。 「・・虫よりも、初めて出来た友達を失うことの方が恐かった・・」 「・・・みゅうつーさん・・」 ピチューはちょこんと、ミュウツーの膝に座りました。 「ごめんなさい、みゅうつーさん・・」 「わかればいいんだ、ピチュー・・」 その後、ピチューが採ってきたリンゴを使って ミュウツーがアップルパイをつくりました。 「うまいか?」 「うん!とってもおいしいよ!」 二人で仲良く、アップルパイを食べました、とさ! めでたしめでたし