「テマリはさ、トレーナーなの? それともブリーダー?」  結局そこいらで野宿することになったマダラ少年&テマリ少女は、寝 袋に入ったまま自己紹介を開始した。 「トレーナーだよ。ハクタイジムに挑んだらーあっさり負けちゃって。 でもねーナタネさんの下で修行させてもらってるから、だいぶ強くなったよ」 「じゃー、ポケモン持ってるんだ?」 「うん。見る? でて来い、リーフィア!!」  テマリ少女はどこからかモンスターボールを取り出し、枕元で開いた。  中から出てきたのは、緑の草のような耳と尻尾を持った、草タイプの イーブイの進化系。 「……珍しいポケモン持ってるねぇー」 「でしょー? 卵から育てたんだー。イーブイでジム戦挑んだんだけど、 負けちゃって。ナタネさんの影響で、リーフィアに進化させちゃった」 「卵、からかぁ……。タマゴのやつ、ちゃんと生きてるかなぁ」  マダラ少年は柄にもなく落ち込んだようだった。  テマリ少女はしまった、といまさらながらに言葉の選択を間違えたこと を悔やんだが、後の祭り。  マダラ少年はいまさらながらにネガティブ少年へとシフトチェンジした。 「あぅぅ……。だいじょうぶ! きっと生きてるよ、その子!」  いたたまれなくなったテマリ少女は、ガッツポーズをした。  隣にいたリーフィアも、小さくガッツポーズをした。 「うん。ありがと」 「……マダラ、なんのポケモンの卵かもわからないの?」 「うん。もらったときも、なんの卵かは教えてくれなかった」 「……誰からもらったの? その人に訳を話せばいいんじゃない?」 「…………?」  マダラ少年のメインコンピューター、中枢機能がオーバーヒートを起こす。 「……マダラ?」 「おお!!」  マダラ少年のメインコンピューター、再起動。 「そっか、聞けばいいんだ。よし!」  マダラ少年は寝袋から這い出ると、てきぱきとたたんで、自転車の荷台に くくりつけた。 「え? マダラ、今からどこに……」 「ズイタウン! テマリ、乗って乗って!」  かくしてマダラ少年は、テマリ少女を荷台に乗せ、真夜中のカンナギタウン を後にした。